概要ばい
基本的に肥筑方言に入る為、博多弁と「佐賀弁」と熊本弁と非常に似とる。その為例として「~ばい」「~たい」といったものが共通しとるとよ。
江戸時代においては「長崎ばってん、江戸べらぼう」といわれた程、代表的なお国言葉だったごたん。
イントネーションは長崎県の中南部と北部と離島(五島列島・壱岐・対馬)で異なる。特に北部はイントネーションが平坦ばい。長崎弁のイントネーションは二型アクセント言うて、語末の音節か語末から二番目の音節のどちらかにだけアクセントがついて、あとは平坦なんよ。
とは言うけど結構市町村エリア単位で違う方言のあって、唯一諫早市のみあるレアな方言「あっぴ(あぴっ)」というとがある。こいがなんかと言うと「水をいきなりかけられて驚いた時」に発する言葉なんよ。何故諫早市だけにこがんとがあるとかは知らん。あと、多良見・古賀あたりでは語尾に「にゃー」とつく場合があるんだにゃー。別にネコじゃなかとよ。
ただ、基本的には細かい差異はあるものの概ね県内ではどの長崎弁でも通じる。
島原には一部に四国地方の方言が混じっているとされている。あと「せ」が「しぇ」と訛っている。
また、朝鮮語の「チング(友達)」が何故か方言の一つにあっとよ。そいどころかポルトガル語やスペイン語に由来するものもあっけん、いかに長崎が異国との繋がりがあったかがよーわかる。
長崎方言の妙な汎用性(?)をネタにしたわらべ唄「でんでらりゅう」は長崎県人でも人によっては何言ってるかわからん。
なお、月岡恋鐘は確かに長崎弁ば使うとるけど出身が佐世保の設定なので本来は佐世保弁のはずばってん…中の人が長崎県の人やなかけんネイティブな長崎弁やなかごたるのはしょんなか(しょうがない)ね。むしろ博多弁ごたん事ば言いよらす。
ちなみに年配の方が使う事が多いが「かってくる」「かってきて」は関西での「借りてくる」「借りてきて」の意味で使われるのと同義。「こうて」「こうてくる」は「買って」「買ってくる」の意味。ちなみに「買う」も混じえて使う。
「きばきーきっき」といったように訳がわからない組み合わせになる事もしばしば。ちなみにこの意味は「木を切る事ができる」という意味たい。
文法が比較的洗練されとってやぜらしかルールの少なかけん、肥筑方言の中では比較的習得しやすか方言たいよ。アクセントだけは独特やけど、文法的には博多弁よりも簡単たい。
一例
- やぜか:概ね「うざったい・ウザい」の意味。「やぜらしか」というものもある。
- なおす:「片付ける」と「修理する」の二つの意味がある。(例:壊れとった時計ばなおし(直し)て引き出しになおし(片付け)とって)
- きしゃ(汽車):JR等の鉄道。長崎県では蒸気機関車の廃止後は気動車(ディーゼル)が多い為。逆に電車は長崎市の路面電車を指す。汽車通は鉄道を使って通学・通勤を指す。
- くらすぞ!:殴るぞ!の意味。
- 来る・来ます:「(相手に対して)行きます」の意味でも使われる。砕けた言い方をする場合は「来っけん」
- くるうた:おかしな事をするという意味ではあるが、現在ではコンプライアンスの傾向であまり使われない。暴れるの意味では「ばたぐるう」とも言う。
- うったたく:殴るの意味よりは「叩く」で使われる。こちらがやや柔らかめなニュアンス。
- しこる:コレではなく、カッコつけるの意味。「しこんな」はカッコつけるなの意味。
- しゃー:ご飯もしくはおかずを指す。某赤い彗星ではない。
- しょんなか:しかたないねの意味。
- つ:「かさぶた」の意味。「つのできた」というと「かさぶたができた」となる。
- ぬー:「寝る」。「寝るよ」は「ぬーで」。
- ぬっか : 「暖かい」または「暑い」。イントネーションの違いの「ぬっか」だとぬーの派生として「寝るか」になる。
- さしおり:とりあえず。一応。
- さんか:「寒い」の意味。
- さぶなか:味がなんか薄いとか味付けが弱いとかの意味で使う。
- どがんしゅう(どぎゃんしゅう):どうしようか
- とぜんなか:寂しい
- ひっしゃぐ・ひっしゃげる:「潰れる」の意味。
。
- はぶてる:「不貞腐れる」事。「はぶつー」と言うケースもある。
- はらかく: 怒りが鎮まってない様子を指す。
- やっちゃ:「とても」。博多弁における「ちかっぱ」に相当する。主に諫早・島原で用いられる。
- よんにゅう:「たくさん」の意味。関西弁でいうところの「ようけ」に相当する言い方。なお、「ようけ」も混じって使われる事もあり「よけしこ」という言葉もある。
- ワイ(もしくはワガ):「お前」もしくは「てめぇ」の意味。基本は同い年か年下に対して使う。目上・年上に使うと凄い失礼になる。関西弁もしくはなんJ語における「ワイ(いわゆるオレ)」の意味でうっかり長崎県人に使うと場合によっては不躾な使い方と相手からとらえられる事になるので注意。女性の場合は「あんた」と柔らかめな意味で使う事がある。
- おいどん・うったち(女性語):オレたち・私たち。「おいたい」のケースもあり。
- きびる:「縛る」の意味。ちなみに「きびらばぼぼ」ということわざ的なものがあるが「縛る」もしくは「括り付ける」のが下手という意味。実は下ネタ系な言葉で標準語に変換すると「オ○○コを縛るようなもの」と言っている。まず若い世代では使わない上に通じない上に年配の人でごく一部しか使われない。
