プロフィール
概要
立華高校の3年生で、吹奏楽部に所属。トロンボーンを担当しており、同パートのリーダーも務めている。
中性的な凛々しい顔立ちをした爽やかな雰囲気の持ち主で、茶目っけあふれる気質ながら総勢12名のパートメンバーたちを率いる毅然(きぜん)とした面持ちも兼ね備えている。
また、部内ではトロンボーンパートの絶対的エースとして君臨しており、パートメンバーの誰もが彼女がトップ奏者の座にいることに異を唱えないほどの圧倒的な実力を有している。
いまでこそトロンボーンパートが誇るトップ奏者として華々しい活躍を見せている彼女であるが、中学生のころまでは楽器を触った経験がなく、立華高校に進学してから初めて吹奏楽部に入部した初心者であった。吹奏楽部経験者の同級生である高木栞に手取り足取り教えてもらいながら練習に励んでいた未来は、生来の負けず嫌いな性格と向上心あふれる自主練習によって見る間に成長を果たし、わずか1年のあいだに栞を含む同級生たちが追いつけないほどの高みへ登り詰めるに至っている。最上級生に進級し、佐々木梓や名瀬あみかをはじめとする新たなメンバーを迎え入れて以降は、不動のトップ奏者としてつねに演奏の最前線に立ちつつ、梓やあみかといった次代を担う後輩たちに対して厳しくも愛のある指導を施している。
人物
容姿
うなじを隠す程度にさっぱりと切りそろえられた黒髪と、横に分けた前髪からのぞく切れ長の澄んだ双眸(そうぼう)が印象的な、少年のような凛々しさを振りまく中性的な顔立ちの女子生徒(立華編前編、44ページ、161~162ページ、223ページ、立華編後編、26ページ、225ページ)。その肢体は日頃の練習の積み重ねによって丹念に磨き上げられており、余計なものの一切をそぎ落としたすらりとした美しさを内包している。(立華編前編、120ページ、217ページ、328ページ)
彼女の短い黒髪からはレモンのような甘く爽やかな香りが漂っており(立華編前編、46ページ、222ページ、)、1年生の後輩である佐々木梓はシャンプー由来であるらしいそれを「未来先輩の匂いだ」として印象に残している。(立華編後編、270ページ)
また、その喉元から発せられる声音は最上級生らしい凛と落ち着いたものであり、彼女はよく通る自信にあふれたその声をもって、パートメンバーたちに対する日々の統率と指導にあたっている。(立華編前編、45ページ、239ページ、241ページ、246ページ)
性格
ニカッと歯を見せる爽やかな笑顔を絶やさない、茶目っけにあふれた溌溂とした気質の持ち主(立華編前編、49ページ、90ページ、立華編後編、295ページ)。とりわけ、親しみのある相手に対してはその距離感を気にすることなく、ずいと顔と顔を近づけてみたり、額にデコピンをしたり髪をわしゃわしゃと撫で回したりと、好意からくるスキンシップをとることも少なくない。(立華編前編、329ページ、立華編後編、74ページ、116~117ページ、217ページ、317ページ、320ページ)
しかし、パートリーダーとしてメンバーたちの指導にあたる際には、普段の親しみやすさを据え置くようにして妥協を許さない険しい面持ちとなり、メンバーたちに対して完成形を徹底的に突き詰めさせることを常としている(立華編前編、119ページ、121ページ)。このような頑として指導に当たるパートリーダーとしての表の顔と、同級生や後輩たちと気兼ねなく接する本来の素顔を明確に使い分ける未来の振る舞いは、梓をはじめとするパートのメンバーたちから「人間ができてる」などと高い信頼を寄せられるものになっている。(立華編前編、161~162ページ、185~186ページ)
なお、未来は本番演奏前に緊張で上がってしまうタイプの人間であるが、同時に実際の演奏ではあらゆるプレッシャーをはねのけて一発で完成形を決めてしまう強さも備えている。栞をはじめとする同級生たちは、そんな彼女の特質を理解した上で本番前にガチガチの緊張を見せる未来を軽くあしらっている。(立華編後編、160~161ページ、164~165ページ、238~240ページ)
その他
- 未来が練習のときに着用している青色のジャージは学年指定のものではなく、ふたつ上の代の先輩から貰った年季のあるものとなっている。なお、そのジャージには「山田」とかつての持ち主の名前が刺繍(ししゅう)されている。(立華編前編、89~90ページ)
- 実家は立華高校から徒歩圏内のところにあり、兵庫県の実家から毎日通っている同級生の栞と遊ぶ際には、互いの家の中間地点である大阪府で落ち合うことになっている。(立華編前編、61ページ)
- しばしばスポーツブラの上から直接Tシャツを羽織ることがあり、栞からは「インナーを着なさい」などとそのような無頓着な点をたびたび叱られている。(立華編前編、159~160ページ)
