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概要編集

シカゴ・ミルウォーキー・アンド・セントポール鉄道、いわゆるミルウォーキー鉄道は1909年、アメリカ最後となる大陸横断鉄道をシカゴ~タコマ間に完成させた。この路線には最大27‰に達する急勾配と多くのトンネルがあり、またノーザン・パシフィック鉄道とグレート・ノーザン鉄道が並行路線を有していたため、対抗のために山岳区間の直流電化が計画された。1914年から始まった直流3000Vでの電化工事は順調に進められ、1919年に西海岸沿いのカスケード山脈部分の電化が完成した。これに合わせゼネラル・エレクトリック社で製造されたのが本形式、EP-2型である。


構造編集

この車両の最大の特徴はモーターにある。界磁極を2つだけ持つバイポーラモーターを採用し、釣り掛け駆動でなく動輪の車軸に直接回転子を取り付けた今日で言うダイレクトドライブとした。愛称の「バイポーラ」はこれに由来する。きわめて先進的な駆動部とは対照的に、足回りは台車枠が牽引力を受け持つごく普通の構造であった。台車は1B+D+D+B1の構成で12軸を駆動し、1時間定格出力4440馬力、1000tの旅客列車牽引時の20‰均衡速度が40km/sと高性能を誇った。設計最高時速は145km/hであった。

車体は先に電化が完成したロッキー山脈区間向けに製造されたEF-1/EP-1型の箱型車体から一転して、暖房用蒸気発生器を備える箱型車体を、運転台や電気機器を備えるカマボコ型のボンネット付き車体2つで挟み込む凸型車体となった。

なお、5両の製造には当時の価格で100万ドルを要したという。


運用経過編集

1919年に10250 - 10254の5両がデビューした本機は、駆動部に歯車を使わないため騒音も少なく、従来蒸気機関車が重連で牽引した列車を単機で牽引してミルウォーキー鉄道近代化の象徴となった。主にミルウォーキー鉄道の看板列車であるシカゴ-シアトル間の大陸横断特急「オリンピアン」の先頭に立って活躍した。その優れた性能と在来の箱型機関車と比べてモダンな外観は利用客等多くの人々の注目を集め、「線路の女王」と称された。


ただ皮肉なことに、電化にかかった莫大な経費のため、シカゴ・ミルウォーキー・アンド・セントポール鉄道は1925年に破綻し、シカゴ・ミルウォーキー・セントポール・アンド・パシフィック鉄道として再建されるも、1935年には再び破綻。経営再建にはさらに10年を要した。この渦中にあっても本機は安泰で、カスケード山脈越えの区間で活躍を続けた。1939年には車番がE1~E5に変更されている。


だが戦時下の酷使で老朽化が進行し、1953年に大規模な更新工事を実施。すべての車軸にローラーベアリングを装備し、老朽化していた機器類も入れ替え、ボンネットも角が滑らかなものに変更された。また総括制御機能も追加されている。

ところが、この改造が本機の寿命を縮めることとなってしまった。最初の1両の改造はタコマの工場で行われたが、予算が超過したため、残り4両は安価に済ませられるミルウォーキーの工場で行うこととなったのだ。しかし、ミルウォーキーの工場は電気機関車を扱うのに慣れてないかったため出来が悪く、改造が終わった車両を検査してみると、切断されたワイヤが束ねられ、「どこにつなげばよいかわかりません」という札が張られていたこともあったという。改造後の本機はしばしば故障や出火を起こし、タコマ工場でたびたび修理を受けたものの改善しなかった。当然次第に運用の機会は減り、1957年よりロッキー山脈越え区間へ転用されることとなったが、問題はますます悪化した。ロッキー山脈越え区間はカスケード山脈越え区間より最高速度が30km/h以上も速く、130km/h近く出す機会もあったことが一因とされている。とうとう1959年に「オリンピアン・ハイアワサ」(「オリンピアン」の後継列車)はディーゼル機関車の通し運転となり、本機は予備機となった。


オリンピアン・ハイアワサは1961年にモンタナ州ディアロッジ以西の運行を廃止して無名の列車に格下げされ、電化区間を通過する長距離旅客列車は全廃となった。これにより本機は完全に引退、42年に渡る生涯を終えた(実際に解体されたのは翌1962年のことである)。現在はE2号がミズーリ州セントルイスの国立交通博物館で改造当時の塗装に復元されて静態保存されている。


関連イラスト編集

ミルウォーキーEP-2型電気機関車(流線型後)


関連タグ編集

ミルウォーキー鉄道

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