概要
羽王戦争とは空龍街をシマとする天羽組と関西最大の極道組織天王寺組の抗争である。
京炎戦争同様に長期化する可能性が非常に高いのでこちらで追記していく。
経緯(序章)
野田の襲撃を受けて、動揺が走る天羽組。そんな中で小峠は天羽組の組長である天羽の指示で野田を襲った相手の特定するための指揮を任される大役を担う。
調査の中で小峠は御用達の情報屋である伍代千隼から現時点で周辺一帯で天羽組と事を構えようとするヤクザはいない事と関西最大級の武闘派ヤクザ・天王寺組が関東進出しようとしている事を聞かされる。更に村雨町に天王寺組の一支部がある事を聞かされ、質問状で事のあらましを伝え話し合いの機会を設けられる。
天羽が自ら出向き護衛に小峠と和中が支部に赴き支部長の錦戸らと話を投げかける。しかし、返ってきたのは惚けた返事と野田をコケにするような戯言だった。これを聞いた天羽は激怒するも、錦戸らは自分達が正当防衛であり落ち度全てを天羽組に擦り付けんばかりに構成員らと共に銃を向ける。窮地に追いやられたものの、和中が機転を利かして天羽を守り凄まじい強さと斬撃を持って錦戸もとい村雨町の一支部を見事に壊滅して見せた。同時に天羽組は野田を襲撃したのは天王寺組と確信して事を構える体制を取り始める。すると小林は「大阪へたこ焼き食いに行ってくる。」と言って大阪へ向かった。
一方、今回の事件が天王寺組の本部や組長と若頭の知る事となり、こちらも本腰を入れていく姿勢を取り始めていく。
小林と速水は野田襲撃事件の真相を調査するために大阪へ向かう。大阪へ到着後、小林は関西の情報屋にして旧知の仲である南原の下を訪れる。すると南原から天王寺組が老舗極道・栗林組と喧嘩中であり、天王寺組支部の一つを担う今田が関東進出のプロジェクトを任されている事と兵隊確保のために栗林組を手中に収めようと躍起になっている事を知る。小林はすぐにカシラの阿久津に栗林組の組長・神成とコンタクトを取ってもらえるように頼み接触する事が叶った。神成も天王寺組を打倒したい思いを持っていた事もあって情報提供を快諾してもらえ、栗林組の現状と窮地を共有された。
小林は野田を襲撃した実行犯の証拠を抑えるため、自身が栗林組の一員として振舞いながら、天王寺組の一支部を担う今田の下へ神成と共に赴く。対する今田も神成と小林(この時点では小林が小出水と言う偽名を騙った)の２名と変な気を起こした際に鎮圧できると踏んで話し合いの場を設ける。
交渉が始まると神成が自身の組の現状を見て手打ちと関東進出の協力を申し出て、今田はその話を受けようとする。
その中で今田は関東進出の足掛かりで天羽組を狙っている事と天王寺組が(野田襲撃に限った話だけでなく、)大義名分をでっち上げるために関連のヒットマン組織に敵幹部の襲撃を依頼した事を明かした。前もって神成にボイスレコーダーを仕込むように指示しそれを知った小林は本性を明かし部屋の中にいる拳銃を持った構成員十数名と交戦する。すると小林は圧倒的な戦闘能力とセンスで今田と構成員らを全滅し、増援が来る前に撤退する。小林が予め指示された速水が完璧なタイミングで車を用意した事もあって追走を振り切った。
先の大阪出張で天王寺組の一派閥である今田派の壊滅と野田を襲撃した真相が含まれた証拠を持って天羽組に帰還した小林と速水。確証を持って天羽は天王寺組との全面戦争を決意する。天王寺組の失墜と渡世の信頼を得るため、小峠と飯豊は関連組織に「野田を襲撃したのは天王寺組である」と言う旨の書類を送付する。同時に天王寺組も本腰を入れる運びとなった。
小峠は同じく天王寺組と揉めている栗林組の組長である神成から、天王寺組が抱える武闘派派閥が2種類あり伍代の調査でその戦力を知る事となり、規模では劣っている事と天羽組の住所が割れている事を危惧し始める。
そんな中で天王寺組の構成員2名が前触れなくマシンガンを持ってカチコミされ、天羽組の構成員4名を始末してしまう。天羽が出先から帰ってきた所と言う最悪のタイミングだったものの、同行していた南雲の機転と戦闘能力を持って迎撃し、1名を撃破する。もう一人は逃走するも、事務所を襲撃された怒りに燃える小峠の銃撃で見事に抹殺した。
その日の夕方に小峠の下に一本の連絡が入り、飯豊と共にある場所へ駆け付ける。
生死の境を彷徨っていた野田が意識を取り戻したのだった。
舎弟4名を殺られた報せを受けた野田の決意を受け、小峠らは天王寺組との激しくなる戦争に身を投じると改めて決意するのだった。
経緯(城戸派編)
天王寺組との戦争を控えて準備をしている中、空龍街に「空龍ガーディアンズ」と言う自警団が台頭するようになる。天羽組は守代と引き換えに店の厄介事を守っていた顧客から格安さと羽王戦争が控えている事の風評被害を恐れ次々と契約解除を申し出されてしまう。最初は天羽の意向もあって割り切っていたものの、その時から守代を払っていたお店が次々と半グレ集団やチンピラ客のトラブルが激増したと言う報告を受けた。最初はしっかり守ってくれたものの、出動要請の多さを理由に守代の値上げを迫られ店の経営を圧迫する事を懸念した店の店長が契約解除を申し出た瞬間に、壊滅寸前までの被害を受けるようになったと聞かされる。調査の結果、羽王戦争に乗じて空龍街の利権を奪おうとする半グレ集団のマッチポンプと知る事となった。
小峠は須永と飯豊らと一緒にカチコミを仕掛け、リーダーの軍隊格闘術に翻弄されかけるも、須永の芸術的で狡猾な戦法で見事に壊滅させた。最終的には元々の顧客も戻ってくる事になった。
一方、天王寺組は組の武闘派一派の一つでありリーダーの城戸が15人の部下と因縁を付けてきた半グレ集団の一つを抱き込んで村雨町に支部を作り、着々と天羽組との戦争に備えていく。
天王寺組は関東侵攻に本腰を入れていき、武闘派の一つである城戸派が始動していく。リーダーである城戸は天羽組組長の天羽と若頭の阿久津、支部や派閥を単独で壊滅させた和中と小林、そして上層部と末端の仲介役である小峠の始末に乗り出し城戸派の中心戦力である韮澤伸次郎が名乗りを挙げる。
そんな中でも小峠は抗争とシノギに勤しむ中、舎弟である宇佐美と後藤が仕事中に韮澤に拉致されるトラブルが起きてしまう。韮澤の恐怖に怯えた後藤は小峠のシノギルートを口走るも呆気なく殺害され、宇佐美は痛めつけられながらも逃げ切る。
韮澤はシノギからの帰路につく小峠を見つけ気配を消して銃撃するも、抗争中の中で感覚が研ぎ澄まされた小峠は紙一重で躱し、そのまま戦闘に発展する。しかし、小峠は躱すのと引き換えに額を真一文字で裂かれて大出血を起こし視界が狭まってしまった上に右太腿を撃たれてしまい、得意の銃撃戦もコンディションの悪さと韮澤の強さに追い込まれてしまう。接近戦に持ち込まれ小峠は深手を負わされ手にかけられそうになった瞬間、一台のタクシーが韮澤に向かって行く。運転していたのは、韮澤から逃れた宇佐美だった。隙を見つけ視界を取り戻した小峠は銃撃するも韮澤は躱す。しかし、韮澤は躱した先の事を考慮しないまま動いたせいでタクシーに轢かれてしまう。大ダメージで動けなくなった韮澤に小峠は銃の嵐で韮澤を屠る事に成功する。
天王寺組との戦争が激化する中、住所が割れている天羽は阿久津や工藤から身柄を躱してもらう事を進言されるも、自分は退かない代わりに妻であり姐さんである京子の身柄を隠す事を決める。同時に抗争の際は京子の護衛に付き、天羽夫妻の養子である永瀬が本格的に参戦する事になった。
一方で天王寺組は末端ながら猛者として知られる沼田が上京の際に雇った情報屋の調査結果をもとに天羽を見張ろうとするも、永瀬に察知された挙句にその情報屋は情報を吐いてしまう。
その後永瀬は飯豊を連れて沼田のヤサに突撃し、遭遇した沼田と戦闘に発展する。沼田の予想以上の実力に驚きつつも、沼田もとい天王寺組の下卑た考えや野望を聞いた永瀬はその醜悪さにブチ切れ、育ての親を守り抜くために烈火の如き怒りを見せて沼田を圧倒し抹殺した。
天王寺組との抗争が激しくなる中、女装ヒットマンの香月が周囲に黙って天王寺組の情報収集に勤しむも、余りの入れ込み具合に小峠達は心配を隠せない。そんな中、香月の兄貴分であり才能を見出した野田の助言で須永と一緒に香月を説得する。同タイミングで天王寺組が大阪から東京に進出したキャバクラ「Coo」が竜桜町の地下に天王寺組のヤサがあると言う情報を掴んだ香月は須永に頼み込んで潜入する運びとなる。
潜入に伴い香月はチェックを通り過ぎるために武器やGPSを捨てざるを得なくなるも、敵陣の懐に入り込む。酒席となった地下で香月は構成員の一人を誘惑してスマホを奪いショートメッセージで小峠達に居場所を伝える事に成功する。後に路地裏まで誘き寄せ、仕込んでいたアクリルナイフで始末する事に成功する。天王寺組の戦力を削ぐため、香月はもう一度暗殺を決行するも、そこには天王寺組の幹部であり城戸派のナンバー２である浅倉潤が待ち構えていた。香月は同じように路地裏に誘き寄せるも、城戸は僅かな隙を察知して躱す。戦闘に発展するも、得意の拳銃をチェック時に没収された香月にとって浅倉の強さは凄まじいものだった。香月は時間稼ぎのために誘惑するも、浅倉は冷徹に香月を追い込もうとする。大ピンチの香月の前に現れたのは、須永だった。須永は浅倉に囁き作戦で始末を試みるも、浅倉にはまるで通じなかった。それでも、香月を助け出す事に成功した須永は煙玉で逃走する。
香月は命を落とす事はなかったものの、浅倉の底知れない戦力を垣間見る事になった。
天王寺組の戦闘集団である城戸派が侵攻してくる中、村雨町に拠点を構え工藤の恩人である元宮が仕切っている元宮組に協力を仰ごうと動く。話し合いに赴く阿久津と工藤だが、そこで不意に元宮組の構成員数名に襲われてしまう。その裏では元宮組の若頭である美濃部が仁義だけでは生きていけない考えを確固としている中で城戸派の中心戦力である苅込に裏切り話を持ち掛けられた事が原因だった。苅込の資金援助や成功した暁には東京支部の上層部のポジションをちらつかされた事で美濃部は乗ってしまった事で実行に移す結果となった。阿久津と工藤は銃で撃たれかけるも、違和感を感じた元宮が咄嗟に工藤を庇った。怒りに震える工藤は美濃部を切り裂き、阿久津も銃で応戦し構成員一人を捕まえて制圧する。美濃部は工藤に苅込から話を持ち掛けられた事と仁義を捨てた後悔を呟きながら絶命した。
そして、工藤を守るために銃弾を何発も受けた元宮は僅かな命になる中で、部下の不始末を詫びながら工藤への感謝と「任侠とは命を懸けてでも恩義を返す事」と説き、阿久津に看取られながら工藤の腕の中で命を落とした。
