魔神王ガロン
まじんおうがろん
「魔神王ガロン」とは、永井豪による漫画である。
手塚治虫「魔神ガロン」の続編であり、永井の手による手塚作品のキャラクターが多く登場する。
「4歳で手塚先生の『ロストワールド』に出会い,マンガに開眼しました。そしていま手塚先生の作品を描けるなんて夢のようです。僕が創造した巨大ロボットヒーローの原点にいたのが『魔神ガロン』。新しいガロンは,愛してやまない手塚漫画へのオマージュでもあるのです。手塚先生の世界を尊重しつつ,僕なりのガロンを力いっぱいぶつけたい。(永井豪)」
「月刊手塚治虫マガジン」(KKベストセラーズ) 2004(H16)5月号~2005(H17)4月号にて連載されていた。
単行本は全二巻。雑誌休刊のため、終わりはやや尻切れトンボだが、単行本時に加筆されており「第一部完」とされている。
魔神になるキャラクターは、スターシステムにより有名な手塚キャラクターが当てられており、リボンの騎士やビッグXに登場したキャラクター、そしてその姿を模した魔神たちが登場する。
ガロンとピックがタイムマシンによって未来へ姿を消してから40数年後の、西暦2007年,再び謎の隕石が日本各地に落下した。その数,13!!
天体マニアの高校生,明王真(みょうおうまこと)もまた、その落下した隕石のひとつを目撃。その隕石=魔神球を手にした真は、魔人ガロンへの変身能力を得た。
だが、魔人に変身できるのは真=ガロンだけではなかった。
同じく、秘密裏に魔神球を集めていた宇宙人・宝夢六郎により、真は魔神球の詳細を知らされる。
それは、宇宙の絶対悪とされる存在・宇宙人「ゴア」が送ったもの。魔神球は全部で13あり、手にした者を魔神に変身させる。
が、それは「人知を超える力を持った人間は、必ず悪しき欲望のままに暴れる」という心の闇を突く、ゴアの罠だった。ゴアは魔神球をもたらし、地球人を共倒れさせようと企んでいた。
真はこのゴアの企みを阻止すべく、ガロンに変身し、他の12体の魔神たちと戦うバトルロワイヤルに参加する。
だがこれは、一度参加したら二度と抜けられない、命を懸けた戦いでもあった。
13の魔神
※は、元ネタとなった手塚作品のスターシステムのキャラ、または作品とそのキャラ
- 第1魔神・ガロン/明王 真(みょうおう まこと)
天体観測を趣味とする高校生。近所に流星が落下したことから見に行くが、魔神球を手に入れガロンとなる力を手に入れる。静かに星を見るのが好きな少年だったが、ガロンとなってからはスポーツや格闘技も嗜むようになる。ライオン魔神を倒したことで魔神としての力が一段階パワーアップする。
- 第2魔神・ズロン/刃武玉五郎(はむ たまごろう)
※ハムエッグ
少年院に出入りを繰り返す不良学生。魔神となって得た力でATM強盗を行う。ガロンを仲間に引き入れようとするが対立。一度敗北するもシエエに助けられる。その後もATMを盗むことで資金稼ぎをしていた。ゲシュタポXに敗北したことで当局に収監されるが、復活した魔神球が帰ってきたことで脱獄。魔神球の真実が公表されても「自分は元から悪人」と意に介さず、休息中の小名楽才三を殺害したことでパワーアップした。
- 第3魔神・シエエ/汗血乱風(あせち らんぷう)/本名・畦地連蘭子(あぜちれん らんこ)
※アセチレン・ランプ
怪奇作家。いい年をした中年女性だがメンクイで、足を舐めさせる性癖がある。正体が発覚して逃亡する刃武を匿うが、魔神球を金庫にしまい込んでいたため、魔神球を狙う者たちに暗殺される。
- 第4魔神・メルゥー/芽留桃子(める ももこ)
幼稚園に通う女の子。ませていて子供の立場に不満を感じており、「大人になりたい」という願いとともに魔神に変身。ケーキ屋やおもちゃ屋に押し込み、強盗・器物破損行為をしでかす。ガロンに投げ飛ばされたら泣きだし、魔神球も回収された。
