概要
セメントなどを生産する宇部興産が所有する、全長31.94 kmに及ぶ日本一長い私道である。正式名称は、宇部興産 宇部・美祢高速道路。
山口県美祢市の伊佐鉱山で採掘した石灰石や伊佐セメント工場で製造したセメントの中間製品(クリンカー)を、宇部市の宇部セメント工場へ運ぶために1967年から1982年にかけて建設された。途中には橋やトンネルなどの建造物もある。
かつて同社はこれらの輸送に並行する美祢線・宇部線の貨物列車を利用していたのだが(特急が運行されている山口線を差し置いて、両線が幹線扱いになっているのはこのため)、国鉄の貨物運賃の値上げやスト権ストによる運休などがあったため、国鉄に頼らず安定かつ効率的に輸送を行うために建設されたという経緯がある。
もちろん普段は関係者以外立ち入り禁止なのだが、たまに宇部市・山陽小野田市などの産業施設群ツアーの中に「ここを観光バスで通り抜ける」という日程が組まれることがある。
ほかにも、1994年に開催された「広島アジア競技大会」の自転車ロードレースのコースに使用されたこともある。道路脇にある「宇部興産専用道路」の看板はこのとき設置されたものである。
特徴
あくまでも工場の構内の道路という扱いなので道路交通法などの法律は適用されない。一部では一般車両が通行可能な道路と平面交差するところがあるが、その部分には鉄道と同様な踏切が設けられている。この踏切はかつてテレビでも取り上げられたことがある。
そのため日本では唯一であるトレーラーを2両連結したダブルストレーラーが運行されており、1台で約40トン×2で80トンものセメントを運搬できる。
かつてはもう一台連結した「トリプルストレーラー」(中間にサブエンジンを搭載したドーリーを連結)も運用されていたが、道路や車両の維持にコストがかかり過ぎることを理由に現在のダブルスになったという。
ただし、運転するためには会社の許可(専用免許)が必要であり、さらに運行に関するルールも細かく規定されている。
また、ダブルストレーラー以外にもフライアッシュ(石炭を燃やした後に出る灰)を運ぶ車両なども走行している。
牽引に使用されているトラクター
ケンワース社製
T604型・T608型・T609型
いすゞ自動車製
ギガをベースとした専用車
三菱ふそう製
スーパーグレードをベースにした専用車
スカニア製
ボルボ製
FHシリーズ
2020年にはタカラトミーのロングタイプトミカにラインナップ。(トラクターはいすゞ・ギガタイプ)
しかも車体の塗色などは公式の監修を受けているほか、近年のロングトミカシリーズの中でもかなり大型のモデルとなっている。