概要
『牙狼』シリーズに登場する戦士・ヒーローたちの総称。魔界から来訪し人を喰らう魔獣・ホラーを倒すため日夜活動している。
狼の顔、剣で武装、金属質で造形の細かさが大まかな共通点。
基本的に空中に円陣を描くことで鎧を召喚するのがプロセスだが、この円の描き方は騎士によって千差万別。二つ円を描く者や地面に円を描く者、召喚にも魔力を込めたペンダントや弓を使う者も存在する。
なお、映像作品中では円を描かなくても鎧そのものが装着されるパターンも存在する。
一応この円陣は必ずその構えで取る必要はないらしく、初代『牙狼』や『闇を照らす者』では円を描いた後に円陣に直接触れることで装着時間を短縮したことがある。『月虹ノ旅人』などにおいても鎧すべてを装着せず部分的にそれぞれの剣士が共有し合うという場面も見られた。
『闇を照らす者』に至っては投げ飛ばした魔戒剣で円を描いて鎧を召喚しており、意外とこれらのルールは緩めに設定されている様子。『KAMINOKIBA』では敵によって魔戒騎士の意思に関係なく無理矢理円を描かれて鎧を奪われたこともある。
劇場作品『KAMINOKIBA』においては魔戒騎士達の鎧はそれぞれが使用する魔戒剣自体に封印されているらしく、鎧そのものを没収されたり特殊な結界などを張られた場合は鎧の装着が不可能となる。
同型の魔戒騎士の鎧を着る際は基本的に鎧の造形は変わらないが、装着者によって目の色が変わる。これは黄金騎士・ハガネを問わずどの鎧も同じであり、同型の鎧を着ていても判別可能となっている。
装備
魔戒剣
魔戒騎士がホラー討滅する為に用いる武器。魔戒騎士は「ソウルメタル」と呼ばれる魔界の金属で作られた武器を振るいホラーに直接的なダメージを与え、その陰我を祓い封印する。
ソウルメタルは月の満ち欠けや揮う者の精神によって硬軟・軽重といった属性が変化する性質を持ち、まずはこれを自在に扱えることが魔戒騎士となる最低条件であるが、ソウルメタルを扱うには単純な膂力よりも些細なことで動じぬ強靭な精神力と固定観念に縛られない柔軟な想像力が求められる。
ソウルメタルの武具はホラーに唯一有効な頼れる武器であるが、もし不利な局面に追い込まれて負の感情が強くなると途端に扱いにくくなり威力も低減。結果的に不利に不利が重なってしまう負の螺旋となってしまうので、全ての騎士にとって精神修養は非常に重要である。
通常は外観に反して凄まじく重く、切っ先を下にして落とせば石畳の床に深々と沈むように突き刺さり、心得の無い者や機械的な手段では持ち上げる事すら叶わない。ただし、何の修業もしていない普通の人間であっても爆発的な精神の高揚を発揮する事で一時的に振るう事が可能。しかし、後述の鎧同様基本的に女性は扱う事は出来ない。「絶狼 BLACK BLOOD」では、女魔戒法師のユナが父・クロウドの形見の魔戒剣を使うために彼の相棒だった魔戒法師カインに懇願し、凄まじい苦痛と引き換えに無理矢理父の遺骨を腕に移植する事でとりあえず扱えるようにはなった。
とはいえ、身体に過剰な負担が掛かるためにあまり長時間は持ち続けられず、当然鎧も呼べないという過酷な割にはあまりメリットのある用法とは言い難かった。現時点で女性がマトモに扱えた描写は「元は人間だった」と思われる神官のガルム(三神官)だけである。
最初に生まれたソウルメタルの武具は弓矢であるが、現在はガロを含め細身の直剣が基本装備として普及している。騎士によっては片刃刀や日本刀に似た形状を振るう者、双剣・槍・弓・斧などの特殊な武器を使う者もいる。
これらの武器は劇場版「神ノ牙」での哀空吏や猛竜のようにモデルチェンジしたり、「DRAGON BLOOD」で双剣にワイヤーを内蔵した零のようなカスタマイズも可能で、黄金騎士の使う赤鞘の魔戒剣も全シリーズを通して細かく造形やオプションが変更されている。
