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概要

猟兵」とは、近代の軍隊における兵科または兵種の名称のひとつで、軽歩兵の一種である。

銃に慣れた人間を集め、限られた性能の高い銃を配って即席の精鋭部隊を作るという発想が元になっている。今日では工業化や職業軍人の専業化によって、その意味は薄れつつある。

現在はエリート部隊、森林や山岳部などの平地以外の過酷な環境で活動する部隊の名称として残っている。


解説

起源は17世紀初め頃にスウェーデン陸軍で創設された騎馬猟兵中隊とされている。

日頃から銃の扱いに慣れている森林労働者や猟場監視人、猟師を中心にして編制されており、通常の戦列歩兵とは異なり、高い練度を必要とする散兵戦や狙撃を行えることから、エリート部隊の一種として扱われていた。


猟兵は各々が高い技能を持っているだけでなく性能の高い銃を装備しており、他のマスケット銃兵とは装備から区別されていた。

ドイツでは、ライフル銃の職人村があったため、格段に高い命中精度を誇り、「イェーガー」(Jager)と呼ばれ、ドイツの憲兵はこれが起源でフェルトイェーガーの名で呼ばれている。


しかし19世紀半ばに産業革命による工作機械の発達が起こり、丸い弾丸に変わる新しいミニエー弾、弾丸と火薬を一つにした薬莢が採用され、新型ライフルが普及した。

これは、それまで銃身をライフリング加工したヤーゲル銃(ヤーゲルとは猟師のことで、つまり猟兵銃)は猟兵のみに装備されていたが、これを上回る性能の銃が量産化され、標準装備になったことを意味した。

特に南北戦争では密集隊形は自殺行為に等しいものになった。威力が著しく向上し、少数でも十分な打撃を与えられるようになった。また装填速度、装填作業も改善され、立ったまま次弾を装填する必要がなくなり兵士が隠れたり、姿勢を低くしたまま射撃できるようになった。さらに命中率も向上すると大勢が密集したまま射撃する必要性もなくなった。

このように従来のマスケット銃の性能の低さを補うために採られていた戦列歩兵は時代遅れになり戦場の変化によって戦いは塹壕戦や散兵戦に移行し、戦列歩兵は改組され、ライフル歩兵(軽歩兵)になった。

これにより猟兵は装備も役割も他の歩兵とほとんど変わらなくなった。


ただし当時すぐさま戦列歩兵の密集隊形からライフル歩兵の散兵戦に移行したのはライフルを大量生産できる圧倒的な工業力を持つ大英帝国、アメリカ、戦略上、散兵戦を重視したロシア帝国だけで他の欧州の国家は、そもそも全ての歩兵にライフルを配ることもできなければ、散兵戦すら重視していなかった。

このため大半の歩兵にライフルを装備させることのできたイギリス、アメリカには猟兵という名前が残らなかった。逆にフランス、ドイツは現在までエリート部隊の称号として降下猟兵山岳猟兵の名で残っている。

また銃に習熟している人間を戦時に徴兵してエリート部隊とするという発想自体は有効であり、猟兵の価値がなくなったわけではなく、志願兵や義勇軍などが用いた。特にアメリカ、スイス、フィンランドなどでは銃社会と呼ばれる国民すべてが銃に慣れ、民兵となるという考えを持つに至った。

ロシアの猟兵部隊はナポレオン戦争で活躍し、その後も「一発必中」、「他国の雑兵と一線を画する精兵」という信念から狙撃兵という名称になって残っている。


戦車猟兵

ドイツは戦車猟兵という兵種も編制している。

この戦車猟兵科、戦車猟兵部隊(戦車駆逐部隊に改称)は「戦車を狩る部隊」、「戦車の狩人」という役割を現す意味で名付けられている。

これは当時、戦車は騎兵と砲兵の中間にあり、戦場を突っ切って歩兵を攻撃するものと考えられていたのに対し、戦車に戦車をぶつけるという革新的な発想から編制されている。

そこからヤークトティーガーヤークトパンターなどの名称を与えられた戦車が作られた。

駆逐戦車(ヤークトパンツァー)と呼ばれる、この分類の戦車に名付けられた「ヤークト」は「狩りをする~」という意味であり、それぞれティーゲル(6号戦車)、パンター(5号戦車)を改良したものである。命名の由来はハッキリしていないが、あるいは猟兵が精鋭部隊に使われた点も勘案したのではないだろうか。


この特定の目標を狩る兵士たちという着想から名付けられたアニメが機甲猟兵メロウリンクである。


関連イラスト

降下猟兵 Emileドイツ兵3

フランス軍シャスール兵(メキシコ出兵1863-67)Crete


関連タグ

兵種 猟師 軽歩兵 イェーガー フェルトイェーガー 憲兵


外部リンク

猟兵 - Wikipedia

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