概要
「子宮内膜」とは本来子宮の内部を覆う膜（妊娠したあと胎盤の元となる）であるが、この内膜や類似したものが本来の場所以外にできてしまう病気。
子宮内膜は女性ホルモンの影響を受けて増殖し、月経の時に出血するが、子宮内膜症となると一般的な月経と違いうまく血液を排出することができないため、炎症や痛みの原因となる。
女性ホルモンの一種であるエストロゲンが過剰に作用してしまうことが原因の一つと考えられている。ほかにも、月経中に子宮内の血液が逆流し、腹腔内に入ってしまった際、健康な女性であれば腹腔内で拒絶され体外に排出されるが、何らかの要因で免疫機能に問題を抱えている場合体内に残ってしまい内膜症となる、という説もある。
月経のたびに強くなる腹痛（下腹部痛）や、吐き気、月経過多などの症状が現れるほか、悪化すると月経の時以外にも痛みがひどくなり、性交や排便の時にも苦痛を覚えるようになる。
特に子宮の周りにできやすく、卵巣にできたものは「チョコレート嚢胞」（卵巣の中に溜まった古い血がチョコレートのように見えることから）に発展することもある。嚢胞は月経のたびに大きくなるため、腫れ上がった卵巣が他の臓器と癒着してしまい、痛みが増すこととなる。
全身にできるリスクがあるため、腸など生殖器以外の場所にできてしまうこともあり、ケースとしては少ないものの肺にできることもある。
月経のある女性の10人に1人がかかると言われているほど、婦人科疾患の中では患者数が多いが、その症状は個人差が大きい。
がんの原因となることも少なくなく、ある調査では患者の全体数の3.4パーセントが卵巣がんと合併していることが明らかになっている。
治療
その人の病状によって治療法は異なるが、ホルモン剤を利用した偽妊娠（体を擬似的に妊娠している状態にして、排卵を止める方法）やホルモンやそれを分泌させる機能を抑制して卵巣の働きを止める偽閉経療法などが行われることが多い。生理痛や普段の生活での患部の痛みがひどい場合は鎮痛剤が用いられることもある。
病巣の状態によっては手術が必要なこともある（非常に大きくなっており、破裂の危険性がある場合や、近い将来に妊娠を希望している場合など）病巣を取り除く、癒着してしまった臓器を離すような手術のほか、閉経に近い・閉経後の場合はがんのリスクを下げるため臓器そのものを摘出することもある。
症状や発症場所によっては子宮筋腫など、他の婦人科系疾患との区別がつきにくく（併発しているケースも多い）、また症状の一つである生理痛も個人差が大きいためなかなか気がつかないこともある。
他人と比べることは難しくても、過去の自分と比べて明らかに生理痛が重くなった、経血の量が増えたという時は何らかの病気を抱えている可能性があるため、早めに婦人科に受診することが大切である。
また、月経がある限り悪化・再発のリスクも高いため、特に妊娠を希望する場合治療は長期に及ぶこととなる。信頼できる病院・医師を探すことも治療にあたって重要となってくる。
子宮内膜症に罹患したことを公表している著名人
- 大黒摩季（歌手）
- 松浦亜弥（元アイドル、歌手）
- 金澤朋子（元Juice=Juice）
- 南明奈（タレント）
- 川村ひかる（タレント、女優）
- 安田美沙子（女優）
- 岡本真夜（歌手）
- さゆり（かつみ♥さゆり）
- 三石琴乃（声優）
