プロフィール
名前 | 田中あすか |
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誕生日 | 12月25日 |
身長 | 171cm |
星座 | 山羊座 |
血液型 | AB型 |
担当楽器 | ユーフォニアム |
好きな色 | 黒、赤 |
趣味 | 読書、水族館に行くこと |
特技 | 百人一首(大会で優勝したことがある) |
好きなもの | 猫、コーヒー、ビターチョコ、使える人 |
嫌いなもの | 犬、ココア、ミルクチョコ、使えない人 |
CV | 寿美菜子 |
概要
北宇治高校の3年生で、吹奏楽部に所属。ユーフォニアムを担当し、吹奏楽部の副部長と低音パート(ユーフォニアム、チューバ、コントラバス)のリーダーを務める。
また、実際に自分で楽器を演奏する以外にも、学生指揮者やドラムメジャーを担当する事もある。
艶やかな長い黒髪が特徴の眼鏡っ娘であり、長身かつ良好なスタイルの持ち主。
好きなものから察するに、猫派で苦いもの好き。一見クールで知的な雰囲気を漂わせているように見えるが、ノリはかなり軽く、時として周りを呆れさせるほどの雄弁家でもある。
その見た目と中身の意外性のインパクトから、TVアニメ版1期1話の作中台詞を基にして「ジョイナス先輩」なるあだ名も付けられている。
人物
容姿
肩に流れる艶やかな黒髪と理知的な印象を与える赤縁の眼鏡が特徴的な、溢れんばかりの美貌と抜群のプロポーションを誇る長身の美女。
部内ではトランペットパートの3年生である中世古香織と双璧をなす美人として君臨しており、可憐な印象を与える香織とは対極の、時に女性らしさを通り越して「イケメン」と称されるまでの凛々しさを振りまいている。(原作1巻、117ページ)
また、女子にしてはやや低いしっとりとした落ち着いた声をしており、その声音は聞く者をドキマギさせるような艶めきを秘めている。(原作1巻、39ページ、97ページ)
性格
理知的なその出で立ちとは裏腹に明るく軽いノリの持ち主であり、しばしば突拍子もない言動で周囲を振り回すこともある。
吹奏楽関連の事柄、特に自分の担当楽器であるユーフォニアムの話になると、ウィキペディアも真っ青の膨大な知識をマシンガントークのごとく披露するため、後輩の久美子たちからは何とかしてほしいと呆れる意見が漏れている。(原作1巻、79ページ)
また、TVアニメ版1期8話のあがた祭りにおいて、1年生の加藤葉月と塚本秀一が2人で居るのを目撃した際には、
「あれ?カトちゃん?なにあれ彼氏?やったぜ!カトちゃんかよ~!」と発言している。あんたいつの時代の人ですか。
吹奏楽部の副部長として、部内における調整能力や掌握術に対しても優れた能力を発揮しており、気弱な部長の小笠原晴香を強力に支える”最強のナンバー2”として部の運営に貢献している。
当初はその卓越したリーダーの資質から、晴香をはじめとした多くの部員たちから「部長になってほしい」という働きかけがあったものの、あすか本人はその申し出に拒否権を発動して断っている。(なお、現在受け持っている副部長の役職にも本人は乗り気ではなく、頼まれてしぶしぶ引き受けたという形で決定している。※原作1巻、121ページ)
その他
父親はあすかが幼い頃に離婚しており、現在は母親の田中明美と2人で暮らしている。
原作小説の3巻とTVアニメ版1期7話では彼女の自室が登場しているが、勉強のための参考書とちゃぶ台とオーディオしか置かれていない簡素な部屋であり、同じ3年生の晴香の部屋(同じくTVアニメ版1期7話に登場)等と比べるとかなり殺風景な印象を受ける。
父親から譲り受けたユーフォニアム
彼女が持っている銀色のユーフォニアムはいわゆるマイ楽器(私物)であり、父親が趣味用に買ったユーフォニアムを小学校1年生の時に譲り受けたものである。
父親から自分の楽器を貰ってからは、当時近所にあった楽器屋の店員に吹き方を教わったり、独学で研鑽を続けながら練習を行っていた。(原作3巻、232ページ、TVアニメ版2期9話)
そのため、高校3年生現在での楽器経験年数はおよそ12年。実に人生の半分以上を父親から貰ったユーフォニアムと共に過ごしているのである。
なお、この父親というのが実は…(詳しくは後述)
ユーフォニアムに対する情熱には計り知れないものがあり、楽器の練習を毎日欠かさず行っている。
その練習の積み重ねによって奏でられる音色は、同じパートの1年生である黄前久美子をして「まさしくユーフォニアムの真骨頂」(原作2巻、222ページ)と言わせるほどのものであり、聴く人の心を安らかにさせるような美しくしっとりとした響きをはらんでいる。
そんなあすかの音色は、日本が世界に誇るユーフォニアム奏者・進藤正和の吹くそれとよく似ており、あすかは彼の演奏を目標として練習しているのではないかという憶測を久美子に抱かせている。(原作3巻、159~160ページ)
また音色のみならず、細かいパッセージを吹ききる技巧(テクニック)も相当なものであり、TVアニメ版1期12話では自由曲「三日月の舞」の後半部に追加された難解な連符の連続も、初見でありながら何食わぬ顔をしてさらっている。これは楽譜を見てすぐさまその音楽を再現できるほどにユーフォニアムを知り尽くしているひとつの証であるともいえる。(原作1巻、175ページ)
余談だが、同じパートの1年生である川島緑輝に「あすか先輩は彼氏いるんですか?」と聞かれた際には、「いるわけないじゃない! 私の恋人はユーフォニアムさんただ一人!」と返答している。(原作1巻、191ページ、TVアニメ版1期8話)
(ユーフォニアムは「人」じゃなくて「物」なんですがそれは…)
彼女の持っているユーフォニアムのモデルは、YAMAHA YEP-621S。主人公の黄前久美子の担当楽器であるYEP-621(クリアラッカー仕上げ)の銀メッキ仕様にあたる。
(一般にクリアラッカー仕上げ(金色)の楽器はソリッドな音でフォルテの音抜けが良く、銀メッキの楽器は柔らかく明るめの音で、より細かなニュアンスが出せるなど音色に微妙な違いが出るとされている)
仮面の下の素顔
普段は茶目っ気のある陽気な性格をしているが、他人のトラブルに関しては(自身に利害が及ばない限り)興味を示さず、一貫して中立の立場に立つ。
そのため、自分と無関係な問題には恐ろしいほどに冷徹な面を見せる事がある。
TVアニメ版1期9話では、加藤葉月の失恋の責任を感じて練習に集中できないでいる川島緑輝の様子に対して(緑輝本人がいないところではあるが)「正直超どうでもいい」と言ってのけ(※)、
(※それを言ってのけた時の目はちょうどこんなかんじの目であった)
「私情で練習できなくなってるようなヤツに構ってる暇はない」と言い残してその場を立ち去っている。(後藤卓也曰く、「怒ってた」)
