本記事では主にゲームにおける害悪について説明する。
概要
状態異常による行動不能とスリップダメージなどの重ねがけで競り勝つ戦術を俗に「害悪プレイ」という蔑称で呼ぶ。
極めて有効な戦術であるが、やられる側にとっては「挽回には運を天に任せるしかない」「一方的に殴られるのをただ見ているだけ」「もはや負けが決まった消化試合」となり、勝とうが負けようが非常にストレスフルな展開となる。
また、異様に時間がかかるものもあり、遅延防止のために制限されることも少なくない。
一方、考えてみればこれも立派な戦術であり、多くのゲームでは対策を講じればどうとでもできる(対策が出来ない時点でゲーム自体がアレ)戦術でもある。
そもそも害悪プレイを用いるキャラクターは多くの場合はその能力と引き換えに自前の火力がない、正面戦闘で勝ち筋が無いなど弱点を持つ。謂わば「自分の手札でできる最善」を実行している極めて論理的、合理的な解であり、害悪プレイに負けた側が対策を怠った、もしくは試合前の読み合いに負けたのも事実である。
ただし、対策がピンポイントになるようなケースも少なくなく、それにより運ゲーが加速したりプレイングの幅そのものが癌となりえる(俗にいうノイズ)こともあり、こうしたタイプの害悪は基本的に規制される運命にある。
アクションやRTSなどプレイヤー側で回避できるゲームでは食らうほうが悪いとされることから、対戦ゲームでターン制バトルというポケットモンスターシリーズで多く使われる。
主なパターン
行動不能+スリップダメージ
麻痺や睡眠で相手を動けなくした後、毒や出血でHPを自動的に減らしていくパターン。行動不能の持続時間とスリップダメージ出力によっては負け確の消化試合を見ているだけになることもあり、最も嫌われるパターン。
上記の状況が多発する場合は開発者の無能が疑われるが、当面はプレイヤー間の良心で調整するしかない。
なお初期のポケモン対戦の公式ルールでは「2匹以上ねむりにしてはいけない」というルールがあった。
超耐久+スリップダメージ
自分はリジェネを含めた高い耐久力で防御を固め、相手にはスリップダメージを付着させて削り殺すパターン。上記と違ってダメージレースの範疇とも言えるので使い手はそこまで避難される謂れはないが、gdgdの泥仕合であまり楽しくないのは事実だろう。
ノックバックの連発
行動順を遅らせる攻撃を連発するパターン。比較して非常にマシな部類であるが何もさせないことに代わりはなく、文字通りCTゲージなどで目に見えて行動順が後ろに下がる場合が多いのでストレスが溜まることは請け合いである。
PvPよりもクリア後のやりこみ要素など超高難度PvEなどでエネミーが使ってくる場合が多い。
ポケモンにおける害悪
ポケモン対戦における戦術の一つ。傾向は上述の通りで、通れば滅法強いが対策されると一方的にやられるという、一長一短な性質を持っている。
れっきとした戦い方の一つとして認める向きもあれば、嫌がらせに過ぎないとして嫌うプレイヤーもおり賛否両論である。ただ後述するように公式大会のルールにTODをけん制する一文があったり、全てのプレイヤーがガチ思考(真剣勝負なのだから当然etc...)な訳ではないため、少なくとも現実の友人や歳の離れた親戚・兄弟等相手に使うのは止めておいた方が良いと思われる(いわゆる友情ブレイカーにあたるため)
主な害悪戦術
- かげぶんしん+回復技
初代における害悪戦術。かげぶんしんで回避率を上げられるだけ上げ、回復技(「ねむる」や「じこさいせい」など)で耐久する。当時はかげぶんしんを咎める手段が「どくどく」か「ふぶき」による凍結しかなかったため、一度決まるとほぼ対処不能で悪質さではシリーズでも類を見ない。特に酷いのがお互いかげぶんしんを積んだ場合で、こうなると最早どうしようもなく延々と泥仕合を続ける羽目になる。公式の対戦番組でも見られた戦術で、その際は100ターン以上が経過した。番組の進行にモロに影響を与える等、名実共に害悪な戦術である。
- TOD(Time Over Death)
時間切れによる判定勝ちを狙う戦術。何らかの手段で相手を無限ループに嵌め、そのまま試合終了まで持ち込む。判定勝ちできる状況で決まればほぼ勝ちであり、相手は何もできず、降参するか(悪あがきとして)時間いっぱいまで粘るかの二択を強いられる。デメリットとして一試合あたりにかかる時間が非常に長くなるため、低レート/ランク帯で使うには非効率的で、どちらかというとシーズン終盤のどうしても負けたくない時期に使われる戦術である。なお公式大会”PJCS2021”の禁止行為に「著しい遅延行為と主催者側が判断した行為」との一文があり、ペナルティとしてランキング除外、出場権はく奪等が科せられることが明記されている。ほか新作では真っ先に規制・弱体化される傾向にあり、公式からも害悪扱いされていることが分かる。
- ねむり(催眠)
初代から存在する凶悪な状態異常で、当の初代ではあまりの意地悪さから2体以上眠りにする通称「複数催眠」が『ポケモンスタジアム』で禁止される事態となった。以降の作品でも第4世代における命中70の「さいみんじゅつ」、第5世代のキノガッサ、第6世代以前の「ダークホール」等、眠りは(悪い意味で)話題に事欠かない。プレイヤーの間でも賛否両論の戦術であり、開発も問題視しているのか新作が出るたびに弱体化している。しかし眠りはストーリー攻略やポケモン捕獲でも使う状態異常であるため、弱くし過ぎるとそちらに支障が出るという弊害も抱えている。なかなかに悩ましい存在である。
- 運ゲー
確率で成功するリスキーな技や効果を、試行回数を重ねることで確実に通すというもの。第2世代の「ねむねご」+「つのドリル」に始まり、てんのめぐみ+麻痺+怯みの通称まひるみや、混乱による自傷狙いの通称いばみが、回避を積んで一撃必殺技を連打等。こちらも賛否が分かれやすく、いばみがのように弱体化を受けた例もあるが、「ちょうはつ」を始め対抗手段が多いためかあまり規制されておらず、いち戦術として認められている風潮がある。
なおバトルタワー等のオフライン用バトル施設でも見られる戦術で、この運ゲーで敗北して泣きを見るプレイヤーが後を絶たない(→タワークオリティ)