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概要

フォレスタル級は、アメリカ海軍初の戦後型空母である。アングルドデッキ蒸気カタパルトなどの新機軸を一通り導入し、ミッドウェー級など戦時型空母とは一線を画する航空運用能力を獲得。満載排水量は80,000t(就役時75,000tとも)を超え、日本海軍の「信濃」(約72,000t)から最大の空母の座を奪取することになった。


冷戦後の軍縮、老朽化から同型艦全てが退役し、現在は解体が進んでいる。


来歴

第二次大戦後、核兵器の登場による戦略爆撃至上主義によって台頭した空軍に対抗すべく、海軍はユナイテッド・ステーツという、戦略爆撃機を運用可能な大型空母を計画していた。結局計画中止に追い込まれたものの、朝鮮戦争によって空母の有用性が明らかとなったため、これを下敷きとし、通常の航空母艦に生まれ変わったのが本級である。一番艦の艦名は、上述したような軍を巡る問題のため、精神を病んでしまい、自ら命を絶ったジェイムズ・フォレスタル国防長官の名に由来したもの。


大きな航空運用能力、設計の完成度の高さから、Super Carrier(超大型空母)という呼称を生み出した。戦後の米空母は、本級を原型として発展したため、戦後型空母の祖といえる存在である。当初の艦種はCVA(攻撃空母)であったが、対潜空母として運用されていたエセックス級の退役、対潜作戦能力の獲得を受け、CV(汎用空母)へと艦種変更された。


ベトナム戦争ではネームシップのフォレスタルが爆発事故を起こしたことが知られている。この事故についてはナショナルジオグラフィックなどでも特集された。


設計

当初の設計ではアクシャルデッキ(真っ直ぐな甲板)であったとされるが、イギリス海軍での研究結果と、エセックス級空母アンティータムの試験結果から、アングルドデッキが設計に取り込まれた。艦上機のジェット化が進んでいた当時、アングルドデッキは高速機の運用に適していたため、非常に魅力的であったからである。このほか、舷側エレベータが装備され、格納庫の有効活用ができた一方で、左舷エレベータの位置が着艦の障害になりうる場所にあった。この欠点については、のちのキティホーク級において改善されることになる。


飛行甲板は戦時型の空母と異なり、艦の強度を担う強度甲板に設定され、また装甲が施された。艦首はレキシントン級のごとく、ハリケーンバウ(エンクローズドバウ;閉じた艦首)の形式をとり、凌波性が向上した。船体の大型化によって、飛行甲板での波浪の影響や、荒天時の操艦の問題について改善が見られたとされる。


機関

機関構成は従来と同じくボイラーと蒸気タービンであり、シフト配置を取っている。一番艦の機関出力は260,000馬力で最大速力は34ノット。ただし、二番艦からボイラーが高温高圧化され、出力や航続距離などに影響を与えており、このことは基本計画番号の変化に表れている。また、フォレスタルとサラトガでは45tの舵二枚に、小型の補助舵が一枚装備されていたが、三番艦レンジャー以降は補助舵が省かれている。


兵装

1950年代に建造されたため、当初は5インチ砲塔を八基搭載していた。しかし就役中にミサイル技術が発展したこと、5インチ砲塔の重量が大きかったことをうけて、シースパローやファランクスCIWSに換装されることになった。


航空艤装

はじめて建造時から蒸気カタパルト、光学着艦装置(鏡を利用した最初期のもの)、アングルドデッキを取り入れた艦級である。カタパルトは四基装備され、航空機の運用力は大きくなったが、動力の蒸気は主機関のボイラーで生み出していたため、全力で発艦作業を行うと、艦の速度が低下してしまうことがあった。舷側エレベータは四基。左舷側のものは、アルミニウム合金製、重量は一基あたり105tであったと言われる。格納庫には防火扉が装備され、エレベータの開口部にも可動扉が設けられていたため、密閉することができた。レンジャー以降標準であった開放式格納庫からの転換が行われた点で非常に重要である。


小話

米海軍人事局は、公式情報誌として「All Hands」を発行している。当誌の1957年10月号では、三番艦レンジャーの特集が組まれており、艦自身が話したことを記事にする、という体での紹介が行われた。記事には、「多くのリベットを打つ音で、頭痛がなかなか止まなかった(意訳)」という、現場の苦労話と受け取れるような文章もあり、当時の様子をうかがい知ることができる。


性能諸元

満載排水量81,101t
軽荷排水量61,235t
全長1,067ft
全幅253ft
水線長990ft
水線幅130ft
喫水 37ft
機関出力260,000shp
速度34ノット

※1.排水量はロングトン(1.01605t)。

※2.諸元はサラトガ(CV-60)のもの。

(機関出力、速度はフォレスタル(CV-59))


諸元出典(喫水の項まで):

http://www.nvr.navy.mil/SHIPDETAILS/SHIPSDETAIL_CV_60_4825.HTML


参考文献

「世界の艦船(2012年3月号増刊) 空母 100のトリビア」海人社

「All Hands(1957年10月号)」米海軍人事局


同型艦

CV-59 フォレスタル

CV-60 サラトガ

CV-61 レンジャー

CV-62 インディペンデンス


関連タグ

軍艦

空母

アメリカ海軍

ミッドウェー級 前級。

キティホーク級 次級。改良型。


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