苅込がぶらつく中、和中が討伐に現れた。苅込は大物が来た事を嬉しく思い裏社会最強の剣豪を決めようと陽気に振舞うも、野田の襲撃や舎弟4名の殺害、そして元宮組に手を出されて怒髪天の怒りを見せる和中の居合は1秒にも満たないスピードで苅込の右腕を切り飛ばす。それでも意地を通して抵抗しようとする苅込だが、和中は容赦なく袈裟切りにして葬った。
天王寺組の頭脳である高見沢が静岡に出没する事を知った天羽組は静岡に出向く事を決める。静岡の極道組織である生瀬組の武闘派である本田の協力の下に小峠と飯豊が赴く。そこで本田と作戦会議を行うも、そこで衝撃の事態が襲う。
狙いすましたかのように天王寺組の武闘派であり時期幹部候補である鳶口を筆頭に奇襲をかけてきたのだった。
実は生瀬組の構成員の一人である小谷が鳶口に唆されて裏切っていたのだった。激しい銃撃戦の中、本田の近くに裏切った小谷が至近距離に潜み本田を刺すのだった。仕留めようとする飯豊を本田が制し、本田は小谷に渇を入れて組の未来を、小峠に自分も一緒に敵を道連れにするように懇願する。本田は鳶口に飛び掛かり銃で右腕を捥がれナイフで心臓を刺されるも、最期の力を振り絞って鳶口を抑え小峠は本田諸共撃ち抜く。残りの半グレを始末し、小谷には本田のためにも生きるように言い聞かせ、一度身柄を隠すのだった。
高見沢を暗殺するため、計画を練る小峠と飯豊は生瀬組の生き残りである小谷の提案で静岡の情報屋とコンタクトを取る事に成功する。高見沢の所在を掴みかけるも、天王寺組もう一つの戦闘部隊・戸狩派のナンバー３の室屋によって暗殺されてしまう。
それでも小谷の尽力で生瀬組の組長が高見沢と会合する場所を抑える事に成功し、実行に移す。小峠は予め会合の料亭にある庭の中に身を潜め、飯豊と小谷ら生瀬組の中で反乱しようとする若衆2名で派手に攻め込む。作戦通りに進める中、室谷が飯豊らの前に現れ生瀬組の構成員2名を瞬殺し飯豊が応戦するも、力の差は歴然であり飯豊は死の淵に立たされてしまう。一方で小峠は高見沢に向けて銃を撃つも高見沢も同じく銃で応戦する。互いに2発貰う中、武闘派として戦ってきた小峠が堪え切り3発目を浴びせ、不意打ちしようとする生瀬も返り討ちにする。小峠が高見沢を屠りかける瞬間、室屋に乱入され窮地に立たされる。そこへ飯豊が小峠の援護に現れるも、相打ち覚悟の一手も室屋には通じず正に殺されそうになる。そこに室屋へタックルしてきたのは小谷だった。室屋は小谷の背中をドスで滅多刺しにするも、飯豊の銃撃で右耳を吹き飛ばす。
飯豊らの活躍で大きな隙と好機を得た小峠は這いつくばる高見沢に銃の嵐を浴びせ、遂に天王寺組のブレーンを暗殺する事に成功した。
小峠と飯豊は前もって逃走ルートと車を確保して逃げ切り、静岡のヤミ医者の下へ急行するのだった。
そして、高見沢の訃報を聞いた天王寺組の組長と若頭の大嶽が本気になった。
静岡で天王寺組のブレーンである高見沢を喪った若頭の大嶽は城戸派のトップである城戸に猶予1カ月と宣告し、城戸は内心焦りながらこれを受け入れる。天羽組の指揮系統を崩壊させるため、組長の天羽や若頭の阿久津、上級幹部の工藤と高見沢を屠った小峠を狙うために動く事を決意する。浅倉は落ち着く城戸と違い焦燥に駆られ、舎弟を連れて天羽を討ち早期決着を計画する。
浅倉は天羽組の息がかかったホテルによる監視を掻い潜りながら天羽を見張るため、大阪や海外からの観光客を装った演者を用意しその時を待つ。
その中でも天羽は他の組織との義理を欠かさない信条を持って行動し、空龍街の大地主と会合のために護衛に小峠と力を付けてきた舎弟の柏木を付けて出かける。
しかし、義理を欠かさない信条がやはり裏目に出てしまうのだった。
会合場所に向かう途中、最短距離で行く事が天羽を守る事に繋がると踏んだ小峠だが、入り込んだのが人気のない路地裏である事が浅倉に奇襲させる隙を作ってしまう。回り込む浅倉に防弾ガラス付の車で轢こうとするも、浅倉は舎弟に鉄球を投げさせることであっさり突破し、飛び散った破片のせいで車のコントロールが効かなくなったせいで事故を起こしてしまう。
更には事故の際にガソリンが漏れてしまった事で爆発する危険性まで出てきてしまう。舎弟の一人である柏木はそれを見抜き小峠と天羽を逃がした後に自らガス爆発を引き起こし、執念で浅倉の舎弟である古屋を道連れにして果てる。
やがて天羽を離した後に小峠も応戦するも、静岡で負った傷が癒え切っていない事や浅倉の凄まじい強さの前に絶体絶命となってしまう。
万事休すになる中、天羽の連絡で工藤が助太刀に現れて小峠を浅倉から引き離す。そして工藤と浅倉による決闘が始まるのだった。
工藤と浅倉の戦いが始まり、浅倉は自慢のスピードやテクニックで攪乱しようとするも、工藤の身体能力とキャリアに劣勢となる。しかし、浅倉は近くに落ちてたカラーコーンで隙を作り工藤の右頬を切り裂き視界を半分奪い優勢に立つ。浅倉の合理的かつ多彩な攻めに工藤は徐々に劣勢となる中、工藤はドスによる突撃を躱されると同時に自ら武器を手放してボクシングに切り替える戦法を取る。工藤はボクシング殺法で流れを引き寄せ浅倉を追い込んでいく中、浅倉は受けながらも攻撃のリズムを掴みスイングが大きくなった所をドスで工藤の右拳を切り裂く。しかし、工藤の執念は浅倉の予想を大きく超えており、左フックで浅倉の顔面を捉える。それでも浅倉もまた執念を見せてドスや拳銃で逆転を試みるも、工藤は気合いで耐えきる。そして工藤は浅倉の両手を掴み強烈な頭突きを2発浴びせる。王手をかける工藤だが、浅倉も刺しているドスで工藤の腹を更に深く刺そうとするも、工藤は堪え切り3発目の頭突きを浴びせる事で形勢逆転して見せる。
その瞬間工藤は腹に刺さっているドスを使って浅倉の鳩尾を貫き斜め上に切り裂き致命傷を与える。
そして浅倉は遂に倒れ伏してしまい、工藤は小峠に「死なない想いが命を繋ぐ」と諭し、近くにいた速水が駆け付けてヤミ医者の下へ急ごうとする。
しかし浅倉は死の間際に力を振り絞って小峠と速水を撃ち抜き、小峠はいよいよ瀕死となった。焦る工藤の下に信じられない人物が現れる。
浅倉を殺された怒りに震える城戸派のトップ、城戸丈一郎であった。
工藤は死に体の身を押して、速水を逃がすための殿を務めて城戸に戦いを挑む。
しかし、工藤は先の浅倉戦で最早戦える状態ではなく、城戸は容赦なく攻め立てている状況はあまりにも絶望的だった。
それでも工藤は未来ある若い衆を守り切るため、兄貴分としての使命のみで立ち続けて抵抗する。
工藤はファイティングポーズを取り殴り合いを申し出、凄まじい執念と気迫に敬意を持った城戸は応じようとするも・・・
そこにあったのは拳を下ろし、生気を失くしながら、立ったまま往生する工藤だった。
城戸は小峠達が完全に逃げた事と浅倉の亡骸を涙ながらに弔いながらその場を去ったのだった。
工藤が戦っている情報を聞いて和中と須永が探しに出て工藤と見つけるも、立ったまま絶命した工藤を見て激しく慟哭、天王寺組への憎悪を燃え滾らせた。
工藤の訃報を聞いた天羽と阿久津はその身を抉られるような哀しみを受けてしまうのだった。
天羽組の生きる伝説工藤清志は最期まで義理と人情に生き抜き、若い芽を守るため、その生涯を終えたのだった。
瀕死の小峠は何とか闇医者に運ばれるも、長期間に渡り目が覚めないであろう重体となってしまった。
一方の城戸は天王寺組の若頭である大嶽から浅倉の訃報を聞いて進退を不安視するような意見をぶつけるも、城戸は天羽組の壊滅を不退転の決意の心へと昇華していくのだった。
そして、天羽組最悪の一日となったのだった。
なおこの回で司会者の小峠が仮死状態になったため、暫くの間はこの戦争についての話は別の組員（次の話は飯豊）が司会を務める形で続けられることになった。
さらに、ここから天王寺組の逆襲が始まって行く……
工藤を喪い小峠は意識不明の昏睡状態で悲しみに包まれる天羽組だが、それでも奮起して天王寺組の城戸を討つために動く。その中で一際大きく動いているのは天羽の養子であり狂人兄貴の中でも工藤を実の家族のように慕っていた永瀬だった。永瀬は飯豊を連れて天王寺組傘下の半グレを次々倒す中、城戸も動く。
永瀬が半グレ集団を殲滅する中で城戸は部下の仁志と一緒に現れようとするが、同行していた飯豊が小型カメラを仕掛けた事と絶えず見張っていたのもあってその情報をキャッチし、不意打ちで手榴弾を浴びせる。そして永瀬と城戸、それぞれが大切にし抜いた人をやられた怒りに燃える二人の死闘が始まる。
素の戦闘能力では城戸に分があったものの、永瀬はタイマンに見せかけて隠れさせた飯豊に援護射撃させて流れを引き込もうとする。しかし、城戸を討つには至らず永瀬は消火器を銃で撃ち抜いて漏れた白煙を煙幕代わりにした上で濃硫酸を浴びせる作戦に出る。城戸には僅かなダメージにしかならず起死回生の目つきも紙一重で躱されてしまう。万事休すの永瀬、王手をかける城戸に思わぬ事態が舞い込む。
永瀬が起こした炎によって火事が起きた現場に消防車が来てしまった事で戦闘が中断してしまうのだった。
一見すると偶然に見えるが、実際は飯豊が永瀬と城戸がいる現場に放水されるようにオイルライターと火を使って意図的に起こしたものだった。
飯豊は永瀬を強引に現場から連れ出して逃走に成功し、城戸も現場を離れるのだった。後に永瀬は彼が死ぬ事を恐れた飯豊によってヤミ医者に運ばれた事で一命を取り留めたものの、城戸に深手を負わす事も叶わないまま戦線離脱になってしまった。
小峠が重体から見事に復活し、城戸を討つ事に一層燃える天羽組は今まで鳴りを潜めていた城戸派の構成員を撃退していく。そんな中で小林は城戸を探るため、城戸に関係する情報屋の足取りを掴む事に成功し、護衛からの奇襲も返り討ちにし、目的の情報屋を凄まじい恐怖で威圧して毎週水曜日に村雨町で戦略会議を開いている情報を掴む事に成功する。知るや否や、村雨町に和中、南雲、飯豊が乗り込むも、城戸は一向に姿を見せなかった。
何故なら城戸は天羽組と自陣の動きを正確に把握し、隙を突いて天羽組の事務所に赴いていたからだった。
敵陣に乗り込んで暗殺を目論む城戸は門番をあっさり殺し乗り込もうとする中、思わぬ人物が現れる。
「今日の星占いは9位 家で大人しくしてましょうってのを無視してきたぜ城戸ぉ」
「よくも工藤の兄貴をやりやがったな このクソッタレぇ」
天羽組の最強戦力の一人であり、目立った動きを見せなかった須永だった。
須永は工藤を殺められてから誰とも会話せず一人で何か言っているような状況に見えたが、実際は城戸の動きを見据えた行動パターンをあらゆる角度や視点から分析しており、天羽組の武闘派が村雨町に赴いている所を城戸が暗殺のために事務所へ乗り込む事を予見し、それを的中させたのだった。
