概要
漫画「鬼滅の刃」へ登場する戦闘法の一つ「炎の呼吸」にある玖ノ型。
一瞬で敵対者に迫り、多くの面積を根こそぎ抉り斬る奥義である。
留意
PCの仕様で、煉獄の「煉」が正しく表示されない場合がある。正しい表記は【火 + 東】であり、公式の字面や字幕、本稿を閲覧する対応機種では【火 + 東】の字形で表示される。
玖ノ型・煉獄
炎の呼吸を代々収めて炎柱を輩出してきた煉獄家の名を冠しており、灼熱の業火の如き威力で猛進し、轟音と共に相手を抉り斬る大技。これによって敵の身体を「一瞬で多くの面積をねこそぎえぐり斬る」という奥義。
玖ノ型の構えは、始めに溜めの姿勢を取る事で筋力だけでなく闘気を練る。
大きな特徴として―
- 脚を停めて気を最大限に練り上げる
- 両腕を含めた全身を捻る
これから大きく突進する事を肌で感じさせる迫力が印象的であり、その威力は極限まで焚き上げられた炎の剣戟で推して知るべし。
実際に、全身を捻った特徴的な構えの後は、燻っていた火種が一気に勢いを増して炎上するが如く、爆発的な踏み込みで敵対者へ突進する。その迫力は強力な火炎放射みたいなうねりを上げる一閃と錯覚するほどの効果(エフェクト)が発生する。
そして奥義を身に受けた相手は炎の柱へ巻き込まれるような、相当に深い傷を負う。
また「玖ノ型・煉獄(れんごく)」は、各媒体ごとに描写が異なる経緯を辿っている。
原作
対峙した上弦の鬼・猗窩座を倒す戦術として「玖ノ型・煉獄(れんごく)」を放つ杏寿郎。対する猗窩座は殺人拳・破壊殺の大技で応じる。そのため、互いに畢竟のぶつかり合いとなり、各々が大きな深手を負う結果となる。また、この鬩ぎ合いは大爆発が起きる程の勢いであった。
煉獄杏寿郎と猗窩座の技が衝突する刹那、杏寿郎は己を包む様に燃え盛る炎の球と錯覚するほどの効果(エフェクト)を発揮した突進であった。そして前述の爆発となり、土煙が晴れた後には、煉獄杏寿郎と猗窩座が深手を負った立ち姿が現れ、炎の呼吸にある奥義の凄まじさが感じられる。だがこれだけの描写なため、解説にあった「一瞬で多くの面積をねこそぎえぐり斬る」の剣技が具体的にどのような太刀筋なのか不鮮明となっている。
そして後述のアニメ版にて、至高の対決が事細かく描写され原作の補完もされている。
劇場版アニメ
前述した煉獄杏寿郎と猗窩座の戦いは、原作に準じている事に加え、アニメオリジナルの剣戟が追加され、更に山場となる「玖ノ型・煉獄(れんごく)」の発動は原作を補完する剣技を体感できる制作がされている。
鬼殺隊の最高位・柱と十二鬼月の上弦がぶつかり合う一騎打ちは、制作担当のufotableが魅せる繊細で美麗な描写により、迫力満点の戦いとなっている。そして炎の呼吸にある奥義は原作を補完する演出がされている。
煉獄杏寿郎と猗窩座の大技が相まみえる刹那。それは炎に包まれながら勢いは失せない火災旋風(かさいせんぷう:炎の竜巻)の如き鬩ぎ合いであった。
この凄みには劣るだろうが、敢えて文章で表現してみると―
- 杏寿郎は全身を捻った姿勢で上段に構えていた赫き炎刀を、素早く烈火の如き勢いで猗窩座へ振り下ろす。始めの一刀は猗窩座が突き出していた右拳を斬り、そのまま肘の辺りまで深く切り込んだ。
- これでは深手にならないと、杏寿郎はすぐさま炎刀を引き戻すが威力を失わない勢いで、大きく振りかぶっていた刀を猗窩座の頭部目掛けて振り下ろすが、相手の左拳に邪魔されて、鬼の胴体を深く縦に切り割いていく。
- そして刀は胴体にあるまま、杏寿郎は刀を握ったままの腕を大きく捻る事で猗窩座の肉体を抉る。刀身は上を向いた状態で、杏寿郎は炎が大きく勢いを増して天へ向かって燃え盛るの如く、鬼の肉体を多く根こそぎ抉り斬りながら弧を描く様に刀を振り上げる。
このような技の応酬が繰り広げられており、次の画では原作にあった爆発があって、土煙が晴れると煉獄杏寿郎と猗窩座が深手を負って立つ姿となっている。その光景は、杏寿郎が右手に握る炎刀を猗窩座へ振り下ろそうとするような高い位置で停まっており、猗窩座は彼の右拳が杏寿郎の胴体を貫く姿勢だが自身の胴や左腕や頭部が大きく切り裂かれている状態であった。
因みに「玖ノ型・煉獄(れんごく)」の発動時には炎龍が出現するほどの効果(エフェクト)がある剣戟として描写されている。
劇場版アニメで補完された「玖ノ型・煉獄(れんごく)」の描写と後述にある外伝の描写を加味すると、強敵・猗窩座の対抗があって、剣技が中断されてしまったのかもしれない。
外伝
時系列は煉獄杏寿郎が柱の肩書きを得る前の時期。この頃に会敵した鬼・佩狼と決着をつけるため、炎の呼吸の「玖ノ型・煉獄(れんごく)」を放った。
大まかな剣技の流れを原作および劇場版アニメと同じ。外伝では、炎の呼吸にある奥義を威力は失われず最後まで放ち、相手へ致命的な斬撃を負わせている。その画では、炎刀を大きく振りかぶったような姿勢の杏寿郎がおり、彼の背後には炎柱へ包まれているかのような佩狼が描かれている。
この事から、前述にある猗窩座の戦いで静止した立ち姿は、最後に炎刀を振り下ろそうとする過程を中断された構図だったのかもしれない。
以上の原作・劇場版アニメ・外伝を通して顧みると、炎の呼吸の「玖ノ型・煉獄(れんごく)」とは―
- 盛炎のうねり(肆ノ型)のようなに全身を捻る体の使い方、不知火(壱ノ型)のような力強い踏み込みから放つ斬撃は猛火の如き勢いを生み出し、
- 炎虎(伍ノ型)の如き大きな振りかぶりで相手の屈強な肉体へ深い一太刀を入れ、そこから気炎万象(参ノ型)のような繊細で強靭な捻りから肉体へ切り込んだままの刀を動かして肉を抉り、上に向けて弧を描く軌跡の昇り炎天(弐ノ型)みたいな太刀筋によって、相手の肉体を根こそぎ抉り斬るために大きく上下へ日輪刀を振るう、
といった炎の呼吸にある一つ一つの型を組み合わせた集大成であると窺える。まさしく全集中の呼吸を極めたからこそ放てる斬撃は、奥義の名に相応しい剣技と言えよう。