綿月豊姫(わたつき の とよひめ)とは東方projectの書籍作品「東方儚月抄」に登場するキャラクターである。妹に綿月依姫がいる。
概要
月の都の防衛と地上の監視などを請け負う「月の使者」のリーダーの一人であり、依姫の姉。また八意永琳によると彼女の遠い親族であり、「人間風に言えば」豊姫は永琳の又甥の嫁になるらしい。ちなみに永琳の又甥夫婦、つまり豊姫の息子の嫁=依姫。ほぼ元ネタである神話通りではあるのだが、つまり「妹が自分の息子の嫁」というややディープな事になっていたり。まあ神話ではよくあることだし、あくまで「人間風」だから仕方ない。
ちなみに神話的に言うと、豊姫(豊玉姫)の夫とはニニギノミコトの次子である山幸彦(ヤマサチヒコ、ヤマヒコ、彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト)、火遠理命(ホオリノミコト)とも)であり、依姫(玉依姫)の夫はその息子であるウガヤフキアエズノミコト(鵜草葺不合命、盧茲草葺不合尊などと表記)である。しかし出産時に真の姿(鰐=現代でいう鮫)を顕したところを山幸彦に見られ、夫と子を残して海に帰ってしまう。その後、豊玉姫によって乳母として遣わされた玉依姫とウガヤフキアエズノミコトの息子こそが、本朝初代神武天皇(カムヤマトイワレヒコノミコト)である。なので、皇族である豊聡耳神子ともかなり希薄ながら血縁関係があることになる。
なお、古事記にはない記述であるがウガヤフキアエズノミコトの誕生の地である鵜戸神宮の社伝に以下のようなものがある。『鵜戸神宮本殿が建つ洞窟にあるお乳岩は、自分がいなくても子が元気に育つようにと海に帰る際に自分のおっぱいを引きちぎって貼り付けたものである』
地上から「神隠し」的に月の都に迷い込んだ生き物を能力を用いて地上に帰したり、月の使者の地上と月の行き来を担ったり、月に蔓延る穢れを感知したりする役目である。ただ普段はやる事がない。その為、普段は桃を食べたり本を読んだり、玉兎に面白い話をしたり桃やお菓子を依姫に内緒で差し入れたりと自由気ままに過ごしているようだ。その代わり、天性の運と中々の頭の回転や学を持ち、有事にはそれらを活かして活動する。
月の使者としての役目は、千数百年前(竹取物語の頃)に師匠であり先代の月の使者であった永琳が地上で行方不明になる前に、永琳から妹と共に受け継いだもの。
種族
月の民
月に住んでいる種族。元は地上に住んでいた八意永琳や月夜見らが穢れの無い月に逃れたところから起こった民である。
容姿
腰ほどもある長さの金髪。瞳の色は金色。服装は、白くて長袖(儚月抄中巻表紙では半袖)・襟の広いシャツのようなものの上に、左肩側だけ肩紐のある、青いサロペットスカートのような物を着ている。ボタンが前面中央にあり、膝上くらいからそのボタンを空けているので、スリットのようになって生足が拝める。
ちなみに妹である依姫は、同様の服装だが色が青ではなく赤で、肩紐も右側だけ、となっている。二人の服装の色合いを合わせると、師匠である永琳のカラーリングとなる。意識したのだろうか。その他に、全周のつばのついた白い帽子を外出時に着用。帽子に巻いてあるリボンは媒体によりピンクだったり青だったり。
腰に斜めに巻いているベルトのバックル部分には、鏡と思われる紋章があしらってある。月の満ち欠けの内の満月を示すものであろう。妹である依姫は、同様のバックルに剣の紋章があしらってあり、これは豊姫との対比として三日月を示すものであると思われる。
東方外來韋編参にて設定画(ZUN絵)が公開されたが、実はNHKの特集で妹に先駆けて登場していたりする。(色付き設定画は外來韋編が初)
二つ名
能力
海と山を繋ぐ程度の能力(仮)
永琳の量子論的講釈を応用し月と地球、表の月と裏の月を繋ぐ事や、月と地上、ひいては遠距離を瞬時に結びつけて、自分が自由に行き来したり、他人や物体をワープ・転送する事が出来る。原理的には制御出来る神隠し的なもの。「量子的に物事を見た時起こり得る事象は必ず起こる、よって確率ゼロで無い限り確率で起こるあらゆる事象は起こり得る」との永琳の教えから身に付けた能力。
流石に知らない場所には行けないのか、地上の幻想郷に居る永琳の行方がわかっておらず(個人的事情もあり)見つけて追いかける事が出来ていなかったりもしたが、レイセンから場所を伝え聞いた後では幻想郷にもワープし、八雲紫のスキマの行き先を自分達の前に書き換えて彼女らを捕縛したりした。また送る事が出来る物の質量もかなりの範囲までのようで、大部隊を連れて一瞬で地上に行く、といった事も可能なようだ。
特筆すべきはその発動の早さで、前述の通り紫のスキマに割り込んだ他、レイセンが自身でも気付かないうちに月から遥か地上まで転移させるなど、こと移動に関して右に出る者の無い能力と言える。
