概要
森羅万象に存在する闇「陰我」と関わりを持つ魔獣。普段は真魔界と呼ばれる異世界に棲息しているが、「陰我」を宿した物体を「ゲート」としてこちらの世界にやって来て、純粋な悪の心を持つ人間、心の弱い人間が抱く闇に反応して取り憑く。
黒い霧で出来たガーゴイルのような「素体ホラー」が人間に取り付くと、憑依された者の本来の血肉は消失しホラーのそれに置き換わる(※)が、引き続き憑依対象の姿(人間態)をとることはできる。
取り憑く対象は人とは限らず、稀ではあるが器物や概念そのものが持つ陰我に憑依するホラーも存在する。
(※)ある作品ではホラーの能力により、一時凌ぎではあるが「憑依者の本来の精神と肉体を復元する」ことに成功しており、消えた血肉はどうやっても取り戻せないというわけではない様子。
人界で肉体を得たホラーは人間の魂を捕食する怪人であり、太古の昔より番犬所に属する魔戒騎士や魔戒法師によって討伐されてきた。
だが、こちらの世界に現れたホラーの体はあくまで「器」であり、倒しても存在自体は滅びず本体が魔界に還るのみ。
しかも人間の心の闇に反応してこの世界に現れる存在であるため、人類が存在する限り魔戒騎士・魔戒法師の戦いが終わる事はない。
上の記述で察しがつくと思うが、ホラーを倒すということはその肉体ごと討つということであり、取り憑かれた人間はその時点で生物としての「死」が確定する。
もちろん憑依された人間を元に戻す術なんてないし、そのホラーを討伐したところでホラーに捕食された人間が生き返るわけでもなければその魂が解放されるわけでもない。
例え勝利した先に何一つ得る物がないと分かっていても、一度でも人間に取り憑いたホラーが確認されれば、魔戒騎士達はただ黙々とそれを討伐するしかないのである。
また、純粋な悪人がホラー化した場合はまだしも、無関係な市民はもちろん子供を守るために殺人を犯した母親など情状酌量の余地のある人間、あるいは魔導ホラーのように本来なら心の闇など無いに等しい人間や、闇のバルファムによって生み出されたホラーのように本来ならホラー化する程でもなかった不幸な人間がホラー化するケースもあり、場合によっては非常に後味の悪い事態になることも日常茶飯事である。
魔戒騎士や魔戒法師の中にもこのことに心を痛める者は少なくなく(当然それにつけ込まれて憑依されるケースも少なくない)、それが一部の作品では悲劇の引き金になってしまっている。
ちなみに魔導輪の設定でもわかるように、ホラーは通常人間1人の1日分の魂を喰らえば1ヶ月は満足できる非常に燃費のいい存在であり、完全に殺さず魂を喰らう術も持っている(シリーズには、死体にごく僅かに残った魂の残滓を食べて生きていたホラーも登場している)。つまり短期間に何人も丸々食い尽くすような本編に登場する敵ホラーの行為は、生きるために必要なのではなく完全に当人の悪趣味でやっているだけなのである。
また人間界と魔界の間には一種の協定のようなものが結ばれており、人間界側がホラーに必要な分の魂(上述したようにごく僅かずつで十分であり人を殺して回る必要はない)を提供する代わりに、魔界側ではみだりに人間界に行き見境なく人を食い漁ることを禁じているという設定がある。つまり作中守りし者と戦っているホラーは、ホラー側からしても「掟を破った罪人」ということになる。
素体ホラー
ホラーの基本となる共通の姿。基本的には白く濁った瞳を持つ骸骨のような頭部と、悪魔のような生々しい身体と尻尾を持つ魔物であり鋭い牙と爪で対象を貪り食らう。
ある程度の経験を持つ魔戒騎士にとっては取るに足らない存在だが、力を持たない人間にとっては脅威以外の何物でもない。また、群れで行動する場合もあるため決して油断してはならない存在であることに違いはない。
