概要
銃剣を装着した銃器による白兵戦の武術である「銃剣術」に、日本の武道として取り入れたもの。
その歴史は、意外にも幕末までさかのぼり、剣が付いた銃の輸入時に、フランス式の使用法が導入されたが、日本人の体型には不向きだった。
そこで、日本の「槍術」の技法を取り入れた独自の使用法が研究され、1894年(明治27年)に日本式銃剣術(銃槍術)として正式化されたのが起源とされる。
更に戦後以降は、上述した旧日本軍の銃剣術を元に再編成され、フェンシングなどの要素を取り入れて、戦後スポーツとして昭和31年に全日本銃剣道連盟が発足し競技大会なども始まった。
服装や防具は剣道とかなり近い。
剣道との相違として、肩当てという防具(心臓部位を守る)が追加されており、これをくくり付けるために、面も剣道とは若干違ったものになっている。
また、服装も剣道着と同じものが用いられるが、銃剣道着というズボン・Tシャツに近い形状のものも存在している。
竹刀ではなく、木銃という銃の形に彫られた木を使う。これは、三八式歩兵銃に銃剣を取り付けた長さを再現したもの。先端にタンポというスポンジ状のものが取り付けられており、これが打突の衝撃を緩和する。
基本ルールは、この木銃を使って相手の急所を突くこと。有効打突部位は、喉・胸・小手の三ヶ所。剣道と同じく、きれいに決まれば一本となる。
戦後にスポーツ競技として特化されたものは、それ以前における実際の(実戦向けの)銃剣格闘と異なり、(木銃を使っている事から)間合いを開けての発砲が出来ない、素手やナイフなどに持ち替えての戦闘に持ち込まれることがない、ストック(銃床)での打撃や左手を滑らせての繰り突きが禁止されている、そもそもモデルとなった銃が現在では使われていない、などの理由から、実際の銃剣格闘の際には役に立たない面がある。
実戦用の銃剣術は自衛隊の訓練メニューにあり、競技としてのものも一環にあるが、まだまだ世間的にはマイナーなスポーツであるため(と言うか自衛官でなければ剣道もしくは薙刀を習うのが普通なので)、競技人口のほとんどは自衛官である。
なお上述の通り、銃剣道は実際の銃剣格闘においては役に立たない面があるにもかかわらず、自衛隊では一部継続されているため、銃剣不要論が出る度によく無駄扱いされる。銃剣自体にはメリットもあるため、銃剣の訓練は必要だが銃剣道は不要とする意見もある。