騎士が鎧を纏うとそれに合わせて魔戒剣も大幅に形状が変化し、一本の剣が二刀流仕様の双剣になったり、逆に二丁の手斧が一本の大斧に変わる場合もある。
鎧
ソウルメタル製の鎧。「ガロの鎧」のように騎士の称号とセットで呼ばれる。
それぞれの系譜に受け継がれる一点物の他に、「ハガネ」と称される大部分の騎士が身に着けるデザインの共通した普及型が存在する。
ハガネもソウルメタルであるので、装着している騎士が精神的に成長すれば独自の形態や色彩に進化していき、特異な形状をしている現在の称号持ちの鎧もそれに至るまでの時間は千差万別であってもガロを含めて全てハガネから派生したものであることから、黄金騎士ガロというのは意図的に一から作られた物では無く、自然発生した物が定着して伝説を築いた存在。その証拠として「鋼の咆哮」で語られる伝説では形状は現代のそれとほぼ同じだが黄金ではなくハガネと同じ鈍い金属色だった頃のガロが描かれている。
「妖赤の罠」によれば鋼牙も零も最初に用いていた鎧はハガネだったとのこと。
基本一人に授けられる鎧は一着だが、資格が有ると認められたなら系譜同様複数の鎧を継承することも可能。
共通して顔を覆う仮面に「狼」の意匠を持つが、これは太古の昔ホラーに立ち向かっていった黄金の狼の伝説から由来している。
絶対的なまでの防御力を誇り、程度の低いホラーならば触れただけで甚大なダメージを与えることも可能な攻防一体の武装である。また、「絶狼 DRAGON BLOOD」で零がやったように多少の損傷は纏った騎士が意識をそこに集中することで瞬時に復元することができる。
耐久力を超える過大なダメージを受けた場合、基本的に鎧の装着は解け、ある程度の装着者へのダメージを漸減した上で魔界に戻るのだが「炎の刻印」ではガイアの鎧が完全に近い状態まで粉砕されるケースが示された。
しかしダメージを受けた鎧も再召還すれば修復されており、後日談ではガイアの鎧も復元したうえパワーアップまで遂げている。
魔戒剣同様ソウルメタルの精神に感応して変化する性質を有しており、騎士やその周りの人々(生死は問わない)の
強い想いに反応して大幅な変形・強化現象が起こることもある。
この変化はあくまで偶発的な事象であり、自身の意思で自由自在に制御できるパワーアップ形態というわけではない。
ガロ翔やガロ陣のように「永続的な能力強化」の場合は以後はそちらが基本フォームにあたる姿となる。ただし、アニメ版でガロの鎧は同一の存在であるにもかかわらず時代ごとに全く異なる形状に変化しており、永続的といってもその形態を獲得した代の騎士にしか扱えない可能性は高い。
普段は人界に存在せず、魔界で魔天使と呼ばれる親人類派のホラーの一種に管理されており、まるで何かのサナギかインゴットのような待機形態をとっている(「RED REQUIEM」で一瞬だが確認できる)。魔戒剣で空間を円形に裂く召還の陣を描くことによって鎧は魔界から召還される。
そのまま前身に纏う他にも、手入れのために鎧だけを素立ちの状態で出現させる、腕や足といった身体の一部だけに鎧のパーツを装着して戦闘する、顔だけ生身で身体に鎧を纏った「牙狼座の黄金聖闘士」めいた格好にもなるなど、使い方も多岐に渡る。
ソウルメタル(厳密にはその原型)の正体は「ホラーの爪」という人界の溶岩とホラーの死骸が混ざり合った物質であり、ソウルメタル製の武具をその身に纏って戦うのは擬似的にホラーの力を宿して戦うことに通じる両刃の手段である。
この鎧が人界に留まっていられる時間は99.9秒。それが鎧を纏っての戦闘時間の限界であり、この時限を越えると鎧に魂を食われてしまう。