- 第5魔神・魔神総裁ゲシュタポX/ハンス円外流(-エンゲル)
※ハンス・エンゲル(ビッグX)
日本に帰化したドイツ人二世の研究家。魔神球を送り込んだ宇宙人に従い、自身が地球の支配者になろうとしている。魔神球の真実が公表されても却って持論を確信したようで、乙女の騎士を襲撃する。
- 第6魔神・ライオン魔神/ブラックパンジャ
※パンジャ(ジャングル大帝)
福岡県F市の動物園で飼われている黒いライオン。魔神となって言語すら操るようになり人間を喰うことを覚えたが、ガロンとの戦いで死亡。
- 第7魔神・乙女の騎士(メイデン・ナイト)/岸リボン/本名・岸沙布也(きし さふや)
※サファイヤ(リボンの騎士)
売り出し中のアイドル。魔神化する際にはコスチュームを纏い、馬のぬいぐるみをユニット化して使用している。実は性転換を希望する男の娘で、世界最高の闇医者に手術を依頼するために資金を貯めている。真に対して正体を明かすが、拒絶されたため愛憎反転し暴走しかけたところをゲシュタポXに襲われる。
- 第8魔神・魔神大X(だいエックス)/外衆大介(げしゅう だいすけ)
小学生の男の子。ナチスマニアの父親・外衆保(げしゅう たもつ、雑誌編集者)がゲシュタポXではないかと疑い、魔神となって倒そうとしている。魔神球の真実が公表されるが、目的を遂げるためとゲシュタポXを捜索中に三つ目魔神に勝負を挑まれる。
- 第9魔神・スカンクサイ/小名楽才三(おならく さいぞう)
※スカンク草井
ケチなヤクザ。手柄を挙げようとして組の立場も考えずに大物ヤクザの暗殺を実行。身内に始末されかかるが魔神球を見つける。自分の組「極悪会・小名楽組」を作る。魔神球の真実が公表されても「自分は元から悪人」と意に介さず、他の魔神に喧嘩を売ろうと行動した際、休息中のホテルに潜り込んた刃武(ズロン)による不意打ちを喰らって魔神を破壊されて逃げようとしたところを踏み潰されて死亡。
- 第10魔神・三つ目/鉄輪奈亜夢人(てつわな あむと)/本名・飛尾呆介(とびお ほうすけ)
反則無しを売りにする人気レスラー。だが、元は親に捨てられてサーカスに売り飛ばされた末にドロップアウトし、三つ目の覆面を被って散々悪事を働いた不良。クリーンな試合に溜めこんだストレスを晴らそうと魔神化して暴れまわる。魔神球の真実が公表されても「自分は元から悪人」と意に介さず、ゲシュタポXを探している大Xに勝負を挑む。
- 第11魔神・白鬼丸/不明
正体不明。両手が刀になっているほか、足にも仕込み武器を持つ。登場した時点では秩序側なようで、放火を繰り返すシャミィセンと戦う。
- 第12魔神・シャミィセン/千美鳥(せん みどり)&猫のシャミー
享楽的な女性。魔神球の真実が公表されても然して意に介さず、飼い猫のシャミーと一緒に魔神化し、尻尾から発する炎で街に放火をする。
- 第13魔神・プルゥトー/不明
※プルートゥ(鉄腕アトム)
スカンクサイを殺してパワーアップしたズロンとガロンが激突しようとした場面で現れた魔神。13の魔神の中で同じ魔神を殺し、パワーアップしたガロン・ズロンの勝った方と戦おうと挑戦してきた。
その他の人物
- ケン一
現在は恰幅の良い中年男性になっている。携帯電話の着信音は、鉄腕アトムのOP。
- 宝夢六郎 ※ロック・ホーム
真に魔神球の事を教えた男。実は宇宙人で、魔神球を秘密裏に集めていた。
最終回に登場する。
魔神の核となる物体。宇宙から落下した直後は幾何学的なパーツだったが、他の存在を取り込むか、しばらくすると拳大の球の形に収まる。
持ち主との融合後は持ち主にしか反応せず、死なない限りは引き離されても持ち主の元に戻ってくる。人が収まるサイズまで拡大した球と融合することで魔神となり、任意に分離することも可能。分離後は持ち主によっては拳大から手に収まるサイズまで縮む。