新井パニック
あらいぱにっく
その日の試合は、広島東洋カープのスーパースター選手新井貴浩の復帰と言うこともあり観客だけでなく選手一同も気合が入り初回から打席は爆発し初回わずか数球で試合が決まってしまった。(1回終了時点で6-0)
その後もカープ側の攻撃はやむことなく容赦なく続き終盤7回にもダメ押しの如く菊池涼介とサビエル・バティスタらの3ランとソロホームランが放たれその日14得点という滅茶苦茶な試合の内容となってしまった。まさしく「新井貴浩」という存在がこの馬鹿試合を起こしてしまった。そしてこの日起きた馬鹿試合は「新井パニック」の名と共にまた一つ伝説の1ページに刻み込まれることとなった。
しかもこの日は金曜日。れい&ゆいの文化放送ホームランラジオ!の放送日(生放送)であり、その上OPの入れ込み情報の担当が渡部優衣だったこともあり相当にへこんでいた(入れ込み情報は推し球団〈相方の松嵜麗がヤクルト、渡部優衣が阪神〉の試合結果を言うのだが放送日の試合結果が下記の通りのひどい試合内容だったため椅子に座らず床にへたり込んでカメラに映らず相方の松嵜が声をかけていた)。
- MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島
- 試合開始 18:00 / 試合時間 3:03 / 入場者 31,385人
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
阪神 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 | 1 |
広島 | 6 | 3 | 0 | 0 | 1 | 0 | 4 | 0 | X | 14 | 13 | 0 |
- 勝ち投手:クリス・ジョンソン(7回1失点) - 3勝2敗
- 負け投手:能見篤史(4回9失点) - 2敗
- 本塁打(阪神):江越大賀 1号(6回ソロ)
- 本塁打(広島):菊池涼介 6号(1回ソロ)、サビエル・バティスタ 7号 (1回ソロ)、石原慶幸 1号 (1回2ラン)、菊池涼介 7号(7回3ラン)、サビエル・バティスタ 8号 (7回ソロ)
この日は新井貴浩が1軍に復帰。クリス・ジョンソンが1回から快調に投げ出すと1回の攻撃で菊池涼介がカウント1-0から先制ホームランを放ち、続いてサビエル・バティスタがフルカウントから左中間へのホームラン、安部智裕がセンターへのタイムリー3塁打と続き、阪神タイガースの先発投手能見篤史が暴投しそしてトドメの石原慶幸によるランナー2塁からの左中間への2ランホームランでたったの1回数球で試合は決まってしまった。その次の回も容赦なく広島の攻撃が続いた。タナキクバティーが容赦なくヒットを打ち続け復帰直後の新井にまで安打を打たれ、今まで凡打に悩まされた石原が覚醒しなんと5打席3安打、そして7回にはまたしても菊池が3ランを放ちバティーにソロホームランを放たれこの日は合計14得点という滅茶苦茶な結果をだしてしまった。この日は広島カープのスーパースター新井貴浩が復帰した初戦ともあり、マツダスタジアムの観客だけでなく選手側ベンチも大いに盛り上がり。阪神は3時間もの間投手陣がサンドバッグ状態となり、打線も6回に江越大賀のホームランで1点を返すのがやっと、14失点、13点差負け、被本塁打5といずれもこの時点で2018シーズンワースト記録を更新した。この日歴代の馬鹿試合の1ページにまた一つ伝説が名前と共に刻み込まれた。その名は「新井パニック」。
試合後の会見での金本知憲監督(50)の発言によると「わからん」を連発し、首位カープとは、早くも4.5ゲーム差。このままでは離される一方だと言い、「ま、2回で終わったわね。見ての通りよ。答えようが…。何をゆうて欲しいんか、わからんけど、見ての通りよ」とつぶやいたと言う。その後ベンチ裏の会見場に姿をみせた金本監督が、引きつった笑いをみせたという。まさに先代野村克也監督のボヤキを想像させるものとなった。しかし彼は「2回で終わったわね」と発言しているが誰がどう見てもすでに1回で試合は成立している。阪神は12日、4回を投げ9失点の能見と、3回を投げ5失点の山本翔也を一軍登録から抹消。代わりに尾中裕哉と板山祐太郎を一軍登録した。
その後も傷は深すぎたのか、次の日の広島対阪神8回戦においても記録的な馬鹿試合となった。2回裏にカープ先発の大瀬良大地が2点タイムリーを放ち、自らの勝利に導いた。阪神も板山祐太郎がプロ入り初ホームランで1点を返すが、7回に自滅してしまった。小野泰己がノーアウト1、2塁のピンチを招いたことを機に、代わったマルコス・マテオがバティスタに犠牲フライを許し、さらに2アウト満塁から3者連続四球で押し出してしまった。
2日間の得点の合計はカープが20、阪神が2と極端なものとなった。13日は雨のため試合は中止。
連勝したカープは貯金を2018シーズン最多の10(22勝12敗1引き分け / 勝率.647)とした。9日の読売ジャイアンツ戦(東京ドーム)から4連敗を喫した阪神タイガースは勝率が5割を切った(.485 / 16勝17敗)。貧打によりチーム打率も.234から2日で.229に下がり、チーム防御率も3.05から3.47と急激に悪化した(チーム防御率は横浜DeNAベイスターズに抜かれ2位)。カープとは5.5ゲーム差。阪神にとって借金生活は2018シーズン5度目。14日、読売テレビの『朝生ワイドす・またん!』のスポーツコーナーで、森たけしは2018シーズン4度目の借金苦んを背負った(借金1)。
能見篤史はここ数年先発させると投げさせてみなければわからない、好投していても突然崩れるという不安定さを見せていたのだが、とりわけ2018年シーズンでは状態がさらに悪化、3試合先発登板した中で1勝もできず、この試合で4回9失点、防御率が7.53に悪化し、一軍選手登録を抹消された。二軍での調整を経て6月から中継ぎに転向、同月9日の阪神対千葉ロッテマリーンズ1回戦(阪神甲子園球場)で11回から救援登板すると、チームがサヨナラ勝ちとなり2018シーズン初勝利を掴み、その後も中継ぎで安定したピッチングを見せている。6月28日の横浜DeNAベイスターズ対阪神10回戦(横浜スタジアム)にも8回に登板し1安打無失点で通算100勝目を挙げていることから遅きに失したとも言えよう。
カープは6月22日から24日、阪神甲子園球場で阪神に同一カード3連勝を達成した。その後阪神戦は3勝3敗で推移し、優勝マジック13が点灯している状態で9月4日、マツダスタジアムで阪神と対戦し、サヨナラ勝ちをおさめたが、5日と6日、阪神に2試合続けて10点以上を失い連敗を喫した。
なお、新井貴浩選手は阪神戦を直前に控えた9月5日、2018年限りの引退を表明、チームは現役続行を望み、考え直してくれるよう1ヶ月待ったが、新井は「(引退する)決意は変わらなかった」と球団に返答したという。
この年、最下位でシーズンを終えた阪神・金本知憲氏は責任をとって監督を辞任、この試合KOされた能見篤史投手は2019年シーズンも中継ぎに専念することを表明する一方、不安定なピッチングに終始したマルコス・マテオ、山本翔也両投手は戦力外の憂き目にあった。