概要
三重県の伊賀地方では“狐七化け、狸八化け、貂九化け”と言われており、その化ける力はキツネやタヌキを上回るとされている。
秋田県や石川県では鼬同様に目の前を貂が横切ると縁起が悪いとされ、広島県では貂を殺すと火難に遭うといわれる。
福島県では貂は「ヘコ」、「フチカリ」、「コモノ」、「ハヤ」と呼ばれ、その正体は雪崩で命を落とした者が化けた存在だとされていた。
また鳥山石燕著の妖怪画集『画図百鬼夜行』では鼬と書いて「てん」という読み方で記載されており、記述よれば、鼬が数百年生き延びて魔力を持ち妖怪化した存在こそが“貂”で、数匹の貂が頭上に組み合って火柱を成した状態で家の傍に出現すると、その家は火災に遭うとされ、恐れられていたという。