これには、「練習とプライベートの切り替えができない奴には合わせていられない」というスタンスと、「部活や音楽以外のネタで自分の練習時間を割かれるのが一番嫌い」というあすかの本心が現れている。(原作1巻、211ページ)
TVアニメ版1期10話のトランペットのソロパートの対立の件では、黄前久美子から中世古香織か高坂麗奈のどちらがソロをやるべきかと問われた際、当初は副部長という立場から答えをはぐらかしていた。
…では、あすか先輩個人の意見はどうですか?と引き下がる様子を見せない久美子に、あすかは「ここだけの話」と久美子に耳打ちをした上で、
「正直言って、心の底からどうでもいいよ。誰がソロとか、そんなくだらないこと」
と、久美子の背筋が一瞬で凍りつくほどの冷ややかな一言を残して立ち去っている。
同じパートの後輩である中川夏紀をして、「あすか先輩は、特別だから」(原作1巻、211ページ)と言われるように、あすかは自らのユーフォニアムに対して恐ろしいまでにストイックに取り組み、その結果吹奏楽部の中でもかなりの努力家である中世古香織の遥かに上をいく実力を手にするまでに至っている。(原作1巻、244ページ)
しかし、あすかの原動力はあくまで「ただ自分のためだけに楽器を吹き、自分が楽器を吹けたらそれだけで満足」という物であり、そこに「部活のため」や「コンクールのため」等という余地は存在しない。
そのため、後輩や他のパートの部員が下手だったり練習をサボっていようが、コンクールの前にテナーサックスの部員が1人抜けようが、自由曲のソロパートを3年生と1年生のどっちが吹こうが、本心では結局どうでもいいのである。
全国大会に対する意識(TVアニメ版1期13話~2期5話)
あすかにとって吹奏楽部はユーフォニアムを吹く場所、あるいはその機会であり(TVアニメ版1期7話)、吹奏楽コンクールの終了による部活からの引退は彼女にとってその場所や機会が無くなる事を意味していた。
そのため、部として”全国大会出場”という目標を掲げているにも関わらず、夢物語として関西大会(支部大会)への出場すら期待していなかったあすかは府大会をもって引退を意識し、久美子に少し寂しげな笑みを浮かべながら「なんか、ちょっと寂しくない? あんなに楽しかった時間が、終わっちゃうんだよ? ずっとこのまま夏が続けばいいのに」と語っている。
それを受けた久美子から「今日が最後じゃないですよ、私たちは全国に行くんですから」と返されたあすかは、「そう言えば、全国出場が目標だったね」と反応を示し、隣に座る久美子を元気づけている。(原作1巻、307~308ページ、TVアニメ版1期13話)
ところが、府大会で金賞と関西大会への出場権を獲得し、全国大会出場という目標が幾分か現実味を帯びてくると、あすかは全国大会出場の関門とも言うべき関西大会を意識した動きを見せるようになる。
具体的には府大会の直後に起こった傘木希美の部活復帰の騒動の際に語った一連の言動に現れており、夏合宿の時に久美子に語った通り、希美の復帰によって部内唯一のオーボエ奏者である鎧塚みぞれが精神的なダメージを負うことと、それに伴う関西大会の演奏への負の影響のリスクを考慮して、あすかは頑なに希美の部活復帰に反対していた。
希美とみぞれの2人が偶発的な出来事によって和解したのち、久美子に語った所によれば、あすかは関西大会が終了するまでは2人を会わせたくなかったと明らかにしている。また、危惧していた2人の再会が現実のものとなってしまった際には、希美とみぞれの和解のために速やかに手を打っている。
府大会前に起こった自由曲のソロパートを巡る騒動の際には超然とした態度を取っていたあすかだが、この関西大会を前にした希美とみぞれの騒動に当たってはトラブルの回避や事態の解決に動いており、久美子はあすかの両大会時における言動の違いからその真意を掴みかねている。(TVアニメ版2期1話~2期4話)
そして希美の部活復帰騒動の解決後、あすかは笑いながら久美子に対して騒動について総括すると、すぐに真剣な表情に切り替えて「黄前ちゃん。全国に行こうね」と語った。(TVアニメ版2期4話)
関西大会本番の前日、あすかは自宅のパソコンにて吹奏楽コンクール全国大会のホームページを開き、審査員紹介のページを眺めている。
そして関西大会の当日、会場のリハーサル室にてチューニングを行った際に、あすかは顧問の滝昇の許可を得て、部長の晴香に先立つ形で自らの想いを打ち明けている。
「去年の今頃、私達が今日この場にいることを想像できた人はひとりもいないと思う。2年と3年は、色々あったから特にね。
それが、半年足らずでここまで来ることができた。これはまぎれもなく滝先生の指導のおかげです。
その先生への感謝の気持ちも込めて、今日の演奏は精いっぱい全員で楽しもう!
…それから、今の私の気持ちを正直に言うと、私はここで負けたくない。”関西に来られてよかった”で終わりにしたくない。
ここまで来た以上、何としてでも次へ進んで、北宇治の音を全国に響かせたい。
だからみんな! これまでの練習の成果を今日、全部出し切って!!」
この呼びかけに鼓舞されて一丸となった返事に、あすかは満足げな笑みを浮かべながら晴香へとバトンを渡している。(原作2巻、288ページ、TVアニメ版2期5話)
そして、北宇治高校吹奏楽部は関西大会において金賞と全国大会への出場権を見事に獲得し、あすかは部長の晴香と共にステージ上においてその喜びを噛み締めることができた。
退部騒動(TVアニメ版2期7話~2期11話)
騒動の勃発(TVアニメ版2期7話)
関西大会後に行われた北宇治高校文化祭における演奏会ではあすかがMCと指揮者を務め、その挨拶に際して全国大会への出場報告と「皆さんに良い報告ができるよう、頑張って練習していきたいと思っています」という抱負を告げたが、あすかはその挨拶の中で、一瞬、言葉を詰まらせ、久美子の注意を引いている。(TVアニメ版2期6話)
文化祭が終わり、その後の部活のミーティングにおいて全国大会までの期間中に開催される京都駅での駅ビルコンサートに参加する旨の報告が行われたが、それから間もなく、あすかの母である田中明美が北宇治高校の職員室を訪ねてきた。
その場には母の明美と吹奏楽部顧問の滝昇と教頭、そしてあすか本人がいたが、明美は滝と教頭に向かって受験勉強への専念を理由にあすかの退部届の受理を求めた。
かかる明美の求めに対して滝はあすかの退部届の受理を拒否したため、明美はあすかの同級生である斎藤葵の事例を持ち出して滝に受理を拒否する理由を問い詰めた。
明美の詰問に対して、滝は自身の指導方針として生徒の自主性を尊重していることを挙げた上で、葵の退部は彼女自身の意志によるものであることを告げ、その一方でこの度のあすかの場合は彼女自身の意志によるものでは無いために受理することはできないと述べた。