移動だけだと思うかもしれないが、作中では紫の式神が取り憑いた鴉を表の月に送り込み窒息死させるなど攻撃にも十分転用可能である。
永琳の述懐の中に、「永琳の教えをいち早く理解し地上と月を繋げる数少ない能力者のひとりになった」という一節がある。能力を使える者は他にもいるが、中でも突出しているのが豊姫ということだろうか。
(仮)となってはいるが、東方求聞口授のおまけインタビューで言及されているためほぼ確定か。
森を一瞬で素粒子レベルで浄化する風を起こす扇子
いつも持っている扇子。八雲紫の捕縛時に明かしたところによると、この扇子は月の最新兵器であり森を素粒子レベルで浄化する風を起こすというおっかない代物らしい。実際に使用はしていないのでブラフなのか実際にそういう兵器なのかは不明だが、月の科学力的にはあってもおかしくない、そんな兵器。そんなもんで庭の桃を取ろうとしていた。ついでに4コマでは、永遠亭から帰る前に紛失し、一番危なそうな人(鈴仙談)に拾われてた。管理・取り扱いが非常に危うい。
テーマ曲
妹である依姫と共用のテーマ曲である。個別テーマ曲が待たれる。
性格
天真爛漫な性格で、見た目とは裏腹にかなりお転婆。庭の桃を窓から前述の危ない扇子で掴み取ろうとしたり、桃の木から飛び降りてレイセンを踏み潰したり。また、月の民としてのプライドがやや高いように見える依姫と比べると地上人への理解もあるようで、地上人に多少の興味を持ち、後述の浦島太郎に対しても寛大な措置を永琳に求めたり、スペルカードルールの概要を聞いて感心したり、騒ぎを起こした八雲紫への罰も実質お咎め無しにしたりしている。また、真面目ゆえに時折少々気負い過ぎる依姫を姉としてフォローなどもしているようである。
普段はやや怠け気味で、依姫の行う稽古には参加せず散歩したり本を読んだりと自由に過ごしているが、レイセンによると、厳しい事を言う訳でもなく頭の回転の速さや学により話も面白く稽古中に差し入れをしたりもする為に、玉兎兵達の人気は高いようだ。妹の依姫共々、師匠である永琳にはかなり深い尊敬を持っているようであり、彼女の言葉や教えは非常に大事にしている。4コマ版では、「急に八意様に会いたくなった」から地上に来るという事をやってのけた。QBKならぬQYA。最終話では八意様の膝枕を堪能したりしていた。
可愛いもの好きなのか、玉兎には甘いようだし、4コマではモブイナバを何とか永遠亭から持ち帰ろうとしたりしていた。そして桃大好き。初登場時からして、家の窓から桃を取ろうとするシーンであった。前述のおっかない扇子で取ろうとしたが届かず、自分で木に登って沢山もぎ取ったようだ。取り終わった後の着地時に、門前にいたレイセンを踏み台にしてしまった。そのまま自宅の門番達に桃を配り、その門番に言われて足元のレイセンに気付いた。その後、依姫に何度か桃の食べ過ぎを注意されたり。
地上人との関わり
本編より1500年ほど前、瑞江浦嶋子と名乗る漁師が、水面に映った青い星(地球)から、神隠しにより五色の亀に掴まり月の海に現れた。本来なら、帰りたがれば豊姫が即座に地上に帰していたのだが、浦嶋子は栄華を極めた月の都に興味を持って滞在を希望した為に、豊姫自身が地上人に興味を持っていたのもあり、永琳に内緒で匿ったのである。浦嶋子は月の都を蓬莱国(海の向こうの国)と思っていたが、月の都の存在を隠す為に豊姫は「ここは蓬莱国ではなく海底の竜宮城である」と教えた。暫くは都の空に見える光景(星空、なのだが前述の通り彼は海底だと教えられそう思っていた)や星(これも魚達の踊りだと教えられた)に感動して過ごしていたが、三年ほど過ごした後帰郷を希望し出した。帰すのは吝かではないが三年の行方不明期間から、彼の話を聞いた地上人が竜宮城、つまり月の都の存在に興味を持つ事を危惧して、豊姫は永琳に相談した。
その結果、永琳は最初に即断で「殺すのが良い」と言ったが、自分が匿ったせいもある事から豊姫がそれ以外の方法を求め、永琳は「300年の冷凍睡眠の後、玉手箱を持たせて地上に帰す」事を提案した。300年後に冷凍睡眠から目覚めさせられて地上に帰らされた浦嶋子は、周りに知る者の居ない悲しみから空けてはいけないと言われていた玉手箱をすぐに開け、中に入っていた物質の影響で老人になった。老人になった事により、300年前の話を知っている上に竜宮城の事を話す彼は村で生ける伝説となり、その噂は時の天皇にも届いた。天皇は竜宮城=蓬莱国だと考え、彼から直に話を聞きに行こうとしたが、その前に彼は老衰で亡くなってしまった。天皇は蓬莱国から帰還した功績を讃え、彼の為に神社を作らせて筒川大明神という神号を送った。ただの人間だった彼は神の仲間入りをしたのだ。
つまり、いわゆる浦島太郎の物語が彼女の元で展開されており、竜宮城=月の都で、乙姫=豊姫だったという話だったんだよ!OTOHIMEとTOYOHIMEも似ている!
