概要
小さなおかっぱ頭の可愛らしい子供の姿をした妖怪で、変わった着物を着ており、寂しい山道や夜道に現れ、通行人に「水飲め、茶飲め」と声を掛けてくると伝わられている。
その正体は狢が化けた存在とされており、ある古書には実話として次の様な話が記載されている。
上総（＝現在の千葉県）のとある田舎で、ある日、秋の『すぐり藁（※）』を行う所に集まって遊んでいた子供たちの前に、着物を頭から被って顔を隠した子供が皆に混じって遊び始めた。
子供たちは最初「近所の子供か」と思っていたが、物も言わなければ顔も分からないので、次第に「一体誰だろう?」と訝しみ騒ぎ始めた。
それでもその子は一向にダンマリを続けていた為、子供達は「こうなったら着物を取るしかない」と皆で掛かったものの、決して離さない不思議な子。何とか着物の中に手を入れて腕だけ引っ張り出すと、なんと毛むくじゃらで人間の腕ではなかった。
驚いた子供達は「化け物だぁ‼」と叫んで逃げ出すと、この騒ぎを聞きつけた大人達が手に棒切れなどを持って駆けつけると、化け物は林の中へと逃げ込み、その内に着物を脱ぎ棄てながら狢としての正体を曝け出して、一目散に走り去って行ってしまった伝わる。
なお5期鬼太郎では千葉代表の「妖怪四十七士」として登場する予定だったが、大人の事情で登場する機会に恵まれなかった。
※草履や縄などを作る材料として藁の葉の部分などを取りのぞく作業。
その他の作品での活躍
水木しげるの妖怪ワールド 恐山物語
CV:平松晶子
山天狗（CV:内海賢二）の名代として活躍。
人間達に日頃から鬱憤を溜め込んでいた妖怪達（つらら女、みかり婆、幽霊狸、ぬっぺぼう、倉ぼっこ、岩魚坊主、以津真天、ほいほい火、狼狐）を焚き付けた三尺坊（CV:野沢那智）の企みを防ぐべく、偵察や恐山に近づく人間達への警告を行った。
謎の少女小百合(CV:大前茜)と心を通わせるが……?。
余談
“かぶきり”とは “禿切（かぶろきり）」” が転じたもので、子供の髪型で同じ感覚で切りそろえた髪型を意味する。要は「おかっぱ頭」を意味している。