また、作品によっては微妙に姿が異なる場合もある。
紅蓮ノ月:痩せ細った体躯を持つ身の丈以上の姿で宛ら餓鬼を思わせる。
VERSUSROAD:劇中では黒幕たちの手駒として登場。魔道具によって制御された操り人形となっており、身体に繋がれたコードやプロテクターなどサイボーグのようにも見える。力は極限まで抑えられているが充分驚異的であり、取り付けられた赤いバイザーを光らせながら対象に襲い掛かる。
陰我
この世に蔓延る悲哀や憤怒、絶望や欲望などの邪悪な念。生物だけでなく物品などの森羅万象のあらゆるものに存在し、宿る。
自らの嗜好に合った陰我を現実世界へ侵入するためのゲートにしたり、自らの存在を繋ぎ留めるために依り代にするなど、ホラーたちにとっては切っても切れない繋がりでもある。
ただし、全てのホラーが陰我を必要とするわけではなく、中には陰我を持たない純粋な人間を取り込む変わり種も存在する。
特徴
素体ホラー時の姿には個体差がないが、人間に取り付いて実体化すると、ゲートとなった物体や憑依相手の性質の影響を受け、個体によって多種多様な形態や能力を示すようになる。また、憑依されたものは身体能力も飛躍的に上がり、本来の姿にならずとも魔戒騎士と対等以上に渡り合えるほどの戦闘能力を持つ。
捕食や戦闘において、全身だけでなく口など特定部位だけを変容させるホラーもいる。
ホラーにはそれぞれ固有の名前があり、魔戒騎士・魔戒法師が人界に現れたホラーを征伐する際は、憑依相手ではなく憑依したホラーの名前で呼ばれる事が多い。
実体化したホラーは、憑依相手が知り得ない知識(魔戒騎士の存在など)を持ち続けているが、憑依相手が元々持っていた精神の影響も受ける。
ケースによっては憑依対象の人格を(悪い意味で)そのまま残したようなホラーもおり、その場合は憑依対象の名前で呼ばれる事もある。
そのため、憑依相手とホラーの記憶が混ざり合ったような言動を取る個体も多い。
惹かれた陰我のまま問答無用で対象に憑依するが、相手が人間の場合は欲望や悪意に意識を傾けるように唆すなど悪魔の囁きにも似た誘惑をする。
ホラーの血液は人間にとっては有毒であり、人体に付着すれば「血のドルチェ(血に染まりし者)」となって100日後に肉体が腐って気絶する事すらできないほどの苦痛に襲われながら命を落としてしまう。
肉体が腐る前に「ヴァランカスの実」の汁を飲めば完治できるものの、希少価値が非常に高い代物であるためか、シリーズで実践できたのは1人のみである。
また、血のドルチェになった人間はホラーにとっては極上の餌であるために多くのホラーを引き寄せるなどいった二次災害を招く可能性もある。
それらの事情から番犬所では介錯という形で魔戒騎士が血のドルチェとなった人間を斬る事を許されている。
分類
陰我ホラー
大多数のホラーがこれに該当。
『闇を照らす者』では後述の魔導ホラーとの区別のため、この名称での区別が付けられた。
『紅蓮ノ月』では平安時代の日本を舞台としたため、カタカナ表記ではなく「火羅」と漢字表記である。
使徒ホラー
7体存在するホラーの中でも強力な存在。
『RED REQUIEM』のカルマとベビルが該当。
魔導ホラー
殺戮の闘将・ゼドムなるホラーに強化された、もしくはある方法で人工的に創られた存在。
通常のホラーとは違いゲートを介さず、人間に憑依しない。また魔導火で人間との判別が出来ない。
石板のホラー
エイリスの封印のため特殊な符術を施されたホラー。
巨偶ホラー
ドゥオクトが該当。
烈空ホラー
ズフォーマーが該当。
関連タグ
オリジナルホラー…二次創作によるホラー。
ダエモニア…こちらも性質が似ている。
オルフェノク…いずれもなった時点で死んでいる怪人繋がり。
ファントム…同上、ただしこちらは素体の人間が絶望したことによるもの。