高木栞
たかぎしおり
立華高校の3年生で、吹奏楽部に所属。トロンボーンを担当しており、同パートの副パートリーダーも務めている。
長い髪をポンパドールにまとめた面倒見のいい好人物で、座奏とマーチングの双方で皆をリードするに足る確かな腕前を発揮している。
現在のトロンボーンパートのリーダーである瀬崎未来とは、もともと経験者と初心者の関係であり、高校1年生の当時は栞が未来のことを熱心に指導していた。しかしながら、時を経るうちに彼女との力関係は逆転してしまい、栞は次第に自身を出し抜いた未来に対して次第にコンプレックス(劣等感)を抱くようになる。
最上級生に進級した現在では、トロンボーンパートの副パートリーダーとして未来を支えるかたわら、佐々木梓や名瀬あみか、戸川志保といった次代を担う後輩たちを見守り、彼女たちが正しい方向へと進めるように手助けをしている。
容姿
長い前髪を額の上でまとめてポンパドールに仕上げた女子生徒で、その胸元まで下ろした髪はうっすらと茶色を帯びている(立華編前編、46ページ、立華編後編、75ページ)。また、彼女の綺麗に整えられた細い眉や睫毛(まつげ)に縁取られた垂れ目がちな双眸(そうぼう)は、あらわになった額と相まって彼女自身の感情の動きをよりくっきりとさせている。(立華編前編、100ページ、250ページ、310ページ、立華編後編、75ページ、273ページ)
相好(そうごう)を崩した笑顔や白魚のような細い指、やすりで丁寧に磨かれた薄桃色の爪など、彼女のまとう一つひとつの要素は、彼女自身の性格のよさがうかがい知れるような、柔らかで優しげな印象を与えるものとなっている。(立華編前編、100~101ページ、159ページ、250ページ、310ページ、立華編後編、160ページ、273ページ)
性格
親しみのあるなかに品のよさも感じ取れる、面倒見のいい気さくな性格の持ち主。普段のトロンボーンパートの活動においても、スランプに陥った後輩を気にかけて元気づけたり、本番前で緊張するパートメンバーたちを進んで鼓舞したりと、随所に細やかな気遣いを見せている。(立華編前編、46ページ、96ページ、159ページ、立華編後編、118ページ)
そのような積極的な行いを支えているのは、「頼られることが好き」という彼女自身の面倒見のよさであり、心の深い部分では無意識的に誰かから必要とされることを欲するとともに、誰かから頼られることに安心感を覚えている。(立華編後編、219ページ)
総勢13名のトロンボーンパートにおける副パートリーダーとして、座奏とマーチングの双方においてトップ奏者の未来と肩を並べるほどの確かな腕前を持っている。マーチングコンテストでは未来や梓とともに1st(ファースト)のポジションを任されているほか(立華編前編、259ページ)、梓をはじめとするパートのメンバーたちもまた、楽器の経験年数と練習量に裏打ちされた栞の実力を「めっちゃ上手」などとして一目置いている。(立華編前編、103ページ)
なお、吹奏楽部の顧問である熊田祥恵は、純粋な演奏技術に関して、栞よりも新しく入ってきた1年生の梓のほうを高く評価しており、吹奏楽コンクールへの挑戦においては梓を1stに選ぶ一方で、栞を2nd(セカンド)のポジションに配置している。(立華編前編、240ページ)
兵庫県にある名門中学の出身である栞は、マーチングコンテストの”全国常勝”を誇る立華高校の吹奏楽部に所属して以降も、自身のトロンボーンの演奏の腕前に強い自信を持っていた(立華編前編、60~61ページ)。しかしながら、そののち高校から楽器を始めた初心者である未来に見る間に実力の差を縮められてしまい、高校2年生の春を迎えるころにはとうとう力関係が逆転してしまう。栞自身も、これまでの1年間を通して決して怠けていたわけではなかったものの、桁違いの練習量と熱量で彼女を出し抜いてしまった未来の姿勢を前にして「もっともっとやっておけば、うちだってもっと上手くやれたかもしれんのに」という後悔を噛み締めている。(立華編前編、101~102ページ)
高校3年生になった現在では、トロンボーンパートの副パートリーダーを担当するかたわら、数名の部員たちとともにマーチング構成の役職を受け持っている。同役職は立華高校吹奏楽部のマーチング演奏(ドリル演奏)におけるフォーメーションを立案し、外部指導者の三川啓二による監修を受けながら完成させていくものであり、よりよい本番の演技を作り上げるために練習が終わったあとも夜遅くまで残って意見のすり合わせを行っている。(立華編前編、96~99ページ、210ページ、立華編後編、24ページ)
瀬崎未来
