この記事には”とある細工”が施されていますので、最後まで閲覧するようにお願いいたします また、この記事には該当事件のネタバレが含まれています
概要
屋田誠人(おくだまこと)からの手紙で東奥穂村に向かっていたコナンと服部達5人。その手紙に曰く「工藤新一の推理ミス」と書かれており、その事で話がしたいそうだ。
到着後に、コナン(新一)が消息を断ち、服部達が彼を捜索する中、元の姿になり全裸になっている新一を発見。何故か記憶を失った状態で。
表向きはコナンは先に東京に戻っていると小五郎達に誤魔化した服部は、新一の記憶を取り戻しつつ事件を捜査していたが、新一が現れてから態度がおかしい蘭の様子に疑問を持っていたが、翌日何と新一が密室の中で雑誌記者にナイフで刺している事件が発生。
服部は記憶喪失だといいことに誰かに罪を着せられたと思い、新一をとりあえず身を隠させ、犯人を探すことにした。
すると、湖のそばの小屋を発見すると、何故がズタボロにされた無数の新一の写真と粉々になった鏡があった。
その事に、服部は何かに気づいた。
真相(ネタバレ注意)
事件が発生した現場に警察や新一達を呼び、服部は推理をし始めた。
この事件の犯人は、新一本人であり、この部屋は完璧な密室であり、ナイフを持っていることから疑うことも無く推理するまでもなく、新一が犯人と語る。
新一は、涙ながらに1年前の事件は全て自分の推理ミスと認め、名探偵コナンの物語が、主人公が殺人を犯して逮捕されるという最悪の結末で終わってしまったのであった………………。
関連タグ
服部「止めとき!仮装大会はこの辺で幕にしとこうや」
本当の真相
推理し終わった直後に、死螺神様と呼ばれる姿をした謎の男が現れ、それを見るなり顔色を変えた新一がいきなり拳銃を取り出した。
「無駄だ」と言いながら死螺神様は弾丸を落とし、それを見て新一は慌てて確認したが、弾はまだ入っていた。
そのスキに死螺神様は拳銃を蹴飛ばした。服部はそれを回収しながら上記の事を言った。
そう、今回の事件に”トリック”があったとしたら、新一の”顔”であった。彼が殺人をするとは到底に思えなかった。
服部が最初に疑問を感じたのは、新一が現れてからの蘭の態度だった。ずっと会いたがっていた新一の前でしかも記憶喪失なのに冷めた態度。
当初は照れ隠しと思っていたが、小屋の中を見て気づき、密かにナイフと服部が持つお守りを鑑識に指紋鑑定してもらうと、それが一致していない事。そしてズタボロになった新一の写真と割れた鏡。
服部「嫌で嫌でたまらなかったんや。鏡に映った、工藤のこの顔が」
死螺神様「そう…彼は整形してんですよ…この探偵気取りの……」
本物の新一「バカな高校生の顔にね」
死螺神様が素顔を晒したのは何と本物の工藤新一だった。
つまり、湖に現れてからずっと服部と一緒にいた新一は、彼になりすましたニセモノであった。
彼が新一になりすました動機は、1年前の事件の推理を推理ミスと思い、新一を人間的にも社会的にも抹殺する為に、何らかの事件の罪を着せようとしたのであった。
記憶喪失を装ったのは、一緒に来ると思われる新一の連れに何を聞かれても答えずに済ませたかったから。裸になってたのは、新一がどんな服装で来るのかが予想ができなかったから。風邪声になっていたのは流石に声までは整形できなかったからである。
新一は、事件発生直前にニセ新一と被害者が2人きりで現場に行っていた事を目撃し、最悪の事態の対策の為にすぐに警察と救急車を呼んでいた。
本当はすぐに止めに入りたかったのだか、本人は計画がバレたり本物の新一が現れたりしたら自殺を仄めかす事を書かれた傷の字を小屋の中で確認し、更に自決用の拳銃を隠し持っていたいたので、上記の弾丸をばらまいたのは、一瞬のスキをみせるためにあったのであった。
新一「ですよね?奥田…いや、日原誠人(ひのはらまこと)さん?」
ニセ新一「!?」
そう、彼の正体は手紙の主であり、村長の家族である日原誠人であった。
彼は村長とその奥さんの死の半年後に遺産を受け取り、その大金で半年間新一そっくりに整形をして今回の計画を企てたのだった。
拳銃は実は自分の部屋に連れてこられるのを見越して、そこに「1人にしてくれ」と服部達を外に待機させて、こっそり回収してたのだった。
なお、被害者を襲った理由は、先日の夜に「あら何?その顔。まさか私にもバレてないと思ってたの?」と言われた事。その言葉の意図はどうだったかは不明だが、自分が新一に化けていると気づかれたと思い、犯行を行った。
しかし、服部が唯一分からなかった事は、被害者を刺したあとに何で自分が刺したと言わなかった事だった。そうすればもっと早くに新一に罪を着せられるハズなのに何故そうしなかっのかを。
誠人「…試したんだよ。お前ら探偵を…。この工藤新一が犯人だという証拠が揃った状況で、一体どんな推理を披露してくれるか」
誠人は素の口調で上記の事を言い犯行を認めた。