納得していない明美はなおも食い下がり、あすかをひとり親として今まで育ててきたため、自分にはあすかの将来を決定する権利があると主張したが(原作3巻、62ページ)、滝はあくまであすか自身の意思を尊重するとして退部届の受理を拒み、併せてあすかの吹奏楽部における仕事ぶりを高く評価し、全国大会が終わるまであすかを応援することができないかと尋ねた。
すると、明美はあすかに対して「あすか。この場で退部すると言いなさい。今、辞めるの」と、その場で退部の意思を明らかにする様に求める。対するあすかは自身の意思として「お母さん…… 私、部活辞めたくな———」と部活を続けたい旨を言いかけたが、直後、明美はそんなあすかの頬にバシンと平手打ちを加える。
「なんで私の言うことが聞けないの! あんな楽器吹いてるのも、私への当てつけなんでしょ? そんなに私のこと苦しめたいの?」と立て続けにわめき散らす明美であったが、その直後、はっとして我に返ると、少し取り乱しつつ平手打ちを加えてしまった事をあすかに謝り、涙ぐんだ。(原作3巻、65~66ページ)
一方、あすかは終始冷静さを保ち、平手打ちを受けた際にずれた眼鏡の位置を直して滝からその日の部活を休む旨の了承を得ると、すっかり落ち込んでしまった母の手を引いて帰宅している。
北宇治高校吹奏楽部の事実上の支柱とも言うべきあすかに起こった突然の退部騒動の一件は部全体にたちまち広まるとともに大きな動揺をもたらし、黄前久美子をはじめとする部員達の間であすかに関する様々な憶測や懸念が交わされた。
その最中、高坂麗奈はそもそもあすかが部活を続けている理由について疑問を呈すると、久美子はあすかの言動を思い起こしながら、あすかは部活が好きだから吹奏楽部を辞めたくないのかなと自身の憶測を語ると、麗奈はあすかについて到底部活が好きな人物には見えないと久美子の憶測を否定している。(原作3巻、95~96ページ)
その後の部の動き(TVアニメ版2期7話~2期8話)
騒動勃発の翌日、あすかは何事も無かったかのように低音パートのパート練習室に現れ、彼女の事を心配していたパートのメンバーをなだめ、メンバーに対して迷惑をかけないと告げた。あすかの言葉に低音パートのメンバーは安心したが、その直後、あすかは中川夏紀だけを呼び止めて「後で話がある」と告げている。
一方、あすかの母の明美から学校にあすかの部活の件で電話があり、その事を聞き知った中世古香織と小笠原晴香はあすかを呼び出し、事態の真相を聞き出そうとした。だが、あすかは真相を語ることを拒み、香織からのあすかの相談に乗るという申し出を断った上で誰にも迷惑をかけないと告げ、更に部活だからあすか自身の事よりも演奏の方に集中すべきと語ると、その場を立ち去った。
そして、その翌日からあすかは部活から姿を消し、香織や晴香からの連絡にも応答しなくなった。
あすかが部活から姿を消した後のとある日、久美子は空き教室で夏紀と傘木希美がコンクール自由曲の「三日月の舞」を練習している所に出くわした。その際にあすかの件で頭が一杯になっていた久美子は希美の「来年の事もあるから、私の練習に付き合ってもらっているの」という言葉を真に受けている。
そして、あすかが姿を消して1週間が経ち、教頭があすかの退部届を代理で受け取ったという話が吹奏楽部に伝わると、部は再び騒然とした状態になった。その後の合奏練習も動揺する部員達のメンタルを反映して全く切れの無いものとなり、その様な部の状況を見て取った顧問の滝もその日の合奏練習を打ち切ってしまった。(原作3巻、74~78ページ)
全国大会出場を前にしたその様な部の危機的状況に対して覚悟を決めた晴香は部員達に従来のあすかへの過度の依存を戒めるとともにこれからはむしろあすかを支える側となり、後輩部員達にはあすか以外の3年生部員についてきて欲しいと呼びかけた。その際の吉川優子らのフォローなどもあり、部は再び一応の活気を取り戻した。
その後の駅ビルコンサートの本番当日、それまで部活から姿を消していたあすかが姿を現して演奏に参加した。バリトンサックスのソロを披露する事になっていた晴香はあすかに対して「しっかり支えてね」と告げると、あすかは「もちろん!」と答え、そして、その言葉通り、あすかは晴香のアドリブを交えたソロ演奏をしっかりフォローしてみせている。
駅ビルコンサートを終えると、あすかは再び部活から姿を消し、部員達をやきもきさせていた。部活の方は部長の晴香主導のもとで運営されていたが、あすか不在の部活運営はあやうい均衡の上に成り立っており、晴香をはじめとする3年生部員の奔走によりどうにかまとまっている状態であった。(原作3巻、95ページ)
そして、黄前家において久美子の姉である黄前麻美子の将来を巡って家族会議が行われた翌日の部活にあすかが久々に姿を現すと、あすかは香織や低音パートのメンバーをはじめとする部員達からあすかを心配する声をかけられたが、あすかの方は普段の明るいキャラを装っていた。
その日の部の練習を終えたあすかが楽器室において自身の楽器を片付けている所に久美子が現れた。前日の家族会議の際に麻美子が告げた「親の意思で楽器を辞めたくなかった」という言葉が脳裏に引っかかっていた久美子はあすかに対して「あすか先輩。部活、辞めないですよね?」と尋ねた。
久美子を見つめるだけで返事をしないあすかに対し、久美子はなおも「辞めないですよね?」と尋ね続けるが、逆にあすかに口元を押さえられながら「あんまりしつこいとその口を縫うよ」と告げられ、続けてあすかから勉強を見てあげるから、翌週、自宅に来るように誘われた。
あすかからの突然の誘いに、当初、久美子は躊躇していたが、結局あすかに押し切られる形で彼女の自宅で勉強を見てもらう事になった。
しかし、あすかはその翌日から再び部活から姿を消してしまう。
滝昇の決断(TVアニメ版2期8話)
その後、橋本真博が久しぶりに吹奏楽部の指導に訪れた。橋本は部の合奏について関西大会時の並の水準を保っていると評価しつつも、一方で演奏が辛気臭くなっていることを指摘している。
そして、その日のパート練習の際に風邪気味の久美子を見かねた低音パートの先輩である長瀬梨子や後藤卓也らから、全国大会を控えているために早く帰るように促され、久美子はその日の部活動を早退して帰路についた。
自宅への帰り道にて久々に斎藤葵と出会った久美子は、互いに近況について話をしていたが、その際に久美子はあすかから自宅に誘われている事とあすかが母親と揉めているという話を葵に語った。
あすかと母親との間のトラブルに関して、あすかに学業面をはじめとしてあらゆる面で勝ることができず、彼女に対して強いコンプレックスを抱いている葵は「意外だな」と久美子に反応を示すと、「あすかって何でも器用にこなしちゃうから、そんなのに無縁な人だなとも思ってたから。揉め事抱える人のことを愚かな人ってくらいに思っているのかなって」と続けた。
それに対して、あすかと母親との対立を目の当たりにし、更に自身とあすかとの間に”特別”という境界線を引いたことを後悔していた小笠原晴香の姿を思い出した久美子は、葵の見解を受け入れ難かったのか、不機嫌そうな表情で「そんな事ないよ。そんな事ないでしょ」と葵に言い放った。
