人類に叡知など無い
演:高畑淳子
概要
帯刀コンツェルン、ネオギルドと並び、劇中にてジャンパーソンと敵対する三大組織の一つ、スーパーサイエンス・ネットワーク(通称SS-N)の首領。作中の描写から39歳と推測される。
初登場時のみ、眼鏡をかけ白い科学者めいた服を纏っていたが、本格的登場の第6話からは、画像にあるようなエキセントリックな魔女のような衣装に変わった(さすがに外に出る時はエキセントリックな姿ではないが)。実はメインイラストのギザギザの髪のようなものはかぶっている帽子の飾りである(33話で判明)。
しかも悪の組織の首領なのになんかムーディなBGMの持ち主。
過激派科学団体SS-Nを率いる彼女は、部下からは「麗子様」と呼ばれ、神のごとく崇められており、ほとんどのアジトには彼女の肖像写真が飾られている。有能な者は女王のような態度で褒め、激励を与えるが、一度作戦に失敗すれば手のひらを返して冷酷になり、即刻処刑してしまう(一応、死んではいないらしいが)。
最終決戦
彼女は、両親が移住した宇宙ステーションで生まれ育ち、『美しい星』地球の話を聞かされて憧れを持っていたが、両親の事故死後、初めて足を踏み入れた地球は環境汚染が深刻になっていた。「両親が愛した地球を汚す人類は許せない」という考えに取り付かれた彼女はSS-Nを結成、終盤では最強のバイオモンスター・超獣神に変身し、人類抹殺計画を決行しようとする。
彼女は美しい星であるはずの地球の環境汚染を人間が傲慢で救い様のない存在である何よりの証拠と全否定し、歪みきった科学の力で倫理も無ければ人間に留まらない地球上の生態系を狂わしかねない異形を生み出す程の狂気に呑まれた挙句、もはや手段を選ばない打倒ジャンパーソンに固執し、環境破壊のその原因の一つであった傲慢で愚かな人間を嫌悪していたが、皮肉にも彼女自身にも当てはまっており、ついには神を標榜する人間ですらない怪物に変貌してしまうというなんとも皮肉な末路であった。
ジャンパーソンは彼女の生い立ちに同情して戦意喪失し、攻撃をためらって逃してしまうが、ガンギブソンから「自分から人間を捨てて、育ての親を殺害し、今も無数の人間を無差別に殺戮している、ただのバイオモンスターじゃないか!」と指摘されて、再び戦う覚悟を決める。
ここで人間性について言い争い、人間を守る為に戦う決意をする、人間臭いジャンパーソンとガンギブソンの二人が、人間ではない純粋な機械式ロボットであるというのが本作の特異性でもある。
しかも人間を肥料に変える狂気の計画もまた現実的に考えると、全人類どころか全生物が肥料になる事で自然を破壊する事と養分過剰によって土壌汚染の原因となり逆に自然破壊になりえる事に気付かなかったのだろうか(現実に養分過剰で発生するアオコといった現象がある)。一度は麗子と同じく人間の傲慢さに失望した経験のある三枝かおるはその姿を見て、何の感情も露にする事なく「超獣神に地球を再生させる事は不可能」と吐き捨てるのだった。
そのかおるの言葉にジャンパーソンは超獣神がまだパワーアップの余地を残している事に気付く。
実際、確かに超獣神は人間を肥料に変える恐るべき能力があったが、単体故に活動範囲が局所的だった為、全ての人類を滅ぼすにはワープ装置が不可欠だった。その後、SS-Nはワープ装置を完成させ、超獣神は試運転を兼ねて一般市民の虐殺を始めるが、その行為によってワープの中枢(=SS-Nの本拠地)を特定されてしまう。
一つ言えるのは彼女が望んでいた『美しい星・地球』の理想は紛れもなく本物である。怒りが狂気に変わり、挙句の果てには自らを地球の神と称する醜い傲慢な怪物に変貌した彼女自身には三枝かおるの「科学の力で環境を回復させる道があるはずだ」という説得すらも届かず、ついには地球人類を脅かす怪物そのものになってしまった事でワープ装置も破壊された上にジャンパーソン達の攻撃によりついに超獣神の肉体は限界を迎えてしまう。
死が迫る身体で逃げるように辿り着いた自室において宇宙ステーションで過ごした少女時代の8ミリフィルムを目の当たりにし、今の地球では育たないとされる「ヒメハルソウ」の種子を手に何度も
「泣いている……わたしの、わたしの夢見たっ、わたしの、憧れた……わたしの、愛した! 地球がっ……な、泣いている!」
と悲痛な叫びを繰り返し息絶えた。魔女のような姿から初登場した時の科学者の姿に戻り最後は光の群れとなって宇宙へ飛来していった。誰よりも地球を愛した故の狂気に隠された彼女の悲願をジャンパーソンは汲み取り、必ずヒメハルソウが花をつける地球にしてみせると誓った。
こうして狂気の過激派科学団体スーパーサイエンス・ネットワークは崩壊したのである。
演じた高畑氏は、「仮面ライダーBLACKRX」のマリバロン役でつとに名を知られているが、「巨獣特捜ジャスピオン」の銀河魔女ギルザや、この綾小路麗子役としての人気もかなり根強い。
余談
中盤から出番が少なくなったのは演者である高畑氏が息子を出産したため。
第33話のラストでの麗子の「ジャンパーソン!しばらくさよならするわ」のセリフは実はこの事だったとされる(作中の設定上はバイオモンスターの研究と次なる作戦の準備に勤しんでいたのだろうが)。
ちなみに、出産したのはその第33話が放映された日の翌日だった。
ダベ星人がチャップ(イラスト右)の流用のせいでこんな事にもなっていたりする。
また、24話での台詞は終盤にて彼女が「人間を救いようのない存在」と評する展開の伏線とも言え、同時にバイオモンスターを至高の存在とする思想を抱いていたことが窺える。
関連タグ
マリバロン…怪魔界が深刻な環境汚染によって危機が迫り、地球を第二の怪魔界とすべく侵略活動するクライシス帝国の幹部。
ネオギルド…敵対する他の組織。こちらは人間への復讐かつロボット至上主義である。
帯刀コンツェルン…SS-N・ネオギルドと違い、言うならば世界征服が主目的という実は典型的な悪の企業である。
サノス:抱いていた信念について大人になったら考えさせられそうな内容のヴィランつながり。