魔導ホラーとは
物語の舞台である「ボルシティ」にのみ出現する特殊なホラー。
従来の陰我ホラーは陰我のこもった物品をゲートとして真魔界から人間界に現れ、強い陰我を抱えた人間に憑依してなり代わり人間を捕食するが、魔導ホラーはゲートは使わず人間に憑依もしない。
魔導輪では感知できず魔導火を見せても全く反応しないために、その正体を暴くことは極めて困難。
殆どの者が素体ホラーに近い姿で、灰色と茶色の骨格と筋肉が出ている身体に翼はなくて尻尾も短く、山羊のような角の頭蓋骨のような頭部をしている。
ただし、同作の登場人物(ホラー)のうち、尊士は魔戒騎士に似た姿であり、リベラは頭部が2つある人形の姿で、燕邦はドレスの女性の姿と、他よりも強力な個体は固有の姿を持っている。
ほぼ全員が、皮や体の一部などを引き千切って武器にすることができる。
何故かボルシティで重要な地位に就いている者が多く、欲望のまま人間は喰わずに街に潜伏している。
大きな傷を負うと黄金の波動を発し、それを浴びた牙狼に一瞬だけ黄金の輝きを取り戻させると共に、鎧を纏う流牙は強いショックと死んだ母・波奏のイメージを感じるという謎の現象が起きる。
その正体は
本来の魔導ホラーとは、殺戮の闘将と呼ばれた古のホラー、「ゼドム」によって強化されたホラーを指す。
ゼドムは体内から種子を作り出す能力を持ち、それを他のホラーに埋め込むことで強化した上で自らに絶対服従する下僕として、最強の軍団を作り出そうとしていた。
更に魔導ホラーと化すのはホラーだけではなく、ゼドムの種子を女性の魔戒法師が体内に取り込み、育成して作られた魔導ホラーのプラントと呼ばれる物体を、人間に突き刺すことで、その人間も魔導ホラーと化す(本来は魔戒騎士の鎧の原料となるソウルメタルの製造法だった)。
これが劇中登場した魔導ホラーの正体であり、ホラーになるような陰我を持っていなかった鷲津課長や燕邦がホラーと化してしまった理由でもある。
また、相手に刺す前に血をプラントに吸わせることで、生み出された魔導ホラーはその血の主に絶対服従するようになる(ただし、ゼドムからの命令はそれよりも絶対的に優先する)。
魔導ホラーと化した者は、どんなに高潔な人物だったとしてもその人格を歪められてしまい、残虐で冷酷で邪悪な人格に変えられてしまう。
本作の黒幕であった金城滔星は、魔導ホラーのプラントを使って、様々な地位を持つ人間を魔導ホラーに変えて、ボルシティを裏で牛耳っていて最終的には表も裏も完全に支配しようと企んでいた。
上記の通り従来の魔導火には反応しないが、後にリベラの体の一部を元に振り子型の専用探知機が開発され、それによって人間と魔導ホラーを見分けることが可能となった。
主人公の道外流牙に、彼の母親である波奏(はかな)のイメージを感じさせるのは、古代遺跡で封印されているゼドムから種子を取り出しプラントに育てていたのが滔星に捕らえられて利用されていた波奏だったからである。
波奏は滔星に操られて徐々に記憶を失いながらも、流牙が必ず牙狼の称号を継承して魔導ホラーを全て斬ることを信じて、歌を通じて牙狼に黄金を取り戻す力をプラントに注いでいたのだ。
なお、プラントの生成はある程度時間がかかる上に、それを生み出す波奏が本編後半で符礼に救出され、更には復活してはならないゼドムが終盤で覚醒したことでプラントを作ることが不可能となり、そのゼドムも最終的に流牙達に打倒されたため、今後世に魔導ホラーが現れる可能性は非常に低いとされている。