その久美子の言葉に、葵は間を置いて自嘲じみた笑みを浮かべると「……なんか、ほっとした。あの子も、ちゃんと人間だったんだね」と独りごち、久美子のもとから立ち去っている。
そしてその後日、久美子が部活への復帰を果たした日の練習終了後に、滝から部員に向けてあすかの処遇に関する話が達せられた。
いつ練習に来られるか分からないという不確定要素と、それによる部内の士気の低下を重く見た滝の判断により、「あすかが今週末までに部活を継続できるという確証が得られない場合、全国大会の本番には夏紀が彼女の代わりに出場する」という決断が下され、その衝撃的な内容に香織や優子、そして久美子をはじめとする部員たちはしんと静まり返ることとなる。
(原作小説では、その滝の言葉はもう下された決断として部員たちに受け止められている。※原作3巻、170ページ)
あすか先輩を取り戻すぞ大作戦(TVアニメ版2期9話)
滝の口からあすかの代理候補として挙げられた夏紀は、下駄箱にて久美子を呼び止め、複雑そうな表情を浮かべつつ「やっぱ… 私だと、不安?」と尋ねた。突然の夏紀からの問いに困った久美子に、夏紀は浮かない表情で「私は不安」と告げると、あすかの退部騒動の勃発直後(TVアニメ版2期7話)からコンクール曲を練習するように言われていたことを明らかにした。
その後日の練習にもあすかは相変わらずその姿を見せることはなく、彼女に代わって夏紀がコンクールの練習に参加するようになったが、その楽譜には夏紀に対するあすかからのアドバイスがみっちりと書き込まれていた。そのあすかからのアドバイスを目にした久美子は、「まるで遺言みたい」という感想を抱いた。
そんな折、あすかとの勉強会が近づいたとある日の練習終了後、久美子は夏紀からあすかの部活復帰に向けた作戦の実行を持ちかけられる。
「あすか先輩を取り戻すぞ大作戦」と掲げられた作戦名に久美子は拍子抜けするものの、夏紀から香織の命名によるものであると明かされると「す、素敵な作戦名ですね~…」と微妙な笑みを浮かべながら答えている。(原作小説では、香織の意見に異を唱えることができる人間はこの部にはいないという記述が登場している。※原作3巻、180ページ)
その作戦内容は、あすかの自宅での2人きりの勉強会において、あすかの母親の好物である栗饅頭で彼女を懐柔して部活復帰を説得しようとするものであるが、職員室でのあすかの母親の様相を目の当たりにしている久美子は「無理ですよー! 無茶言わないでください」と拒む。しかし、夏紀はそんな久美子に「あすか先輩がどうして黄前ちゃんを呼んだと思う? 黄前ちゃんならなんとかしてくれるって期待してるからだと思う」と軽い口調で告げている。
そんな夏紀に対して、もし作戦が成功してあすかが部活に戻ってきたら逆に夏紀がコンクールの舞台に立てなくなるということを説明し、それで本当にいいのかと問いかける久美子であったが、夏紀は「今この部にとっていちばん良いのは、あすか先輩が吹くことなんだから」と答えた上で、「本心だよ」とほほ笑みを向けた。
そしてその後に現れた傘木希美と鎧塚みぞれの2人からも「待ってますって伝えてほしい」と思いを託されることとなった久美子は、「責任重大だよぉ…」と親友の麗奈と2人きりになった際に胸の内をこぼしている。(なお、原作小説におけるみぞれからの伝言依頼は、みぞれと久美子が2人で居残り練習をしていた際に行っている。※原作3巻、186ページ)
明かされるあすかの本心(TVアニメ版2期9話)
勉強会の当日、一緒にあすかの自宅に向かうことになった久美子であったが、先輩と2人きりという緊張も手伝って彼女との会話が中々続かずに悩んでいた。そんな時、彼女たちの後ろから駆けて来た中世古香織が追いつき、後輩である久美子に「一緒に帰ってもいいかな?」と尋ねる。断る理由もない久美子もまた「も…もちろんです!」と答え、しばらく3人で歩くこととなる。
その後、あすかと部活の運営に関する話をしながら歩いていた香織は、やがて途中で寄るところがあるからという理由で別れることになった。
その別れ際、香織は久美子に「はい、これ。勉強会には茶菓子が必要でしょ」と作戦の要である栗饅頭を手渡し、「じゃ、あすかのことよろしくね」と含みを持たせた言葉を告げた。
その直後、あすかの履くスニーカーの靴紐がほどけてるのを目にした香織は、あすかに声をかけて膝を折ると、彼女の足元にひざまずいて靴紐に手をかけた。「ほら、こうやって結ぶと解けにくいんだよ」と言葉を紡ぎながら靴紐を結ぶ香織の姿を、この時のあすかは黙したままじっと眺め下ろしているだけであったが、靴紐が元通りに結び上がると「ありがとう」「どういたしまして」となんでもないような顔をして言葉を交わしている。
手を振りながら去っていく香織の背中が小さくなっていくのを見届け、そこでようやく久美子のもとに向き直ったあすかは、少し冷めたような表情を見せながら「可愛いでしょ、香織って」という台詞を口にした。
あすかの自宅に到着すると、久美子は彼女の自室へと通される。久美子が持参したノートを見るや、「お嬢さん、これは重症ですぞ」と真剣そうな面持ちで判じたあすかは、久美子をして「地獄の特訓」と言わせしめるほどの勉強会を始めた。
その永遠に続くように思われた勉強に区切りをつけ、一旦休憩しようと切り出したあすかは、久美子が持ってきた栗饅頭でも食べようかと尋ねる。あすかの提案に久美子は慌ててこれはあすかの母へのお土産と言い繕ったが、あすかはそんな久美子を見透かしているかのように「やっぱりそう言うことか。香織の考えそうな事だよねぇ」と笑いながら口にし、彼女の母親は夜まで外出中であること、栗饅頭は一応渡しておくことを久美子に語った。(ちなみに原作小説では、結局あすかと久美子で栗饅頭を食べることとなっている。※原作3巻、245ページ)
その後、紅茶とお茶菓子の用意をする際に、あすかは久美子からなぜ自宅に招こうと思ったのかと問いかけられる。あすかは冗談を前置きしつつも、「ちょっと話がしたくて」と自宅に招いた本題を切り出した。
自室に戻ったあすかは、久美子に『たのしいユーフォニアム』というユーフォニアムのための一冊の教本を差し出した。久美子の口から、その本の著者である進藤正和はユーフォニアム吹きであれば誰もが知っているほどの著名な奏者であることを答えられたあすかは、「その本の著者… 私の元父親なの」となんでもないことのように告げた。
一方、告げられた言葉の意味が分からずたっぷり3秒は硬直していた久美子は、慌てふためいたのちに冷静さを取り戻し、「えっと… まず、”元父親”とは!?」とあすかに問いかける。
問いかけてもなおも混乱を隠せない久美子を前に、あすかはクッキーをつまみながら今までの生い立ちを語り始めた。
