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2006年『邪魅の雫』以来、シリーズ17年ぶりの書き下ろし長編となる。

「百鬼夜行シリーズ」の第九作目。

モチーフの妖怪は「」。


解説編集

2008年に、版元の講談社での新企画開始に伴い、『鵼の碑』から版元を別の出版社へ移籍すること、講談社ノベルス版の増刷を中止することなどが告知されていた。しかし最終的に、講談社ノベルス版と同社単行本の同時発売となった。


過去何度か2010年代に発売予告がなされていたがとうとう2010年代に刊行される事は無かった。

直近の著作2020年8月刊行『今昔百鬼拾遺 月』の帯に「近日刊行予定」と書かれていたが、それから3年ほど経過して2023年9月に正式に発表された。

2023年は作者デビュー30周年(すなわち『姑獲鳥の夏』30周年)でもある。


『百鬼夜行 陽』には、本作の前日譚にあたる短編「墓の火」「蛇帯」が収録されている。

『今昔百鬼拾遺 鬼』には、本作の事件と同時期に起きた事件が描かれており、本作の事件への言及がある。

本作は「蛇」「虎」「貍」「猨」「鵺」の5パートからなり、各パートに過去作の要素が割り振られている。


シリーズ最大の登場人物数を誇り、レギュラーや過去作の人物も多く登場する。


ストーリー編集

「もう」

居なくてもいいのだよ。もう、逢へないけれど。


舞台は高度経済成長期前夜、昭和29年2月の日光

劇作家・久住加壽夫は、滞在先の日光榎木津ホテルの若きメイド桜田登和子から忌まわしい過去を告白される。

その内容の異常性と塞ぎ込んでしまった登和子の様子に思い悩んだ久住は、同じくホテルで知り合った小説家・関口巽に相談を持ちかけるが……。


東京。薔薇十字探偵社に戦争未亡人の御厨冨美が訪れていた。探偵助手の益田龍一は、御厨から勤め先の主人・寒川秀巳の行方の捜索を依頼される。寒川は二十年前に日光で転落死した父親について長年調べて続けていたが、一ヶ月前から行方知れずとなってしまったのだという。

さらに寒川と縁のある仏師・笹村市雄なる人物もまた消息不明だと判明し、どうにも頼りない益田と共に御厨は日光へと向かう。


刑事・木場修太郎は、退職した老刑事・長門五十次から呑み会の席で奇妙な未解決事件の話を聞かされる。

二十年前、芝公園で死体が三つ発見されたのだが、現場検証中に忽然と消えてしまったというのである。


日光山輪王寺。学僧・築山公宣は、知己の古書肆・中禅寺秋彦と後輩の仁礼将雄を招聘し、護法天堂の裏手土中で発見された古文書の調査に当たっていた。築山は仁礼が宿の主人から聞かされた『光る猿』の話を知る。


化け物の幽霊、燃える碑、暗躍する公安と燻り続ける特高の影。

手がかりを追うほど、事象は嵌合体(キメラ)の妖怪・の如く、人々を惑わせる。


登場キャラクター編集

各章語り手編集

【蛇】久住加壽夫

劇団付きの劇作家。故郷は北国の雪国。

日光へは前年の初夏に訪れて以来二度目の来訪。劇団のパトロンの指示で、十日ばかり前から日光榎木津ホテルに逗留して能楽の『鵼』を題材に採った新作を執筆中だが、進捗はあまり芳しくない。

前回の宿泊時にも自室を担当したメイドの登和子から、かつての明るさが消えているのが気になって事情を問い但したところ、彼女から忌まわしい告白を受ける。

外出した際、憾満ヶ淵で関口に出会い、意気投合。登和子の告白に関して相談し、二人で調べ始める。


【虎】御厨冨美

寒川薬局に勤務する薬剤師で、30歳前の戦争未亡人。住居は五反田。

継母に虐待されて家を追い出され、結婚して子供ができた途端に夫が徴兵されて戦死、さらにまだほんの乳飲み子だった娘を東京大空襲で逃げ惑っている間に栄養失調で亡くすという、不幸な目に遭いまくってきた苦労人。

戦後、露頭に迷っていた所を寒川に助けられ、彼の全面的な援助を受けて薬学の専門学校女子部に入学、昭和24年から始まった国家試験に合格し、寒川薬局に勤めている。

生来、どこかぼんやりとした楽天的な性格で、怪しい予感に対して無頓着に振る舞う傾向がある。話下手で要点を要領良く他人に伝えることが苦手。結婚などの局面で真面目になれない性質で、寒川から求婚を受けていたものの、返事を有耶無耶にしていた。

1月に日光へ出かけた寒川から一ヶ月以上も音沙汰が無いことから、黒川玉枝に紹介された薔薇十字探偵社へ雇い主の捜索を依頼するために訪れる。


【貍】木場修太郎

毎度おなじみ暴走刑事。元は警視庁本庁に配属されていたが、ほぼ毎月のように問題を起こし、6月の伊豆での事件での服務規定違反のために麻布署に異動させられていた。

退官した元・相棒の長門のための壮行会の席で、20年前の昭和9年に芝東照宮の裏手で起きた未解決事件の話を聞き、詳しい話を上司の近野に質問する。そして、近野から同時期に起きた未解決の放火殺人事件との関連性を教えられ、有給休暇を取らされて放火殺人の遺族が引き取られた日光へと向かう。

日光に到着後、公安調査庁の郷島に追われる登和子と出会ったことで、成り行きで彼女の過去についても調べることに。


【猨】築山公宣

学僧を自称し、縁あって某寺院に拾われて宝物殿で学芸員紛いのことをしている。

短期間ながら延暦寺で修行した経験もあるが、実家の寺が経営破綻して廃寺になり、信仰では借財は返せず、社会と切れた真の意味での出家も出来ず、挫折して真の意味での『信仰』を見失ってしまった。僧として修行し、教義も学んでいるものの、自分の寺を持たないために檀家と向き合ったことがなく、己の信仰が衆生を救う具体的なイメージをいまだ持ち得ていない。

当時教師だった中禅寺に、東京で迷妄の徒に関わり難渋していたのを救われて以来の友人。

昨年より護法天堂の裏手土中から発見された長持に入っていた、七つの倹飩箱に収められていた古文書と経典の整理と調査をしており、協力者として中禅寺と仁礼を呼び寄せる。


【鵺】緑川佳乃

地方の大学の医学部基礎医学科研究室に助手として勤務する女性医師。中禅寺・関口・榎木津とは女学校時代の知人。

華奢で小柄、なおかつ雛人形を思わせる綺麗な顔立ちの童顔で、30代半ばながら少女にしか見えない容姿の持ち主。前髪ぱっつんのボブカットの髪型が、見た目の幼さをさらに助長している。独身

二十年以上音信不通のままだった大叔父が昭和28年の夏に死亡し、無縁仏として処理される寸前で連絡を受け、年度末の繁忙期を避けて遺骨を引き取りに日光を訪問し、生前に大叔父が運営していた旧尾巳村の診療所を訪れる。その際に十年以上ぶりに関口と再会し、大叔父が日光で何をしていたのか知るため、一連の事態に踏み込んでいく。


レギュラー編集

関口巽中禅寺秋彦益田龍一 ・ 木場修太郎 ・ 鳥口守彦榎木津礼二郎青木文蔵


関連イラスト編集

鵼の碑漫画まとめ鵼の碑発売まであとわずか。


関連タグ編集

京極堂

鵺の碑:表記違い。表題の『鵼』の字が出ない人が結構多い。

:モチーフ及び、最終パート。そして同名の原作者による短編が存在する。

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