🧦概要
主な用途は「靴と素足の間の緩衝材」「足を暖かく保つ保温作用」「足汗を吸収して通気性の確保」「足の皮膚の保護」、そして「足の服飾」つまり「ファッション」である。
混同されがちだが、身に着けるときの「はく」は、かな書きか「穿く」(パンツやスカート同様)と表す。「履く」は、あくまで履き物を身に着ける際に用いられる。
「靴下」という呼称について
「「靴の下」って靴底のことじゃないの?なんで「靴中」とか「靴内」って呼ばないの?」と疑問を抱いている方は多いだろう。
大雑把に「「靴」の「下」着」だから、と説明されることもあるが、少し違う。
服飾用語では「上着」「下着」と呼ぶように「素肌から見て外側が「上」、内側が「下」」と分けている。
そのため「靴下」は靴よりも素肌の内側(下)にある衣類だから「靴下」というわけ。
ちなみに靴下という呼称が日本で広まったのは戦後から。それまでは「メリヤス足袋」だったり単純に英語名称である「ソックス」「ストッキング」と呼ばれていた。
また靴下の英語名称も「丈を短いのがソックス」と「丈が長い(長靴下)がストッキング」とされる傾向があるが、別に厳密に分けられているわけではない模様。
靴下の種類
丈(長さ)によってそれぞれ呼称がある。
靴下の丈の分類
呼称 | 丈 (↓長) | |
---|---|---|
アンクルソックス | 足首まで | |
クルーソックス | ふくらはぎまで | |
ハイソックス | 膝下まで | 短い方から順にハイクルー、ブーツス、リークォーターに分かれる。 |
オーバーニーソックス | 膝頭が隠れる程度 | 膝頭が隠れるくらいか膝の真ん中あたりまでの長さのソックスのこと。 オーバーニー=ニーソックス |
ニーハイソックス | 膝上〜太もも真ん中あたりまで | 絶対領域ができるソックスのこと。 ニーハイ=ニーソックス |
サイハイソックス | 太もも上部〜足の付け根まで | タイツの足の付け根のラインらへんまでの長さのソックスのこと。絶対領域はスカートに隠れて見えない。 |
歴史
西洋
「穿かれ始めたのは近代から」というイメージが強いが、靴下の歴史は意外と古い。紀元前4世紀から5世紀にかけて、エジプトの遊牧民が靴下を作っていたという記述がある。
サンタクロースの由来、及び「クリスマスプレゼントは靴下に入れる」という風習は「ある貧しい三人娘を憂いた教父聖ニコラオスが、その家の窓に金貨を投げ入れたらたまたま暖炉そばに干してあった靴下に入った」というエピソードからなのだが、これが4世紀頃のお話。
16世紀のイギリスのエリザベス女王は、初めて絹製のストッキングを穿いた時「もう布製のストッキングは穿きたくない」ともらすほど、気に入っていたのだとか。
つまり、西洋での靴下はかなり古くから存在し、しかも貴族はもちろん貧乏な庶民でも穿くほど日常的に穿かれていたと考えることができる。
ちなみに現存する最古の靴下は、エジプトで発掘された4世紀頃のもの。厚手の毛糸で編まれた子供用の靴下で、つま先が二股に別れた「足袋」状のものなのだとか。
日本
日本古来の足の履物と言えば「足袋」が連想されるが、日本製の靴下はこの足袋が直接のルーツというわけではない。やはり直接のルーツは西洋からということになる。
我々が知る靴下が西洋から日本に入ってきたのは16世紀の南蛮貿易の頃。当時は「メリヤス足袋」とか「莫大小」とか呼ばれていた。もちろん庶民の手に届かないほどの高級品であったのだが、そんな中でこの靴下を愛用していたのがかの徳川光圀。つまり水戸黄門様である。彼の墓からは7足の靴下が発見されていることがそれを裏付けている。
(この話から「日本で初めて靴下を履いたのは水戸黄門」とよく言われている。本当に「日本で初めて」なのかはわからないが、愛用していたのは間違いない。)
日本で靴下が普及し始めたのは文明開化後である。しかしそこでの靴下とは「西洋製の靴を穿くため」とか「制服と合わせて穿く」という観点が強く日常的に履かれているわけではなかった。本当の意味で「庶民も日常的に穿くようになった」のはやはり第二次世界大戦後ということになる。