例外的に真魔界やホラーの作り出した異空間等この世ならざる場所では装着時間に制限は無くなる。
一旦鎧を返還して再度纏うことでタイムリミットをリセットすることも可能だが、フルに戻すにはそれなりのインターバルが必要である。
鎧を扱うのに必要である騎士の魔導力の源は月の光であるため、魔戒剣の刃に月光を吸収させることでソーラー充電の如くタイムリミットを回復させることもできる。
ソウルメタルは、基本はホラーの死骸から調達されるため希少(大抵のホラーは斬れば跡形も無く消滅してしまう)。
極めて例外的なケースだが、ホラー・ゼドムが放出する魔導ホラーのプラントを用いて同等の物質を創り出すなど、人工的に精製する手段も一応は存在する。
こうした制限からホラーが出現したからといって軽々しく召還は出来ない、まさに魔戒騎士の切り札。
雨宮&横山監督曰く、ガロにおける鎧の召還はいわゆる「変身」ではなくウルトラマンのスペシウム光線に相当するニュアンスを持つとのこと。
鎧に加工されたソウルメタルは女性が触れると体が砕け散ってしまうため、「女性の魔戒騎士」なる存在は絶対に有り得ない。ただしソウルメタルそのものが女性NGなのではなく、「鎧や剣に加工された物は女性では扱えない」という事である(魔導輪などの装身具もソウルメタル製だが、こちらは特に女性が所持したり装備しても問題は無い)。
守りし者
文字通り、ホラーから人々を守るために人知れず戦い、基本的に人間界の社会や犯罪に干渉しない姿勢を貫いている。
また、人間を守る立場故に「守るべき対象である人間を斬ってはならない」という掟があり、たとえ許しがたい悪人であろうと守らなければならないし、ましてや意図的に危害を加えることなど言語道断であり(ただし、血のドルチェなどといった特殊な立場の人間は例外である)、この掟を破った者は『闇に堕ちた者』として『闇斬師』と呼ばれるこれを粛清する使命を持った魔戒法師による討伐の対象とされる。
そんな時に不条理ともいえる掟や宿命に対し、疑問や葛藤を抱え、その結果闇に堕ちてしまった守りし者もいる他、それを逆手にとる形で守りし者達を翻弄し、暗躍した人間の悪党も存在する。
また、守りし者同士で闘争沙汰を起こすこともご法度であり、露見した場合は番犬所から厳しい処罰が下されることになる。
なお、古典文法の「し」は過去の助動詞であり、直訳すると「守った者」となる。
現在形にすると現代語と同じ「守る者」となるため、古典っぽさを出す演出上の都合で敢えて過去形を採用したものと思われる。
歴史
人知れず闇を狩る者の沿革は古い時代までさかのぼる。かつては「焔人」と呼ばれる炎を操る特異能力者たちがホラーと戦っていた。
やがて彼らの能力は法術として体系化され、魔戒法師が誕生したが、強力なホラーに対しては法術での対抗が難しく、武術によって戦う戦士たちが編成されるようになる。
彼らは仲間内での殺し合いすら訓練として取り入れる程の試練を乗り越え、ホラー達が嫌うホラーの躯と溶岩が混じって生まれた『ホラーの爪』を魔除けとして身に着け、ホラーとの戦いに挑んだ。
ある時、騎士の一人がホラーの爪を矢じりとして用いた処、ホラーを一撃で粉砕する功績を上げる。
これにより、ホラーの爪にはホラーを倒す力が宿っている事が知れ渡り、これの研究がすすめられ『ソウルメタル』が発明。
ソウルメタルで武装した魔戒騎士が誕生した。
彼らは番犬所と呼ばれる組織の管轄下において、昼間は魔界に通じるオブジェになり得るエレメントの浄化・封印、夜間はホラーとの戦いに明け暮れる。
もっとも、昼にエレメントを浄化・封印してしまう為、地上界にホラーが出現する事は稀である。
