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JH-7

じぇーえちなな

冷戦末期、中国が開発を発表した戦闘爆撃機で、それまでに無かった長距離能力が特徴とされる。現在は中国空軍・海軍航空隊で運用されており、輸出用にはFBC-1「フライングレオパルド」という型番・名称が振られているが、輸出実績はない。NATOコードネームは「フラウンダー(もがく者)」。
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「JH」とは、それぞれ中国における戦闘機と爆撃機を意味する単語の頭文字である。なお「JH」は中国初の接頭記号だが、さっそく7番目とされているのはH-6まで続いた爆撃機の後を継ぐものとされていたから。実際に開発当初はH-7として計画が進められていた。

役立たずの航空部隊

「西沙諸島に五星紅旗見ゆ」

1974年1月15日、アメリカが撤退したことでベトナム戦争にも終息がみえていた頃、定期巡回の南ベトナム軍コルベットにより西沙諸島、永楽群島の甘泉島に中国漁船2隻が停泊し、島に五星紅旗を掲揚しているのが発見された。南ベトナム艦は退去を命じたが漁船は無視して居座り、翌々日、双方ともに増援部隊を派遣して事態は緊張した。中国側はこの間にほか3島に上陸・占拠し、銃砲の応酬こそないものの、まさに一触即発となった。

1月19日には、南ベトナムが占拠された島の1つに上陸・奪回を敢行、これに中国も対応して艦を差し向けるが、南ベトナムはこれに向けて発砲。のちに「西沙海戦」とよばれる戦いが始まった。

事件のゆくえ

小規模ながらも激しい戦闘になり、両軍ともに艦艇を喪失している。とくに、南ベトナムは哨戒艇1隻を失い、他にも参加したベトナム艦艇はもれなく大小の損害を被った。これにより艦隊は撤退し、以後は島を占拠する中国の動きを止めることができなかった。また、北ベトナムも攻勢を強め、そもそも対抗するどころではなくなってしまう。

また、中国側にも反省点はあった。
当時の中国空軍・海軍航空隊の装備では、西沙諸島でさえ行動範囲ギリギリであり、多くの場合、艦艇の支援要請に応じて駆けつける等というのは不可能だった。いちおう、航空部隊はそこそこの成功をおさめたてされたが、それはその後の上陸作戦では作戦が事前に調整されていたからで、「戦場で求められる航空支援」としては大いに問題のあるものなのだった。新たな装備に、より長距離に向いた戦闘爆撃機が求められるのは当然のことだった。

なお戦争終結後、西沙諸島がベトナム(元・北ベトナム)側に返還されることはなく、南ベトナム政府打倒のための陽動と思われたこの作戦は、おそらく途中から領土的野心にすり替わってしまったようである。その後の南沙諸島では、この西沙諸島に建設された航空基地が重要な拠点となり、艦隊を支援するものとしている。

当時の中国軍機種

MiG-19を国産化したJ-6戦闘機のほか、MiG-21F-13を国産化したJ-7に、Il-28の国産化H-5と、いずれも短距離の航空優勢確保・対地支援に重きを置くソビエト式空軍ならではの内容となっている。

「行動範囲ギリギリ」

もちろん、行動範囲を伸ばす有効な手段としては空中給油が考えられるが、当時のソビエトでは戦略爆撃機専用に用意しているのみ。もちろん中国の手に渡ることも無かった。

1988年、ファーンボロにて

お披露目

1988年、イギリスのファーンボロ航空ショーで実機の模型が展示され、ここに中国の新型戦闘爆撃機の開発が明らかになった。JH-7はそれまで主力だったQ-5、またはH-5の後継であり、一番の特徴はそれまでにない航続力とされた。実機は航空ショーの前月に初飛行を遂げており、近い将来の中国航空戦力を入れ替えるものと思われた。

しかしその後、事故により試作機の1機が墜落し、この再発防止などにかなりの期間を費やしたため、当時としても先進的とは言えなかったJH-7は見る間に旧式化してしまった。この原因はエンジントラブルだったと思われており、その後も「スペイ」の国産化には難航して本格的生産は2002年に擦れこんでしまう。もちろんJH-7生産にも悪影響を及ぼし、そのころにはとっくにSu-30が導入されるようになってしまった。

国産機のゆくえ

結局求められた戦闘爆撃機としては輸入したSu-30が適任とされ、主力はこちらとされてしまった。生産・配備は現在も続いているものの、Su-27SKJ-11J-10Su-30よりも優先されている訳ではないようで、今のところ配備は一部の部隊に留まっているもよう。

墜落事故の影響もあってJH-7の生産は早々に終了し、替わってレーダーなど電子機器を入れ替え、兵器の対応能力も強化したJH-7Aが生産されている。これはSu-30と比べても生産のすべてが国内で賄えて、そのうえ安いという長所があるからである。開発も続いているようで、ステルス性を取り入れたJH-7Bが開発されているともいわれる。