城戸でさえ躱し切れない銃撃を浴びせる須永。
そして、工藤の敵討ちに燃える須永と浅倉の敵討ちに燃える城戸。二人の死闘が今、始まる。
須永の驚異的な早撃ちを皮切りに戦いが勃発する。戦闘でも遊びを交える須永も深く大きな恩を抱える工藤を斃された怒りに燃えているのもあって、城戸でさえ早々に余裕を失くしてしまうスピードと無駄のない攻めをしていき主導権を握ろうとする。それでも城戸は幾分かのダメージと引き換えにカウンターを仕掛ける事で五分に持ち込む。凄まじい斬り合いになり戦況は過熱する中、手数で劣る城戸は少しずつでも須永の身体を深く中心を斬ろうと試み、須永のバランスを崩し即座に深い傷を負わし、間髪入れずに傷に強烈な蹴りを浴びせる。そして城戸は須永の身体を左斜めに袈裟切りを浴びせて倒れ伏させる。天羽を討つため、深追いせずに天羽組事務所に乗り込もうとする中、信じられない事が起こる。
ほぼ致命傷の須永が凄まじい殺意と狂気を纏って立ち上がったのだった。
今度こそ止めを刺そうとする城戸は須永の胸を刺すが、ほぼ同時のタイミングで須永も城戸の胸を刺された位置とほぼ同じ箇所にドスを刺すのだった。再び城戸は須永の肩にドスを刺すも、相手を見切り攻撃を再現するために敢えて受けていた須永もまた同じタイミングで同じく城戸の肩を刺す。
天羽を討つ事を考えれば限界のダメージを受けるのはまずいと判断する城戸だったが、須永の後ろに一台の車が通ろうとするのを確認し、城戸はそのタイヤに銃を撃ってパンクさせる事で上手いように須永に突っ込ませる事に成功し大ダメージを負わせた。辛うじて動く須永に城戸は息の根を止めんばかりの斬撃を須永に浴びせるも、須永は限界を超えて城戸に同じ箇所に再び深手を負わせて見せた。城戸は拳銃で抵抗し須永は辛うじて車の影に隠れられてしまい、作戦で天羽組の中心戦力を村雨町を中心に別の場所へ向いている中が天羽を討つ最大のチャンスであり、このまま須永とやり合うのはリスクが大きすぎると判断し、須永を斃すより先に事務所に乗り込む事を決断する。須永は抵抗するも、ダメージと出血量が酷すぎて結局行かせてしまった。
そして城戸は天羽組事務所に乗り込み、天羽の首を獲らんと動くのだった。
城戸は天羽組事務所に乗り込み、飛び掛かってきた護衛2名を抹殺し天羽の首を獲らんと動く。そこに現れたのは若頭の阿久津だった。阿久津は拳銃で応戦するも、城戸はほぼ瀕死の状態に関わらず銃で返り討ちして見せ、舎弟である速水と田中も命を懸けて切りかかるも、これも対処する。城戸は二度も自身に刃を向けた速水を手にかけようとするも、そこに現れたのは小峠だった。完治し切っていない身体と車椅子に乗ったまま城戸に発砲する小峠だが、城戸はこれも躱して迎撃する。最早立つ事もおぼつかない小峠だが、工藤の仇を胸に凄まじい気迫で応戦する。城戸も須永とやり合ったダメージが凄まじいものの、小峠を退け天羽の下に向かう。そして天羽に王手をかける城戸だったが、信じられない事が起きる。
出払っていたはずの和中と小林が天羽組事務所に戻ってきていたのだった。
実は城戸が須永との戦闘で内部を見回っていた速水が勘付き、警備が手薄になっている事を恐れ、和中と小林に電話しまくり実情を話した事で間に合ったのだった。
和中と小林は万全な状態に対し城戸は須永との戦いで凄まじい大怪我を負っている事から、天羽を殺して逃走の手配をしていた車に飛び込むプランに変更し再度特攻する。和中と小林の強烈な攻めで王手をかけられるも、隠し持っていた手榴弾で隙を作る事に成功し天羽に肉薄する。しかし、城戸は小林の銃撃でドスを持っている右手の腱を撃ち抜かれ、銃を持っている左腕は和中の斬撃で切り飛ばされる。完全に戦う力を失い立ち尽くす城戸に小林は極大のグリングリーンを浴びせ、遂に城戸は倒れ伏す。
死期を悟る様子の城戸に天羽は、城戸の凄まじい執念と人望の厚さ、組さえ違えばトップを狙える器である賛辞を贈る。城戸は天羽の器の大きさに感動し少しばかり救われた気持ちになり、死に際に天羽らに非礼を詫びる。
そして、天羽組に多くの犠牲をもたらし大きく深い影を落とした天王寺組最強戦力の城戸丈一郎は、生まれ変わったら父の子になりたい願いと浅倉と出会える事を信じ、涙を零しながら天羽らに看取られその命を散らした。
天王寺組の雇った謎の殺し屋によって重傷を受けた野田が完全に現場復帰を果たし、一層士気が高まる天羽組。天王寺組のもう一つの武闘派である戸狩派が東京に進行している中、野田は自身に襲い掛かった殺し屋であるジョンとダンコンビに落とし前を付ける事を決行する。まずは野田が生存・復活したと言う報せをばら撒く事でジョンとダンに認知させる事で腰を上げさせることに成功する。その後は新幹線から車移動する事を読み、小峠と飯豊の協力の下でジョンとダンを見つけ出す。
天王寺組の傘下の半グレ集団が車を回して移動するところを野田の舎弟がキャッチし共有され、尾行を開始する。しばらくして野田は車から降りて入院中に開発したアイスピックドローンを使用し、車に刺さった瞬間、大爆発を起こさせる。ジョンとダンはボロボロになり、野田と戦闘に発展するが、野田の放った銃がダンの避けた場所は飯豊の運転する車の直線上だった。背後から野田を襲った時の意趣返しのように盛大にぶつけることでダンを絶命させる。ジョンも逃げようとするが、絶好調の野田によるアイスピック滅多刺しで屠り、落とし前を自らつけて見せるのだった。
経緯(戸狩派編)
小峠、飯豊、速水が野田の計らいでサバイバルゲームを行っている最中、大嶽が戸狩派の連中に来月にはヤサを作るよう指示。そしてその晩、こちら側が不利となる情報屋を殺害するために戸狩と離別。渋谷は道頓堀の路地裏にて大阪で天羽組とコンタクトを取っている情報屋と遭遇。その後口封じとして渋谷が情報屋を殺害。天羽組は天王寺組に対する行動が判別不可能になり、阿久津がそのことについて天羽に連絡。
そして天羽はこう伝えた。
「間も無く天王寺組が東京に来る。組の全員に伝えろ」
今日、この日をもって羽王戦争は再び動き出し、壮絶な戦いの日々が始まることになる...。
戸狩派が東京に進出するに伴い、天王寺組の若頭である大嶽も前線で指揮を取るために同行する。
綾波町にヤサを作った大嶽らはメインで活動し町の半グレ組織を傘下にしている北大路組を手中に収める計画を進め、実行役には戸狩派ナンバー3の室屋と5年目の構成員である岸本隆太郎が選ばれて現地に赴く。北大路組の組長と武闘派構成員を前にしても室屋は不敵にも傘下に下るように言い放つ。当然拒否されるが、室屋は2時間の猶予を与え、北大路組の組長は天羽組と話し合おうとする。しかし、同時刻に戸狩派の構成員が天羽組事務所に車が突っ込み爆撃される事件が発生する。幸い天羽組の構成員に被害はなかったものの、トラブル解決のために人員を割いてしまったために誰も北大路組と連絡が取れなくなってしまう。リミットが迫り、北大路組の武闘派構成員である関谷と緑川は再び現れた室屋と岸本に戦いを挑むも、岸本の忍者刀による凄まじい実力で殲滅し、北大路組は天王寺組の手中に収まった。
綾波町を支配した天王寺組だが、他の組織は静観を決め込むスタンスを取った事で他の極道組織に狙われる危険性を摘み取った。全ては大嶽の策だった。
天羽組は天王寺組との戦いに再び身を置いていく。
そして、この日を境に天羽組の日常は壊れていく。
天羽組は天王寺組を迎え撃つため、桐島組などの協力してくれそうな組織とコンタクトを取っていく。そんな中、桐島組の構成員である下田と落ち合いあるコンビニに入っていく。小峠は関西弁の男性の言葉を聞いてふと車に目をやると、信じられない光景が映っていた。
天王寺組の若頭・大嶽と戸狩派トップの戸狩が車の中で談笑している場面だった。
ここで二人を斃せば一気に天羽組の勝利を引き寄せられると言う千載一遇のチャンスをモノにせんと小峠らは動く。挟み撃ちしようとするが、戸狩が勘付いた事で阻まれてしまう。その上戸狩の早撃ちで宇佐美は右手を撃ち抜かれ下田は即死となった。戸狩に同行していた構成員も中々の戦闘能力であり、小峠は思うように動けず、戸狩は一瞬で宇佐美に近づきあっさりと制してしまうばかりか宇佐美を人質に取って見せた。大嶽は戸狩の後ろに着いた事で安全を確保し、小峠はチャンスを逃してしまう状況に二の足を踏む。しかし、宇佐美は気合いを振り絞って戸狩に隠し持っていたナイフで刺そうとするも、あっさり返り討ちにされてしまう。一瞬戸狩と大嶽の間に距離が出来た瞬間を小峠が狙い撃つも、戸狩は宇佐美を盾に防ぎ、最終的には取り逃がしてしまう。
戸狩は天羽組の実力を再確認し、大嶽も城戸が苦戦した理由も納得したような結論を持ち、空龍街を火の海にせんと動き出す。
天羽組の若頭である阿久津は親交ある組織との会合のため、南雲と新人構成員である鶴巻が車で同行する。抗争中のため裏道を通っているところにホームレスが飛び出してきた。しかし、ホームレスの目がおかしい事に気付いた南雲は警戒態勢に入るが、鶴巻は迂闊に窓を開けてしまう。そこに待っていたのは、天王寺組戸狩派No3の室屋と構成員である大仁田だった。鶴巻は一瞬で弾丸を数発受けた事で即死、南雲も左肩を撃たれてしまう。車を使い物にならなくされた上に火炎瓶まで投げられ窮地に立たされるが、南雲は銃弾が通る程度まで窓を開けそこから正確な射撃で大仁田を戦闘不能にする。逃走しようとする阿久津と南雲だが、室谷は一瞬にして回り込み、南雲との戦闘に発展する。逃げようとする阿久津を撃とうと大仁田が力を振り絞るが、南雲は察知して始末する。しかし、それは室谷に隙を与える事になり、南雲は斬られてしまい、阿久津も撃たれそうになってしまう。すると南雲は自ら盾になって阿久津を守り、根性を振り絞って迎撃する。しかし、室屋の強さに加え戦闘前から撃たれているのもあって南雲が不利であり、とうとう膝を付いてしまう。南雲は油断を誘うため、這うように距離を取って室谷に足元にあるモノを投げつけた後に消火器を放り出す。南雲は消火器に拳銃で撃ち抜く事で白煙を起こして煙幕代わりにする事で逃走に成功した(煙に紛れて銃撃する選択もあったが、南雲の銃は弾切れだった)。
南雲は逃げる途中で小峠と速水と合流し闇医者に運ばれながら、室屋へのリベンジを強く誓うのだった。
天羽組に衝撃の報せが届く。
天王寺組の室屋の襲撃で大怪我を負った南雲が病院から抜け出したと言うものだった。