- TVアニメ版2期5話の吹奏楽コンクール関西大会(支部大会)のワンシーンでは、会場を離脱しようとする立華高校のバスの隣で「おーい、こっちこっちー!」と梓に手を振る短髪女子の先輩(CV:未公表)が登場しているが、彼女が未来であるかどうかは現時点では公表されていない。
演奏技術
トロンボーンパートの絶対的エース(首席奏者)として君臨し、揺るぎないトップのポジションを確立する圧倒的な実力者。(立華編前編、100~101ページ、立華編後編、26ページ)
楽器のベルから紡がれるその音色は、澄みきった気高さをまとう正統派の美しさ(立華編前編、293ページ、322ページ)のみならず、すさまじい馬力に押し出されるパワフルなサウンド(立華編前編、289ページ)や聴衆たちを魅了するムーディーな艶めき(立華編後編、169ページ)など、クラシックやジャズといった多彩な音楽ジャンルの要求に応じて表情を変えることのできる振り幅の大きさを有している。また、そのような音楽表現を支える基礎も相当なハイレベルにあり(立華編後編、214ページ)、副パートリーダーの栞をはじめとする12人のパートメンバーたちはその技術と感性に裏付けられた未来の実力を高く評価している。(立華編前編、38~39ページ、113ページ、219ページ)
その高い技量を手にするに至った原動力となったのは、「やるからにはどんな子にだって負けたいくない」という怖いもの知らずのまっすぐな向上心(立華編前編、218ページ、立華編後編、219~220ページ)と、練習の結果を褒められたことによって得られる満足感とさらなる練習への意欲(立華編前編、220~221ページ)であり、高校1年生の春から現在に至るまで「練習して、上手くなったってまわりに褒めてもらって、それがうれしくて、また練習する」という、よいスパイラル(循環)のもとにぐんぐんと実力を磨いていった経歴を持っている。
経歴
高校1年生時~2年生時
中学生のころまでは楽器演奏の経験はなく、吹奏楽部は立華高校に進学してから始めている(立華編前編、101ページ、219ページ)。同校の吹奏楽部がマーチングコンテストの”全国常勝”を誇る超強豪団体であることを知らずに「なんとなく」で入部した吹奏楽部初心者の未来は、さっそく圧倒的な練習量と怒涛の指導による洗礼を浴びることになる。最初のうちは譜面の読み方もスライドのポジションもおぼつかないような状態で練習に参加していたものの、生来の負けず嫌いな性格とみなぎる向上心のもとに毎日遅くまで個人練習を積み重ね、入部からわずか1年間のあいだで吹奏楽強豪校出身の栞を含めたパートの同級生たちをはるかにしのぐ演奏技術を手にするまでに至っている。(立華編前編、101~102ページ)
2年生に進級してからもたゆまぬ努力を重ね続けていた未来は、上級生の引退による代替わりの際に、次期トロンボーンパートのリーダーを任せられることになる。また、栞をはじめとするパートのメンバーたちについても、未来へのパートリーダーの指名は彼女の圧倒的な練習量とそれに裏付けられた明確な実力にあることを認めており、この指名に異を唱えることはなかった。(立華編前編、102ページ)
3年生進級以降
3年生となった現在では、トロンボーンパートの絶対的なトップ奏者としての地位を確立しつつ、座奏とマーチングの双方において率先してパートメンバーたちの指導にあたっている(立華編前編、64ページ、106ページ)。また、演奏やパフォーマンスなどの練習指導以外においても、副パートリーダーの栞とともに次代を担う後輩たちを気にかけ、彼らを正しい方向に導こうと陰ながら苦心する様子も見せている。(立華編前編、256~257ページ、立華編後編、124~126ページ)
トロンボーンパート内でも随一の技量を誇る未来は、吹奏楽コンクールへの出場に先駆けて行われたオーディションにおいて圧倒的な実力で1st(ファースト)の座を勝ち取るばかりか、課題曲に登場するトロンボーンソロの演奏も指名されている(立華編前編、239ページ、241ページ)。さらに、吹奏楽コンクールへの挑戦と同時並行的に行われたマーチングコンテストの演目のなかでも、演目の3曲目『インサイドブルー』でたったひとりのトロンボーンソロを任せられるなど(立華編後編、33ページ、144~145ページ)、華々しい活躍の場をほしいままにしている。
マーチングコンテストの京都大会、関西大会(支部大会)をトップの成績で勝ち進み、順風満帆に全国大会へ挑戦すると思われていたその矢先、未来は誰もが予想しなかったであろう悲劇に見舞われることになる。
