織田莱香
おだらいか
CV:堀江由衣
多摩文学院大学文学部人文学科2年生(物語開始時点)。路上観察研究会(通称『ロ研』)の紅一点。
主人公・瀬川祐太は、大学で彼女に一目惚れしたことでロ研への入部を決意した。
容姿端麗にして爆乳(ミス・タマブン優勝)、文武両道(入試成績トップ、大学の現役テニス部員をテニスで完封など)、とおよそ周囲が放っておきそうにない属性の持ち主で、現に入学当初は学内外問わず彼女は注目の的だったそうだが、クールすぎる性格と突飛な言行の多さゆえに周囲に変人認定され、
祐太たちが入学した二年生の春現在、彼女とお近づきになろうとする人は皆無である。
(入部前で彼女の人柄を詳しく知らなかったとはいえ、女好きの仁村でさえ彼女の行状を調べて
恋愛対象から外したくらい)
しかし実はかわいい物好きで、祐太の家を訪れた際に、彼の姪である小鳥遊空、美羽、ひなの
3人を前にしてほんわかした笑みを浮かべるという、それまでのキャラをぶち壊すような反応を見せた。
祐太と仁村が入部するまでは会長の佐古と2人でロ研を仕切っていた。
祐太と知り合って彼の家庭事情と小鳥遊三姉妹のことを知ってからは、佐古や仁村ともども
ロ研をあげて小鳥遊家の面々と付き合うようになり、三姉妹ともとても仲良くなった。
彼女の一番のお気に入りはやはりというか、三女のひなであり、ひなも莱香のことは大好きである。
一方で姉妹の叔父であり、不器用かつささやかなアプローチを何度か莱香に試みている祐太については
彼の誠実かつお人好しで、大事な人の為なら自分が苦労することも厭わない(莱香に言わせれば「不合理な」)人柄に惹かれてはいるものの、後述の彼女自身の性格もあってか、今ひとつ彼の『異性としての好意』には気づけていない。
・・・・・・が、美羽の実母・サーシャやテニスサークルの菅谷ミキが
祐太にアプローチをかけ始めたことで、
その場面に直面するたびに胸の痛みや苦しさを自覚するようにはなり始めた模様。
利き手は左利き(本誌5巻イラストP.41ではシャープペンシルを左で持っている)。
仁村ほどではないが料理も上手で、手の込んだ本格的なものからひなの喜びそうな子供向けまで、レパートリーも広い。
また、ピアノの心得もあり、小鳥遊家に遊びに来た際には空にピアノの手ほどきも行っている。
両親は父親が数学教授、母親が文化人類学者(どちらもタマブンの教授ではない模様)。
家族仲が悪いわけではないが、子供の頃から両親の仕事が忙しいために
家族で過ごす時間がどうしても少なく、そのことを莱香は少し不満に思っていた。
タマブンは3年に上がると、通うキャンパスが八王子ではなく新宿になるため
彼女も進級の際は、一時期、田園調布の実家に居を戻していたが
祐太や小鳥遊三姉妹ともっと一緒に過ごしたいという思いから、小鳥遊家のある池袋の
駅前の高級マンションで改めて一人暮らしをすることになった。
これは、今まで何事にも合理性を基準に考えてきた莱香にとって、
「自分が『合理的でなくてもそうしたいから』」という動機で行った、初の一大決心の行動でもある。
実は莱香の一般人から見れば一風変わった思考や、感情の表れにくい表情については、
元を糺せば学者である両親の思考の影響か、
「普通の人がかかずらう様な些細な感情論やフィーリングを排した理詰め思考」を
とことんまで突き詰めて育ってきてしまった為で、普通の人が何気なく行う行動にも
『もっともらしい合理的な理由』があるのだろうと考えるが、何事も理詰めで考えてしまう莱香は、
感情や衝動から起きた不合理な事に関してはその辺の機微を理解できなくなることがしばしばあり、
(上述の胸の痛みや動悸も、初めは大真面目に「心臓病に罹患したのではないか」と疑っていた)
そこら辺のズレからくる行動が「奇行」という形で周囲に捉えられてしまうのである。
無表情でそういう事に無頓着に見られがちな彼女ではあるが、実は自分のそういう面も
その理詰め思考ゆえに自覚しており、人知れず思い悩んだりもしていた。
ちなみに彼女がロ研に入部したのも、
会長の佐古がこれまで周囲にいた『ありきたりの普通人』とは違う行動原理の『変わり者』であった
ことと、そんな彼のサークルが『路上観察研究会』という人間観察っぽいことをする(・・・というのが建前の)
サークルであったことも大きい。
2年に上がって祐太や仁村と出会い、小鳥遊家やそれを取り巻く人々と親しくなっていくにつれ、
ごく少しずつではあるが、自分の中で理解できなかった「感情」もわかるようになり、
表情も少しずつだが豊かになってきている。