あすかによると、母親の明美と父親でユーフォニアム奏者の進藤正和はあすかが2歳の頃に離婚し、あすかは母親に引き取られた。そのため、あすか自身は父親に関する記憶はほとんどなく、また母親があすかと父親を関わらせようとしなかったために、両親が離婚してから父親と会ったことは一度もないという。
続けて、自身の母親についても「束縛が強くて、すぐヒステリックになるおかしな人」と語る一方、「でも私、あの人のこと嫌いってわけじゃないの。ここまで育ててくれたわけだし、その”借り”はあるから、返さなきゃって気持ちはちゃんとある」と続けている。
その言葉に含まれた、自身の母親に対する侮蔑とほんの少しの憐みの気持ちを見て取った久美子は、「嫌いじゃないって言いましたけど、嫌いなんですよね? お母さんのこと?」という突っ込みをあすかに向ける。対してあすかは、自身のこれまでの生い立ちから得た思いを淡々と紡ぎ出す。
「好きとか嫌いとかじゃない。だって母親はどこまでいっても母親だから。
どうあがいてもその人から生まれたという事実は動かない。枷ね。一生外せない枷」
母親の中には自身の娘が歩むべき明確な幸せの理想像があって、その中に頑張って娘を入れ込もうとしていること、そして娘が「吹奏楽」のようなわき道にそれることを許さないと述べるあすか。
母親にとっての吹奏楽が単なるわき道でないことに触れつつ、あすかは自身のユーフォニアムとの出会いについても語り始める。
小学校1年生の頃に別れて暮らす父親からユーフォニアムを贈られたあすかは、近所にあった楽器屋の店員から吹き方を教わるうちにユーフォニアムにのめり込むようになる。しかし、あすかの母親は娘が父親と同じ楽器を演奏することを忌み嫌っており、ユーフォニアムを取り上げられたくないあすかは母親と大喧嘩を繰り広げたのち、良い成績を取り続けることを条件に続けることを許された。
大好きなユーフォニアムを続けるために必死になっていたあすかは、あるとき今年度の吹奏楽コンクール全国大会の審査員の中に進藤正和の名が記載されているのを目にする。「全国大会に行けば演奏を聴いてもらえる」と欲が出たあすかは、私利私欲のために動いていた今までの部活における行動を顧みつつ、「そんな自分に罰が当たった」と言葉を結んだ。
話を終え、寂しげに笑うあすかは勉強会を再開しようとしたが、久美子の「私、あすか先輩のユーフォが好きです!」のひと言に思わず足を止める。
するとあすかは、合宿の朝に1人で吹いていた曲は父親からユーフォニアムと一緒に贈られてきたノートに書かれていたものであることを明かし、同時に自らの父親が書いた曲をコテンパンに否定してほしかったのかもしれないと続け、少し目を潤ませた。
そんなあすかの言葉に対して、勢いづいた久美子は「あの曲、あったかくて、何か優しくて、ずっと聞いていたいです! いま、吹いてほしいくらい!」と大好きな気持ちを力強く訴える。
いつになく積極的な久美子の熱に押され、またそれが自身の影響であることを感じ取ったあすかは、おもむろに「川行こっか! 吹きたくなっちゃった」と久美子を誘い、自身のユーフォニアムを持って通い慣れた堤防上の練習場所へと足を進めた。
やがて2人きりで夕焼けの河川敷に腰かけると、あすかは演奏を待つ久美子に向けて「黄前ちゃんはほんと、ユーフォっぽいね」と語りかけた。
不思議がる表情を見せる久美子に、あすかは今まで自身のことを「ユーフォっぽく」思っていなかったこと、そして久美子のことを初めて見たときに「こんなユーフォっぽい子がいるんだ」と驚いたという話を続け、「ユーフォっぽい子」である久美子だからこそ話を聞いてほしいと思ったと満面の笑みで答えた。
久美子がいままで見たことがなかったと思えるほどの笑顔を向けたあすかは、かねてからの約束通り、父親から託されたその曲をしっとりと染み入る美しい響きのもとに奏でていった。
久美子の説得(TVアニメ版2期10話)
久美子はあすかの本心を聞き出すことは出来たものの、肝心の部活の復帰については色好い返事を貰えずにいた。
勉強会の翌日、久美子からあすかの復帰に関する見通しが芳しくないことを告げられた低音パートのメンバーは、あすかの母親に対する不満やどうしようもない現状に対する失望感を口にした。
なお、このとき夏紀はたまたま通りかかった香織に「あすか先輩を取り戻すぞ大作戦」の結果を報告している。
夏紀からの報告を受けた香織は晴香にもその内容を語ったが、晴香は突き放すかのように「わかっていたけどね……」と冷めたような反応を示した。
それでもあすかの復帰を諦めきれない香織は、あすかも交えた3人での話し合いをすべきだと提案するが、「さすが、あすか派は違うなぁ…」となおも冷めた調子を崩さない晴香は、香織の「怒ってるの?」という問いかけに対して、次のように語っている。
「がっかり… かな。
あすかは特別なんかじゃなかった。だから私たちがあすかを助けるんだって、それで駅ビルコンサート頑張って…。
私ね、それを見たら、あすか、どうにかしてくれるんじゃないかって。自分で何とかしちゃうんじゃないかって…
勝手な言い分だってわかってる。でも、あすかならって。私、どこかで特別でいてほしいって思ってるのかもね」
その日久美子が帰宅すると、姉の黄前麻美子が両親と和解するために手料理を作っていた。
料理音痴の麻美子を手伝うため、久美子は彼女と一緒に作業をすることになるが、その中で麻美子は今まで両親の期待に応えるべく「自慢の娘」であり続けてきたこと、そのために自分が本当にやりたかったことを我慢して置き去りにしてきたことを明かした。
「自慢の娘」であり続けようとした結果、後に残ったのは空っぽの自分自身だけだったと語る麻美子は、これからは自分の夢に正直に生きていくという決意を示すとともに、「アンタも後悔のないようにしなさいよ」と久美子に励ましの言葉を贈った。
翌日、学校に到着した久美子は、香織と晴香があすかに部活復帰の説得をしているのを偶然耳にする。
香織と晴香に問い詰められてもなお、あすかは「この状況で『やっぱり私吹きたいです』と言えると思う? 私、もうふんぎりはついてるから」と決して本心を明かそうとはとしない。
3人のやりとりを聞いていた久美子は、そんなあすかに「後悔のないように生きたかった」と語る姉の麻美子の姿を重ね、昼休みの時間に意を決してあすかの元へと向かった。
教室を離れたあすかと久美子は、校舎裏の渡り廊下へと場所を移した。(なお、原作小説では場所こそ違うものの、あすかが重要な話をするときに用いる場所と説明されている。※原作3巻、269ページ)
改めて要件を尋ねたあすかに、「コンクールに出てください!」と単刀直入に切り出した久美子は、部員のみんながあすかの復帰を待ち望んでおり、一緒にコンクールに出たいと願っているという実情を訴える。しかし、そんな久美子の言葉にもあすかは眉根ひとつ動かす様子を見せない。
「”みんな”って誰? 大体、その”みんな”が本心を言ってる保障なんてどこにあるの?