トロンボーンを担当している同級生。3年生。
栞は未来のことを「未来」と呼んでおり、対する未来は「栞」と呼んでいる。
立華高校に進学して吹奏楽部に入部した当初、栞はまったくの初心者であった未来に対して譜面の読み方や手本となる吹き方を教えるなど、楽器経験者としてつきっきりで面倒を見ていた。その当時の栞は、初心者の未来が実力をつけることは望んでいたものの、まさか自身を脅かすほどの奏者にはなるわけないだろうと高をくくっており、経験者と初心者という関係から彼女に頼られることに満足感を覚えていた。しかしながら、未来が生来の負けず嫌いな性格のもとに猛烈な自主練習に打ち込み、2年生の春ごろに栞の実力よりも上手くなってしまうようになると、栞は非情な現実を突きつけられたことに強いショックを覚え、以降は彼女の面倒を見ることをぱったりと止めてしまう。(立華編前編、101ページ、220~221ページ、立華編後編、219ページ)
3年生に進級して以降は、栞は表向きはパートリーダーの未来と肩を並べる”首席と次席”の栄えある関係性のもとに見られており、デリカシーに無頓着な未来を叱ったり、本番前にガチガチに緊張する彼女に声をかけるなどといった気兼ねないやり取りも交わしている(立華編前編、159~160ページ、立華編後編、118ページ、238~240ページ)。その一方で、内心では未来に実力で出し抜かれてしまったことへの後悔や楽器経験者としてのプライドからくる嫉妬、「コイツ、このレベルのくせに未来に勝ちたがってんのかよ」と周りから思われたくないという怖さなど、さまざまな負の感情を内包したコンプレックス(劣等感)を抱いている。そして、それらの羨望(せんぼう)や嫉妬を人知れず秘めている栞は、「私はさ、未来になりたいの」という、彼女を見返してやりたい一心からくる強い執着を覚えるまでに至っている。(立華編前編、252~253ページ、255ページ)
(なお、その執着心を梓から見透かされそうになった際には、「っていうか、そんなんで怒るとか、私、どんだけ未来好きやねん」などとはぐらかす様子を見せている。※立華編前編、251ページ)
佐々木梓
トロンボーンを担当しているふたつ下の後輩。1年生。
栞は梓のことを「梓」と呼んでおり、対する梓は「栞先輩」と呼んでいる。
小学生時代からの長い楽器経験と強い上昇志向を併せ持った梓に対し、栞は「相変わらず上手やね」という奏者としての感心と信頼を寄せている(立華編前編、46ページ、103ページ)。栞はその信頼のもとに、ときおり自身が秘めている未来へのコンプレックスを梓にこっそりと打ち明けたりしているものの、その際に彼女の「自分の力で正々堂々と未来を倒してやるぞ」という意気込みに触れて「何この子、無理ぃ」「いやいや、すげぇなあ。そっかあ。自分のまま未来に勝つのか。はあ、すげえ」などと、理解の及ばなさからくる驚きと困惑を浮かべている。(立華編前編、252~254ページ)
また、コンクールシーズンを迎えてA編成部門のメンバーによる練習が始まるようになると、1stの席に座って未来と同じパートを吹き、彼女が休みの日にはソロの部分まで代わりに受け持っていた梓に対して、「アレ、当然やと思わんといてな」という直情的な妬(ねた)みの感情を寄越している(立華編前編、297~299ページ)。もっとも、栞はオーディションを通して決められたトロンボーンパートの実力の序列にしっかりと理解を示しており、梓に嫌味を投げかけた後日に自分から仲直りを持ちかけて関係を修復するなど、適切なフォローも入れている。(立華編前編、309~311ページ)
戸川志保
トロンボーン(バストロンボーン)を担当しているふたつ下の後輩。1年生。
栞は志保のことを「志保」と呼んでおり、対する志保は「先輩」と呼んでいる。
栞はトロンボーンパートの副パートリーダーとして1年生メンバーの動向を見守るなかで、吹奏楽部経験者でありながらマーチングの練習ではいまひとつ伸び悩み、スランプに陥っていた志保のことを案じていた。経験者としてのプライドと現実とのギャップに苦しむ彼女の姿にかつての自身の姿を重ねた栞は、彼女がふたたび胸を張って練習に打ち込めるように、バストロンボーンへの持ち替えの話を提案する。そうして志保と話を交えるなかで彼女が次第に元気を取り戻していくのを見た栞は、話の結びに「みんなちゃんと見てるから、頑張ってるとこ。やから、腐ったらあかんよ」という、経験者同士ならではの励ましの言葉を贈っている。(立華編前編、155~159ページ、257ページ)
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