概要
言語・文化・宗教などの価値観によって分けられる、何代も続く人間の共同体。自ら同族意識を持つ者たちを指すことが多い。
pixivのタグとしては、いわゆるエスニック系(異国風)の作品に使用されることが多い。ちなみにエスニックとは元々「民族の」という意味の形容詞である。
民族の別け方
大別すると血統的民族観と文化的民族観に分かれる。
血統的民族観
血統によって民族を定義する見方で、現在では主にDNA配列によって分化させられている。
これは肌や髪の色と言った外見的な特徴による区分の容易なヨーロッパ系の古い学説に基づく部分が大きく、これらの定着している地域は主にアブラハムの宗教(ユダヤ教・キリスト教・イスラム)の影響下にある。
一方、文化圏・宗教圏・前近代国家圏が必ずしも血統的な分化によらず、外観上の差異に乏しく、近隣感での交雑の著しい東アジア圏では、現在に至るも学術研究以上の目的で定着しているとは言えない。
文化的民族観
その民族の伝統的な衣装、信仰、前近代における社会構造、葬送の方法、など歴史的文化が持つ特徴によって定義する見方。
こちらは主に支那王朝を発信源とする東アジア文化圏に定着しており、近接する民族間でDNA配列上近似している場合においても持っている文化によって別民族に分化される。
問題点
血統的民族観の場合、民族の外縁部では隣接する民族と交雑が起こっている場合が非常に多い他、戦争や古代の気候変動による民族移動によっても特定の民族のDNAが移動途上に残されることがあるため必ずしも綺麗に分化できない。
また外見で区別しやすいためこれが人種差別に容易に繋がる。
さらに大航海時代より後は全世界的に交雑が起こった。例えば3世代以上に渡って定住しているアメリカ白人の殆どにネイティブ・アメリカンの血統のDNAが発見できると言う。また鎖国制度を敷いていたはずの日本人からアングロサクスン系の血統が発見されることも珍しくない。
文化的民族観の場合、これはアジアの北方諸民族(アイヌもこれに含まれる)の場合、文字を持たなかったため資料に乏しく、また特にどこぞの1億総脳味噌お花畑国家などに代表されるように狩猟民族であり定住しない民族と農耕民族であり定住する民族との間での文化的交雑が激しく、これが根付いている東アジアでなおのことこちらでの分化を難しくしている。
最大の問題は政治的主張において両者がごっちゃにされることが非常に多いことである。最たるものが中華人民共和国の抱える人権問題である。漢民族とその他諸民族の分化は文化的民族観に基づいて行われているにもかかわらず、血統的民族観に基づいたジェノサイドが引き起こされる結果になっている。
また日本では逆に右派と呼ばれる人間の間で意見が別れている。日本は血統的民族観で分化した場合ほぼ単一民族であるが、文化的民族観で見た場合アイヌ・大和・ウチナーの主要3民族からなる多民族国家になるという顕著な例だからである。最大民族が度を越えてお人好しなせいで交雑しまくった結果なのだが。現在、大和とされる民族的多数派の保守層は文化的民族観によって日本を多民族国家であると主張する一方、アイヌ・ウチナーの保守層はそれぞれ血統的民族観に基づいて大和と同一民族と主張する人が多い。ただしウチナーがアイヌを、アイヌがウチナーを、それぞれ同一民族と見ているとは限らない。
西欧白人文化圏においても特に顕著なのがドイツで、現在のドイツ連邦共和国はプロイセン帝国にルーツを求める国家とされているが、現在のドイツ人はプロイセン系ゲルマン人よりもアングロサクスンとラテンが交雑した地となっている。これはプロイセンは元々北欧系であったものが、第一次世界大戦までに現在のドイツを形作っていった後、第二次世界大戦の結果元々のプロイセンの地はソ連とポーランドに組み込まれ、さらにゲルマン系の多い地がドイツ民主共和国(東ドイツ)として長年分離させられていたためである(現在のドイツ連邦共和国は元々の西ドイツである)。2018年現在首相のアンゲラ・メルケル氏はゲルマン系である。
民族の価値観
一般的に民族の価値観は一つではなく複合的なものであり、価値観はおおむね、以下の三つの柱によって成り立っている。
人々を取り巻く大自然をどう捉えるか。