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史上最速かつ最もパワフルなフェラーリ
ニューモデルの開発を決定する際、フェラーリがいつも最初に直面する最も困難な課題は、自らの限界を突破することです。
1947年、栄光のCavallino Rampante(キャヴァッリーノ・ランパンテ、跳ね馬)の70年に及ぶ歴史の最初の1ページを飾った12気筒エンジンの設計ともなると、この挑戦がさらに困難なものになります。
今回は、サーキットに由来するフェラーリの豊富なエンジニアリングノウハウを活用した集中的な研究開発から、あらゆる環境下でベンチマークとなる性能を発揮し、ステアリングを握った全ての方々を夢中にさせるドライビング・エクスペリエンスを提供する812 Superfast が誕生しました。
F12berlinettaを60cv以上も上回る800cvという大出力を発揮する812 Superfast は、ロードカーとして史上最速かつ最もパワフルなフェラーリとなりました(もちろん、リアエンジンのスペシャル・リミティッドエディションの12気筒モデルは除きます)。これはF12berlinettaと12tdfの貴重なレガシーの継承によって実現したものです。
この巨大なパワーを最大限に活用し、理想的な重量配分の達成に向けて、フロントに搭載したエンジンとリアに搭載したトランスミッションを繋ぐ高度に進化したトランスアクスル・アーキテクチャを採用しています。同時に、ESP(電動パワーステアリング)を装備した初のフェラーリとなりました。
─フェラーリ 812スーパーファストのキャッチコピー (原文ママ)
概要
アルファベット表記「812 Superfast」(直訳「とても速い」)。
(車名は以降「812SF」と略して記述)
2017年3月、ジュネーヴモーターショーにて初披露。F12ベルリネッタ(及びこれの高性能版であるF12 TDF)の後継となる。車名の812は、800ps V12エンジンに由来する。最高出力の800psはそのキャッチコピーの通り、(現時点では)最強の最高出力を誇る(ただしストラダーレモデルを除く)。
サブネームの「スーパーファスト」は、同社が1964年にリリースした「500スーパーファスト」に由来する。
パワートレイン
排気量6.5L(6496cc) バンク角65°のV12エンジンは相変わらずの過給機を搭載せずDOHC形式で頑張るスタイルを貫いている。エンジンを先代(F12ベルリネッタ)同様コックピットの前側にマウントし、7速デュアルクラッチミッション(DCT)を介してリアタイヤを駆動するFR駆動を継承する。
エンジンは最高出力800ps/8500rpm、最大トルク718Nm/7000rpmという高回転型。変速はハンドルに取り付けられたパドルを用いて行う「パドルシフト」形式を採用。
特筆事項として、F12 TDFにも搭載されていた四輪操舵システムの進化版を搭載。同社はこれを「バーチャル・ショートホイール2.0システム」と呼称している。また、同社としては初の電動パワーステアリング(ESP)を搭載する。
(パワーステアリング、通称「パワステ」は、普通にハンドル操作をするとたいそう重いのでこれを軽くする目的で搭載される。こんにち、自動車に搭載されるパワステは油圧である。)
インテリア・ビジュアル
インテリアは先代以上にスポーティーになり、メーター類は液晶のパネル付きアナログのレブカウンター(タコメーター)、液晶のパネルをそれぞれ備える。
ハンドルはレーシーな部分もありながら利便性も両立したデザインとなっており、走行中のハンズフリー電話も可能。
マシンデザインはフェラーリスタイリングセンターが担当。ロングノーズかつハイテールのリアビューは、同社の往年の名車「365GTB/4」(別称「フェラーリ・デイトナ」)を彷彿とさせる。ヘッドライトは完全LED、テールランプは「GTC4ルッソ」に続き片側に丸目のものを2つ、合計して4つを装着。先代同様、テールランプのちょうど真下に2本出しのエキゾーストが覗く。
812 GTS
812SFのオープントップモデル。2019年9月に発表。
フロントにV12エンジンを搭載するモデルは「365 GTS4」以来実に50年振り。所要開閉時間14秒、最大で45km/hの速度でも開閉可能なリトラクタブルハードトップ仕様で、シート後方のロールフープはルーフを閉じるとトンネルバック形状になるようデザイン処理されている。
パワーユニットは812SFと同一。
主要諸元
812SFと812 GTSは基本的にパフォーマンス性能が同じな為、ここでは812SFのものを記述する。
エンジン | フロント縦置き バンク角65° V型12気筒エンジン |
排気量 | 6.5L (6496cc) |
ボア・ストローク | 94×78 mm |
圧縮比 | 13.6 : 1 |
1Lあたり出力 | 3ps/L |
最大回転数 | 8900rpm |
最高出力 | 800ps/8500rpm |
最大トルク | 718Nm/7000rpm |
バルブ作動システム | DOHC(1バルブあたり4バルブ) |
燃料タンク容量 | 92L |
パワーウエイトレシオ(※2) | 1.91kg/ps |
トランスミッション | 7速DCT |
全長 | 4657mm |
全幅 | 1971mm |
全高 | 1276mm |
ホイールベース | 2720mm |
重量配分 | フロント:47% リア:53% |
乾燥重量(※1) | 1525kg |
車両総重量(※1) | 1630kg |
タイヤサイズ(前) | 275/35 ZR20; 10” J x 20” |
タイヤサイズ(後) | 315/35 ZR20; 11.5” J x 20” |
ブレーキディスクサイズ(前) | 398x38 mm |
ブレーキディスクサイズ(後) | 360x32 mm |
最高速度 | 340km/h |
0~100km/h加速 | 2.9秒 |
0~200km/h加速 | 7.9秒 |
100~0km/h減速 | 3.2秒 |
その他特筆事項 | 四輪操舵システム(バーチャル・ショートホイール2.0システム)及び電動パワステ(ESP)搭載 |
※1: オプション装備搭載モデルの場合
※2: ※1状態での値
余談
エンジンの最高出力だけなら、2013年デビューのラ・フェラーリが812SFと同じく800psを叩き出す。ラ・フェラーリはハイブリッドカーの為この数値にモーターの出力が上乗せされて963psという数字に変化するが、モーター出力を除いた時の値が800psになるという事に関しては頭の片隅にでも置いて欲しい。
関連記事
- ラ・フェラーリ → エンジン単体の最高出力の数字つながり
外部リンク
以下フェラーリ公式: