CV.潘めぐみ
演:竹場龍生(少年時代)/多和田秀弥(キンジ・タキガワの精神世界内。キンジとの一人二役。)
概要
牙鬼幻月の小姓を務める、牙鬼軍団幹部の一人。幹部の中では下っ端に当たる。
虎縞模様の格好と頭につけた狐の面が特徴。
幻月の復活に必要な“恐れの心”を集める他、封印の手裏剣の回収なども担当する。また、「終わりの手裏剣」なる物を探し求めており、それに異様な執心を見せる事もある。本来の一人称は「僕」だが、目上の者に対しては「私」を使う。
伊賀崎忍術道場から盗み出した小槌と忍シュリケンを用いて妖怪を巨大化させる「妖術"肥大蕃息の術"」や巨大妖怪兵ガシャドクロを召喚する「妖術"ガシャドクロ召喚の術"」など様々な妖術を操るほか、瞬間移動や木の葉を操るなど、見た目通り化け狐を彷彿とさせる術も使用できる。28話からは十六夜流忍者軍団と言う独自の私兵軍団さえ従えるようになる。
手には瓢箪を携えており、妖怪の生み出した"恐れの心"を水のような形で集めることができる。この水を振り掛けることで幹部を蘇生させるなどの特殊な妖術を行使可能なようだ。
幻月を始め幹部に関しては恭しく接するが、その本性は目的のためなら仲間を利用し尽くし使い捨てるような冷酷な性格。
終わりの手裏剣のことを他の幹部に明かしていなかったり、雷蔵の意思を無視した作戦を展開したり、挙句天晴に潔く討たれることを望む雷蔵を嘲るかのように巨大化させるなどの非道な行動をとる。
とはいえ幹部たちを完全に手玉に取れているわけではなく、晦正影にわざと名前を間違えられて(八衛門、九兵衞など)呆れたり気分を悪くしたり、有明の方に自分が集めた「恐れ」の入った瓢箪を横取りして化粧品として使用されひどく焦ったりしたこともある。
傲慢な態度は幹部たちだけに及ばず、ニンニンジャーに対して見下した態度をとるほか、『春休み合体スペシャル』で同盟を組んだロイミュードたちを「カラクリ人形」と罵っていた。
しかし、作戦に失敗した際には激しく怒りを見せてたり、小槌を落としてしまうなど、コミカルな一面を持ち合わせている。
軍団の中では妖怪以上幹部以下と言う扱いのようだが、幻月や他の幹部が封印されている中で一人だけ最初から登場していたり、雷蔵からは存在を認知されていなかったりと謎が多い。
12話でかつてラストニンジャ・伊賀崎好天の弟子であった事が判明し、その後も同じく弟子だった伊賀崎旋風から忍タリティを奪ったなどの事実が明らかになったことから、道を踏み外し妖怪融合の術によって生者のまま妖怪になった忍者であると思われていた。
だが牙鬼萬月の仕掛けた罠にはまり、
「僕はお館様の小姓でも忍びでもない」
と漏らしてしまうなど、上記の過去とは異なる真の正体(後述)があるらしい。
いろいろと暗躍している彼だが、最大の目的は終わりの手裏剣を手に入れることである様子。
その所持者と思われる好天に強い敵意を向ける一方、当初自分同様に終わりの手裏剣を狙っていたキンジ・タキガワには、相手が敵意を隠さないにも関わらず何度も共闘や取引を申し出ている。
キンジにはそれなりにシンパシーを感じているらしいものの、あくまで終わりの手裏剣に至るために利用しようとしているだけのようで、
「裏切ったのは好天の方」「好天は伊賀崎の一族ではない九衛門に「終わりの手裏剣」を託す事を恐れた」と好天を疑わせるような情報を吹きこんだり、妖怪化を早める妖刀を「これで妖怪化を抑えることができる」と偽って渡したりしている。
本編での行動
9話でついに雷蔵に「終わりの手裏剣」の存在を知られるも、小姓でありながら終わりの手裏剣を見つけ出そうとする豪気な一面を気に入った雷蔵は終わりの手裏剣を探すために力を貸した。
しかし本気を出した末ニンニンジャーに敗北し悔いの無い最期を迎えようとしていた雷蔵に対し、用済みと言わんばかりに肥大蕃息の術を施し無理やり巨大化させた。
13話では蘇らせたばかりの晦正影に元々は牙鬼軍団に居なかった者であることを看破され、釘を刺されながらも取りあえずの協力関係を結んでいる。
暗躍が難しくなったほか、正影から上述通り名前の件でからかわれるなど振り回されることも多くなる。
もっとも、そんな中でもキンジにあることないこと吹きこんで、味方にしようと画策しているが……。
第20話ではライオンハオーに上級妖怪ヌエを撃破されてニンニンジャーのパワーアップを痛感。
「予定より早いが状況が状況」と言って、有明の方を復活させる。
有明の方の無茶な命令に振り回されながらも、第27話では彼女の招いた西洋妖怪オオカミオトコが暴れるのに乗じて、オオカミオトコとの因縁を持つキンジに取引を持ちかける。
キンジは結局取引を反故にしたが、この時の出来事が後の妖刀を巡る一幕のきっかけになる。
オオカミオトコが倒れ西洋三大妖怪が全滅すると、有明の方に指揮官を与えてくれるよう提言し、上述の十六夜流忍者軍団を率いて、遂に本格的に動き出す様になる。
十六夜流の忍者達を使って恐れを集める一方、十六夜流忍者が倒された後、体についている歯車を回収するなどの怪しい行動をとる。
29話では過去の人間だったときの姿が明かされ、彼こそが伊賀崎旋風の力を奪い忍者としての未来を閉ざしていた経緯が明かされた。