雨上がりのグラウンドでドリル練習を行っていたさなか、地面のでこぼこに足を取られてつまずいたスーザフォン担当の部員がそばにいた未来と衝突し、とっさに自身の楽器をかばおうとした未来は倒れた拍子に左足を骨折してしまう(立華編後編、263~266ページ、268~269ページ)。医者から全治二カ月と宣告された未来は全国大会への出場が断たれた現実を前にして泣き崩れるが(立華編後編、271~274ページ)、同時に最高学年の先輩としてそのような素顔を後輩たちに見せないように努め、自身のトロンボーンソロをパート内の二番手のポジションに立つ佐々木梓に託した。(立華編後編、269~270ページ)
以降は、左足の怪我をなるだけ早く治すことに努めつつ、ドラムメジャーの神田南とともに”特別指導役”として演目の全般指導に乗り出している(立華編前編、312ページ)。また、マーチングコンテストの補欠であった1年生の戸川志保とともに、同じく1年生のレギュラーメンバーである名瀬あみかを手伝う形で本番に出場するパートメンバー全員分のミサンガを作り上げ、いままさに本番に挑もうとするパートメンバーたちの鼓舞に一役買っている。(立華編後編、326ページ)
佐々木梓との関係
トロンボーンパートに所属しているふたつ下の後輩。1年生。
未来は梓のことを「梓」と呼んでおり、対する梓は「未来先輩」と呼んでいる。
ハイレベルの演奏技術を持ち、周囲に対する気配りも上手な梓のことを未来は高く評価しており(立華編前編、49ページ)、未来はしばしば梓とふたりきりの際に普段のパートリーダーとしての振る舞いの下に隠した茶目っけあふれる一面や弱気になっている本心を明かすなどしている(立華編前編、219ページ、222~224ページ)。対する梓もまた、中性的な雰囲気の容姿とパートリーダーとしての素質に満ちた人柄を併せ持つ未来の存在に強く惹かれており、学生生活の始終を通して彼女の背中を追いかけるようになる。(立華編前編、161~162ページ、立華編後編、165ページ、220ページ、226ページ、346ページ)
パートリーダーとしてメンバー同士のつながりを気にかけている未来は、吹奏楽部経験者である梓と初心者であるあみかが互いに依存し合っていることをいち早く感じ取っていたが、当初は3年生である自身が介入することは控え、戸川志保と的場太一の指摘による1年生同士の解決の形を望んでいた(立華編後編、217ページ)。しかし、彼らふたりの指摘による改善が見られず、さらに梓とあみかの関係性がこじれてしまったことを受けて、未来は自身が直接梓と対話することで事態の解決を図ろうと動くことになる。
マーチングコンテスト関西大会に向けた練習のなか、梓とふたりきりで話をする機会を設けた未来は、かつての自身と重ねるようにしながらあみかが梓のもとを離れた理由を語るとともに、そんな現実から目を逸らしてあみかを独占したいと願う梓の欲望を白日のもとにさらけ出した。心の奥底に秘めていた醜悪な独占欲のすべてを明かし、自身の自尊心を満たすために他人を利用していたこれまでの行いを深く恥じ入る梓に、未来は「利用して何が悪いん?」と声をかける。友達同士、互いに得るものがあれば利用し合うのも大丈夫だと語る未来は、「だいたい、好きじゃないと、そもそもそこまでいろいろやってあげられへんって」と、梓が他者を利用するきっかけは、その子のことが好きだったところから始まったのではないかと推察した。あわせて、他者から必要とされることを自身のステータスとし、それがなくなることを失墜と捉えて恐れている梓に対して、未来は「何かをしてくれるからとか、助けてくれるからとか、そんなことは関係ない。ただ、普通に「好き」。友達でいることの理由は、それだけで充分」と語り、これまでの梓を縛っていた強迫観念を断ち切るきっかけを与えている。(立華編後編、216~226ページ、原作公式ガイドブック、223ページ)
マーチングコンテスト全国大会を前にメンバーからの辞退を余儀なくされた際には、トロンボーンパートのなかでナンバー2の実力を誇る梓に自身のソロパートを託している(立華編後編、269~270ページ)。全国大会に対するプレッシャーと未来の分まで頑張らなければならないという強迫観念に駆り立てられた梓は、文字通り自身の身を削りながら練習に打ち込むが、それが祟る形で体調を崩して練習中に倒れてしまうことになる。未来はそんな梓に「梓はさ、梓やねんで」と語りかけ、自身のソロの模倣ではなく独自性を追求したソロを披露してほしいこと、そして梓にはその実力が備わっていると告げ、感謝の言葉を口にする彼女を「お礼は本番の演技でええよ」と元気づけている。(立華編後編、295ページ)
その他の主要キャラクターとの関係
高木栞
トロンボーンパートに所属している同級生。3年生。
未来は栞のことを「栞」と呼んでおり、対する栞は「未来」と呼んでいる。
