登場作品
「塗仏の宴 宴の支度」「同 宴の始末」
人物像
郷土史家を名乗る謎の男。年齢は五十がらみ。
「射竦めるような眼、確乎りした顎、真っ直ぐな眉、鷹のような眼、無造作にぼさぼさと伸ばした髪」と描写されている。
関口巽が「消失した村」を探しに行く道程で出会った男。元軍人らしく「大佐」と呼ばれることもある。
中禅寺秋彦と対比的な人物として描かれている。
例1.口癖「この世には不思議でないものなどない」(中禅寺は「この世には不思議なものなどない」)
例2.六芒星の紋のついた白い着物(中禅寺は五芒星の紋のついた黒い着物)
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西東天…堂島をモデルにしたキャラクター
以下ネタバレ注意
その正体はかつて中禅寺が戦時中に配属されていた帝国陸軍第十二研究所の責任者であり、中禅寺(と魍魎の匣に登場した美馬坂幸四郎)の上官であった堂島静鎮(どうじま しずやす)大佐(本名は『鵼の碑』で明かされる)。
かつては記憶の研究をしており、人間の矛盾を矛盾のまま無矛盾的に統合してしまうと云う特性を、特性でなく欠陥として認識し、それを実証するためにある実験を行っていた。
また、京極堂シリーズと世界観を共有するルー=ガルーの時代の世相を予言するかのような台詞を述べている。
中禅寺と同じく言葉を用いて他人やその記憶を操る技術を持っているが、自分の感情のままその技術を使うことを自ら禁じている中禅寺とは対照的に、自分が娯しむためだけに他人を操り、混乱させ、破滅に導くというまさに最強最悪の敵。
中国にしばらく渡っていた時期があり、そこでも何らかの実験(本人曰く「愉しいこと」)を行っていたと考えられる。
これまでの数々の凄惨な事件に対しても飄々としていた榎木津でさえも、彼の中国での記憶を垣間見た時にはこの上ない嫌悪感を示しており、彼に向かって「化け物め」と吐き捨てている。
京極堂シリーズにおけるいくつかの事件において少なからぬ陰を落としている。