- まわす:車を出すといったニュアンスでも使われる(例:車をまわしますんで)
- おおきん:ありがとうの意味。現在では年配の方ぐらいが使う部類。「おおきに」の変種だと思われる。
- ゴッカブイ(ゴッカブリ):今ではほとんど聞かないが、意味は赤茶のすばしこいアイツである。
- ふうけもん:馬鹿者・ばかたれ
- のぼせる・のぼす:調子にのる。ふざけんなは「のぼすんな」となる。
- からう:背負うという意味
- 〜ばってん:〜だけどみたいな意味
もっと詳しかモンのおったら加筆・修正してくれんね。
主な単語
体の部位
意味 | 長崎弁 | 備考 |
---|---|---|
頭 | アタマ / カッポ(壱岐・南松) / ガンツ(壱岐鯨伏) / オツモリ(壱岐石田) / カバチ(対馬の峰) | |
頭髪 | カミゲ / カンゲ | |
顔 | ツラ | |
眉毛 | ミャーゲ(大村・諫早・西彼・北松・南松) / メーゲ(壱岐・南高の北部・西彼の西部・対馬) / マヒゲ(対馬の豆酘) / メヤンケ(南高の南部) | |
目 | メー | |
耳 | ミミ / ミン(南高・南松) | |
鼻 | ハナ | 鼻孔はハナンス。 |
口 | クチ / クッ(南松有川) / クツン(南松玉之浦) | |
唇 | ツバ / クッツバ(対馬北部) | |
舌 | シタ / ヒタ(西彼三重・式見) / ベロ(平戸・西彼崎戸・南松・対馬) | |
頬 | フート(大村・西彼長与・高島) / フータン(西彼・長崎・南高千々石) / ホータン(対馬) / フータンプラ(西彼三重) / フータンツラ(瀬川) / フーベンヅラ(諫早) / ホーベタ(北松・平戸) / フーベタ(北松・平戸) / ホーベンタ(西彼面高) / ビンタン(南松・南高・吾妻) / ビンヅラ(西彼瀬川・式見) / フゲタン(南高吾妻) | |
親指 | オヤユビ / ウーユビ(西彼神浦・式見) | |
人差指 | ヒトサシユビ / テッポーユビ(西彼三重・式見) | |
中指 | ナカユビ / タカタカユビ(対馬北部・平戸・南松岐宿・西彼式見・諫早) / ナカタカユビ(長崎) / ナカタロ(南高吾妻・千々石) | |
薬指 | クスリユビ / ベニサシユビ(対馬北部・平戸・西彼瀬川・神浦・三重・式見・高島・南高吾妻・千々石) / ベンサシ(対馬北部・平戸・西彼瀬川・神浦・三重・式見・高島・南高吾妻・千々石) | |
小指 | コユビ / コイツ(南松三井楽・玉之浦) / コーユッ(福江) | |
足 | アシ / エダ(対馬の峰) | |
膝頭 | ヒザンカップ(大村) / ヒザンカッツ(諫早) / ヒザンコッポ(西彼村松) | |
踵 | アド(大村・諫早・東彼・南高・島原) / キビス(平戸・北松) / キビシャ(西彼北部) |
植物
意味 | 長崎弁 | 備考 |
---|---|---|
カボチャ | ブナ(諫早・南高) / ボーブラ / ポッダ(福江・南松岐宿) | |
ジャガイモ | オランダイモ(西彼高島・野母・長与・南高千々石) / ジャガイモ / ジャガタレ(諫早) / ジャガタロ(長崎) / ジャンガ(西彼式見・三重) | |
トウモロコシ | トーキビ / マンマンキビ(対馬の久田・対馬の豆酘) | |
ラッカセイ | ドワッシェン |
生き物
意味 | 長崎弁 | 備考 | |
---|---|---|---|
動物 | |||
ウマ | ウンマ(南松岐宿・玉之浦) / オトコンマ(牡馬) / オナゴンマ(牝馬) / コマンマ(牡馬。南高) / コンマ(仔馬) / ダマ(牝馬。南高) / ダンマ(牝馬。対馬) / ホロンコ(南高) / ンマ | 南高千々石ではインホホと鳴き、守山ではホホーンと鳴く。 | |
鳥 | |||
爬虫類 | |||
ヘビ | クチナワ | ||
マムシ | ヒラクチ | ||
両生類 | |||
カエル | ドンク | ||
トビウオ | あご(平戸) | ||
アイゴ | バリ / ヤ | ||
アイナメ | アブラメ | ||
カサゴ | アラカブ / カブ | ||
カワハギ | ゴベ / ムキ | ||
サバ | ギリ / ヤニ | ||
シイラ | マンビキ | ||
シノノメサカタザメ | ゴジラ | ||
シュモクザメ | カセ | ||
軟体動物 | |||
スルメイカ | ガンセキ / マツイカ | ||
刺胞動物 | |||
アンドンクラゲ | イラ | ||
節足動物 | |||
ウチワエビ | ウチワ / シラミ | ||
ガザミ | ワタリガニ | ||
ゴキブリ | アマメ | ||
シャコ | シャッパ | ||
トンボ | ヘンブ | ||
ハエ | ヒャー(彼杵) | ||
ハコエビ | ヌマエビ / ドロエビ |
その他
意味 | 長崎弁 | 備考 |
---|---|---|
河童 | ガータロ / ギャタロ(五島) | |
幽霊 | ユーレン / ユウレン | |
妖怪 | アバヨー / アボジ / アボジョ / アーボーヨー / アモジョ / アモジョー / アモヨ / アーモンジョ / エスカモン / ドロンドロン |