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十絶陣

じゅうぜつじん

十絶陣は明代に成立した小説「封神演義」に登場する十天君が用いる陣法である。
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曖昧回避

1.「封神演义」に登場する十天君の陣法。本項で解説
2.藤崎竜版「封神演義」の十天君の持つ空間宝貝。→十天君

「封神演义」の十絶陣

十絶陣は本編の第四十四回から第五十一回にかけて登場する金鰲島十天君が布いた陣で、名のごとく天絶陣、地烈陣、風吼陣、寒氷陣、金光陣、化血陣、烈焔陣、紅水陣、落魂陣、紅砂陣の総称である。
各陣の概要を安能務版も含めて以下に列挙する

天絶陣

陣主は秦天君(秦完)。
先天術を練り清気を得て布いた陣で、陣中には『天』、『地』、『人』三本の幟が立っており、足を踏み入れる者があらば雷鳴が轟いてその身を灰燼に帰す。また、道行を経た仙人や道士であろうと、秦天君が幟を振って雷鳴を起こせば方向感覚を失って昏倒してしまう。
<安能務版>
仕組みの解説に大幅な脚色が加えられている。
天絶陣の内部には空気の代わりに“先天の清気”が漂っていて、両気の入れ替えの過程で空間の秩序は混沌の玄機で組み替えられている。いうなれば無と有、静と動の法則が逆転した虚無の空間、前後左右の別が乱れたブラックホールともいうべき符陣である。陣に侵入者が足を踏み入れると、まず『天』の紙旛が感応して存在感覚を奪い、それでも体を動かせば『地』の紙旛が五体をバラバラに砕き、それにも耐えうる道行の深い仙人相手には陣主が『人』の紙旛を振って雷鳴を起こし灰燼に帰してしまう。

地烈陣

陣主は趙天君(趙江)。
地道の術に基づいた、中は凝り固まり、外は見え隠れする変化極まりない陣で、陣中には赤い幟が立っており、それが動くと四方から奇雲が巻き起こり天からは、地からは火炎が生じて、妙術を持つ仙人でも全身を微塵に粉砕する。また、陣に据えられた台の上に立つ五本の幟を振ることでも雷火を発生させることができる。
<安能務版>
天絶陣と同じく、解説に脚色が加えられている。
地烈陣の内部は地道と天道の「極」、陰陽が上下に組み替えられている。濁厚の地気(陰)が清澄の雲気(陽)に反されており、それによって引き起こされた「勢」が雷火の「機」に閉じ込められ、足音などに反応すると雷火を起こして相手を焼き焦がす仕組みになっている。あらゆる動きを無にして侵入しても、紅旛を振れば同様に雷火を生じて消滅させてしまう。

風吼陣

陣主は董天君(董全)。
地・水・火・風のうちの玄妙なが隠されている陣。風は先天的な気、火は三昧真火であり、陣に侵入者があれば千軍万馬が現れて狂風と烈火に巻き込み、幾千万の刀剣による斬撃でズタズタにしてしまう。
以上の仕組みは陣中の台に立つ黒い幟を振ることで引き起こされ、風吼陣に組み込まれた風は尋常の代物ではないため、生半可な手段では防ぎえない。
<安能務版>
解説に脚色あり。地烈陣のように先天の気が混沌の機に逆に組まれており、震動に反応して百万の刀が乱舞する黒風を起こす。また、気配を消すことができる相手には黒い紙旛を振って風を起こし、上記の黒風で切り刻む。
定風珠による陣の無力化描写にも差異があり、原典では慈航道人の周囲で黒風が止まるというものだが、安能版では黒風の発生自体が停止させられている。

寒氷陣

陣主は袁天君(袁角)。
寒氷と銘打たれているが実体は刀剣の山であり、陣中に玄妙が組み込まれているために風雷が吹き荒れている。陣主が台上の黒い幟を振ると、刀剣のような上方の氷山と狼牙のような下方の氷山が侵入者を跡形もなく押し潰す。
<安能務版>
解説に脚色あり。寒氷陣は野獣咬合の玄妙を象った上下二座の狼牙がついた氷山であり、音に感応して咬み合い、侵入者を一瞬にして肉醤と化す。
原典では普賢真人が指先から起こした瑞雲に飾られた金灯の光で氷山を溶かしたのに対し、安能版では三昧真火で氷山を消滅させている。