そして31話で十六夜流忍者が全滅し、すべての歯車を回収したのを機に、密かに隠し持っていたカラクリキュウビを起動させ、歯車を装填。その実力は圧倒的で、ライオンハオーすらも退けてしまった。
十六夜流忍者たちは、オトモ忍の必殺技を歯車に蓄積させ、カラクリキュウビに抗体を作らせるための当て馬だったのだ。
ライオンハオー達を完膚なきまでに叩きのめした後、好天と初対峙。彼と互角以上の戦いを繰り広げる。
勢いに乗る九衛門だが、32話で新たなロボ「ゲキアツダイオー」を完成させたニンニンジャーに追い詰められ、為す術なくカラクリキュウビは爆散。姿を消した。
しかし35話で、左目に傷を負いながらも生き延びている事が判明。
妖怪化の兆候に悩むキンジに接触し、取引と言って妖刀浦鮫を渡すが、これは逆にキンジの妖怪化を早めて、弟子の命を盾に好天に終わりの手裏剣を要求するという計画だった。
36話では、完全に妖怪と化したキンジの精神世界にも現れ、キンジと瓜二つの顔(別名:十六夜キンジ)を披露することで彼を精神的に追い詰め、完全に人間を捨てさせようとした。
しかし、自分の弱さを自覚し、仲間との思い出を悟ったキンジの成長によって失敗。浦鮫はニンニンジャーの新しい武装忍者激熱刀に変化し、利用したと思っていた相手にパワーアップされてしまった。
その後、巨大化したオボログルマに乗って戦い、覇王ゲキアツダイオーの前に敗れ去って辛くも脱出した際に少なからぬダメージを負った晦正影を助け、裏切り者である彼を疑う晦に対し、牙鬼復活を望んでいるだけとして、その証拠として自身が所有する瓢箪を渡して去って行った。
40話にてスターニンジャーと交戦中の最中、牙鬼萬月と対面。自らを牙鬼軍団の小姓と語るが、
当然彼が信じるはずもなく、奪ってきた霞の作った嘘発見器(嘘かどうかの判別だけでなく本音も喋らせる恐ろしい仕様になっている)にかけられてしまう。
「お館様の小姓でも忍びでもない」と、忍者であることを否定した後、
「僕は牙鬼・・・」
と重要な情報を漏らしかけるが、寸でのところで嘘発見器を破壊して逃走した。
これにより、後述の牙鬼家の血を引く者説が、一層信憑性を増すことになった。
ネタバレ注意!
そして42話では瀕死の萬月に対し、自らの正体を「牙鬼幻月の息子=萬月の兄」であることを明かし小槌と首飾りを奪い去り爆散する萬月をよそにその場を去った。
43話で萬月を探し求める有明の方に、萬月の死を伝え彼女の深い嘆きにより噴出した「恐れの力」を使い、父・幻月を復活させる。
この際初めて「父上」と呼んでいる。
彼の正体は444年前、幻月が密かに側室に産ませた息子牙鬼久右衛門新月であり、幻月が死ぬ間際に現在の時空飛ばされていたのだった。
それ以降の活躍はこちら
余談
その意匠は狐を彷彿とさせるが、両肩の肩当は虎の頭部を模している。本来牙鬼とは何の関わりも無い九右衛門が、幻月の小姓と言う立場を偽って暗躍する様は【虎の威を借る狐】を現しているのかもしれない。
29話での人間時代の彼を演じた竹場龍生はオンエア当時12歳(中学1年生)であり、旋風も力を喪ったのは風花位の時と言っていたので、旋風の力を奪うという暴挙に出たのは中高生くらいの年齢と思われる。
その歳から既に外道と化しているとは恐ろしい。まあニチアサにおける前例がないわけではないのだが。
声を演じた潘めぐみは前年におけるプリキュアシリーズ『ハピネスチャージプリキュア!』でプリキュアの一人キュアプリンセスこと白雪ひめを演じていた→キュア九衛門
小槌が発売される際にはインタビューに答えており、好きな台詞は「ドロンさせてもらうよ」であるようだ。
また潘氏はアニメ「NARUTO」でうちはオビトの少年時代を演じており、忍者ネタがあったひめも含め「狙った」キャスティングの可能性も噂されている。
ちなみに雑誌「宇宙船」における潘氏のインタビューによれば、『ハピネスチャージプリキュア!』のアフレコ現場にニンニンジャーのサブプロデューサーである若林豪(同作Dの長峯達也とは聖闘士星矢Ω2期で組んでいた)が訪れ、オーディション参加のオファーをしたとのことである(他には『仮面ライダー鎧武』でロシュオを演じた中田譲治氏も他作品の要素を鑑みた上での起用と言われている)。
なお、幼少時に「忍者戦隊カクレンジャー」のファンであった事を明かしている他、本作の10年前の戦隊である『魔法戦隊マジレンジャー』では母親の潘恵子女史が天空聖者スノウジェル役を演じていた。
姓が十六夜で妖怪がらみで幹部と、某メイド長を連想する人もいる。あちらは時間を操る程度の能力を持っているただの人間だが、こちらは人間が妖怪化している(と思われる)。
この他、雑誌「宇宙船」において、チーフプロデューサーを務めた武部直美氏とメイン脚本を務めた下山健人氏の対談によれば、当初は夏休み明けに入ってから中年系の人間態を出して、それによって着ぐるみ系から俳優が演じる顔出し男性幹部に変化させる予定だったが、担当声優の潘氏があまりにも役と合いすぎるが故に、予定通りにやったら違和感が生じる事を懸念して没になったとの事。そして36話における”十六夜キンジ”のメイクは恐らくその名残かもしれない。