大慌てで南雲を探す小峠達だが、当の本人は室屋を屠る計画を練り上げ動いていた。南雲は室屋の住所を特定するため、まずはSNSで（『連続痴漢魔』として）目撃情報を募り、天羽組御用達の情報屋である伍代から天王寺組の戸狩派が目立つ事からホテル住まいはしておらず新規の賃貸契約で名前と住所が漏れる事を恐れていると踏んで、先日乗っ取った北大路組の構成員の住まいをそれぞれ根城にしている事を割り出した。後に綾波町を拠点にしている不動産業者を北大路組の構成員の住所を聞こうとする。最初は渋られるも、その社員は天羽組系列の金融会社で借金をしており、負債を無くす事と引き換えに北大路組の構成員の住所を手にする事に成功する。南雲はSNSで募った目撃情報と目星を付けた構成員の住所に屯するホームレスにお金と引き換えに協力を取り付けた事で、室屋の住所を特定する事に成功する。それでも、抗争中は室屋も厳戒態勢にあると踏んだ南雲は戸狩派が傘下に収める半グレ1名に室谷の趣味嗜好を調査するように脅し、ワインが好きである事を掴んだ事で遂に懐まで入る事に成功する。
そして室屋が扉を開けた瞬間、南雲は銃弾2発を浴びせる事に成功する。扉のチェーンを切って侵入する事に成功し、戦闘に発展する。南雲は部屋の明かりを奪いながら進み室屋はドスで応戦する。室屋は不意打ちでもらった銃撃、南雲は先の戦闘で受けた傷のせいで互いに精彩を欠いたままだったが、南雲は弱みを握った不動産業者から部屋の構造と電球の位置まで教えてもらい、抗争中はカーテンが閉まっている事から暗闇の戦いにできると踏んでいた。そこで南雲は斬り合いで一瞬押し勝ち室屋を後退させる事で部屋を真っ暗にして見せた。暗闇の中、動揺する室屋を他所に南雲は予め暗視ゴーグルを用意していた。音も無く南雲は接近して室屋の片足を切り落とし、意地で抵抗されたものの、完全に制圧した状況だった。
そして勝ったのはリベンジに燃える南雲であり、室屋もその強さと知性を褒め称えながらその命を散らした。
南雲は小峠の助けを借りて一命を取り留めて見せた。そして、戸狩派との本格的な死闘はここから幕を開けるのだった。
綾波町の半グレ達を傘下に収める戸狩派に対し、天羽組は久遠町の老舗組織である丸山組と協力体制を構築しようと動き出す。丸山組の組長である曽根に出迎えられる天羽・阿久津・和中・小峠で会合が進む。そんな中和中は話し合いの場の外に人の気配が増えている事を察知し、問い詰めると衝撃的な場面に変わってしまう。
天王寺組の若頭である大嶽が代替わりした組を的に手を組むように交渉しており、丸山組は天羽組を裏切っていたのだった。
奇襲される天羽らだったが、和中が一手早く動き対処し、敵を殲滅する。小峠は和中の指示で天羽を逃がそうとする中、青山が割って入って来る。小峠と和中は残って足止めし、青山は天羽の護衛に入った。青山は襲ってくる敵を次々倒し、和中は機転と強さで乗り切る。一方の小峠は丸山組の武闘派である双葉と対峙する。和中も認める実力を持つ双葉の前に押されかける小峠だが、小林から「最初から肉を切らせるのは命にかかわるから安易にしない方がいい」や「切り札を使わずに勝つ方法を考えろ」と言うアドバイスを思い出す。小峠は接近戦から銃の打ち合いに持ち込み、五分に持ち込む。一気に懐を取る選択をした双葉に対し、小峠はドスで体勢を崩させ、親指で双葉の右眼を潰す。小峠は流れるように双葉の死角に潜り、致命傷を与える事に成功して勝利する。和中も裏切った曽根の醜聞を聞きながら一刀両断し、丸山組は壊滅する事になった。
一方の天羽は事務所に戻ろうとする中、青山は追手が来ない事に疑問を抱いていたが、その勘は的中してしまう。待っていたのは戸狩派の若き実力者である岸本と戸狩派の副将である渋谷だった。これも大嶽の策であり、絶望的な状況に立たされてしまう。そこに青山はとっさの判断で天羽と飯豊を逃がし追撃を一瞬遅らせ、傷を負いながらも立ち上がる。
青山と渋谷、二人の死闘が幕を開ける。
狩猟刀を握る青山と二振りのナイフを握る渋谷の死闘が勃発する。
突っ込む渋谷に青山は早撃ちで応戦する。渋谷のコメカミを掠らせるも、渋谷は懐に入り込んでのコンビネーション攻撃で青山の頬を裂く。そこに飯豊もドスを持って乱入するも、あっさり蹴り返されてしまう。飯豊を手にかけようとする渋谷だが、青山は飛び蹴りで吹き飛ばす。渋谷は吹き飛ばされながらも天羽を銃撃しようとするも、青山に引っ張られた事で失敗してしまう。岸本は飯豊に狙いを定める中、青山と渋谷は凄まじい闘気を持って再び向き直る。青山の狩猟刀による斬撃は渋谷を以てしても受け切れず、主導権を掴みかける。それでも渋谷は受けながらもナイフで応戦し、優勢に持ち込みかける中、青山は攻撃は通じているはずなのに切れない事に違和感を覚え始める。青山が斬撃を浴びせる中、渋谷は飛んでくる方向に沿って攻撃を受け流しており、これが違和感の正体だった。渋谷は振り終わった青山の腹を深く切り裂き、追い込んでいく。青山は再び同じパターンで攻め、渋谷も同じようなディフェンスで受け流す。そこで青山は渋谷のナイフを切れにくい束を方で受け止め、渋谷の喉笛を鷲掴みする。渋谷は苦し紛れにナイフで応戦するが、体勢が悪いせいでいつもの切れ味が出せず、青山の膂力によって地面に強く叩きつけられてしまう。強敵との戦いに高揚感を覚える渋谷と必ず屠らんばかりの殺気を放つ青山は再び向き合う。青山は同じ手を喰らわんばかりのフェイントと足払いで渋谷の体勢を崩し、落雷の如き斬撃を浴びせる。渋谷は躱すも、胸を斬られてしまい、本気を出していく。
一方、飯豊は岸本とのタイマンにもつれていた。正面切っての戦闘になろうとするが、岸本は天羽に狙いを変える。飯豊は凄まじい集中力と反応速度でそれを阻み、拳銃で応戦する。岸本は敢えて飯豊に追いつけるスピードに抑え、狙い通り射程距離に入った飯豊にカウンターの斬撃を浴びせる。それでも飯豊は気合いで堪え立ちはだかる。
天羽の元に向かう阿久津だが、車を爆破された事でGPSが機能不全になってしまい、嫌な予感を抱きながら爆発で起きた煙を目印にして追いかける。しかし、信じられない事が起きてしまう。
青山と渋谷の下に戸狩派トップ・戸狩玄弥が合流するのだった。
そして、天羽組に悲劇が襲う。
阿久津の葬儀を終え、厳戒態勢の中で組に戻る天羽らと無理を押して葬儀に参列した南雲を病院に送り届ける事に同行する小峠。その中で一人の人間が狙っており、それは信じられない人物だった。
南雲が執念の末に屠ったはずの戸狩派の武闘派・室屋だった。
南雲にやられた時点で最早致命傷で死を待つはずだった室屋だったが、銃声を聞いた近隣住民の通報で救急隊が来た事や最新技術の治療、何より南雲への復讐心で死の淵から復活したのだった。室屋は何とかして命を拾ったものの、右足は切断されたままであり下半身と左腕が全く動かせず、辛うじて動く右腕も激しい震えが残ると言う、武闘派極道としては最早絶望的なダメージを残していた。
見舞いに来た戸狩に不退転の決意を固め、南雲を必ず抹殺すると決意表明する。葬式を終えた後を狙い、車椅子で病院の敷地内にいるのもあって、小峠にバレる事なく接近する事に成功した室屋は信じられない事を行おうとする。
カタギが大勢いる病院でダイナマイトによる爆発を起こすと言う凶行だった。
南雲は一早く違和感やその人物が斃したはずの室屋と勘付き止めにかかる。室屋の執念は最早怨念と言っていいほどに強く、南雲は加勢しようとする小峠を制して室屋を引き離そうとする。南雲は室屋が右腕以外動かないほどの障害が残っている事や起爆装置がある事を察知し、すかさず右腕を斬り落とすが・・・
室屋が仕込んでいた起爆装置は彼の右胸であり、ギリギリ残っている腕で南雲諸共爆破させる。そして室屋は最早原型を留めてすらいない姿になり、無理をし過ぎた南雲は最早助からない大傷を負って倒れていた。
風前の灯火となった南雲は室屋の執念が想像を超えていた事を認める中で、準備期間で行われた天羽組の花見大会で楽しかった日々が走馬灯のように駆け巡り、死にゆく事を小峠に詫び天羽組の仲間に囲まれながら生きた日々を嬉しく思い、「お前は強く生きろ‥‥よ‥」と言い遺し、その命を散らした。
この回は天羽組史上に残る波乱の展開となっており、ストーリー視点を重視するファンからは「死んでしまったのは悲しいが展開が読めず(ストーリーが)最高に面白い」「神回」という意見もあれば、一方で「総集編を含めて3回撃破したと書き(公式サイトでも一時は死亡扱いとしていた)、現場の証拠も揃っていたにもかかわらずこじつけで無理矢理蘇生させ、しかも外道の所業をしながら討たれることも償うこともせず自殺して勝ち逃げした」「胸糞回」という批判的な意見も動画のコメント欄内外で大量に集まっている。さらにキャラクター推しのファンからは南雲と室屋が死んでしまったことに悲嘆する意見もあり、南雲のキャラクターボイスを担当した伊藤タカユキ氏も悲しみの声を上げている。またTwitterでは動画公開直後に「南雲の兄貴」がトレンド入りしており、いずれもヒューマンバグ大学で歴史に残る回となった。
重要な戦力と幹部を失い、泥沼に嵌りかける天羽組に思わぬ人物が現れた。
天羽組とも懇意にし協力し合って来た篠原組の若き組長・宅間であった。この宅間と言う男は時代の波に逆らえず結局自分の組を畳んで渡世から洗ったものの、阿久津の訃報を聞いて再起と天羽組への協力を申し出る決意を固め協力関係になった。宅間は渡世から足を洗ってそれなりの月日が経っていたため、天王寺組については知らないが、同時に内通者として潜り込む作戦に打って出る。狙い通り宅間は天王寺組の内部情報を少しずつ得られるまでになっていき、悟られないように天羽組に情報を渡していく。そして宅間は天王寺組の若頭・大嶽とコンタクトが取れる事が決まり、それは小峠にも共有される。後日宅間は綾波町で戸狩ら護衛を伴っている大嶽と会う事が叶い、宅間を守るために和中や小林ら武闘派が見張りをかける中、突然宅間に付けていたGPSの反応が消えてしまう。小林はGPSが探知できない車に乗せられ、狙い通りの場所に行かない可能性があると指摘し、宅間は志正町にある料亭に案内されるのだった。
何と大嶽は宅間の狙いを厳重に警戒していたのだった。同時にそれは宅間が一発逆転を図るための罠であり、天羽組幹部のスケジュールが入ったスマホをチェックしようとした瞬間に宅間は全力で逃げ出した。その刹那、スマホに見せた爆弾が作動し、天王寺組の構成員一名を殺して大嶽は重傷、戸狩は背中がボロボロだった。軽傷だった宅間はこのチャンスを活かさんばかりに攻め込むが、戸狩は怪我を全く感じさせない動きでカウンターを決める。
