「何よ。さっきは何か楽しそうだったじゃないの」
「それは、貴方が蛙を見つけて悪戯しようとすれば、きっと面白いことになると思って」
概要![編集](https://s.pximg.net/source/dic/images/icon_edit_partial.svg?20120424)
発生と起源![編集](https://s.pximg.net/source/dic/images/icon_edit_partial.svg?20120424)
ことの起こりは、東方project第九弾『東方花映塚』本編における二人の会話である。
東方projectの中でも異色のこの作品は、選択した各キャラによってストーリーが異なり、
当然プレイヤーキャラの一人として登場するチルノにも話が用意されていた。
その中でチルノは、妖精として例外なく花に浮かれ、凍らせて遊ぶと面白いものを探して周り、
いつもより行動範囲を広げた結果、妖怪の山にある大蝦蟇の池まで足を伸ばす――
そこで彼女の前に、EPISODE 7の相手としてたちはだかるのが、射命丸文である。
文はチルノに面白いこと(チルノへの大蝦蟇のお仕置き)を期待してわくわくしている様子を見せ、
実際に書籍文花帖とリンクする形で、見事に大蝦蟇に丸呑みにされるチルノを激写している。
(このとき、チルノに負けても文の服が破れないことから、両者の実力差は相当あると思われる)
また文ストーリーでチルノと戦い敗れると、チルノの方から記事を描いてと頼む姿が見られる。
なお、このEPISODE 7の相手(要するに第7ステージ、7人目の対戦者)は各キャラによって変化し、
文と戦うことになるキャラは霊夢、魔理沙、妖夢、チルノ、リリカ、幽香、映姫である。
しかし、EDでまで文と共演し、キャッキャウフフシーンを見せてくれたのはチルノのみであった。
閻魔である四季映姫に言われた、「自然の死」について一人悩むチルノを元気付けるという、
周囲から下に見られがちなチルノを対等に扱う、射命丸文というキャラの良面が描かれており、
花映塚の中では割と人気の高いエピソードの一つである。(※1
ここから、最初はうっとおしかった文をだんだん気にし始めるチルノ、と
チルノをからかいながらもどんどんその魅力に惹かれていく文、という文チルの基本図式が生まれ、
以降、東方風神録やニコニコビッグバンに至るまでのほんのわずかな間ではあったが、
文チルは「ほのぼの百合」としてそこそこ認知され、作品も多数生み出された。(※2
不遇の時代![編集](https://s.pximg.net/source/dic/images/icon_edit_partial.svg?20120424)
東方project第十弾『東方風神録』が発表され、ニコニコで東方関連動画に火がつき始めると、
より目立つ、よりメジャーな組み合わせに人が流れ、文チルはジャンルとしてマイナーに堕ちた。
特に、ほぼ二年ぶりの最新作である風神録に射命丸文が出演した事により、
その道中に登場した立ち絵の無い中ボス、犬走椛との絡みがジャンルとして追加され、
描き手の妄想をふんだんに盛り込んだ理想のキャラとして動かせる椛のおかげで、
文椛(あやもみ)が文のメジャーカップリングへ一躍躍り出るようになった事は、最も影響を与えた。
また同時に、チルノにも東方紅魔郷の立ち絵の無い二面中ボス、大妖精が居たため、
(こちらはもとよりある程度人気のあった組み合わせではあったが)その流れに拍車がかかり、
文チルの話をすると、「文には椛が、チルノには大妖精が居る」と言われるまでになった。(※3
この頃になると、文チルは本来の意味での百合というより、
「ロリコン属性を持つ文が、チルノを追い掛け回す」というギャグネタにのみその姿を残し、
汎用的な二次ネタと化した後は、急速にその姿を減らしていった。
翌年、東方project第十一弾、東方地霊殿が発表されると、
文が霊夢の相手としても認識されるようになり、一部からは早苗との絡みも発生するなど、
文とチルノの溝はどんどんと大きくなっていった。(※4
新たな展開![編集](https://s.pximg.net/source/dic/images/icon_edit_partial.svg?20120424)
東方project第十二・三弾『東方非想天則』が発表されると、
緋想天のメンバーの中にチルノが混ざるということで、文チルスキーの期待は高まった。
結果……ストーリーでこそ絡みはしなかったものの、その対戦勝利セリフにおいて、
文「実は、妖精が一番面白い事をするのです そこにある者が、一番面白い」
チルノ「もっと記事にしてよ~ ある事ない事関わらずさぁ 」
という両者の反応をみる事が出来る。……あれ?これって相思相愛じゃね?