あすか先輩が出たほうがいい。あすか先輩と吹きたい。そりゃみんなそう言うよ。そう言っとけば誰も傷つけない。誰にも悪く言われないもの」
そのまま言いくるめられることを恐ろしく思った久美子は、「低音パートのみんなや夏紀先輩は、絶対あすか先輩に出てほしいって思ってます!」ともっともらしい後押しとともに声を張り上げる。どうして言い切れるの? と切り出すあすかにも、「言い切れます!」と頑として言い放った。
すると、腰をかがめて下から久美子を見上げる形になったあすかは「黄前ちゃんがそんなこと言うなんてねぇ」と含みを持たせた一言を差し向ける。返す久美子の「ダメですか?」の言葉の後から、あすかの放つ”正論”が次々と久美子に突き立てられていく。
「ダメじゃないけど、黄前ちゃん、そう言えるほどその人たちのこと知ってるのかなーって思って。
みぞれちゃんと希美ちゃんのときも、黄前ちゃん、結局、最後は見守るだけだった。境界線引いて踏み込むことは絶対にしなかった。
気になって近づくくせに、傷つくのも傷つけるのも怖いから、なあなあにして安全な場所から見守る。
そんな人間に、相手が本音を見せてくれてると思う?」
あすかの放つあまりに鋭い正論に、久美子は続く言葉を失い、瞳を震わせながら目の前の先輩を見つめる。
立ち尽くす久美子に対して、あすかは「何だ。珍しく威勢が良いと思ったら、もう電池切れ?」と言い放つと、久美子の肩に手をかけて「私がこのままフェードアウトすることがベストなの。心配しなくても、みんなすぐ私のことなんか忘れる。一致団結して本番に向かう。それが終わったら、どっちみち3年生は引退なんだから」と語りかけ、その場を立ち去ろうとした。
…その刹那、あすかを”特別”にしてしまったことを悔やむ晴香の姿や、あすかの復帰を願う部員たちのそれぞれの想い、そして「後悔のないように生きたかった」と語る姉の麻美子の言葉が、唐突に久美子の胸へと去来する。
拳を握り締め、あすかの方に力強く向き直った久美子は、感情に突き動かされるままに勢いよくその口を開く。
「だったらなんだって言うんですか!! 先輩は正しいです! 部のこともコンクールのことも全部正しい!!
でもそんなのはどうでもいいんです!! あすか先輩と本番に出たい! 私が出たいんです!!」
突然の行動に驚き、「そんな子供みたいなこと言って、」と眉尻を下げるあすかを遮るように、久美子はより一層の想いを畳みかける。
「子供で何が悪いんです! 先輩こそなんで大人ぶるんですか!! 全部わかってるみたいに振舞って!! 自分だけが特別と思い込んで!!
先輩だってただの高校生なのに!! そんなのがどこがベストなんですか!」
久美子の訴えに、それまで冷めきった笑みを浮かべていたあすかの表情は大きく変わる。
彼女がこれまで頑なに立ち入りを拒み続けてきた他者とのあいだの境界線を、今まさに踏み越えんとする久美子の姿にあすかは息を呑み、動揺したようにその瞳を微かに揺らす。
「……先輩、お父さんに演奏聴いて貰いたいんですよね? 誰よりも全国行きたいんですよね? どうしてなかったことにしちゃうんですか。
我慢して諦めれば丸く収まるなんて、そんなのただの自己満足です! おかしいです。
諦めないでくださいよ。後悔するってわかってる選択肢を、自分で選ばないでください。諦めるのは最後までいっぱい頑張ってからにしてください!!
私は、あすか先輩に本番に立ってほしい!! あのホールで先輩と一緒に吹きたい! 先輩のユーフォが聴きたいんです!!」
あふれる涙で視界をにじませながらも、久美子は持てる想いのすべてをあすかへとぶつけ、その口を閉じる。
久美子のありったけの想いを黙して聞いていたあすかは、笑いながら「ははは… なんて顔してんの?ぐっちゃぐちゃだよ?」と語りつつ久美子に近づくと、彼女の頭にポンと手を乗せて「そんなんだったら、言わなきゃいいのに」と語った。
涙ながらに「だって…」と応える久美子に、あすかはそっと彼女の頭を撫でながら「でも、嬉しいよ… 嬉しいな」と穏やかに言葉を紡いだ。
「先輩、顔見ていいですか?」と尋ねる久美子に、あすかは彼女の頭を押さえつけながら「ダメ。見たら末代まで呪われるよ」と優しく語り、決してその表情を見せようとはしなかった。
ちょうどその時、斎藤葵が校舎の窓からあすかに声をかけ、模試の件で担任が呼んでいることを知らせる。すると、その件で何やら思い当たる節がありげなあすかは「ごめん。ちょっと先に行くね」と久美子に告げ、彼女を残して颯爽とその場を立ち去っていった。
あすかの復帰(TVアニメ版2期10話~11話)
その後日の部活において部員達がチューニング等を行っていたところ、晴香より5分後に練習を始める旨が告げられた。すると夏紀はおもむろに立ち上がり、久美子に「じゃあ、頑張ってね」と告げてその場を立ち去ろうとする。
コンクールの練習に参加しようとしない夏紀を不思議がる久美子に対して、夏紀は「あれっ、もしかして聞いていないの? あすか先輩も意地悪だなぁ」と語る。その言葉の意味が理解できない久美子は「あすか先輩?」と反応を示した。
するとその直後、音楽室の扉が開かれ、「ごめん、少し遅れた」の第一声とともにユーフォニアムを小脇に抱えたあすかが姿を現した。この日の復帰をあらかじめ知っていたらしい部員たちは、笑顔を浮かべる者もいれば泣きだす者もおり、皆それぞれの感情のもとにあすかを迎え入れている。
突然現れたあすかの姿に驚く久美子に、夏紀はあすかが模試で全国30位以内という好成績を取り、それをもとに母親に復帰の説得をしたのだと説明した。
音楽室に入ってきたあすかは夏紀のところに近づくと、申し訳なさそうな表情で「夏紀、ごめん」と謝罪したが、夏紀は笑みを浮かべながら「謝らないでくださいよ。私、あすか先輩のこと、待ってたんですから」と答え、その場を立ち去った。去り行く夏紀の姿を見ながら、あすかは思うところがあるような表情を見せている。
そして、席に着いて正面を見据えるあすかは、少し照れた様な笑みを浮かべながら「ただいま」「おかえりなさい」と久美子と言葉を交わした。(TVアニメ版2期10話)
その後の合奏練習の際に、顧問の滝より改めて正式な復帰を告げられると、あすかは「結局、みんなに迷惑をかける形になってしまって本当にすみませんでした。これから本番まで必死で練習していい演奏したいと思います。よろしくお願いします」と部員達に退部騒動の件について謝罪した。
あすかの言葉に部員達が拍手する中、外部指導員の橋本真博が「何か随分真面目な挨拶だな。性格変わった?」と揶揄気味に尋ねると、あすかは「そうですね。ちょっぴり大人になったのかも」と笑み浮かべてウインクしながら答えると、久美子の方を見つめ、かかるあすかの視線に気づいた久美子はうなずいている。
その後、「やばぁ、こんなに劣化するか…」とぼやきながら個人練習をするあすかの元に、ミネラルウォーターの差し入れを持った夏紀が現れる。
夏紀に調子を尋ねられ、「まずいね… 本当、カッコ悪いわ」と素直に答えたあすかに、夏紀は「嬉しいです。先輩のカッコ悪いところ、ほとんど見たことなかったですから」と微笑んだ。そんな後輩の言葉に、あすかは「夏紀、よく見ておきなよ。明日からもうこんな姿、見られないから」ととっておきの強がりを見せている。(TVアニメ版2期11話)
