日焼けとチルノ
東方Projectに登場するチルノが「日焼け」した様子を描いた作品に用いられる二次創作タグ。
チルノは氷の妖精であり、霧の湖周辺によく出没し、冬場などは湖周辺に雪で作った住処を持つ様子も描かれている(『東方三月精』)。初登場した『東方紅魔郷』や以降の作品でも「陽気な場所を好む」(稗田阿求評、「幻想郷縁起」、『東方求聞史紀』)という妖精らしい、屋外での活動的な様子が描かれている。複数の作品で太陽の、その光と熱の元でアクティブに遊ぶチルノの姿がある。
チルノの足跡は太陽の元ばかりではなく地底方面にもみられており、例えば『東方非想天則』において、巨大な影を追って旧灼熱地獄(間欠泉地下センター)に赴いた際などは灼熱地獄とそこから昇る間欠泉の熱と蒸気に辟易しつつも、この地で黒点の象徴である八咫烏の力も借り受ける霊烏路空との弾幕ごっこも(半ば襲われる形ではあるが)行った。
阿求はチルノが熱に弱い様子を逆手にとって火や熱を用いたチルノ対策について記述しており、例えばチルノと遭遇しそうな場所を通過する際は松明などを灯しておくと、その熱を嫌ってチルノが近寄ってこない、としている(「幻想郷縁起」、『求聞史紀』)。
「日焼けしたチルノ」
『東方天空璋』においてはチルノは「日焼けしたチルノ」として登場しており、例えば同様にチルノが登場するゲーム作品である『妖精大戦争』や『東方輝針城』、あるいは書籍作品である『三月精』等と比較して、実際に「日焼け」したと思しき様子で登場している。
ただしこの「日焼け」はチルノ自身の力ではなく当時幻想郷に起こっていた「 四季異変 」の実行役の力の影響を受けた、一種の「 ドーピング 」(矢田寺成美評、『天空璋』)ともいえるものであった。
一般に妖精は異変となると力をつけて暴走することが多見されるが、「四季異変」における妖精の暴走について丁礼田舞は自身の力を振りまいたことの「 副作用 」ともしており、摩多羅隠岐奈によれば、チルノの肌の変色は日焼けではなく暴走の影響の発露である。
隠岐奈は四季異変の実行役である舞や爾子田里乃に貸し与えている、その根源にある隠岐奈の力の影響力から外れれば、チルノの肌の色も元通りになるだろうとしている。
一方でチルノ自身は「日焼け」の姿をこれまで夏に弱かった自分自身が夏を克服した証左としても捉えており、日焼けは「 夏の勲章 」ともしているなど、「日焼け」の状態を肯定的に捉えている。
二次創作にみる「チルノと太陽」
二次創作では「氷の妖精」であるチルノと太陽(太陽を含む「熱」)との関係について、チルノは強い熱や日差しによって「溶ける」(「日焼け」という現象が起こる以前に、チルノを形成する有機的な固体の状態が熱によって液体の状態に変化する)という可能性が考えられていたが、『天空璋』にみる「チルノが日焼けをする」という状況から、二次創作でもチルノと熱に関する「溶ける」以外の新しい可能性が広がった。
先述の通り『天空璋』での「日焼け」は隠岐奈らの力の影響によるイレギュラーなものであったが、『天空璋』を経て以後もチルノが「日焼け」をし得るかどうかという問いが新たなテーマとして二次創作でも考察が花開いており、『天空璋』での力の享受の体験や、力をチルノが自らのものとして行使した経験などから、隠岐奈の影響から離れたとしても以後もチルノの中に新しい可能性が芽生え、「日焼けしたチルノ」から何かを手にしたのでは、とする創作では、引き続きチルノが夏と熱に耐性を得たり、あるいは克服するなどして太陽のもとで元気に日に焼ける姿が想像されるなど、二次創作においても創作の幅がさらに拡大している。
なお日焼けとも関連して、冬場でも起こり得る日焼けの一種である「雪焼け」(雪面からの太陽光の反射による間接的な日焼け)などもある。良く晴れた冬の日、ひやりとした気温の雪の積もった幻想郷でアクティブな雪遊びにはしゃぐチルノがいつの間にか雪焼けし、「日焼けチルノ」と呼ばれ得るような状況となる、といったシチュエーションも起こるのかもしれない。
チルノと大妖精
二次創作においてチルノと共に描かれることの多い妖精として大妖精があるが、特に先述の『天空璋』での「日焼けしたチルノ」の発表以後、大妖精についてもまたチルノと共に日焼けした様子が想像される機会が増え、pixivでは「日焼けした大妖精」などとしても結ばれている。
「日焼けした大妖精」についても、「なぜ大妖精は日焼けしたのか」をテーマの一つともしながら、様々な想像が展開されている。
関連イラスト
- 日焼けチルノと『天空璋』の「日焼けしたチルノ」
- チルノと「日焼けしたチルノ」