大嶽は移動させられ、宅間は戸狩の圧倒的な強さの前に万事休すとなってしまう中、小峠と野田が乱入する。宅間の作戦と抵抗によって、料亭近辺で待機していた小峠と野田は間に合ったのだった。それでも戸狩は抵抗していくが、野田は新兵器「ロングアイスピック」の二刀流で応戦する。そこに戸狩派の若手である岸本も現れた事で、野田はここで大嶽を討つよりも重篤の宅間の命を最優先し、互いに撤退する。
幸い宅間はヤミ医者のお陰で命を拾う事ができ、かつて教育していた小峠に成長を認めた。
天羽組と天王寺組が血で血を洗い合う羽王戦争は、最終決戦が近づきつつある事を小峠は感じ取るのだった。
なお余談だが、この回は一時期『羽王戦争』の再生リストに入っていなかったが、後日に後付けされた。
阿久津亡き今、野田がシノギを取りまとめる中、香月に厳命を下した。
大阪で開催される政治家が多数参加されるパーティに潜入して情報収集すると言うものだった。
香月は速水がかつて天羽組と協力し天王寺組に抵抗していた栗林組の組長である神成からコンパニオン派遣会社の存在を知り、大阪へ発つ。香月の実力や準備もあってスムーズに天王寺組の組長である三國貞治が参加するパーティに潜入する事ができた。その中で、天王寺組が東京侵攻する際に綾波町を根城にしている北大路組を制圧した際、その組長をヤク漬けにしている情報を取る。天王寺組もヤクは御法度である事を知った香月は更に情報を掠めようと近づくが、組長直属の超武闘派である陣内賢斗に目を付けられてしまう。幸い三國の意向で難を逃れ、小峠らと情報共有し、大きく動く手筈を天羽組は整えていく。
一方、先の戦闘で戸狩派の実力者である岸本に敗れ、結果的に見殺しにしてしまった飯豊は療養のみでありながら後悔の念を強めていた。組に入れてくれた恩人であった阿久津の仇を討つため、飯豊は療養の指示を無視して行動に移す。綾波町でヤクをばら撒いている売人を次々に締める中、北大路組の組長がヤクに手を出した事を皮切りに北大路組の組員が次々に嵌っていき、天王寺組がそれに激怒している情報を嗅ぎつける。そしてその実行役は、他でもない岸本とその舎弟だった。
岸本らが通る道に溜まったゴミ袋の山に身を潜めた飯豊はタイミングを見計らって奇襲をかけ、岸本の脇腹にドスを突き立てる。しかし、岸本の舎弟が同じタイミングで飯豊の脇腹にドスを突き立て、飯豊は構う事無く捻り上げ、その勢いで舎弟を屠る。相当な深手を受けた岸本は言葉巧みに隙を作り六角手裏剣を投げつけるが、飯豊はギリギリで躱して突っ込む。岸本は忍者刀で斬るが、先に受けた傷が深いせいで力が入っていないせいで大したダメージを与えられていなかった。そして飯豊は執念で懐を取り、岸本に致命傷を与えて見せた。
片膝を付く飯豊、完全に動けなくなった岸本。岸本は死への恐怖を最期まで呟き、渋谷が用意してくれるお好み焼きを食べれない事の虚しさを零しながら、その命を散らすのだった。
満身創痍の飯豊は何とか小峠と連絡を取り、小峠は現場に駆け付ける。小峠は飯豊の成果を褒め称えながらヤミ医者に運んでいき、飯豊は安堵したような表情を浮かべた。
飯豊が戸狩派の主力である岸本打倒に成功して一命を取り留めるも、度重なる被害と犠牲を出し、気が立つ状況が続く中、毎年恒例の空龍街の大花火大会が開催される時期となった。天王寺組との抗争もあって毎年天羽組が警護できるか分からない状況の中、天羽の方針で受ける事になった。同時に空龍市の市長である岡島への殺害予告が出ている事も聞かされ、その護衛も担う流れになった。そして小峠があろうことか、岡島の影武者をやる羽目になった。
花火大会当日、小峠は野田と工藤亘清らで影武者の準備を整え、和中と永瀬は夏祭り客に紛れて警護に入る事となった。張り込みを初めてしばらくして、長年の要人警護の経験を担ってきた永瀬がフードを被った不審者を見つけて尋問と苛烈な拷問を試みた結果、岡島のライバル議員である田崎の差し金である事が発覚した。天王寺組の手先ではなかったものの、空龍街の祭りを台無しにしようとした刺客に永瀬は過激な制裁を与えるのだった。
演説を控え、一人の男から奇襲を受ける小峠だがこれをいなす。野田の尋問の結果、これも田崎の差し向けであると判明し、複数の証言を得た事で田崎は政治家生命を絶たれるのだった。最終的には岡島の演説は成功を収め、役割を終えた面々はしばしの休息を取る。和中の下に一人の人間が現れた。
天王寺組戸狩派の一員にして、組内屈指の剣豪で恐れられる馬渕春斗だった。
カタギが多くいる場所で剣を交えるのを互いに良しとしなかった和中と馬渕は薄暗く目立たない場所に移し、戦闘に発展する。距離を測ろうとする和中に対し、馬渕は一気に距離を詰め鍔迫り合いとなる。勢いを上げる馬渕に対し和中は表情を崩す事なく全て受け止める。和中は馬渕の力量を測り認めながらも、得も知れない違和感を感じながらも今度は攻勢に打って出始め優勢に立つ。逃げるように後退する馬渕を負う和中だが、馬渕は闇夜に紛れるように気配を消す。警戒心を高める和中だが、馬渕は見事な奇襲をかけるのだった。同じ方法で襲い掛かる馬渕だが、和中は敢えて大木を背にする事で攻撃パターンを限定させ防御に徹する事でこれに対処する。
再び向き合う和中と馬渕だが、音に釣られて森に入ってきた子供達を感じ取り互いに剣を収め、それぞれが自らの勝利を宣誓しながら互いに去って行く。大きな花火を見上げる小峠や和中らの心には、少なからぬ癒しを感じ取るのだった。
逆転を図るため、小林は大嶽のヤサを割り出す目的で天羽へ大阪へ降り立つ許可を求める。天羽は大阪へは調査をメインにする事に加え、天王寺組の組長である三國の意志で戦争を始めたのであれば、天羽組は大阪へ攻め入る事も視野に入れている事を伝えた上で許可をする。小林は速水を強引に引き連れ、現地で調査中だった香月と合流する。後に同じく天王寺組と敵対しかつて協力し合った関西の小規模極道組織の『神成組』の組長である神成と落ち合い作戦を練る。天王寺組は屋形船で大掛かりな会合を行っている事や大規模な分大なり小なり半グレ組織と揉めている状況から、小林と速水は関西の半グレ組織になりすまし調査する作戦に踏み切る。香月の女装時のメイク技術を活かして半グレみたいな格好として、天王寺組と揉めてる『煮苦酔』に入り込む。
担当だった茂木の面倒の下で悟られないように立ち回る小林と速水は天王寺組と金のやり取りをする現場に潜り込むチャンスが舞い込んでくる。そして天王寺組3名の構成員が現れミカジメ料の徴収でアジトに乗り込み、その容赦のなさに茂木らは硬直してしまう。そこで小林と速水が現れ、小林はあっさりと制圧し、天王寺組の会合のスケジュールを聞き出す事に成功する。
添えた情報を香月と共有し合い、天王寺組が参加する会合の屋形船に入り込む手筈を整えていく。
抗争中でもシノギをしていく天羽組に半グレが暴れている情報が入り、その地区の担当を担う永瀬が工藤恒晴を連れて対処に向かう。終えて帰路につく中、一人の男が現れる。
天王寺組の剣豪にして、先日和中と斬り合った馬渕だった。
天羽組のシマで半グレが暴れれば武闘派兄貴が誰かしら現れると踏んだ大嶽が監視を行い、近くにいた馬渕に始末を頼んだため、鉢合わせる事ができたのだった。
馬渕は数少ない灯の街路を苦無で破壊し、永瀬は拳銃で応戦するも、暗闇での戦闘は馬渕の本領発揮できるシチュエーションであり、永瀬は劣勢になってしまう。永瀬は恒晴を逃がし自分も撤退しようとするが、灯のある場所まで誘き寄せ、馬渕は同じ方法で視界を奪う戦法に出る。それは永瀬が馬渕の居場所を炙り出すための一手であり、苦無の軌道から居場所を見切りガスバーナーを投げつける。馬渕は躱すも、炎の明かりで見つけて銃撃する。馬渕は少なからぬダメージを受けヒートアップしかけるが、警察が駆け付けた事で中断してしまう。
一方の大嶽は、30年と言う長い期間を通しながら再度、自身の身体に刻んだ百足の刺青に誓い、天羽組との最終決戦に臨むのだった。
大阪に潜入している小林・香月・速水は天王寺組も参加する屋形船パーティに潜入するための算段を整えていく。香月は最初にコンパニオン派遣会社の面接をしてくれた社長と接触し、何とかして屋形船に派遣してもらう手筈を整えていく。一方の小林も自らも屋形船に潜入して、天王寺組の組長である三國から直接話を聞こうとする事を試みる。速水は三國の周りには強力な護衛がいるから止めるように進言するも、小林は逃げる手筈を速水に頼み、三國の答え次第では滅茶苦茶するスタンスを小林は打ち明ける。速水は天王寺組にミカジメ料を払わされていた半グレの茂木とコンタクトを取って手伝いをしてもらうように働きかけ、翌日小林は屋形船のやる気に欠けているバイト一人にお金と引き換えに制服を借りる形で潜入しようとしていた。
決行当日、小林と香月は屋形船に入る事に成功し、三國も現れる。三國の脇には組長直属部隊に属する陣内と椎名和海が固める中で宴席が始まる。香月は接待の中で天王寺組の情報担当の一人である鳥井を見付け、情報を聞き出そうとするため、鳥井の気を惹いて見せる。一方、三國は護衛を引き連れて屋形船の天井に出て行き、小林はその動向を負う。小林は接客の演技をしながら接近を試みるが、三國の洞察力は想像以上であり、正体を看破されてしまう。
殺気と警戒心を高める護衛の陣内と椎名だが、三國はそれを制し話し合いに応じる。小林は単刀直入に天羽組と天王寺組の戦争についてどう思っているかについて質問する。
三國は30年前に起きた関東極道の理不尽な裏切りと侵攻によって、天王寺組の構成員多数や当時の組長らを殺された事で強い怒りと憎しみが生まれ、大嶽もその現場を目撃している事も知っているのもあり、異常なまでの関東制覇に動く状況を見守っていた。小林も冷静に聞きながら、答え次第では暴れるつもりだった。三國は真理を突いたような考えを言いながら、トップとして大嶽のケツは拭くスタンスを持っている事を小林に伝える。
小林は三國自身に侵攻の意志が無い事を確認するも、三國が大嶽を止めないせいで天羽組に多くの犠牲が出ている事に怒りと殺気を見せ、陣内と椎名も臨戦態勢に入った。小林は天羽に争いを極力しないように言われているのもあって、予めボートを用意していた速水と茂木によって難を逃れるのだった。
一方の香月は鳥井に持ち帰られながらも、鳥井の自宅に入る事に成功する。そして香月は大嶽が赴いている現地に増援として出向く人物として、「杉山陽太」と「藤田和雄」と言う2名が近日に動く事を知り、怪しまれないように去って行った。後に小林らと合流した香月は情報を共有し合い、小林は増援に赴く2名を尾行する事で大嶽のヤサを割り出す事を試み、その役割を小林に救われた元半グレの茂木にやらせる。顔バレしてないのもあって茂木は怪しまれる事なく、杉山と藤田を尾行し、大嶽のヤサは東京侵攻時に乗っ取った『北大路組』の本部だった場所を使用していた事を掴む事に成功する。