TV本編のように頻繁にホラーが出現するというのは、何者かが意図的にホラーを呼び込んでいる為であり、作中では月に三度の討伐が行われた時点で「何か異変が起きている」と調査が行われた。
通常でも圧倒的な戦闘能力を誇るが、魔戒剣で頭上に円を描いて鎧を召喚し装着することでホラーを遥かに凌駕する力を行使できる。ただし、鎧の現世での装着には99.9秒の活動制限が存在し、それを過ぎて装着していると鎧に喰われてしまう。
そのため、従来の変身ヒーローとは違い、最初のうちは変身せずに戦うことも多い(まあ元々魔戒騎士は生身でもかなり強いので問題はないが)。雨宮監督曰く、『牙狼』における鎧の召喚は必殺技みたいなものだそう。
ちなみに、魔戒騎士の鎧は総じて狼を象っており、これはその昔、ホラーに一匹で勇敢に立ち向かい、それを倒したという黄金の狼の言い伝えから来ているらしい。
ホラーは通常の物理的攻撃では倒せないため、魔戒剣も鎧もソウルメタルと呼ばれる、『ホラーの爪』から作られた心の持ち様によって重さが変わる一般人にとっては超重量の特殊金属でできている。魔戒騎士は男性しかなることができない。これは武器や鎧に加工されたソウルメタルを扱えるのが男性だけであるため。
女性ではどれほどに鍛え上げようとソウルメタル製の武具を持ち上げることが出来ない(武具ではないソウルメタルならば扱える。また体に男性の骨を埋め込んで強引に魔戒剣を装備した女性もいたが、当然ただでは済まされていない)。
これは原作者である雨宮監督の世界では女性の魔戒騎士は絶対に存在しないためであるらしい。ただし、魔戒騎士以外の鎧は例外である模様。
魔戒騎士の中でも最高位の強さを持つのが黄金の鎧を身に纏う「黄金騎士」であり、その黄金騎士の頂点に立つ者の称号が「牙狼(ガロ)」である。このガロという音は旧魔戒語で「希望」という意味を持っている。
作中の魔戒騎士一覧
※「黄金騎士ガロ」については「黄金騎士」の記事を参照。
※「演」は鎧の召喚前(変身前)の俳優、「声」は声優。
第1期関連
第1期とおよび続編である『白夜の魔獣』、『REDREQUIEM』、『MAKAISENKI』に登場。
呀〈KIBA〉~暗黒騎士鎧伝~
道外流牙シリーズ
第3期『闇を照らす者』および続編の『GOLDSTORM翔』、『神ノ牙-KAMINOKIBA-』、『ハガネを継ぐ者』に登場。
魔戒ノ花
炎の刻印・DIVINEFLAME
- 絶影騎士ゾロ/ヘルマン・ルイス 声:堀内賢雄
- 堅陣騎士ガイア(先代)/ラファエロ・ヴァンデラス 声:天神英貴
- 堅陣騎士ガイア/アルフォンソ・サン・ヴァリアンテ 声:野村勝人
- 暗黒騎士ゼクス/ベルナルド・ディオン 声:家中宏
- 黒曜騎士ゼム/ダリオ・モントーヤ 声:萩原聖人
紅蓮ノ月
VANISHINGLINE
- 震鳴騎士ボルグ⇒暗黒騎士ボルグ/ナイト(クリストフェル・ハーデン) 声:浪川大輔
神ノ牙~JINGA~
GARO -VERSUS ROAD-
パチンコ関連
- 鷹皇騎士オウガ:元老院の玄武議長が使用。
- 灼熱騎士ヤイバ/???:小説版「妖赤の罠」に登場したのが初出。詳細はリンク先参照
その他
- ハガネ:称号を持たない魔戒騎士が召喚する鎧の名称。小説版では牙狼も絶狼もこのハガネがルーツであるらしい。
関連項目
オリジナル魔戒騎士……二次創作による魔戒騎士。
ゴーキラメイジャー……制限時間付きの鎧を装着した特撮ヒーロー。こちらは制限が100秒で男女両方装着できる。
ソードオブロゴス……こちらも太古の時代から人々を守護する使命を持った特撮の剣士達であり、剣が変身アイテムなどといった共通点を持つ。
狼鬼……全身を覆う鎧と、狼に似た面を持つ共通点を持つ。ただし、こちらは敵サイドのキャラクター。