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2ポンド砲

にぽんどほう

主としてこの名称で呼ばれる兵器は2種類存在するが、この項目では主に「オードナンス QF 2ポンド砲」を解説する。第二次世界大戦前および初期に使用した戦車砲、あるいは対戦車砲。装備された当初は良かったものの、その後の運用で問題があり、いわゆる「英国面」のひとつの例として挙げられる装備とされる。
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概要編集

イギリスでは小口径の火砲は口径ではなく砲弾重量に基づく名称で呼び表す伝統がある。そのため例えば「76mm砲」が口径76mm砲の火砲全般を指すのと同様に2ポンド砲は砲弾重量約2ポンド=0.91kgの火砲全般を指す名称に過ぎない。砲弾の重量は口径によって大体決まるので2ポンド砲は40mm砲に相当する。また重量基準の呼称はイギリスぐらいでしか使われていないので、2ポンド砲という呼称は凡そ「イギリス製40mm砲」ぐらいの意味を持つことになる。イギリスで開発された40mm砲は試作やペーパープランのものを含めれば数多く存在するが、大量に生産・配備されたものは「ヴィッカーズ2ポンド砲」と「オードナンス2ポンド砲」の2つに集約される。


 先に高射機関砲の「ヴィッカース QF 2ポンド砲(ポンポン砲)」を解説し、次にpixivで使用される戦車砲対戦車砲の「オードナンス QF 2ポンド砲」を解説する。


ヴィッカース QF 2ポンド砲(ポンポン砲)編集

 この系列に属する兵器は、イギリス陸軍で1889年、イギリス海軍で1892年に採用され、いくつかのモデルがある。

 対空用途の砲架に取り付けて使い始めたのは1915年のことで、この時はMk.I、Mk.IIが使用されていた。

 その後、代表的な「QF 2ポンド海軍砲」と呼ばれ、愛称を「ポンポン砲(ポムポム砲とも)」と呼ばれたヴィッカース社製のMk.VIIIの生産が始まり、日本もこの兵器を毘式と称してライセンス生産している。

 さらに1930年にはMk.VIIIを多連装化したものを(主として弾薬の有効利用の目的で)開発。小型のものは巡洋艦および駆逐艦に、大型のものは戦艦航空母艦に搭載した。

 しかし、その後射程の短さ、発射速度の遅さ、弾道特性の悪さ、曳光弾非対応、さらにこの砲自身の不具合により使い勝手が悪く、例を挙げるとプリンス・オブ・ウェールズに搭載されていたある一基が12回故障したといわれており、一説によると大日本帝国海軍に沈没させられる原因になったのではないかといわれるほどである。

 そのため、ボフォース40mm機関砲へ順次取り替えられたが、1943年までは使用され、1944年には小型艦艇や地上での運用も停止した。日本においては1935年に他の兵器への交換が開始されたが、1945年まで小型艦艇にて使用された。

性能は低いもののこの口径の機関砲の割にはコンパクトで軽量であったことから、4連装や8連装というこの種の大口径機関砲としては例外的な多連装砲架も開発された。


ヴィッカース QF 2ポンド砲


オードナンス QF 2ポンド砲編集

 この兵器は1936年にイギリス軍巡航戦車に搭載する戦車砲として開発された。そして対戦車砲としても使用されるようになった。

採用された当初としては他の戦車砲よりも威力は大きいとされた。しかし、この大砲は「開発当時の戦車に対して」の砲撃しか想定しておらず、当初徹甲弾しか準備されなかったことなどが問題(さらには英国面と呼ばれる)となる。



 すなわち「榴弾が無いので敵の対戦車砲には有効ではない」、「敵戦車の装甲に弾丸が負けてしまう」という欠点が出始めてきた。無論、イギリス軍も対策を採っていないわけではなく、「新たな弾丸の作成」「新兵器である6ポンド砲の開発」などが行われていたものの、その歩みは遅く、さらにフランス(ダンケルク)からの撤退により、人員は救出できた代わりに大量の装備を失ったためこの兵器は(6ポンド砲は開発されていたのに!)作られつづけ、さらにドイツ軍パンターが登場し、この兵器がほぼ無効となった頃にもなお使用は続けられた(なお、この頃にやっと榴弾が開発されたりリトルジョン・アダプターと呼ばれる減口径アダプターまで作成された)。ただし、ビルマにおいては装甲が薄い日本軍の戦車相手にまともに戦えたとされる(ただし「逆に装甲が薄すぎて機能していない」戦車に対しては榴弾は撃てないので威力があったかどうかは不明)。