小林・香月・速水らが大阪より帰還し、大嶽らのヤサや天王寺組のトップである三國の意向を天羽組全体で共有され、天羽は防衛戦争として打って出るスタンスを貫きつつもヤサが割れた以上一気にカタを付ける方針を決めていく。天羽組は牙を研いでいく中、大嶽に三國から電話が入った。三國から大阪に帰ってきていいと言われるも、長年の悲願である関東制圧を実現すると大嶽は言い切った。そして最終決戦が近い事を戸狩らは感じ取り、空龍街に裏拠点を作り、一気に攻め込む体制を作っていく。
天羽組も野田の指揮の下で須永・和中・永瀬・小林・速水と自身を含めた6名は攻めに、小峠や香月ら若手構成員らは本部の防衛に入り、本格的な襲撃体制を整えていく。
攻めに入る面々を見送る小峠らをよそに、戸狩は天羽組に潜入する裏拠点を作る動きを始めていくのだった。
経緯(最終章・戸狩派ヤサ襲撃)
大嶽のヤサ付近に到着した野田らは作戦の確認、本部の護衛に残った小峠らは張り詰めた雰囲気でいる中、戸狩派トップの戸狩が空龍街を根城にする半グレ組織を制圧し、天羽組を狙う準備を整えていた。
作戦決行日時同刻、永瀬と須永が正面の門に攻撃を仕掛け、戸狩派の守衛3名を瞬殺する。同時に野田・和中ペアも同じタイミングで奇襲をかけ、和中が守衛を一掃し、野田は監視カメラを破壊する事で天王寺組サイドの対応を遅らせる。一方、永瀬・須永ペアは正面の門を突破したが、多くの構成員らに迎撃されてしまう。天王寺組の構成員らは末端まで鍛えられてるだけに苦戦を強いられる永瀬達だが、須永は自ら囮となって永瀬を中に入らせる決断を下すのだった。
一方の大嶽も想定していたようで冷静に振舞い、戦力が分散していると読んで渋谷ら武闘派を合流させて返り討ちを狙うのだった。野田・和中ペアは敷地の広さから大嶽を探すのに苦労している中、野田は前もって戸狩と渋谷の顔写真を行きつけのバーのマスターに見せて「見つけたら連絡して欲しい」と通達しており、予想通り戸狩を目撃した情報をもらうのだった。野田は戸狩がヤサにいない事を幸運に思いつつも、嫌な予感も感じ取っていた。
空龍街に裏拠点を作り終えた戸狩の下に大嶽から同時期に天羽組に奇襲をかけられている連絡が入り、危機を感じた戸狩は戻って守りに入ろうとするが、大嶽は信じられない事を口にする。
天羽組の武闘派が攻め込んでいるからこそ守りが手薄になっており、その隙を突いて天羽の首を獲って来いと命ずるのだった。
人生の恩人と言っていい大嶽に救われた事のある戸狩は動揺と反発の意思を最後まで見せるも、大嶽の鬼気迫る指示を飛ばす。改めて冷静になった戸狩は天羽の首を獲る決意を固めるのだった。
野田も共有されている情報を下に戸狩がヤサに戻らず天羽組事務所を襲う可能性が高いと和中に伝える。天羽らを守るため、戸狩とやり合える可能性がある和中に事務所へ戻るように指示し、自身が残って戦う意思を伝え、和中はこれを受け入れ踵を返す。野田は不意討ちの銃撃を脇腹に受けてしまうが、それでも抵抗して抑えるのだった。
天羽を獲る決意を固めた戸狩は遂に天羽組事務所の正門まで辿り着いたのだった。
大嶽を討つため、裏口から攻めようとする小林と速水。奇襲で門番を倒して中に入るも、想像以上に大嶽をの敷地は広く探すのに手間取うと感じつつも隠れる場所を探していこうとする小林だった。
天羽組の武闘派達が攻め入った事を知り、天羽組事務所を襲撃している戸狩に変わって自ら陣頭指揮を取り馬渕と共に解決に乗り出す。
速水のフォローの中で小林は大立ち回りする中、大嶽を中々見つけられずに腕の立つ構成員との戦闘で少しずつ疲弊していく。その中で小林と速水はある人物と出くわす。
戸狩派の副将である渋谷大智だった。
小林と渋谷、それぞれの仲間をやられた怒りを胸に戦闘に発展する。渋谷は小林でさえ警戒せずにいられないナイフ捌きとディフェンス力を見せ付けるが、小林が円卓をぶん投げて来たところでジャンプ回避する。
しかし、それは小林が確実に渋谷を捉えるための一手であり、強烈な蹴りを受けて壁に叩きつけられてしまう。
それでも抵抗するが、小林のクリエイティブな戦い方の前に劣勢に追い込まれ顔を少なからず切り裂かれてしまうが‥
戸狩に代わって大嶽を守る自分が最後の砦を担っている重責を抱きながら、小林を葬らんばかりの気迫と咆哮を見せ付ける。
再びスタートを切り、ダメージを感じさせない強烈な攻めは小林さえ後退を余儀なくさせ、戦局を有利に傾けようとしていくが、思わぬ事が起きてしまう。
小林に隠れるように命じた天羽組舎弟の速水の銃による不意打ちを受けた事で完全に流れを持っていかれ、小林の実力と作戦の前に詰みかける状況だった。
強がる渋谷だが、停電と戦闘が起きている事を知った馬渕の乱入によって助かった。小林VS渋谷＆馬渕ペアによる数的不利に加え暗闇という状況に発展してしまう。
天王寺組の最強戦力である渋谷・馬渕ペアと向き合う小林は応戦するも、数的不利もあって追い込まれてしまう。それでも小林は和室で戦っている状況から畳を利用した戦法を取り始めた事で持ち直していく。同タイミングで一人中へ潜入した永瀬が小林が渋谷・馬渕ペアとやり合っている現場を目撃した事で、助太刀に入り、小林も逃げの一手を打つのだった。渋谷は大嶽を守るために小林を追いかけ、残った馬渕と乱入した永瀬の一騎打ちに流れ込む。永瀬はガスバーナーとオイルを周囲に巻いて辺りを火の海にする事で明かりを増やす方法に打って出る。馬渕は黒煙に紛れて襲い優位に立つも、永瀬は馬渕の位置把握能力の根源は聴覚の良さと見抜き、至近距離での戦法に打って出る。そこで永瀬はどさくさに紛れて手榴弾を足元に転がし、畳を盾にして自分は防ぎ馬渕を爆撃する方法を試みた。馬渕には外傷を少し与える程度だったが、至近距離で爆撃したのもあって聴覚を一時的に麻痺させる事に成功する。永瀬は間髪入れずに閃光弾を浴びせ、馬渕の視覚と聴覚を同時に封じる狙いを実現させる。それでも馬渕は抵抗するも、永瀬は懐を取りドスで貫いて見せる。
しかし、余りに接近してしまったせいで馬渕に反撃する隙を与えてしまい、馬渕は苦無・蹴り・袈裟切りのコンビネーション攻撃を永瀬に浴びせるのだった。そこから至近距離での凄まじい攻め合いになり、互いに限界ギリギリの状態になってしまう。
それでも永瀬と馬渕は生への渇望を抱きながら更なる力を振り絞る。項垂れかける永瀬、勝利を確信する馬渕。しかし永瀬は「限界の先にまだ極限がある」と工藤から教わったことを思い出して最後の力を振り絞り、馬渕の喉仏へ強烈な貫手を打ち込んだ。これが決定打となって馬渕は遂に倒れた。
しかし、永瀬の方も戦う力も残されていないまま大の字に倒れ伏せ、燃え盛る部屋の中で死を待つ状況となってしまった。尚、ナレーションの中でも永瀬が「死んだ」や「人生を終えた」等と死亡退場するようなアナウンスはされていないため、生死不明の状況である。
天王寺組ヤサの敷地内を駆け巡る野田の前に満身創痍の永瀬と馬渕を見付ける。匍匐前進で逃げようとする馬渕に対し野田は拳銃を向けるが、動けない馬渕を利用して人質に取る作戦に打って出た。野田は車の手配と天王寺組が使っているヤミ医者の紹介をしろと脅しをかけ、駆け付けた天王寺組の構成員である似鳥ら数名に脅しをかける。それは野田が部下である永瀬の命を救うための一手でもあった。
馬渕は声を振り絞って自分を見捨てるように訴えるも、似鳥は馬渕の命を優先して条件を呑んだ。野田は天王寺組が用意した車に永瀬と馬渕を乗せ、武器を全て回収させた上で発進させる。この事態は大嶽も舎弟を通じて把握するが、同時期に永瀬と馬渕は天王寺組お抱えのヤミ医者に運ばれ、手術に入るのだった。しかし野田は似鳥の運転した車を乗っ取り、最速で天王寺組のヤサに戻るのだった。
一方、永瀬を中に入らすために殿を務めていた須永が大量の天王寺組構成員らとやり合うも、既にボロボロだった。流石の須永も天王寺組の鍛えられた多くの構成員を相手取るのは非常に厳しかったが、ふとしたきっかけで自己犠牲に目覚め、二丁拳銃で迎え撃つ。
経緯(最終章・天羽組本部襲撃)
前線に出向く武闘派狂人らと本体に緊張状態が続き天羽の疲労も隠し切れなくなる中、香月は息抜きにと思い夜風に当たって気分転換を提案する。受けた天羽は香月を護衛に付けて外の庭に出て、小峠らも警戒を強める。
しかし、大嶽の指示で戸狩は天羽組事務所付近で監視カメラを上手い事動かして見つからないように立ち回り侵入して見せる。戸狩は警護に就く構成員を躱す中、息抜きで外を歩いていた天羽と香月を偶然発見する。戸狩は音も無く銃撃するが、違和感に気付いた香月によって空振りに終わってしまう。香月と戸狩の戦闘に発展するが、正面切っての戦闘では戸狩が香月を圧倒し、更には天羽の片足にも被弾させる。同時期にモニター室で張り込んでいた小峠らも戸狩の奇襲に気付き、対処に動く。香月は戸狩から天羽を逃がすために抵抗するも、乱発し過ぎたせいで戸狩にタイミングを掴まれて接近戦に持ち込まれてしまう。素のパワーや体格差では完全に劣る香月は強引に胸を切り裂かれてしまう。追い打ちの袈裟切りを受けた香月は敷地内の池に落ちてしまうが、戸狩は天羽の首を獲る事を優先するのだった。
斃れたと思われた香月はギリギリで致命傷を避け、池の中に身を潜めながら銃撃し戸狩の身体を掠めさせた。しかし、香月の抵抗はダメージと出血が重なる余りそこで止まってしまい、池から這い出るほどの体力は既に残されていなかった。
小峠と亘清は天羽を見付けて介抱しようとするが、戸狩の銃撃に晒されてしまう。亘清は脇腹に被弾されてしまい、小峠は地力の差で劣勢に立たされてしまう。戸狩は最短で天羽を殺すために正面突破を狙うが、覚悟を決めた小峠は正面から向き合い特攻するのだった。
しかしそれは、厳しい現実の呼び水でもあったのだった。
小峠と戸狩の戦いが幕を開ける。
小峠の凄まじい早撃ちに対し、戸狩はギリギリで躱して更なる早撃ちを見せて懐を取る。小峠は戸狩の斬撃を受け止めるも、流れるように飛んで来る肘鉄や六角手裏剣をまともに受けてしまう。小峠は天羽や工藤を守るために銃撃しながら特攻し、戸狩はジャケットを目晦ましにしながら懐を取って見せ、主導権を握り小峠を追い詰めていく。