以上がTVアニメ版におけるあすかの復帰の概要であるが、一方の原作小説では幾分かシチュエーションが異なっているため、その概要を記すと以下の通りである。(原作3巻、274~276ページ、280~284ページ)
久美子によるあすかの説得後のとある日、吉川優子が低音パートに現れると、副パートリーダーの後藤卓也にあすかが模試で全国30位以内の好成績を取った事を材料に部活復帰の交渉を母とするという情報をもたらしたため、低音パートの雰囲気が少しばかり明るくなった。
しかし、その後もあすかは部活に姿を表さず、とうとう期限の日を迎えた。晴香と香織はあすかの登場を期待していたものの、練習開始の時間になっても姿を見せないため、晴香の号令で練習が始まろうとしていた。
その時、片手にユーフォニアムの入ったケースを手にしたあすかが登場したが、あすかの片側の頬が少し腫れていたため、部員達はあすかの身に起こった事態を察した。
あすか登場に真っ先に反応した人物が香織で、あすかの「待たせてごめん」という言葉に「いいの、来てくれたから」と答えて涙ながらにあすかに抱きつくと、あすかは優しく香織の背を撫でている。やがて、晴香や低音パートのメンバー、その他部員達があすかの復帰を祝福すべく集まってきたが、その中に夏紀の姿を認めたあすかは彼女に謝罪の言葉をかけようとしたところ、夏紀に言葉を制された上に「うち、ずっとあすか先輩のことを待っていたんですから。謝られるとかそんなん嫌です」と告げられた。それから、夏紀の「先輩、おかえりなさい」の言葉にあすかは瞳を揺らして涙を流すと、「ただいま!」と答えた。
全国大会(TVアニメ版2期12話)
本番前
本番前日の最後の合奏練習時、あすかは久美子から父であり大会の審査員でもある進藤正和に連絡を取ったのかどうかを尋ねられたところ、「まさか」と即座に否定している。
翌日の大会本番では、リハーサル室での音出し中に部長の晴香に続いて部員に向けたメッセージを語っている。
「全国に関して、みんなに色々と迷惑をかけてしまいました。こうやってこの場にいられるのは、本当にみんなのおかげだね。ありがとう。
今日はここにいる北宇治の全員で最高の音楽を作ろう。それで、笑って終われるようにしよう。
ご静聴ありがとうございました!」
部員たちの前でそう言葉を結んだあすかは、部長の晴香に恒例のかけ声の発声を委ねている。
本番後
本番を終えたあすかは、晴香と香織の3人でロビーのソファーに腰掛け、結果発表までのあいだ喫茶店で時間を過ごすことを提案する。
晴香はそれに同意するが、対して香織は「演奏を聴きに行かないの? 部長と副部長なのに」と部長と副部長である2人に尋ねる。その香織の問いに、あすかと晴香は「部長も副部長ももう終わりだから良いの」と答えている。
そんな2人の答えに、香織も同様に喫茶店に行くことを決める。あすかは晴香と香織と肩を組み、無邪気な笑顔で「スペシャルチョコバナナジャンボパフェ~」「無かったら、作ってもらう~」とはしゃぎながら3人で喫茶店へと向かっていった。
表彰式後
全国大会の表彰式を終えたのち、顧問の滝昇があすかと久美子の前に現れ、「お二人に伝えなければならないことがありまして」と話を切り出した。
「お二人は、進藤正和さんを知っていますか? 今日の審査員をなさっていました」とかけられた滝の言葉に、あすかは瞳をかすかに揺らしたものの、すぐに冷静さを装って「はい、ユーフォ奏者の方ですよね」と返した。
滝は会場の廊下でたまたまその進藤正和と会い、その際に彼から「ユーフォの子に伝えてくれ」とメッセージを頼まれたことを2人に明かす。
『よくここまで続けてきたね。美しい音色だったよ』との言葉に、あすかは息を呑み、透明なレンズ越しにその瞳を潤ませた。
それから少しばかり間を置いて、あすかは傍らにいた久美子を無邪気に抱き寄せる。「やったぁ! ユーフォ褒められちゃったぁ!」と屈託のない笑顔を見せながら頬を寄せるあすかの姿に、抱きつかれた久美子もまた「良かったですね、先輩」と報われたであろう彼女の幸せを喜んでいた。
そして、顧問等も含めた吹奏楽部のメンバーが集合したところで、部長の晴香が部員たちに向けた最後の挨拶を行った。
しかし、話の途中で感極まった晴香は泣き出してしまい、最後の方は言葉にならなくなってしまった。
そこで泣き止まない晴香に代わってあすかが現れ、「では、泣き虫部長に代わって一言」の一句のもとに挨拶を始めた。
「正直、今日の演奏で言いたい事は何もありません。
北宇治の音は全国に響いた。私達は全力を出し切った。本当にみんな、お疲れ様。
そして、3年生はこれで引退。後は2年生の天下です。もう不安しかありません。
私はまわりくどい話はできないので、はっきり言います。
今回の結果(※銅賞)、私はめちゃくちゃ悔しいです。でも、3年には雪辱の機会はもう無い。こんな思いは私達だけでたくさん。
だから、来年は必ず金賞を取って。これが最後の副部長命令です。分かった?」
「はい!!」と答えた後輩たちの威勢のいい返事に、あすかはニヤリと笑みを浮かべて「よーし、その返事、忘れないよ! 卒業してからも、毎日、見に来るからね!」と言葉を続ける。そんな先輩に対する夏紀の「先輩、それ最悪です」というツッコミ、「えーっ! 何でよ~?」と返すあすかのやりとりに、その場にいた部員たちは思わず笑いを上げている。
卒業式(TVアニメ版2期13話)
卒業式の日、あすかは卒業生の代表として壇上に立ち、答辞を述べた。
その卒業式を終えたのち、あすかを探して校内を駆け回っていた久美子は、校門近くの階段上で校舎から出てくるあすかの姿を認めた。
久美子を見かけて声をかけたあすかは、逆に久美子からかけられた「先輩こそ何やってんですか?」の問いに、卒業式後の喧騒を避けてひとりでやって来たことを明かす。久美子が話を抱えてやって来たことを受けたあすかは「なになに? もしかして恋の相談?」といつもの茶化しを見せるが、拳を握りしめた久美子の「そうです」の真剣な面持ちに、「マジかよ?」と思わず言葉を漏らした。
久美子はそんなあすかに向けて、自らの想いを紡ぎ始める。
「私、先輩のこと、苦手でした。
先輩だし、同じパートだから思わないようにしてましたけど、なんか難しい人だなってずっと思ってました。もしかしたら、嫌いだったかもしれません」
あすかは久美子の言葉に一瞬瞬きすると、「そんなこと、分かってたし」と思わず苦笑する。しかし、そんなあすかの言葉を「分かってないです!」と久美子は強く否定する。
「……だって、今は大好きですから。
あすか先輩、絶対本心見せてくれなくて…。いつも上から見下されてるようで、友達のこと、どうでも良いと言うし……
でも、今は寂しいです。先輩が吹くユーフォ、もっと聴いていたいです。私、あすか先輩みたいなユーフォが吹きたい……」
「それが言いたかったこと?」と真剣な面持ちで問うあすかの言葉に、想いを告げ切った久美子は黙って頷く。
