概要
"villainess"とは"villain"の女性形。
カナ表記は『ヴィラネス』となるが、日本語ではほとんど浸透していない単語であり、夢枕獏(原作)・雨依新空(作画)による漫画作品『ヴィラネス -真伝・寛永御前試合-』をさすことが多い。
端的に『悪女』と訳されるが、日本語における『悪女』の英訳として"villainess"が適しているかといえばそれも微妙。
『女ザコ / 女戦闘員』『女怪人 / 女モンスター』『女幹部』『女ボス』、あるいは『(悪の)女○○』(ジョブ、クラス、種族等)などといった概念を総称する『敵女』が比較的近いニュアンスと思われる。
そもそも英語圏においても、"villain"と"villainess"の使い分けはそれほど厳密に為されてはいないようである。
『悪党』を意味する"Badguy"が女性に対しても用いられるのと同じか。"antagonist"も参照。
ヒロインとヴィラネス
ヒーローにとってのヴィランがそうであるように、ヴィラネスはヒロインの対極に位置し、ある意味では表裏一体の存在ともいえる。
ヒロインであった者がヴィラネスに、ヴィラネスであった者がヒロインに転向する例は数多く存在する。
登場作品のジャンルや発表年代によって事情は異なるが、男性ヒーローがヴィラネスを直接攻撃する展開や描写は避けられる傾向がある。
『性別以前の非人間的な本性が露わになっている』『被害を食い止めるためにそうせざるを得ない』などのお膳立てが整っている場合であっても、ヴィラネスの退場は『自滅』『仲間割れ(粛清・造反)』『不利な状況を悟って遁走』などのかたちで行われることが多い。
また視覚心理戦は多くのヒーローに(時にはヴィランにも)共通する弱点であることも考慮すれば、強大な能力を誇るスーパーヴィランよりも、個性的で抜け目のないヴィラネスの方が、ヒーローにとってより重大な脅威となることも少なくない。
これらの理由からも、ヴィラネスの行動が活発である状況は、正面から立ち向かえるヒロインの活躍が要求される状況でもあると言える。