小峠は執念で抵抗し銃撃戦に持ち込むが、それでも戸狩の方が何枚も上手だった。精神的に追い込まれる小峠に今は亡き兄貴分である南雲から「戦局でも視野を広く持てば誰が相手でも勝ち筋はある」と言う言葉を思い出す。そして小峠は天羽らや戸狩の状況を鑑みて再度特攻を試み、斬り合いに持ち込む。斬り合いとなれば戸狩の土俵になるも、小峠は更なる可能性を見出すために足掻きながら思考を巡らす中、戸狩は天羽の姿を目撃してしまう。戸狩は小峠を六角手裏剣で抑えようとしながら天羽を獲る事にシフトしかける。そこで小峠は距離を取り、戸狩は天羽に拳銃で命を奪う行動に移る。
戸狩が天羽に目を向けると同時に、意識を切らさせた小峠からの銃撃を遂に浴びせる事に成功する。
小峠は今は亡き兄貴分の一人であり、「弱者だからこそ盤面を覆す術」を心得た工藤清志の教えを思い出してドスを持って突っ込み、腕を貫かれながらも肉薄し遂に戸狩の鳩尾を捉える。抵抗の気力を感じた小峠は蹴りで突き放しながら戸狩の動きが止まった事を確信するが、戸狩は当たり前のように立ち上がる。
「鋼鉄の戸狩」の名を冠する戸狩玄弥のタフネスや底力は小峠の想像を大きく超えていたのだった。
戸狩はまだまだ戦える状況で小峠は虫の息と本当の意味で絶望の淵に立たされてしまった。強烈過ぎる戸狩の踏み込みと斬撃は粘りや精神力を称えた小峠を深々と切り裂いたのだった。
だが、小峠の命を懸けた抵抗は何一つ無駄ではなかった。天羽組最強の剣士にして最高戦力の一角である和中が間に割って入ったのだった。
小峠がやられた様相を見た和中は怒りに震えながら戸狩と向き合う。天羽組の和中蒼一郎と天王寺組の戸狩玄弥、二人の戦いは壮絶を極める事になっていく。
そんな中、天羽組に構成員としての内定が決まっていた茂木功志郎が天羽組の事務所に手土産を持って赴いた所、普通ではない状況を感じて入っていくと、戸狩に敗れ池に浮かぶ香月の姿が飛び来む。茂木は香月を助け出し、通りかかった天羽組の若衆である宇佐美によってヤミ医者に運ばれるのだった。茂木は事の状況の重さを感じて進むが、そこには天羽組最強戦力の一人である和中と天王寺組最強戦力の一人であり戸狩が相対している場面だった。
戸狩はまだ息のある小峠を撃ち殺そうとするが、和中の苦無がそれを阻んだのをきっかけに戦いの火蓋が切って落とされる。和中と戸狩、互いの力を出し合う中での斬り合いの中、天羽組に入門を希望し偶然見ていた茂木が小峠の容体の悪さを悟り、勇気を振り絞って助けに向かう。和中は戸狩が茂木を狙う動きを利用された上に腹部を六角手裏剣で刺されてしまう。茂木は小峠を戦場から連れ出す事に成功するも、和中は不利のままだった。
その中で和中は何故天王寺組が、関西極道が東京侵攻をするのかを自分達に恨みをぶつける意味がないのを前提に問い質すと、戸狩はどれだけ和平を結ぼうが東京が大阪を下に見る限り歴史は繰り返されると吐き出し、天王寺組の恐ろしさを関東極道に思い知らせて負の歴史を断ち切ると断ずるのだった。それに対し和中は「(敵視している)犠牲者を出せば東京側が大阪側に恨みを抱き、怒りは引き継がれたままでは永久に戦争は終わらない」と言い切るのだった。戸狩はその考えを決して曲げんばかりの答えをぶつけるが、和中はその負の歴史のために若頭の阿久津、兄貴分であり恩師の工藤、共に戦ってきた南雲、そして多くの舎弟達を殺された事実に改めてその憤怒の炎を大きく燃え上がらせるのだった。
戸狩は早撃ちで応戦するも、小峠や茂木を逃がせた和中は足枷を外したかのようなスピードとキレを見せ、それは戸狩の背筋に寒気を感じさせるものだった。遂に和中の斬撃は戸狩の胸を切り裂くまでに至った。自分が受けた傷と和中の想像以上の強さを目の当たりにし、戸狩の纏う空気が完全に変わるのだった。
一方、天羽は亘晴に連れられもう少しの所で戦場から抜け出せそうなところで、小峠を背負って走る茂木と合流する。天羽は茂木から小峠の状態と和中が戻って戸狩と戦闘している事を知ると、亘晴に小峠をヤミ医者に運ぶように命じる。そして天羽は戦場で戦う部下の想いに応えるため、自ら戦場へ戻るのだった。
天羽組の和中蒼一郎、天王寺組の戸狩玄弥、二人の本当の戦いはここから始まるのだった。
和中と戸狩の死闘は苛烈さを増していく。
互いの手の内を見せながら身を削る中、戸狩は和中が正統派な剣士であると踏んで攻撃パターンが限定していける可能性があると踏んで立ち回ろうとする。戸狩は銃でペースを掴んでいき、和中の身体を更に削っていく。不利な状況になる和中はそれでも尚、握る日本刀に力を込めて戸狩と向き合い、再び突進する。そこで戸狩は躱しながらフェイントを織り交ぜる戦法を取り、和中の頬に六角手裏剣を突き刺すのだった。戸狩の追い討ちの斬撃によって、いよいよ和中は窮地に立たされてしまう。一方の戸狩も先の小峠との戦いで受けたダメージや傷を引きずりながらも余裕の表情で取り繕うのだった。同時に和中に向けて、関東極道が関西極道を侵略する繰り返す歴史の連鎖を断ち切りたい信念をぶつける。
それを聞いた和中は亡き阿久津と対話した際、「将来どうなりたいか？」との夢を言われ、当時はもっともらしい答えで返したものの、阿久津の訃報を受けてその夢を自分が守り抜くと遺体の前で決意した時の瞬間を思い出すのだった。和中は関西極道の人知れないながら凄まじくも独善的な考えの下で大切な人達を失った憤怒を曝け出すのだった。そして戸狩と向き合い構えるのだった。
それは先の戦争で斬り合ったライバルと認めた二刀流の阿修羅相手に見せた必殺の構えだった。
戸狩の銃撃による奇襲も、和中は戦いの中でそのタイミングを掴んでいるのだった。そこで和中は音さえ置いていくような踏み込みで戸狩の懐を取ろうとしていく。戸狩は煙玉で牽制するが、和中は一定影を掴んだのもあって迷いなく神速の突きを繰り出す。しかし、その突きは戸狩の左腕を貫いただけに過ぎず、強烈な斬撃を浴びられてしまい、和中は胸と左腕を深く切り裂かれてしまうのだった。和中は既に強力な戦闘能力を見せるのが奇跡なほどの深手に対し、戸狩は重傷を負って尚も落ちる素振りのないパフォーマンスを見せる様子に、勝負の天秤は戸狩に傾むこうとしていた。
その時和中の頭に過ったのは、羽王戦争で命を落とし仁義を教えてくれた兄貴分である工藤による「死に方を決めりゃ そこに勝ち目は転がっている」と言うもの。同時に和中の目には更に強く深い決意を宿しドスを構えた戸狩と再び向き合う。和中は神速の如き踏み込みで切り裂こうとするも戸狩はこれを外す。和中は一呼吸で逆袈裟で戸狩の胸を切り裂くも、戸狩はそれを読み耐え切った上で和中の腹を深く突き刺すのだった。瞬間的に和中は日本刀を放し、その手で戸狩の手首を取や否や、合気道による返し技で戸狩に大きなダメージを与え、転ばした瞬間に和中の蹴り降ろしで戸狩の延髄を撃ち抜く。
それでも戸狩の命を刈り取るに至らず逆に抵抗されて距離を取られてしまう。しかし、戸狩が積み重なって受けたダメージは最早瘦せ我慢だけでとても誤魔化せるモノではなかった。死の淵にたった戸狩が魅せたのは、自分が天王寺組の未来を背負い守っていく覚悟そのものだった。
最早互いに三途の川に片足付けたような状況になる中、居合の構えをしながら突っ込む和中に対し戸狩は拳銃で逆転の一手を狙うも、和中は地面を転がると言う予想外の行動に打って出る。戸狩は瞬時にドスによる接近戦やカウンターを狙う体勢を取り、見事に和中の居合切りを外して見せるのだった。
しかし、和中が振るったのは日本刀ではなく、戸狩に刺された六角手裏剣であり、戸狩を出し抜くフェイクであり、意趣返しと言わんばかりに戸狩の頬に突き立てるのだった。
戸狩は構う事無くドスで和中の左目を切り裂く反撃を見せるが、和中は愛する天羽組の仲間を守りたいただ一心の信念の下に腰に残した日本刀での居合斬りを放つ。戸狩は対処しようにも、和中の想像を超えた執念と小峠との戦いで受けた傷のせいで反応がほんの僅かに遅れたのだった。
和中の全てをかけた一太刀は戸狩に致命傷を与え、戸狩はとうとう倒れ伏すのだった。
極限の和中、最早指一本動く事も叶わない戸狩。
極限の死闘の末に勝利したのは、天羽組の和中蒼一郎だった。
経緯(終幕)
渋谷の追走を振り切った小林と速水。小林は渋谷が大嶽を狙ってくる事を危惧して、渋谷が進んだ方向に大嶽が潜んでいる事を見抜く。
小林と速水はその場所に辿り着くと、渋谷は舎弟らと共に脇を固めている状況だった。小林は自身のダメージと敵の増援が来てしまう事を鑑み、正面突破を決意する。それを見た速水も死なば諸共と言わんばかりの決意を抱き、特攻を決意する。
そして、天王寺組の執念を今正に見せようとするのだった。
小林は奇襲で銃撃するが、大嶽を守ろうとする天王寺組の人員は渋谷を含め皆優秀だったのもあり、応援を呼ぶ隙を与えてしまう。そこで小林は草木を抱えながら突っ込み速水は援護射撃するが、速水は返り討ちで肩を怪我してしまう。それで一瞬の隙を突くかのように小林は草木を渋谷らに投げつけて視界を奪う。小林は奇襲しかけるが、渋谷に乱入されて未遂に終わってしまう。それぞれの陣営が迂闊に手を出せない中、小林は最初に渋谷とやり合った際に見せなかった力で押し込んでいく。渋谷の舎弟による不意打ちを小林は躱すも、渋谷に反撃する隙を与えてしまう。小林を追い込まんばかりに天王寺組の若衆達も銃撃しようとするも、速水も銃撃で抑える。
一方、大嶽も策を巡らせる中で大局的な思考で考えを巡らし、天羽組サイドで脅威なのは小林のみと判断した大嶽はある決断を下す。
決着を着けんばかりの信念で前線に出るというモノだった。
渋谷は正門で須永と撃ち合っている部下らに大嶽の防衛と小林の打倒に人員を回す指示を飛ばすも、須永の奮戦がそれを阻む。小林もまた集中力をさらに上げて反撃するが、信じられない光景を目にする。
臨戦態勢を整え、部下に𠮟咤激励する大嶽の姿だった。
大嶽を守らんと更に気合いを入れ直す渋谷、大嶽が態々出てきた事を嬉しく思い笑みを浮かべる小林。最高潮を迎える羽王戦争。
小林と速水は天王寺組の若頭にして関西極道の悲願の権化、大嶽の執念を目の当たりにする。
