解説
訳によっては「戦車犬」「犬爆弾」「地雷犬(犬地雷)」等といった別名も存在する。
「戦車や装甲車の下にはエサがある」と思いこむように訓練した犬達に、垂直に立てた起爆レバー付きの対戦車爆弾を背負わせて放ち、敵戦車の下に潜り込ませることで引っかかったレバーが倒れて爆発、敵戦車を破壊するというもの。
当然ながら犬も巻き添えになって爆死するため、今やったら国家ごと爆死大バッシング確実である。
犬はヒトより素早い上に戦車砲や機銃の最低俯角よりも体高が低いため、戦車からは視認や迎撃が難しく、ソ連側の記録によればそれなりの戦果を挙げたことになっているが、実際には...
- 戦場の砲声や銃声、敵戦車の走行音に怯えてパニックを起こす(そもそも犬は本能的に大きな音が苦手)。
- パニック起こした挙句にそのまま自陣に逃げ帰ってきて自爆。
- 勝手に戦場を離れ、戦闘終了後にひょっこり爆弾を抱えたままメシを食いに帰ってくる。
- 訓練にディーゼルエンジンの自軍戦車を使っていたせいで、ガソリンエンジンのドイツ戦車ではなく自軍車両に突っ込んで来て自爆されソ連軍涙目(ディーゼルとガソリンは音と臭いが異なるため、不要な識別をしてしまった)。
などなど、兵器としての精度と信頼性はとても高いとは言い難いものだった。
そして対戦車犬を警戒したドイツ軍が対抗策として火炎放射器を導入すると、炎によって音以上のパニックを起こした犬たちが大挙して自軍部隊に逃げ帰るようになり、さらに自爆被害が拡大。また、対戦車犬の存在をドイツ軍に完全に把握された後は、突っ込んできた犬に餌付けし懐かせ、逆にソ連側に突撃させるという自体も発生。
このような散々な結果から、1942年を境に対戦車犬は実戦の舞台から姿を消した。
とはいえ、精密誘導兵器が未発達だった当時は、動物兵器は各国で真剣に研究されており、コウモリに爆弾を括りつけて家の屋根裏にとまったところを爆破するものや、猫を爆弾に括り付ければ水を嫌って正確に船へ誘導してくれるのではないかという珍妙なものまで、さまざまあった。
なお当時の日本は人間を使った。
関連タグ
ゴリアテ(兵器):ドイツ側の無人自爆兵器。高コストだが操縦が効くという対戦車犬とは対照的な性質を持ち、ワルシャワ蜂起などでは一定の戦果を挙げた。