なお、射命丸文は同非想天則において、永江衣玖に敗北したさい、
「新聞の記事は、読む者に媚びてはいけません だから、新聞記者は必ず嫌われるのです」
と言われており、文もその例外ではないことを示されている。
また、チルノは同非想天則において、「巫女は区別しない」等と発言し、
ストーリーで会ったアリスを「よく覚えてない」と言うなど他人への関心の薄さを示し、
他のセリフも生意気な方向に偏ったものが多い。
それを踏まえてもう一度発言を見ると、少なくとも他のキャラより一歩ぬきんでて、
二人の仲が良好であるといわざるを得ないだろう。しかもすべて原作・公式である。
文チルは神主自らの手によって救われた形となったのだ。
ちなみに現在、文チルはわずかにであるが、再興の兆しを見せている。
中でも、2016年の東方紅楼夢においては「文チル合同」という分厚い合同誌を発行するまでに至っている(内容も文チル愛に溢れた内容となっている)。この流れが文チル再興に勢いを増すことを祈りたい。
※1:
コレに関して、書籍文花帖においても、「妖精と一緒にしないで」と言うレティに対し、
「どちらも似たようなもの」と発言している。彼女にとっては、一般妖怪も妖精も等しく下位であり、
どちらも取るに足らない、と言っているようにも見えるが、一応、妖精を尊重する発言ともとれる。
ちなみにこの記述のせいで、レティはチルノと仲が悪いのが公式!と掲示板を荒らす輩まで現れた。
しかしその後、東方儚月抄では紅魔館のパーティでレティと会話するチルノが描かれため、
一概に二人の仲は悪いとも言い切れない。
現在では、「仲が悪いとはどこにも書いていない」、というのが一般認識である。
※2:
特にこの時期は、まだ東方ジャンル黎明の時代であったため、SSのほうが数も多く良作が豊富だった。
同人誌として描かれた数は少なく、代表的なものはオムチキンの『どきどき文チル』等わずかに留まる。
結果として、文チルは文章方面でより愛好者を残すことになる。
※3:
この頃の最大カップリングはマリアリである。
良くも悪くも、ニコニコで流行った組み合わせが猛威を振るう時代であった。
特にチルノは、よりバカさを強調された立ち位置が増えていき、百合ネタ自体が減った中で、
大妖精との絡みだけが大きく幅をしめて残ったのは、ニコニコの影響の最たるものといえる。
※4:
その裏で、文チルを書き発表してくれた人たち、それを高く評価してくれた人たちのおかげで
なんとか火を消さずに残してこれた。そうして今の文チルはあるのである。
愛好してくれる人は多いのに、作品は異様に少ない。
そんな流れで、あえて文チルを書いてくれる人はものすごく貴重なんですよ。
ありがとう、皆大好きです。
参考資料:
- イザヨイネット(外部リンク)
そして![編集](https://s.pximg.net/source/dic/images/icon_edit_partial.svg?20120424)
東方projectの新作『東方天空璋』が発表された。
そして、自機には博麗霊夢と霧雨魔理沙の他にこの2人がいた。
火を消さずに残してくれた人達に神主が応えたのかもしれない。
なお、ここに書かれていることは誇張でもなんでもなく、真実である(射命丸文)