概要
小野不由美の小説『十二国記』の登場人物。描写されている原作作品は『白銀の墟_玄の月』。戴国の人物。
以下、「白銀の墟_玄の月」のネタバレを含みます。
かつては幕僚であった武官。驍宗失踪後の朝にて、帰還した泰麒の補佐をせよとの命を受けその側に侍ることになるが、その経緯は少々複雑で、まず驍宗麾下である芭墨が謀反の疑いをかけられ宮城を出奔した後、その後釜として軍司だった叔容が夏官長大司馬へと就任した。それに際し、叔容が恵棟を小司馬へと推挙したのだが、なぜか辞令が下りず、幕僚としての職は解かれ、小司馬として上の承認も得られている、けれども小司馬の席は空白という無位無冠の状態のまま、停滞する朝廷にて放置され無為に時が過ぎていた。
そんな中、泰麒補佐の命が突然下され、本人もおおいに困惑し、偽朝を好き勝手に支配している張運と、民の救済を願う泰麒らとの板挟みとなり大変な苦労をするが、恵棟自身は決して泰麒を蔑ろにするつもりはなく、戴の民を救いたいとの思いは本心であり、それがままならない朝廷の現状に頭と心を痛めていた。
自分が偽朝に与した側であり、それゆえに恵棟を信用できないでいる泰麒らの心情も慮りつつ、戴と民の安寧を優先し、泰麒によく尽くした。それは、言うなれば敵側の項梁らも認めるところ。
その後、泰麒より“恵棟が誠意をもって仕えてくれていることは分かっています。国や民の状態に心を痛めてくれていることも分かっている”と働きが認められ、瑞州の州宰へと任命される。
その後、阿選が驍宗を虜囚にしていた事実を知り、“玉座を盗んだ簒奪者、にもかかわらず玉座を放棄し、国を荒らし民を苦しめた”、“この冬、どれだけの民が死んだと思っておられるのか。阿選が簒奪などという罪を犯さなければ、王の許、暖かい冬を過ごせたかもしれない民が救われることなく凍え死んでいったのですよ”、と主である阿選と決別を決意。
泰麒の策として、文州に居る驍宗、及び驍宗麾下たちを秘密裏に支援するため、文州候として赴任する命を受け、“私には恵棟ほど頼みにできるものがいない”という泰麒の信頼に応えるべく文州へと発った。しかし、それを見通していた阿選によって自身を守る呪を破り捨てられ、「病」によって魂魄を抜かれ自我を喪失、その後は消息不明となる。
人物への評価
午月曰く“阿選様の麾下はみんな知っている、有能な幕僚だからな”“幕僚の中でも五指に入る”