曖昧さ回避
概要
北斗七星を擬人化した北斗星君とは対なる神。ともに人の寿命を司る神であり、北斗星君は死に関する名簿を、南斗星君は生に関する名簿を持つとされる。
この二神に神話的な星列である西斗、東斗、中斗の星君が加わり、五斗星君と総称される。
『捜神記』や『三国志演義』に記された、碁を打っていた彼と北斗星君が若者の寿命を延ばしてあげるシーンで有名。
五斗星君それぞれに対応する星列を構成する諸天体はそれぞれで擬人化され、より細分化された分野を司る。
五斗星君の姓名と地上への転生についての記述がある『金鎖流珠正經』によると、姓は劉、名は氣、字は石嬰。長安(現在の中国中部・陝西省西安市一帯)の人に転生。
単独の神としての南斗星君の異称として「南極大帝」「南斗天神」などがある。生誕日は農歴(中国の旧歴)の九月初一日とされる。
南斗六星君
『星經』によれば南斗六星は天子(統治者)の寿命や、宰相の爵禄(爵位と棒禄)の位の主とされる。
現代において一般的に用いられる星座の一つ「射手座」を構成する天体のうちの6つからなる。
古典的な中国天文学では天府(ζ星)、天梁(τ星)、天機(σ星)、天同(φ星)、天相(λ星)、七殺(μ星)という。
これらを天の宮とみなし、それぞれを担当する星神として「司命星君」「司禄星君」「保命星君」「保生星君」「度厄星君」「上生星君」が配される。彼等を総称して「南斗六司」「六司星君」「南斗六司延壽星君」ともいう。
また、下記のように天体ごとまとめて擬人化した神名で言及される事もある。
五斗星君を主題とする「五斗経」の一書『太上說南斗六司延壽度人妙經』では南斗第一天府司命上相鎮國真君、南斗第二天相司錄上相鎮嶽真君、南斗第三天梁延壽保命真君、南斗第四天同益算保生真君、南斗第五天樞度厄文昌鍊魂真君(※南斗六星に「天枢星」の名はない。残る「七殺星」いて座μ星に対応か)、南斗第六天機上生監簿大理真君。
他の神との関係
『太上說南斗六司延壽度人妙經』には「宰御火帝」の句があり、火星の惑星神である火徳星君に関する道教儀礼の際に同経典中の「南斗火官除毒害 北斗水神滅凶災」の文を記した旗が掲げられる例がある(木雕火德星君像-文化部-典藏網-藏品資料、禳熒火醮)。
南斗星君を南極老人と同じ神とする説がある(阿猴媽祖(屏東慈鳳宮)サイトでの解説)。
フィクションにおいて
古典作品
- 『西遊記』
第51話にて南斗六司が北斗七元(北斗七星を構成する七星の神)と共に天界の役人として登場している。
全編通して北斗星君本人は登場しないが、第7回にて南斗星君が「南斗星」名義で登場。天界の総軍を手こずらせた挙げ句二郎神によってようやく捕らえられ斬妖台に移送され降妖柱に縛り付けられた孫悟空にどうにかダメージを与えようと苦戦する。
彼が火部の神々に指示して悟空の身体に火をつけようとしても燃やせず、雷部の神々に雷の屑や釘を打ち込ませても毛すじほどの傷も負わせられなかった。
第11回では十王が死者を裁判にかけるシーンで「南斗星死簿」が参照される。
終盤における「封神」シーンにおいて南斗六星からなる「南斗星官」への封神について記される。
刊本によっては「南斗星君」となっている。周紀、胡雷、高貴、余成、孫寶、雷鵾が封神されているが、それぞれがどの星かは明記されていない。
現代の作品
- 『真・女神転生』シリーズ
『デビルサマナー』で初登場。先んじてシリーズに参戦していた相方ホクトセイクンと隠しボスとして登場。
種族は魔神でアライアメントは「LIGHT-LAW」。
ホクトセイクンとは逆に燃え盛る炎に包まれた剣を構えた神の姿で表現された。
『デビルサマナー』では敵味方に回復を6回行う「六星輝煌」という専用スキルを使用した。しかし、のちのシリーズで相方と共演する機会には乏しかったが、『Ⅳ』にて再共演。そちらでは火炎系属性が得意とされた。