概要
狼の力を持つ人狼とオートマタとよばれる意思を持つ人形をメインとしたイタリアが舞台の18禁アドベンチャーゲーム。
脚本は下倉バイオであり、氏のデビュー作でもある。
メインイラストレーターは大崎シンヤ。
後に小説版、漫画版の他、アンナTUREENDの後日譚のドラマCDも発売された。
設定・世界観
人狼
普段の見た目は人間と変わらないものの、狼同様の規格外の嗅覚と人間を圧倒する身体能力と驚異的な回復能力を持つ他、老化が遅く長生きな者は200年以上生きる長寿な種族でもある。
満月が近づく程狼の力が強まり、満月の夜に狼の力が暴走し理性を失い狼男と化す。
また、満月の夜が近づいたり、感情が昂ぶると体の一部だけを狼男化させ理性を保ちながら戦闘能力を強化することが可能。
性交による繁殖の他、人間に人狼が血を与えることでも人狼を増やすことができるが、倫理的な問題もありオルマロッサ頭目のヴァレンティーノにより余程の理由がない限り許されない。
人間の血肉を喰らい若返ったり寿命を伸ばすことができるがこれも現在は同様にヴァレンティーノにより禁じられている。
弱点として銀の武器によって負った傷は治りが遅く、他の金属で負ったものでは再生する傷でも死に至る場合がある。
同時に銀は人狼の狼の本能を抑える役割もあり、満月の夜にも銀でできたものを所持していれば狼男と化さずに済む。
自動人形(オートマタ)
シリンダで動く骨董(アンティーク)と電気制御で動く(イミテーション)に大別される。
用途によって見た目が人間そっくりに作られているものもあれば、ひと目でオートマタであるとわかる作られ方をしているものがある。
最初期のアンティークの5体のオートマタは銀貨(アルジェント)と呼ばれ現代ではほぼ知られなくなった錬金術によって特殊な能力を使用する他、圧倒的な身体能力と銀器でルパーリアとオルマ・ロッサとの間に協定が結ばれるまで人狼狩りを行っていた。
また、アンティークは感情を持ち自身の意思で動くこともできるが、自身の瞳と同じ宝石でできた指輪を持つ主人(パドローネ)の命令には基本的に逆らえず、逆らった行動をすると自身の体が壊れる仕組みになっている。
ベルモント
イタリア北部に存在する人口40万人の架空都市。この作品の舞台の中心となる街で、自動人形(オートマタ)の世界最大の生産地でもある。
まだ世界的には珍しいオートマタが街中にいるため観光都市としても有名である。
ルパーリアの本拠地でもあり、人狼はベルモントに入らないと言う条件でオルマロッサと不可侵の協定が結ばれた。
登場人物
メインキャラクター
主人公。以前は人狼の犯罪組織オルマ・ロッサに所属していた暗殺者であり、「グラディアトーレ」の異名で恐れられた人狼。
とある事件がきっかけで組織を抜けベルモントでタクシードライバーをやっているが方向音痴なのと愛煙家なのが祟り商売はうまく行っていない模様。
作中で牙を抜かれた狼と揶揄された通りヘタレ気味でお人よしな性格。
過去を捨てた人物だが、再びオルマ・ロッサや対人狼機関のルパーリアの抗争に巻き込まれ再び過去と向き合うことになる。
メインヒロイン。銀貨(アルジェント)と呼ばれる5体存在する最初期のオートマタの1体。
街中に捨てられていたのをロメオに拾われてから彼を「ご主人様」と慕う心優しく天然でアホの子であるが、家事全般はそつなくこなす上に一度決めたことは最後までやり通す心の強さも併せ持つ。
彼に拾われた1年前より以前の記憶を失っており、戦いに巻き込まれてからは酷使したため全身に不具合が生じてきておりロメオは彼女を救うために奔走することになる。
CV:成瀬未亜
攻略ヒロインの一人。幼い時に人狼の関わった事件で両親を失ってた孤児であるため人狼を憎んでいる。
生きるために少年達の麻薬密売組織に男装して所属していたが、ふとしたきっかけでロメオの家に同居することになりタクシードライバーのロメオの相方のガイドとして居場所を見つけたことで組織を抜けることを決意するものの、制裁を喰らい生死の狭間にいたところを命を救うためにロメオに血を与えられ人狼となった。
麻薬密売組織を抜けロメオが憎んでいる人狼と知ったことで居場所を失った彼女であったが・・・
攻略ヒロインの一人。銀貨の1体でオートマタのサーカス団に花形として所属しているが、団長のダヴィデのことは嫌悪している。
元はルパーリアの一員だったがある事件がきっかけでピウスから追放処分を受けた。
オートマタであるのにロメオと単なる主従関係を超えたアンナに嫉妬し、ロメオの家に押しかけアンナを直す方法を教えるのと引き換えにロメオに同居を認めさせたが・・・。
攻略ヒロインの一人。オルマ・ロッサの幹部であり人狼で副頭目のシルヴィオの愛人。
ロメオを慕っており彼に愛されるためなら自身の躰を売ることも含め手段を選ばない性格、主食はケーキと言う超甘党。
ロメオがオルマ・ロッサを抜けるきかっけとなった事件に関わっていると噂されるが・・・。
CV:牛柳亀三
オートマタの製造・修理を行う工房を営む老人。口は悪いもののその腕は本物であり、自分を師匠と慕うアンナを孫のようにかわいがり、悪態をつきながらもロメオの生活を支援するなど心根は良い人物。
オートマタ以外にも錬金術にも詳しく、ある錬金術士の師匠と噂されている。
犯罪組織オルマ・ロッサ
イタリア北部の人狼の犯罪組織。マフィアながら麻薬の売買を禁じている。
人狼組織でありながらルパーリアと相互不可侵の協定を結んでいる。
頭目のヴァレンティーノの元堅い結束を誇っていたが、彼の老齢化と共にシルヴィオが次第に権力を強め一枚岩ではなくなってきている。
CV:祭大!
オルマ・ロッサの偉大なる頭目
老兵ながら義に厚く、裏社会のみならず表社会からも畏怖される強大な影響力を持つ。
組織の者達を家族として大切にし、組織を抜けたロメオを案じている。
ロメオ自身も彼を親父と組織を抜けてからも敬愛し続けている。
CV:松上九郎左衛門
オルマ・ロッサの副頭目
ヴァレンティーノの実子でオルマ・ロッサのNo.2であるが、父に器で劣り強引なやり方で彼に反感を持つものも少なくない。
かつてはロメオの親友で共に研鑽しあった仲であったが、彼が組織を抜けたことで裏切られたと憎むようになり刺客を送り込むようになる。
CV:一条和矢
オルマロッサの相談役
ロメオの師匠であり、冷静沈着な性格でオルマロッサのために非情な決断を下すこともある。
CV:保村真
シルヴィオの舎弟で麻薬中毒者。
基本的に頭は悪いが勘は鋭く、型にとらわれない性格と戦法で相手を翻弄する。
鳥兜(ルパーリア)
教煌庁に所属する対人狼機関。総監のピウスが元教煌であるため実質的に教煌庁に裏から操る程の響力を持つ。
所属するオートマタは人狼に有効な銀を主兵装とする。
CV:皇帝
ルパーリアの総監で200年前の教煌。
非情な外道であり、憎悪する人狼はもちろん時として一般人をも弄び殺害する。
そんな彼がオルマ・ロッサと不可侵の協定と結んだ理由は作中で明かされる。
銀貨の1体で錬金術により自身が破壊されても時を逆流させ元に戻せる特殊能力を持つ。
冷静沈着なドSではあるが、アンナのことをお姉様と慕っており彼女の前だけは少し冷静さを失う。
銀貨の1体で錬金術により相手に幻覚を見せる特殊能力を持つ幼女。
無邪気な性格ではあるものの、人を殺すのに抵抗がないため残忍な殺人も平気で行う。
自分の持っているうさぎの人形を「クリオ君」と呼び親友として大切にしている。
銀貨の1体でありチェスの名人。錬金術でチェスを模した機械兵を操り闘う。
表面上は従っているものの、内心では自身を縛るピウスを憎悪しており自由になるため裏で画策をしている。
銀貨の中では最も年長に見えるためかイリスからは「コルナリーナおばば」と呼ばれる。
最後の台詞から察するに間違いなく人形とはいえ彼女が善人…いい女であるのは確かである。
その他の登場人物
CV:比留間京之介
濃い容姿と独特なしゃべり方で相手を圧倒するオートマタのサーカス団の団長。
オートマタを音楽によって操る能力を持つ。
ルナリアを偏愛しており、彼女が壊れた場合を想定し互換性のある体でできているアンナを狙う。
CV:秋山樹
国民的な人気を持つ刑事。本来は麻薬捜査官であるがとある理由でベルモントに赴任して来る。
父親も刑事で国の闇を暴こうとしたためピウスの命令によって殺害され、父の仇を討つために刑事になった経緯を持つ。
CV:未公開
ロメオがオルマ・ロッサに所属していた時の恋人で、暗殺者以上の感情を持たない彼に人としての感情をもたらした一般人。
オルマ・ロッサを抜け普通の生活をしようとロメオと持ちかけるが、それがきっかけで始まったロメオとシルヴィオの決闘に巻き込まれ死亡した。