な、何だってー!ΩΩΩ
東方求聞口授において、本当に竜宮城=月の都であることが明らかとなった。
他キャラとの関わり
妹であり、最大の理解者。多少口煩い依姫を受け流しつつも、彼女を支える事に気を遣ってもいるようだ。
師匠であり尊敬する相手である。前述のように、彼女の教えをかなり信頼している。盲信のレベルかもしれない。
一応部下。稽古をつけたりはしないが、前述のように面白い話をしたり差し入れをしたりと甘やかし担当のようで人気はある。
先述のように『儚月抄』において紫と直接的・間接的に対峙しており、攻防を繰り広げた。
『儚月抄』において、依姫らが豊かの海で霊夢らを制した後永琳の智慧の下で綿月に向けられる疑念を払うべくしばしの間手元に引き寄せた。お酒の席では毒を警戒する霊夢に対してその杯をとり自ら口にして毒がないことを示すなどことも行った。
霊夢が地上に帰り、それから時間がたった後も豊姫らは霊夢の月からの連想に登場することがあり、『東方茨歌仙』や『東方鈴奈庵』では依姫や稀神サグメなどとともにそのイメージとして登場している。
この他の機会でも同様の面々と共に月勢力の象徴として描かれることがあり、今日では依姫やサグメと共に月を象徴するキャラクターの一人ともなった。
二次設定
まだ二次創作の数が少ない事もあり、浸透した二次設定やカップリング等は殆ど無い。殆どが妹である依姫か師匠である永琳との絡みである。極稀に、捕縛して薀蓄を披露したりした相手である紫との絡みもあったり。その他、桃繋がりで比那名居天子との絡みもたまにある。他方、漫画・小説・4コマの全てにおいて作中でやたら桃に対する食欲を示したり指摘されたりしていた為、ルーミア、西行寺幽々子に次ぐ第三の大食いキャラとして扱われる事も稀にある。
前述の通り月の都=竜宮城なので、竜宮の遣いこと永江衣玖との絡みを指摘する声も。
また、ホルテン氏の描く4コマでは『血を見ると興奮して巨大な鮫の姿に変身する』という設定がついた(通称トヨワニモード)。これは彼女の元ネタとなったトヨタマビメの正体が『八尋和邇(ヤヒロワニ)』という名の鮫である所から来ている。
トヨワニモードが初登場した氏の作品
求聞口授によれば、龍神様は月在住でもあるらしい。
・豊姫の元ネタであるトヨタマヒメは日本書紀の記述では龍であった
・結界を飛び越え月(海)と地球(山)を自由に行き来する豊姫
・結界などもろともせず、天、海、雨の三つのアマの間を自由に移動する龍神様
・海と山を繋ぐという能力名が上述の三つのアマと同じように水の循環を象徴している?
・龍神様の名前は不明
・豊姫(というか月人)の本名は地上人には発音できない
偶然の一致といわれればそれまでだが、無視してしまうのもどうかという符合である。これらの要素から豊姫=龍神という可能性を想像することができるようになった。あくまでも「もしかしたら?」といった程度のものであるが、元ネタの通り、龍神とまではいかないまでも龍に近しい存在であるのかもしれない。
儚月抄で所謂神霊が月の住人であるかのような描写がされていたこともこの説を助長している。
関連イラスト
関連タグ
原作・本人関連
海と山を繋ぐ月の姫 森を一瞬で素粒子レベルで浄化する風を起こす扇子
主な人間関係
綿月依姫 / 依姫 神霊の依り憑く月の姫 女神を閉じ込める祇園様の力 愛宕様の火
八意永琳 / 永琳 レイセン 玉兎 鈴仙・優曇華院・イナバ / 鈴仙 モブイナバ
二次創作関連
イラスト・デザイン関連
カップリング・グループ関連
東方キャラの日