ファッションとしての歴史
西洋では
以上のように靴下という存在は古くからあるが、履く目的は防寒や汗の吸水が主であったため「ファッション」という意味での靴下の歴史は浅い。しかも現代の認識とは異なり、昔はもっぱら男性用のファッションとしての意味合いが強い。
中世頃の身分の高い男性は裾がすぼんだ膝丈のキュロットズボンと靴の間に「ホーズ」と呼ばれる白い靴下を穿くことが流行していた。表面は細かい刺繍が施されており、また伸縮性がない素材が中心だったため、足の形に合わせたオーダーメイド品で大変高価だったとか。「王子様は白いタイツ」というイメージはおそらくここからだろう。
一方で女性はと言うと、くるぶしまで丈があるロングスカートを穿いていたため、靴下がファッションの中心になることはなかった。当時の「足は不潔な部位」という認識から極力露出しないという風潮もこれを後押ししている。しかし靴下が穿かれていなかったわけではなく、レースや刺繍等が施された細かいデザインの靴下が「隠れた楽しみ」として穿かれていたようだ。
靴下が女性の表立ったファッションとして認識されるようになったのは20世紀初頭のお話。ナイロン製のストッキングが開発されたのである。「脚を隠す」という風潮から開放され、脚線美を求めた世界の女性たちに「ファッションとしての靴下」であるストッキングは爆発的に普及した。1967年にはパンティとストッキングが一体化したパンティストッキングも開発されこちらも全世界に普及している。以後ストッキングは、時代の変化に応じて柄やデザインを変えながら、カジュアルなファッションとしても、フォーマルな場所の正装としても着用されるようになり、現在に至っている。
日本では
日本の靴下ファッションの中心は10代未満から20代までの若い女性である。
「学生の制服には、靴下やストッキング(タイツ)を合わせる」という認識は既に大正時代の頃からあった。第二次世界大戦中は物資不足から一時的に廃れたものの、戦後の高度経済成長期で庶民も日常的に靴下を穿くようになり、ファッションとしての靴下も注目されるようになる。前述したパンティストッキングは日本でも流行しており(ちなみに最初は「何も穿いてないように見える」ということからあまり流行していなかったんだとか)、最初は破れやすかったものが次第に丈夫になっていく過程は「戦後強くなったのは女性とストッキング」とも言われていた。
「穿いていた靴下の種類で世代がわかる」ほど、女子学生が制服とあわせる靴下のファッションは変遷を遂げている。80年代の三つ折りソックス、90年代のルーズソックス、00年代の紺ハイソックスやニーソックス、そして2010年代の黒タイツと丈の短いショートソックスと、女子学生の足元は目まぐるしく変わっている。しかし種類やデザインは違えどどれも「完全に指定されてしまっている制服とは違い、ある程度自由が許されている靴下で個性を出したい、そして脚を細く魅せたい」という女子学生たちの意図は変わっていないだろう。
関連タグ
◆長さ別
短い↑
- フットカバー
- アンクレット (アンクルソックス) スニーカーソックス くるぶしソックス 三つ折りソックス
- ソックス クルーソックス
- ハイソックス / ハイソ (白ハイ 黒ハイ 紺ハイ)
- オーバーニーソックス / オーバーニー ニーソックス (黒ニーソックス 白ニーソックス)
- ニーハイソックス / ニーハイ (黒ニーハイ 白ニーハイ) ニーソ (黒ニーソ 白ニーソ)
- サイハイソックス / サイハイ ガーターストッキング
- タイツ (シアータイツ 黒タイツ 白タイツ 青タイツ 柄タイツ 網タイツ) ストッキング (黒ストッキング 白ストッキング 黒スト 白スト) パンティーストッキング / パンスト
長い↓
◆用途別
5本指ソックス 三つ折りソックス リブソックス 穴あき靴下 片靴下 違い靴下
◆色や柄
白靴下 / 白ソックス 黒ソックス / 黒靴下 紺靴下 / 紺ソックス 緑ソックス ピンクソックス
縞靴下 / 縞ソックス ストライプソックス ボーダーソックス ライン入りソックス
◆動作別
◆その他