 戦車砲としてはクルセイダー巡航戦車クロムウェル6ポンド砲が搭載され終了。また対戦車砲としては6ポンド砲や17ポンド砲が配備されたため終了したが、装甲車の主砲として用いられた(どれだけこの兵器の弾薬が残ってたんだよ)。


オードナンス QF 2ポンド砲


徹甲弾しか撃てなかった理由編集

イギリスでは戦車の運用思想として、一つの戦車の設計を流用して

「貫徹力の優れる徹甲弾を発射できる小口径高初速砲を装備した通常型の戦車」

「大威力の榴弾砲を発射できる大口径低初速砲を装備した近接支援 (CS) 型の戦車」の両方を製造し、それを混成で配備するという方針を採っていたことが原因である。

限られた重量やサイズの範囲内で火砲を設計するならば、

徹甲弾の威力を追求するなら小口径・長砲身・高腔圧の設計が有利である一方、

榴弾をの威力を追求するなら大口径・低腔圧のものが有利となり、

要求される火砲の仕様は相成れないものとなる。汎用性を求めて中間の設計を採れば徹甲弾も榴弾も中途半端なものとなってしまいかねないので、徹甲弾と榴弾それぞれに特化した戦車砲を別々に設計し別々に装備するというのは(結果的には失敗だったが、)全くの荒唐無稽な発想というわけではない。

2ポンド砲は徹甲弾の使用に特化した高初速砲として設計されており、榴弾が用意されなかったのもそのためである。なお2ポンド砲とペアになる「榴弾に特化した戦車砲」はオードナンスQF 3インチ榴弾砲であり、これは3インチ=76mmという口径の割に軽量・コンパクトに設計されており、2ポンド砲を装備できる戦車であれば容易に搭載できるようになっていた。なお3インチ榴弾砲は2ポンド砲とは逆に榴弾と煙幕弾のみが配備され、徹甲弾は用意されていなかった。


大前提として、砲弾の種類を追加するのは弾薬の生産・供給の効率化の面ではマイナスになる。そのようなデメリットを受け容れて得られるものが威力不足のしょぼい榴弾に過ぎないというのは、2ポンド砲用榴弾の生産配備を後回しにするに十分な理由となった。

2ポンド砲では単純に砲弾が小さく炸薬量を増やせないので威力を期待できないことに加えて、高初速を得るために多量の発射薬を使用して高腔圧を得る弾薬規格になっていたことも問題だった。すなわち発射時の圧力に耐えるために榴弾の弾殻を厚く設計する必要があり、炸薬量を増やすことがなおさら難しくなっていた。


そもそもの想定では、対戦車砲を相手するのは2ポンド砲搭載戦車ではなく3インチ榴弾砲を装備したCS(近接支援)型戦車の役割なので2ポンド砲で榴弾を撃つ必要など最初からないと考えられていた。しかしこれが机上の空論であることは実戦ですぐに証明された。現実にはCS型が常に必要な場所に随伴できるとは限らず、CS型なしで対戦車砲を相手にしなければならないようなケースが多発したのだ。


徹甲弾しか撃てないというのは2ポンド砲特有の問題ではなく、1920年代に量産されていた中戦車Mk.I/IIが装備していた3ポンド砲(口径47mm)も徹甲弾しか用意されず、榴弾を撃つのはCS型の仕事とされていた。この思想が後に開発された2ポンド砲にも引き継がれた形になる。


性能編集

全長:--m

全幅:--m

重量:814kg

砲身口径:52口径40mm

発射速度:22発/分

連続発射:?発/分

最大射程:約1000m

有効射程:914m

砲弾装薬:装薬式

運用人数:--名


最初から徹甲弾の使用に特化して設計されてるだけあって、装甲貫徹力の面からは口径の近い37mmクラスの対戦車砲の大半を上回っており、むしろ45mm~50mmクラスの砲に匹敵する能力を有していた。


関連タグ編集

第二次世界大戦 イギリス軍 対戦車砲 大砲 英国面

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