「飛豹」の力

中国独自開発機の例にもれず、性能諸元を見ても実態がさっぱり見えてこない。
見た目はやや古臭く、特に目立つエアインテイクに据え付けられた大型の境界層板などからみて、おそらくはベトナム戦争で回収された残骸にもヒントを得て開発されたものと思われる。

とくにF-4には恰好も似ており、とくにエンジンが同系列であることから、イギリス仕様の「ブリティッシュ・ファントム」とはよく比較される。また日本もF-4EJ改を運用しており、こちらも対艦阻止任務を視野に入れていることから比較してみよう。

サイズ・エンジンなど

JH-7のほうがひとまわり大きく、またエンジンもJH-7ではJ79よりも1割ほど出力が高い、より新しいRB.163「スペイ」Mk202(あるいは国産化品の渦扇9「泰嶺」)を搭載している。搭載力はF-4で7tほどで、JH-7も同程度か、やや大きい程度のもよう。

飛行性能はF-4でM2.2であるのに対し、JH-7はM1.7ほど。これは第4世代ジェット戦闘機としてはM2以上の速力を求めないことが多いので(そんなに出すこと自体めったに無いから)、これは必ずしも劣るものではない。

ただ、一番の謎が航続性能で、F-4EJ改の航続距離が1600nm(2900km)ほど、戦闘行動半径が長くとも450nm(800km)ほどとされるのに対し、JH-7では戦闘行動範囲(一般に航続距離の3割ほどとされる)の時点で1600kmとなっている。いくらなんでも長すぎないか?
単位(km・nm)と記入欄とを間違えてしまったとすれば納得できる数値となるのだが。それとも注釈(増槽など)を入れる部分を忘れてしまったのか。

搭載兵器

固定武装に国産の23mm機銃を2門備えているほか、機外ハードポイントにも計7tほどの兵装を搭載できるとしている。内容はまず各種爆弾やミサイルなどで、最近では常識となった精密誘導兵器(レーザー誘導爆弾・GPS誘導爆弾)も使用可能。ただし、これらを本当に精密に使用するためには、事前に潜入したゲリラ部隊やスパイ等による支援は必須となる。

もちろんレーダー誘導式のPL-12対空ミサイルにも対応しており、これはロシア製のR-77を基に開発されたもの。最新式で精密とは言われているが、肝心のシーカー部分は輸入品。

F-4EJ改と同様の武装といえば対艦ミサイルだが、JH-7ではC-801/-802といったものを搭載できる。射程は型によって様々だが、最新型には射程200kmに及ぶものもあるとみられる。または90年代に登場したロシア製のKh-31A(AS-17「クリプトン」)射程:70kmを搭載することもできる。


F-4EJ改との比較

航続距離もF-4EJ改と同等だとすれば、主翼には増槽と対艦ミサイルとを搭載するだろうから、攻撃力も同等となるだろうと思われる。とくにJH-7は中国軍の戦闘爆撃機として最も多くの兵器に対応しているようで、「空飛ぶミサイル艇」として使われた場合にはかなり厄介な存在にもなり得るだろう。

搭載したレーダーFCSはJL-10A「神鷹」で、これはどうやらF-4EJ改のAN/APG-66と同程度の性能であるもよう。また、レーダー誘導ミサイルによる空戦では、F-4EJ改がAIM-7に対応するにとどまっているため、JH-7は優位に立つだろう。(ただし、対艦ミサイルを搭載するとPL-12は搭載できなくなると思われる。そもそも必要ないかもしれないが)

以上のように、JH-7は少なくとも、F-4EJ改とは比肩するくらいの性能は秘めているだろう。このJH-7はすっかり中国の技術で作られた戦闘爆撃機だが、未だ第3世代ジェット戦闘機水準とバカにしてはいけない。戦場で兵器を扱うのは人間であり、その人間による使い方しだいでは諸元の性能は全くアテにできなくなる。兵器である以上、それは立派に人間を殺すことができるという事を忘れてはならない。兵器は性能以上に、有能になるかもしれないのだ。

まとめ

さて、このあたりまで来ると不思議なもので、JH-7が強く・かっこよく見えるようになってしまった。中国なりの『いま出来ることをもっと有効に』という、発展の基本が見えたせいかもしれない。

見ての通り、21世紀の機としては古臭い恰好ではあるが、低空を得意とする戦闘爆撃機としては実績のある、手堅い設計でまとめたということもできるだろう。F-4EJ改よりも(とりあえずの種類は)多彩な兵器に対応しており、海上・陸上を問わず能力を発揮できると思われる。

ただ肝心の中国軍での地位は高くないようで、J-7がFC-1(JF-17)にまで化けたような、あの発展までのやる気が感じられないのが少々残念とも思われる。しかし、設計に関する考えは着実に発展しており、将来的にはロシア製頼みから脱却することにまるかもしれない。すべては中国軍首脳のやる気次第ではあるが。

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