概要
巨口鬼/コググィ/コグクィ(거구괴)とは、15世紀の朝鮮で領議政(国務総理)を務めた申叔舟(シン・スクチュ)に付き従ったと伝承される鬼神の一種で、上唇は天に届き、下唇は地に触れるというとてつもなく大きな口を持つ異形の鬼であるとされている。
伝承によると、若かりし時の申叔舟が官吏を目指して科挙へ向かう途中、目的地への道の真ん中に鎮座して塞いでおり、それを見た一緒に旅をしていた学友達は恐ろしさのあまり逃げ出した。
しかし、申はこのような怪異に対しても恐れることは無く、自身の志を侮辱するものであると怒りさえ感じて口の中を進んでいった。
すると、そこには青衣童子(チョンイドンジャ)という青い服を着た少年の鬼神がおり、巨口鬼の姿は消えていった。
童子が「あなたのような方にこそ付いていきたい」と願い出たので、申はそれに承諾し科挙にも合格して官吏の道を歩むことになる。
その後も童子は申を一生守護し続け、亡くなるときには涙を流して悲しんだといわれる。