概要
CV:花江夏樹
キャラクターデザイン:猫缶まっしぐら(ニトロプラス)
東離劍遊紀3にて初登場。
「蟷螂」の紋章を持つ神蝗盟の法師。一人称は「私(わたくし)」。
第2期ラストで石碑ごしに台詞を発したが、エフェクトの為に声が高く聞こえた事もあり、本格登場するまで性別は女性かと思われた。
二つ名は「水月刀螂(スイゲツトウロウ)」。武器は双頭の鎌「狡蠱殺(コウコサツ)」。
鎌の技と禍世螟蝗仕込みの外法を組み合わせた兵法を用い、狡蠱殺を空中で自由自在に操る。
武術の天才であるが、礼の心得に欠けている。
軽薄なニヒリストで、大義などは頭にない。
活躍(東離劍遊紀3)
序盤にて殤不患と一戦を交える。
前述のように狡蠱殺を空中で自由に移動・転移させるなど、打倒啖劍太歳の為武の華道(自称)を披露する。
決着がつく前に一行を逃がしてしまうも、この時点では明らかな優劣が付いていない。その為、次は勝てると思ったのか上機嫌であった。
……が、己が功名心のために啖劍太歳に挑めたのは初戦の一回のみ。
その後はというと、信用の出来ない魔族に真面目が過ぎてどこかズレてる年上の後輩兼上司というイマイチ頼りにならない味方に胡散臭すぎて油断も隙も無い詐欺師、挙句の果てに狂犬そのものとしか言えないヤンデレまでもが加わり、このメンツが引っ掻き回す混沌とした状況に振り回される苦労人ポジションがすっかり板についてしまっている。
しかし、それで終わらないのが神蝗盟の幹部。
11話にて、魔剣に狂った凜雪鴉が捲殘雲を刺殺した隙を狙い、神蝗盟の目的である魔剣目録の奪取に成功する。
一方で魔族側に対し、敵である殤不患への止めに待ったを掛けた。
目録に追加された魔剣について所有者の口に直接聞き出すという名目だが、萬軍破曰く追加された魔剣については禍世冥蝗の秘術で解明可能とのこと。
そのため、魔剣目録を奪取した時点で殤不患を生かしておく理由は無い。
更に、萬軍破に魔剣目録を預けておきながら禍世螟蝗に謁見し、「軍破は魔剣目録を螟蝗猊下に引き渡そうとしない。(要約)」と軍破を陥れるかのような上奏もしている。禍世螟蝗は「我が言葉に耳を傾けていれば軍破は問題ない。(要約)」としており、逆に異飄渺自身が禍世螟蝗に探りを入れられる。
(結局、軍破は禍世螟蝗の意に背くことになるが。)
謁見から戻って来た異飄渺は軍破に魔剣目録の用途を尋ねた。
軍破の返答は「打倒照君臨の為に使い、然るべき人物に託す(要約)」と。
返答を聞いた異飄渺は自らの野心のために使わないのかと落胆した上で、「愛想が尽きた。」と決別の意を表す。
対して軍破は、彼に対しに次のような捨て台詞を吐き、照君臨との決戦に挑む。
「さらばだ異飄渺。お前という奴は、最後まで理解出来なかった。」
このように言われた男であったが———
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この先、重大なネタバレ注意
「当たり前だよ、凡骨めが。」
実はこの時点で凜雪鴉が異飄渺に変装しており、本物の異飄渺は最悪の末路を辿っていた。
第12話で凜雪鴉の提案に乗り、捲殘雲の姿へと変化して殤不患一行に潜伏していた事が発覚。ちなみに凜雪鴉は異飄渺に、捲殘雲は凜雪鴉に化けていた。誰が誰に入れ替わったのかを全部把握しているのは凜雪鴉ただ一人。
つまり11話の惨劇は
誤:「魔剣に狂った凜雪鴉が捲殘雲を刺殺した」
正:「魔剣に狂った捲殘雲が異飄渺を刺殺した」
…と言うことになる。
なんと人知れずとっくに殺害されていたという類を見ないレベルの不遇の最期を迎えてしまっていた。
