藤田茂とは、ゲームSIREN2に登場するSIRENシリーズ屈指の悲劇の警察官である。
概要
演:村上久勝
矢倉市子と同じく、19年前の人間。
元は夜見島出身の警察官で、夜見島に関する噂を確かめるためやってくる。島を巡回中に異界に巻き込まれ、ブライトウィン号で市子と合流。彼女を保護し行動を共にするが、それが彼の運の尽きとなる…。
自分を省みないお人好しで、窃盗犯を捕まえた時も情に絆され犯人を解放してしまう。しかし結局犯人が戻ることは無く、容疑者を逃した不始末に対する罰として警部から降格させられ、更に辺鄙な夜見島付近の地域へ異動を命ぜられた(事実上の左遷)。結果以前から関係が良くなかった妻と娘の朝子にもとうとう縁を切られ、藤田一人で赴任する羽目になった。
前述の市子のシナリオでも同行者として登場するが、敵は人間でないにもかかわらず、自分から攻撃を加えることは決してしなかった。
どこかのアル中警官やパトカーでドリフト決めちゃう警官も見習うべきである。
前作のヘタレ聖職者と違い市子を守ろうとする気持ちは本物だったが、騙され易い藤田に彼女の正体まで見抜ける筈も無く、やがて模倣体に覚醒しつつあった市子の暴走によって胸を滅多刺しにされてしまう。市子にまだ幸せだった頃の娘を重ねて見ていたのか、「すまんなぁ、朝子…」と譫言を言い残し息を引き取った。まだ完全に目覚めてはいなかった市子は稍もすると我に返り、自らが仕出かした所業に愕然。己に親切にしてくれた優しい警官の死に慟哭するのだった。
が、そこは絶望を冠するSIREN、異界は死という安寧すら藤田に許さず、やがて藤田の死体は憑りついた屍霊、闇霊によって屍人、闇人へと変容していくのだった。
余計な事に首を突っ込んでしまう自身の性格を自覚しており、「やんなっちゃうなぁ」が口癖。
喜代田章子のシナリオで彼を視界ジャックした際に聞こえる独り言は、どれも哀愁を誘う台詞ばかりで切なくなる。
善人ほど酷い目に遭うというホラーゲームの掟から、前作の高遠玲子と並んでファンから同情を寄せられる人物である。
せめて怪異のない世界では幸せになってほしい。