小五郎は「見事に見抜かれた」と皮肉を言ったが、誠人は1年前の村長の事件を問い詰めた。
誠人は村長と奥さんと息子の大樹の4人で暮らしていたが、村長夫婦を殺して金品を奪った強盗殺人が発生した。しかし村長が癌検査で癌が見つかり、自暴自棄になって奥さんと無理心中をしたという推理ミスをしたと誠人は思った。
しかし、服部が奥さんと無理心中し、金品を足跡付けずに隠したトリックを推理(アニメでは小五郎が補足するシーンが追加されている)と凶器と共に金品が警察がとっくに発見した事、そしてそれを息子の大樹に悟られないように強盗殺人に見せかけた事を言っても否定をし続けている。
おおらかな村長の癌は良性のハズで自暴自棄になった事を言ったが、新一は「その検査で別の問題が発覚した」と言った。
その検査では、村長はO型の血液型の筈が、実はAB型だった事が判明された。
(村長は何故その事を気づかなかった・分からなかったのかは不明だが)村長一家は全員O型のハズで、メンデルの法則では、AB型とO型の人間の間ではO型の人間が生まれてくる事は無い。
つまり、大樹は村長の子供ではなかったのだった。
誠人は「ウソだ!」と全力で否定するが、新一の真剣な顔を見て、本当だと悟った。
動機がそれだと下手に公にできなかった警察は、表向きは癌の告知と公表した(まさか事情を知らない看護婦が癌の検査が良性だったことをバラすとは思わなかったが)。
誠人は何故その事を家族である自分に話さなかったかを問いただすと、現地の巡査が新一に頼まれて既に誠人に話してあると語った。
誠人は「いつどこで?」と聞くと、1年前の事件で新一が帰った後に今いるこの部屋で2人きりで話したと。
しかし、その時は、村長夫婦の死と先に話した無理心中の真相があまりにも衝撃的すぎて、その時の彼は上の空だった。
誠人はその事により愕然した。
話を聞いてなかった本人が悪いと言う人もいるが、上記の出来事だらけで、彼の精神面的にまともに話を聞ける状態では無かったので、無理はなかったのだった。
誠人「何なんだ僕は…。一体何の為に顔まで変えて…何だったんだよ…」
それを言った後に、誠人は崩れ落ち、泣き出し、新一達は黙ってそれを見ているだけしかなかったのだった…。
あまりにも不幸な偶然が招いた悲劇…
泣き崩れる自分の顔を目の辺りにしてオレは思った…
この顔は忘れてはいけない… 自分の中に刻み込むべきだと
(コナンの時の泣きマネを除き)今まで人前で泣いた事ない新一は、この光景を見て心の中で強く決意したのであった。いつかこうなっていけないように…。
その後、被害者は奇跡的に助かり、「殺人犯工藤新一」は出ずに済ませたのであった…。
余談
作中に出た新一がニセモノだった事は序盤から既に伏線が貼られていた。
原作では、顔のパーツが微妙に描き違えてたり、上記の(ニセ)新一に対する蘭の態度が変だった事を読み返せば微妙に分かる。
ニセの自供をした途端に蘭は「この新一は別人」だという事と死螺神様の姿をした新一が現れた途端に涙を流したりして、蘭の新一への思いが強く、整形したニセモノには通じなかったであろう。
泣き崩れる新一の顔は、考え方によっては、推理ミスをした或いは犯罪の加害者になってしまった未来の自分からの警告なのかもしれない。それ以前でコナンが解決したとある事件で「探偵の責任感」を知ったのでなおさらである。
作中に触れられていないので忘れがちだが、もし仮に誠人の計画が成功したり、捜査が長引いていたら、新一を幼児化させた黒の組織(特に元凶であるジンとウォッカ)の耳に届いてしまい、生きていた新一は勿論、組織と無関係である誠人に(おそらく新一以上に)痛い目にあったかもしれなかったが(ただし、誠人は(連載当時は)未成年だった為、報道では顔と名前は知られなかったと思われるが、2024年現在でも組織は謎が多く、加えてコナンの身近な人物を含めた人達に変装するのが得意なメンバーもいるので、警察やマスコミの中に組織の刺客が潜んでいる可能性もあるので、当てにはならないかもしれないが)、事件そのものは幸いにも捜査が早い段階で解決した為、不幸中の幸いだった。なお、その後の作者のインタビューでは、誠人は顔を元に戻したらしい。
これ以降、原作では19歳以下のゲストキャラは登場しても犯人(あるいは被害者)にはならない為、犯人候補が最初からひとり減るというメタ推理になる事がほとんど……というよりも19歳以下のゲストキャラ自体が非常に少ない(2024年現在)。
アニメオリジナルエピソードも登場頻度が少ない為、原作と同様かと思われたが、2020年に放送された『町家カフェでの事件』で19歳の逮捕者、『歩美の絵日記事件簿3』では19歳の殺人事件の被害者が登場した為、犯人や被害者にはならないのは原作限定といえる(ただし、この2つのエピソードはいずれも同じ脚本家だった為、極力避けられている可能性はある)。