全ては凛雪鴉が禍世冥蝗に接触するため考えたややこしい計略であり、異飄渺は捲殘雲と同様その駒にされたのだ。
殺害されるまでの彼自身の視点で見返しても、神蝗盟の幹部としての評価は厳しい。
そもそも異飄渺は凛雪鴉をかなり警戒しており、どちらかと言えば禍世冥蝗が直々に同盟相手と認めた刑亥の方を信用している感もあった。それにもかかわらず、「殤不患に信頼されている捲殘雲に化け、彼から魔剣目録を預かる形で奪い取る」という凛雪鴉の提案に乗ってしまったのである。
この辺りにどういう経緯があったのか、はっきりと描写はされていない。
しかし異飄渺は序盤から萬軍破の指示に従いつつも、体良く先に手柄を立てようとしていた節がある。また、凛雪鴉から「神蝗盟を裏切るよりも、殤不患を裏切った方が相手が失うものは大きい」と説かれており、損得を考慮した異飄渺は凛雪鴉に対し、「殤不患を陥れる策があるなら相談しろ」と伝えている。
そして上述の通りややこしくなる状況に頭を抱えていた(刑亥が照君臨を復活させようとしていることも、凛雪鴉から聞かされていた可能性もある)。そのため、最大の目的を早急に果たし、かつ自分が手柄を独占できる提案に飛びついてしまったのかもしれない。
刺される直前———殤不患から魔剣目録を預かった後、彼は後ろ向きにステップを踏んでいた。殤不患から目を離すのは危険だと思ったのか、もしくは捲殘雲らしく振舞っていたかもしれないが、無界閣は戦地である。凜雪鴉が刑亥からの不意打ちを回避した1話とは対照的に、異飄渺は魔剣目録の回収に気を取られ、油断していた。
そこに魔剣・七殺天凌を携えた凜雪鴉(に扮した捲殘雲)が襲い掛かる。掠り傷一つで致命傷を与える恐ろしい剣だが、平時であれば最初の一撃は回避出来た可能性がある。何故なら、強力な魔剣といえども、その剣技は所有者に依存するからだ。
本物の凜雪鴉ならともかく、当の加害者は嫁に指摘される位剣の腕前はまだまだ未熟(もっとも本来は槍使いだったので、刺突は上手かったのかもしれないが)。致命的とはいえ、回避出来たかもしれない一撃を異飄渺はあっさりと決められてしまった。
このように、死因が凜雪鴉の謀略に乗り、戦地で油断して、いつの間にか死んでいたという主要キャラとしてはひどいオチとなった。
中盤で最期を迎える羽目になったが敵と真っ向に戦って戦死、心変わりしようとした矢先に殺害されたキャラ達の方がマシかもしれない。
発覚したのは刑亥が死霊術で彼を蘇生させようとした時で、当然それまで刑亥も死んでいるのは捲殘雲だと思い込んでいた。
捲殘雲本人も誰を刺してしまったのか全く分かっていなかった。何故なら、刺した相手は自分に変装した誰かなのだから…。
(ちなみに捲殘雲の方は嫁に引っ叩かれて正気に戻り生存)
生い立ちが悲惨だったり不幸だったりする登場人物は本作には少なくないが、ここまで別ベクトルに不遇な人もそうそういないだろう…。
更に、神蝗盟は未だに彼の死を認識しておらず、その所為で4期では凜雪鴉が禍世冥蝗攻略の為にその姿を利用し続けている状況にあり(本人が死亡したにもかかわらず、偽者という形で出番があるという有様)、死体蹴りを受け続ける羽目にまでなっている。
挙句、凛雪鴉の仕事ぶりが本物の異飄渺と比べて出来が良すぎたせいで偽者だとバレるという(また、禍世螟蝗からは「退屈な男」と評され、その凡庸さに内心呆れられていた模様)特大の死体蹴りを受けてしまった。
尚、他の法師達4人には念白があり、外道に手を染めてはいても各々自分なりの美学や信念が描かれている一方、異飄渺だけが念白も無ければ大したストーリーも無く、単なる敵キャラとして終わっており、「とにかく不遇」な印象だけが際立っている。