手取り足取り教えることはせん
ウチの芸、盗めんもんなら、盗んでみ
CV:山村響(アニメ) / 湯浅かえで(YouTube動画)
概要
大黒亭文狐とは、『うちの師匠はしっぽがない』の登場人物。
大阪でその名を知らぬ者はいないとされている一流の女流落語家。寄席を開けばいつも満員になるなど、絶大な人気を誇る。
はんなりとした関西弁で話し、妖艶かつ雅な雰囲気を持つ黒髪の美女。現実主義者でどこか乾いた言動が多いが、義理堅く面倒見の良い一面もある。
そんなある日、自分の元に子狸のまめだが転がり込み、当初は追い出そうとするものの、彼女の「化かすことに対する執念と真摯な思い」を知り、さらには涙ながらに「笑われることには慣れている」と必死に訴えるさまに、まめだを弟子として迎えることを決心する。
そしてそんな彼女自身の正体も七度狐と呼ばれる化け狐であり、化生としての力量はまめだを遥かに超える所か、下手すれば大妖を名乗っても良いレベル。変身が解けて狐の姿を晒すことも全くない。
だが目まぐるしい進歩を遂げる人間社会の前には、そんな力も無意味だと悟っており、いち落語家として人世に生きることを決めている。
元々は地域の寺社に祀られていた神様(あるいはその神使)であり、明治期の廃仏毀釈と寺社統合によって守るべき地を逐われてガチの怨狐へと闇堕ちしかけたところを大黒亭文鳥に拾われた過去がある。
こうした経験から、まめだには人の世に在るうちは、人の姿を保ち続けるよう言い置いている……が、あまりに彼女の化ける力が未熟であったため、落語は放任主義だが化け術だけは手取り足取り教えてあげている。
まめだに対しては表面上は厳しく接しているものの、彼女なりに気にかけている模様。のちには師匠としての自覚が出てくるとともに、弟子であるまめだにツンデレてダダ甘になりかける(そして白團治に止められる)。
なので、まめだが理不尽を強いる客から難題を押し付けられた時には、止める白團治に対して「放せ兄さん! よくも……よくもウチの弟子を………!!!」と激昂している。
若手(見習い・前座・二枚目)時代には椿白輔(のちの白團治)霧の圓紫と反発しあいながらもツルむ事が多く、上方の若手(問題児)三人衆として大暴れし上層部(これは業界の長老衆のみならずガチの極楽天国や地獄の神仙獄卒を含んでいる)を悩ませていた旨がうかがえる(そして当時の愚行による因縁が時を経て弟子のまめだに還ってしまう事も)。
余談
彼女の正体である七度狐とは、一度恨みを買えば七つ化かして仕返すという、九尾ほどではないにせよ尾を7本も持つ大妖怪である。
上方落語には「この狐を怒らせた男2人組(喜六と清八)が、7度騙される様」を描いた演目がある。しかし、あまりにも長いため、3度目の騙されたくだり(狐の尾を掴んで捕らえたと思ったら、畑の大根を引っこ抜いていた)をオチとされるケースが多くなったことで、4度目以降の騙しの話は最早誰も知らないレベルで廃れてしまったとされている。