立華高校に進学してから吹奏楽部を始めた未来は、兵庫県にある吹奏楽強豪校の出身である栞から譜面の読み方やスライドのポジションなどを丁寧に教えてもらい、入部して最初の1年間は彼女の指導のもとでトロンボーンの技術を磨いていた。対する栞は当初、未来が自身を脅かすほどの奏者になることなど微塵も思わず、なんの見返りも求めずに優しく指導にあたっていたのだが、そんな栞に褒めてもらえるのが嬉しくてひたすらに上を目指し続けていた未来が2年生の春に栞のそれを優に超える域の実力を見せつけたことをきっかけとして、栞は未来に対して次第にコンプレックス(劣等感)を抱くようになる。(立華編前編、102ページ、220~222ページ)
3年生になった現在ではトロンボーンパートのリーダーと副リーダーとして、学生生活のオンオフを問わず気兼ねなく一緒に過ごす関係となっている(立華編前編、46ページ、61ページ)。しかし、栞が2年生の春に抱いた決定的な衝撃は未来に対するコンプレックスとして現在も引きずっており、「もちろん未来は好きやけど。でも、それだけじゃないって」や「百パー応援できるかって言ったら、やっぱそれは嘘になるわ。私だってソロやりたいって、そう心のどこかで思っちゃう」などと、未来に対する羨望(せんぼう)をときどき口にしている。(立華編前編、102ページ、251ページ)
的場太一
トロンボーンパートに所属しているふたつ下の後輩。1年生。
未来は太一のことを「太一」と呼んでおり、対する太一は「未来先輩」と呼んでいる。
未来は太一の秘めている素質を「普通にレギュラーを取れる」レベルにあると高く評価しているものの(立華編後編、251ページ、317ページ)、生来のサボり癖のためにフルパワーの実力を出そうとしないでいる彼の姿勢に対して「ダサい」と戒めの言葉を投げかけている。(立華編前編、121ページ)
マーチングコンテストに向けた練習が佳境を迎え、ドラムメジャーの南にサボり癖を叱られた太一が心機一転して真面目に取り組むのを見た未来は、彼の意識改革を好意的に受け止めると同時に「最初からやる気あったらよかったのに」ともったいない思いを向けている。(立華編後編、250~252ページ、317ページ)
神田南
パーカッション(打楽器)とドラムメジャーを担当している同級生。3年生。
未来は南のことを「南」と呼んでおり、対する南は「未来」と呼んでいる。
部としてのレベルアップを強く求める者同士として、未来は「鬼のドラムメジャー」の二つ名を持つ南の言葉や意識にシンパシーを感じている(立華編後編、251ページ)。また、未来がスーザフォンの部員と衝突したときに周囲を安心させようとわざと平気な様子を装った際には、南は未来のついたとっさの嘘を即座に看破して「それは単なるアンタのエゴや」と怒りをあらわにしながら彼女を保健室に運ばせている。(立華編後編、264~265ページ)
未来はそんな南に対し、3年間の厳しい活動をともに乗り切った者同士ならではの強い信頼感を寄せており、梓をはじめとする後輩たちには決して見せることのない泣き顔を彼女の前では見せるなど、心を許すことのできる数少ないひとりとして登場している。(立華編後編、271~272ページ)
引退後
3年間の活動を通してバーンアウト(燃え尽き)する部員たちが非常に多い立華高校吹奏楽部の部員たちのなかにおいて、「もっとすごいステージに立つ機会だって、これからあるかもしれない」と卒業後も希望をもって楽器を続けることを宣言している(立華編後編、318~319ページ)。また、部の伝統となっている卒業生の私物受け渡しのなかでも、とりわけ重要なポジションを占めているジャージを渡す相手に梓を選んでおり、卒業式の日に「梓には、いちばん期待してるから」という想いとともに自身のジャージを託している。(立華編後編、320~321ページ、346~347ページ)
関連イラスト
冬制服
マーチング衣装
関連タグ
佐々木梓 - トロンボーンを担当しているふたつ下の後輩。黒髪のポニーテールの1年生。
名瀬あみか - トロンボーンを担当しているふたつ下の後輩。初心者の1年生。
戸川志保 - トロンボーンを担当しているふたつ下の後輩。眼鏡をかけた1年生。
的場太一 - トロンボーンを担当しているふたつ下の後輩。要領はいいが不真面目な1年生。
高木栞 - トロンボーンを担当している同級生。副パートリーダーの3年生。
神田南 - ドラムメジャーを担当している同級生。容赦のない指導をする3年生。
森岡翔子 - ホルンを担当している同級生。立華高校吹奏楽部の部長である3年生。
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