すると、あすかは口元に笑みを浮かべながら、鞄から一冊のノートを取り出す。「これ、あげる。私には、もう必要ないからさ」と久美子に手渡されたそのノートは、あすかが幼い頃に父親から贈られてきたものだった。
あすかは、涙ながらに首を横に振る久美子の頭を撫でながら、今度は久美子が後輩にその曲を聴かせてあげる番であることを静かに告げる。
次に放たれるであろう言葉を予測した久美子は、「さよならって言いたくないです!」と涙ながらにあすかに詰め寄る。その反応に、あすかは微かに眉を下げつつ「じゃあ言わない」と久美子に笑みを浮かべると、その傍らを過ぎ去っていった。
次々と込み上げるあすかとの思い出に、少しのあいだ立ち尽くしていた久美子は、あすかが去って行った方へと振り向く。あすかもまた立ち止まって久美子のいる方へ向き直り、「またね!」の一言を残して立ち去っていった。
後に残された静寂の中、久美子はあすかから託されたそのノートを開く。
そこで久美子は、あすかがかつて奏でてくれた曲の楽譜、そしてその曲につけられた題名を初めて目にすることとなった。
かつてこの曲を書いたあすかの父親・進藤正和は、自分の吹いていた楽器に誇りを持ち、その気持ちを曲の題名に託した。そして彼の娘であるあすかもまた、その題名に冠された誇りを確かに受け継いでいた。
次は、きっと自分の番———。こみ上げる想いとともに、久美子はその題名を噛み締める。
『響け!ユーフォニアム』
その音の暖かさを、私はいつまでも忘れない。
主要キャラクターとの関係
黄前久美子
低音パートの後輩。ユーフォニアムを担当する1年生。
あすかは久美子のことを「黄前ちゃん」(TVアニメ版)「久美子ちゃん」(原作)と呼び、久美子はあすかのことを「あすか先輩」と呼んでいる。
あすかの久美子に対する評価は「ユーフォニアムが似合う」「(いい意味で)地味」等と、総じて「ユーフォニアムっぽい子」というような物である。(TVアニメ版1期2話、2期9話)
ユーフォニアムの経験者であるが、北宇治高校の吹奏楽部に入部した当初は特にこだわりは無く、トロンボーンやサックスへの転向も考えていた。しかしあすかにしつこく勧誘された挙句、幼馴染の先輩である斎藤葵にユーフォニアムの経験者であることを暴露されたため、あすかの手で強引にユーフォニアムの担当にされた。
あすかはある程度の実力と経験を兼ね備えた久美子に対して一目置いており、そのためTVアニメ版1期10話では、低音パートのメンバーからあすかの本音を聞き出す役割を担わされている。一方、あすかも久美子に対して、時折本音とおぼしきことを漏らしてきた。
そして、吹奏楽部があすかの退部騒動によって大きく揺れている最中、あすかは久美子を自宅に誘い、自身の生い立ちや本心を明らかにした。
その後、姉である黄前麻美子との和解を経て想いを新たにした久美子はあすかに対して本音の説得を行い、その部活復帰に大きく貢献している。(※経緯の詳細は上記の「久美子の説得(TVアニメ版2期10話)」、「あすかの復帰(TVアニメ版2期10話)」の記事を参照)
卒業式の後、あすかは自身の父親である進藤正和から譲り受けたノートを久美子に託し、ノートに書かれた進藤作曲のユーフォニアムの独奏曲「響け!ユーフォニアム」を久美子がこれから入部してくる新入生に聴かせるように言葉を添えている。(TVアニメ版2期13話)
また、卒業後に行われる立華高校との合同演奏会にはドラムメジャーとして参加しているものの、その件についてあすかは久美子に秘密にしていたが、久美子が合同演奏会に向けたユーフォニアムの演奏技術の向上に悩んでいることを知ると、自身の練習の合間に久美子の指導を行うことになった。
中川夏紀
低音パートの後輩。ユーフォニアム担当する2年生。
あすかは夏紀のことを「夏紀」と呼び、夏紀はあすかを「あすか先輩」と呼んでいる。
夏紀は高校から吹奏楽を始めており、当初はサックスパートを希望していたものの、人数の都合で低音パートに回され、あすかによりユーフォニアム担当に割り振られた。
夏紀はあすかのことを「特別」な存在と認めている。
あすかの退部騒動が勃発すると、あすかからの依頼もあり、滝の公認の許、コンクール出場メンバーの代役としてコンクール曲の練習に取り組んだ。その後、あすかは部活に復帰した際、夏紀に代役の件で謝罪したが、夏紀はあすかに「私、あすか先輩のこと、待っていたんですから」と答えている。
そして、全国大会終了後、夏紀はあすかから自身の引退後の部活を託されており、更にあすかの部活引退後、彼女から後任の副部長に指名された。
また、卒業後に行われる立華高校との合同演奏会に向けてあすかは夏紀にマンツーマンのユーフォニアムの指導を行っている。
後藤卓也
低音パートの後輩。チューバを担当する2年生で、低音パートの副パートリーダーも兼ねている。
あすかのことを頼りにしつつも、あすかの突拍子も無い言動に対して、時折つっこみを入れることもある。
川島緑輝
低音パートの後輩。コントラバスを担当する1年生。
コントラバスの卓越した実力を有しており、あすかもそんな彼女を高く評価している。
TVアニメ版では彼女のことを「サファイア川島」と呼んでおり、緑輝はその都度「緑です!」と訂正している。
後にあすかの部活引退後、あすかから「低音パートの伝統」、「伝統の低音パートの意思」と称して彼女の代わりに低音パートのメンバーに音楽に関するうんちくを披露する役割を託されている(※もっとも久美子はあすかの言う「伝統」の存在の有無を卓也に確認したところ、あっさり否定されている。原作公式ガイドブック、115~118ページ)
中世古香織
トランペットパートのリーダーを務める同級生。あすかと並んで北宇治高校吹奏楽部を代表する美人と見なされている。
香織はあすかに対して強い憧れや友情以上の感情を抱いており、また、香織とあすかの関係について久美子も特別なものを感じ取っているものの、2人の関係について探ることは控えている。
小笠原晴香
吹奏楽部の部長とサックスパートのパートリーダーを務める同級生。あすかや香織のサポートを得ながら部の運営に奔走している。
一方で全ての事柄をそつなくこなすあすかに対して、晴香はコンプレックスを抱いていたが、部長としての職務の経験を重ねている内にそのコンプレックスを克服しつつある。
低音パートのメンバー一覧
ユーフォニアム
チューバ
コントラバス
- 川島緑輝(1年)
関連イラスト
冬制服
夏制服
ドラムメジャー(サンライズフェスティバル)
黒ビキニ
ポニーテール
コート&マフラー姿
小学生時代
関連タグ
加藤葉月 川島緑輝 - 同じ低音パートに所属している1年生の後輩。
黄前久美子 - 同じユーフォニアム担当で、1年生の後輩。
後藤卓也 長瀬梨子 - 同じ低音パートに所属している2年生の後輩。
中川夏紀 - 同じユーフォニアム担当で、2年生の後輩。
小笠原晴香 - サックスパートに所属。北宇治高校吹奏楽部の部長を務める3年生。
斎藤葵 - サックスパートに所属。あすかの事を心の隅で羨んでいる節がある。3年生。
中世古香織 - トランペットパートに所属。パートリーダーを務める3年生。