概要
JR東海が2000年に導入した東海道・山陽新幹線の設備点検を目的とした事業用・非営業車両。
700系をベースに製作された車両で、同新幹線としては3代目の「新幹線電気軌道総合試験車」。
黄色い車体から、「ドクターイエロー」の愛称を持つ。
現在、ドクターイエローと言えば、大体当車両のことを指す。
JR東海保有編成が「T4」、JR西日本保有編成が「T5」を名乗る。
両編成は、JRマークの色が異なる(T4…オレンジ、T5…ブルー)他、搭載するアンテナの数(T5の7号車のアンテナが多い)などの差があり、容易に判別が可能である。
基本的に両編成とも東京にある「大井車両基地」で待機しており、約10日に1回、東京駅~博多駅を2日かけて1往復し、東海道・山陽新幹線の設備点検を行う。
7両編成で、各車両の役割は以下の通り。
1号車 | 電気や信号、通信関係の測定、検査室 |
2号車 | 電力・集電状態(架線)の測定、機器室 |
3号車 | 電力関係の測定、データ整理室、架線観測ドーム、便所 |
4号車 | 軌道の測定、データ整理室 |
5号車 | 架線観測ドーム、休憩室、便所 |
6号車 | ミーティングルーム、資材置き場、電力関係測定機器室、高圧機器室 |
7号車 | 添乗員室(700系と同じ客席が50席) |
ドクターイエロー記事も参照。
営業運転
前述の通り、当車両は検査車両のため、旅客を乗せての営業運転は行わないが、2023年にイベント企画として、「ドクターイエロー乗車体験会」を開催。抽選で選ばれた人が特別料金を支払い乗車できた。(参照)
7号車の添乗員室が指定席として利用され、架線観測ドームなどの見学ツアーが行われた。
乗車体験会のための特別ダイヤで運行され、通常の検測とは別に走行した。
退役
老朽化のため、T4編成が2025年1月、T5編成が2027年に引退予定。
営業運転を行いながら線路や架線の状態をチェック出来る装置が開発されたため、後継車となる新型ドクターイエローは製造せず、今後はN700Sがその役目を担う予定。
T4編成は引退後リニア・鉄道館に保存される予定。