概要
歩兵を支援する目的で作られた装甲重視の戦車である。
イギリス軍では対になる存在として巡航戦車がある。
第一次世界大戦後のイギリスでは、次に来る戦争においても先の大戦と同様に塹壕戦が繰り返されると考えてられていた。
そこで、歩兵戦車に求められた性能は「敵の対戦車砲に耐えられる装甲」「歩兵に随伴して行動できる高い登坂力、超堤能力、超壕能力」「ただし歩兵と行動するために機動性は不要」というものだった。
しかし、イギリス本土での鉄道による輸送上の制限のため、比較的小型の砲塔しか搭載できなかった。結果として搭載される砲も小型のものに限定されてしまい、イギリス軍の戦車には、榴弾の無い2ポンド砲か、徹甲弾の無い76mm野砲のどちらしか搭載できなかった。
このため、イギリス軍は北アフリカにおいてドイツ軍相手に苦戦を強いられることになった。
その後、徹甲弾と榴弾の両方が使用出来る75mm砲の登場で問題は解決した。しかし、その頃にはすでに機動力の無い歩兵戦車・防御力の無い巡航戦車の時代は終わっており、戦後の戦車開発も機動力・防御力・攻撃力の三つを兼ね備えた主力戦車へとシフトしていった。
ただし、イギリス軍の主力戦車は他国と比較してやや防御力が重視されており、歩兵戦車としての性格も残している。
また、戦間期のフランスにおいては、「新兵器」である戦車の所属をめぐり歩兵科と騎兵科との縄張り争いがあったため、「歩兵戦車」とは明確に歩兵科の支配下にあることを示す名称でもあった。