金光陣

陣主は金光聖母。
その内に日月の精を奪い天地の気を秘めた陣で、二十一の宝鏡が二十一本の竿にかけられいる。各鏡の上には縄で結んだ輪があり、陣主が輪を引き上げると雷の音が起こって鏡が振動する。震動する鏡は金光を放ち、侵入者を照らして瞬時に溶解せしめる。
<安能務版>
解説に脚色あり。鏡には太陽の能源が込められており、金光聖母が手から雷を放って鏡を発光させる。

化血陣

陣主は孫天君(孫良)。
先天の霊気を用いた陣で、風雷と黒砂が秘められている。陣中に侵入者があれば雷が鳴って風が黒砂を巻き起こし、相手を血だまりに変えてしまう。
説明と実際の描写に微妙な食い違いがあり、作中では孫天君が化血陣に踏み入った相手に黒砂を投げつけるという方法を取っており、黒砂の効果も服に付着した途端に全身が血と化してしまうというものである。
<安能務版>
黒砂に“化血砂”という名称がつき、紙包みに入れて投擲するという使用法が出てくる。
また化血陣に踏み入る五夷山白雲洞の散人・喬坤の目的が、作者の独自設定と政治的な持論によって『宝貝“解煞衫”の性能を試す』というものに切り替わっている(原典では陣破りが目的で、宝貝も持たない)

烈焔陣

陣主は柏天君(柏礼)。
陣中に三昧火、空中火、石中火が秘められており、その不可思議さは無窮とされる。三本の赤い幟が立っており、それが翻ると三火が飛び回って侵入者を灰燼に帰す。
なお、石中火が場面によっては地下火と称されている。
<安能務版>
陣主の名が“白”礼になっている。
三本の紅旛の使用法が脚色されており、左手の旛からは天中火、右手の旛からは地下火、中央の旛からは白天君の口を通して三昧火が噴き出る。

落魂陣

陣主は姚天君(姚賓)。
生きる道が閉ざされ死への門戸が開いた陣で、陣中には天地の気が凝結している。符が貼られた白紙の幟が立っており、それが動くと侵入者の魂は飛散してしまう。また、黒砂を用いて相手を死亡させる方法も備える。
呪殺の術を執り行う場としても機能し、作中の姚天君は相手の名を書いた草人の上下に三基の“催魂灯”と七基の“捉魄灯”を点けて二十一日で死に至らしめるという術を展開している。
<安能務版>
黒砂に“吸魂砂”という名称がつく。

紅水陣

陣主は王天君(王変)。
壬癸の精華を奪い、天乙の玄妙を秘めた変化極まりない陣で、陣中には三つの瓢箪が乗った八卦台がある。この瓢箪を投げ下ろして割ると限りなく紅水があふれ出て、一滴でも紅水を浴びた者は血水と化す。
<安能務版>
色々と脚色を受けており、まず名が王“奕”に改変されている。
また瓢箪を割るのではなく、傾けると口から無限に紅水が流れ出て、八卦台上の紅旛を振ると紅水は一瞬で消滅するという仕組みに脚色されている。
相手になる曹宝との関係が例のごとく作者の持論のせいで改変されており、道兄を趙公明に殺されて厭世的になった曹宝が宝貝“落宝金銭”ごと旧知の仲である王天君の紅水陣で消滅させてくれと頼み込む。それを嫌がった王天君に曹宝は“点断”を仕掛けて、半ば脅迫するようにして紅水陣を起動させて自殺する(点断という術は原典に無い)
そして王天君の末路も原典では道徳真君の五火七禽扇で灰にされてしまうというものだが、安能版では“気鑽”という術で胸に風穴を開けられて死亡する。

紅砂陣

陣主は張天君(張紹)。
天、地、人の三気に分かれた陣で、その中に三斗の紅砂を隠している。風雷が起こると鋭利な刃のような紅砂が吹き荒れ、侵入者を骨肉の別なく粉砕する。また陣中には落とし穴があり、陣主は紅砂を投じて侵入者をそこに追い落とす手段もとる。
燃灯道人から『極めて凶悪な陣で、福人を用いて百日かけて弱体化させなければ破れない』と評されている。
<安能務版>
瓢箪から紅砂が出て相手を襲い、落とし穴に捕らえる符陣に脚色されているため、『あれは殺戮を事とする陣ではない。生け捕りの陣だ。殺される危険はない』と燃燈道人の評価が原典と真逆になっている。
福人として紅砂陣に乗り込む武王の描写も作者の持論(好き嫌い)が反映されており、西岐の為に戦う闡教に助力したいと積極的な姿勢を見せる原典に比べて、かなり後ろ向きな態度を見せている。

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