天王寺組の若頭である大嶽が前線に入った事で、更に気合いを入れる渋谷達。攻め手を強くする天王寺組サイドに対し、小林は手榴弾を投げつける作戦に打って出る。渋谷は小林を牽制しながら手榴弾を捕まえ手前で爆発させる事で被害を最小限に抑える。小林は手榴弾の煙で奇襲をかけるも、大嶽参戦による天王寺組再度の士気の向上で逆に失敗してしまう。銃撃戦を脅威に感じた小林は隠れていた木に登って大嶽を狙い撃つ作戦に打って出る。小林は上った先で銃撃して陣形を乱れさせた後に再度懐に飛び込もうとするが、天王寺組の精鋭達に阻まれかける。それでも早撃ちのスピードでは小林が勝り一人を戦闘不能にしてみせるが、その相手が倒れる寸前で小林の脇腹に鉛玉を叩き込む。間を置かず渋谷が突っ込むが、僅かに頭を晒していた大嶽に小林の銃が襲う。そこを天王寺組の精鋭の一人である高槻が大嶽を庇うも、大嶽は肩に被弾してしまう。小林は渋谷と再び斬り合う流れになるも、小林の大嶽を狙う素振りが渋谷の隙を容易く誘えるようになった事で有利に立っていく。しかし、渋谷は大嶽を守るべく気力を振り絞り拳銃で反撃していき、大嶽らも援護射撃した事で小林を後退させる。互いの戦力や士気が削れる中、ある人物が乱入する。
永瀬らをヤミ医者に担ぎ込んで戻ってきた天羽組の卑怯軍師・野田一だった。
天王寺組サイドも野田の加勢を痛く思うも、野田本人の傷も乗り込んだ時よりも酷くなっていた。
東京侵攻を仕掛ける主導となった大嶽、自身に襲った事で大きな戦火のある種の火種となった野田、因縁ぶかき二人が相対する中、一つの波紋を呼んだ。
天王寺組戸狩派の副将・渋谷大智の腹部に銃弾が浴びせられており、それを浴びせたのは天羽組の舎弟である速水だった。
渋谷はそれでも執念で立って銃で抵抗して一旦退避する。しかし・・・
渋谷の身体は当に限界を超えており、大嶽が呼んだ時にはもう動かなくなっていた。
大嶽は高槻に渋谷ら重体の構成員をヤミ医者に運ぶように指示し、自らが殿を買って出るのだった。
不退転の決意と信念を抱いて殿を務める天王寺組の若頭・大嶽は小林と野田の前に立ち塞がる。殺意を漲らせる小林だったが、野田は自分が襲撃された事がきっかけで戦争が起きたからこそケジメを付けたいと申し出て制し前へ出る。
愛する仲間達を奪われた怒りを胸に抱く野田、退かない思いを胸に抱く大嶽との戦いが始まる。
鬼気迫る気迫で詰め寄る大嶽だが、加齢による弱体化に加え身体能力やセンスでは完全に野田が上回っていた。早くも不利になる大嶽、力の差は明白である事を知りながら抵抗するも、その場で膝を付いてしまう。トドメを刺さんばかりに歩み寄る野田に一人の人物が割って入る。
渋谷にトドメを刺し土下座で静止に入った速水であり、天羽組の組長の天羽による「自分が到着するまで待て」と言う指令だった。
流石の野田も天羽の指示かどうかを疑問に思い速水を問い質す。速水の必死の説得が功を奏したように天羽は茂木の連れ添いで現場到着が間に合うのだった。そして天羽を見た大嶽は力を振り絞りドスを構えて動くも、臨戦態勢と見做した小林が殺しにかかる。そこを天羽が制し、小林の攻めは大嶽の右手を蹴り砕くにとどまり、流石の小林も制止する理由を獰猛に問うた。
そして天羽と大嶽の対話が始まる。天羽は「何故東京を侵略するのか？」の問いに対し大嶽はそれを他所に介錯を申し出る。そこで大嶽は「関西極道の恐怖を染み込ませるため」と応え、「東京の極道は関西の利権を狙うために何度も襲撃や戦争を起こした」と言う当初の目的のきっかけとそのせいで愛する肉親を失った無念と怒りをぶちまける。天羽は天羽組が侵攻してもいなければ「30年前は所属する組員は所属も出産されていない」と打ち明けたのに対し、大嶽はその言い分を理解しつつも関東極道は結局全てが同じであり、「恐怖で抑止して二度と同じ悲劇を出さないためには一定の犠牲はしゃあないやろ」と凄まじい迫力で吐き出す。それを聞いた小林と野田は殺意を滾らせて襲わんばかりの姿勢を見せるが、天羽はそれを制した。天羽は最後の問いをする。
天羽「なぜ当時いなかった組員までお前の言う『怒り』に支配されているのだ」
大嶽は「東京が大阪を見下している事をずっと言い聞かせているから」と吐き出し、天羽は「大阪が抱く怒りというモノは大将のお前を殺せば消えるのだろうか」と憂いを込めて問う。大嶽は「大阪に東京を恨む極道が大勢いるから自身が死ぬ事でその怒りは大きくなる」と叫ぶ。これに天羽は別の人間が大嶽の遺志を受け継ぎ再び東京へ侵攻する懸念を伝える。そして大嶽が、天王寺組を始めとする関西極道が抱える怒りの連鎖を断ち切らなければいけないと断じる。そして大嶽や野田、小林らの前で言い放つ。
天羽 「俺はアンタ等を許す」
天羽組の組長である天羽桂司は多くの悲劇を招いた天王寺組の主船頭であった大嶽にこれ以上関西極道が巻き込まれる悲劇を防ぐため、和解を申し出るのだった。
大嶽は遂に動揺して言葉を止めるも、野田は唖然とし小林に至っては恩人の阿久津や工藤を殺した天王寺組への憎悪を再び爆発させるのだった。
天羽の決断を振り切り、大嶽を殺さんばかりの小林。天羽は必死に説得し、小林を何とかして制そうと歩み寄る。そして天羽の脳裏に過るのは共に天羽組を作り上げ二人三脚で歩んできた阿久津と工藤、南雲の姿だった。天羽は「許すしか戦争を終わらす方法はない」と吐露し、小林もその心情は理解しつつも大嶽だけは殺さんばかりの殺意を滾らすのだった。そこで天羽はかつて事務所や自身を襲撃してきた城戸が言った「俺達に恨みはない」との本音から羽王戦争は今までの抗争とは違う事や無益さや違和感を感じ始めていたのだった。天羽は改めて、「過去の怨恨を鎮めるには許すことしか手打ちの道はない」と改めて諭し、事実上勝利した天羽組は勝者の特権として許す事ができそれを成し遂げてくれた小林や野田らに感謝と謝罪の念を伝える。
大嶽は偽善者ぶるなと言わんばかりの怒号を発するも、天羽は戸狩をヤミ医者に運んでおり何とか一命を取り留めたと伝えるや否や、大嶽の顔には驚きながらも憑き物が落ちたように項垂れた。天羽は互いに甚大な被害者を出してしまった結果を含めて歩み寄り、長年続く負の連鎖や不毛な戦争を止めるためには誰かが受け止めなければいけなくなり、天羽はそれを決断したのだった。これから先続くかもしれない血で血を争い続けるような負の因縁を根絶するためにも。
天羽の想いと決断を聞いた野田は怒りを鎮めながらそれを受け入れ、小林はその場で蹲るだけだった。大嶽は邸内で戦っている天王寺組構成員に双方の組の合意で戦争が終結したとトランシーバーで伝えるのだった。
長きに渡る天羽組と関西極道そしきの怨恨を担い続けた天王寺組の抗争は終結するのだった。
天羽組と天王寺組双方の組員に多くの重傷を出し、大嶽も入院する事になった。大嶽は天羽の決断と抗争の結果を一人反芻し続け、敵味方共に多大な犠牲者を出した過ちと罪の重さに気付き始める。3週間が過ぎて小林は病院を抜け出し一人大阪へ出向く。その中で大嶽は関西極道の重役が集まる親分集会に顔を出し、天王寺組の組長である三國貞治に顔を会わす。
その会場には変装した小林もおり、三國はその存在を察知する。小林は三國に以前問答した中で「大嶽のケツは自分が拭く」と言う返答の答えを聞き半端な答えならば殺さんばかりの気迫で問い質す。三國は親分集会で大嶽が結論を出すから見守って欲しいと返し、その会合は始まる。結論を出そうとする大嶽、見守る小林、結果と考えを放した大嶽のその結論は・・・
関東極道と関西極道の長きに渡る因縁に決着を着けるため、天羽に許してもらえた想いに応えるために天王寺組を始めとする関西極道らが許し矛を収めたいと言う決断を下す瞬間だった。
他の重役達からはヤジが飛ぶ中、大嶽はその心情を組みながら恐怖や暴力で抑え込もうとしても「大事な人を殺された恨みは上の命令を無視してでも襲ってくる」と言う今回の戦争で味わった答えを共有し、それを聞いていた小林も内心驚きを隠せなかった。その大嶽には自分が戦争を起こさなければ大切な部下や仲間を喪う筈がなかった未来があったのに考える事さえできなかった悔恨の念を隠し切れない悲壮な姿であり、もっと真剣に考えれば武力に頼らない方法を模索できた後悔の想いと悔やんでも悔やみきれない涙が表に流れていた。そして大嶽は信じられない行動を取る。
関東極道と関西極道の長きに渡る因縁と遺恨の連鎖を断ち切りケジメを付けるために手榴弾を取り出し、双方の歩み寄りの嘆願と新たな道の開墾を示す言葉を遺し、爆炎の中へと消え去った。
凄惨な雰囲気の中で三國は大嶽の命と引き換えの訴えに応えて欲しいと周囲に懇願し、それを聞いた重役たちはその願いを呑んだ。
小林は大嶽の死にざまを見届けた後にモヤ着いた気持ちを抱えながら帰路に着く中、関東からやって来た丸高会の構成員2名は天王寺組が弱っているのを理由に幹部の数名を殺して名を上げないかと言う提案を小林に持ちかけた。勝手な醜聞を聞いた小林は戦争で溜まった怒りをぶつけるかのように二人を容赦なく始末した。
大嶽の死は関西極道に知れ渡り、生き残った戸狩・渋谷・馬渕は号泣した。そして天羽組がイモを引いたという邪推は一気に消え失せ、天王寺組全体では無いのに、天羽組を壊滅寸前までに行った天王寺組の力を知った関東極道の組織らは関西を攻めようとする気勢は急速に弱まるのだった。
この話を聞いた天羽組長は、奇しくも大嶽が言う通り「関東極道が関西極道に恐怖したことが、未来の大きな悲劇を食い止めることになった」と小峠に言っている。
こうして、関東極道と関西極道の深き怨念を交えた羽王戦争は終結するのだった。
- その後の天羽組と天王寺組のそれぞれの道-
戦争終結から１ヶ月半天羽組は全員が退院し、飯豊は大きく成長しリーゼントとスカジャンから短髪とスーツとイメチェンをした。又、阿久津の死後に空席となった天羽組の若頭は野田一が就任し、小林が大阪から帰還する時に彼に憧れてつい来た茂木が天羽組に入門した。そして天羽組はようやく平和な日常が訪れるようになった。一方の天王寺組では入院していた戸狩が復帰し、地元の駄菓子屋に立ち退きを要求する半グレを粛清する等、大嶽の死後も組の為に尽くしている。前述のように大嶽の遺体はない為、日程の調整がしやすかった為、数日後に渋谷を含めた全員が退院し天王寺組で大嶽の葬儀が執り行われる事となり三國はその命をもってケジメをとった大嶽の行動に涙を流した。葬儀が終わりに差し掛かっている時に京都を拠点にする五条組の佐久間が葬儀に訪れた。佐久間は生前の大嶽と交流があった為弔問に来たがそこであろう事ことか「残念な死に方」と貶すような発言をした為、渋谷は佐久間に掴みかかろうとしたが三國に制止された事で揉め事は回避され、三國は佐久間に遠回しに注意されて帰っていった戸狩や馬渕を含め、全員が憤っていた模様。実は大嶽は生前に五条組の窓口を担当していたが古きしきたりを重んじる五条組の佐久間とはシノギをめぐって揉めていた為、三國は佐久間が来た時、五条組の考えをすぐに理解した。そして佐久間は羽王戦争後の天王寺組の様子を見て「大阪との付き合いを改める必要がある」と考えを巡らせいた為、関西には不穏な影が広がり始めている。
