概要
日本の全国紙の一つ。ただしその発行部数は全国紙のうち最小であり、販売拠点が無くほとんど購読者がいないような地域も多い。全国紙というより「首都圏と関西圏のブロック紙のようなもの」と考えればだいたいあってるといえよう。
読売新聞の販売店が配達する事もあれば、朝日新聞を取り扱う新聞店が配達している事も珍しくない。さらに、福岡県に関しては関係の深い西日本新聞の販売店にて、福岡県以外の九州地方および山口県に関しては、九州・山口特別版の印刷にあたり毎日新聞の販売店にて、それぞれ取り扱ってもらっている。
部数の落ち込みから2009年以降リストラを繰り返し、地方の取材拠点も大幅に減少、東北・北海道や中国・四国地方の支局は有名無実の存在となっている。そして2020年10月をめどに、販売網を首都圏と関西圏などに限定し、ついに全国紙の看板を下ろすことになった。
名前から経済系の専門紙と誤解される事もあるが、分類的には一般紙である。
ただし、1933年に大阪で「日本工業新聞」というタイトルで創刊された当時はれっきとした経済紙であった。1950年に東京に進出した際に一般紙に転換している。
フジテレビ・扶桑社などと同じフジサンケイグループの一社である。
脆弱な経営基盤から経営難が続いており、広告費としてグループ会社から資金援助を受けている。
その一方で、自前でスポーツ紙「サンケイスポーツ」(1955年に大阪で創刊、1963年東京進出)と夕刊紙「夕刊フジ」(1969年創刊)を出している。
スポーツ紙に関しては中日新聞や西日本新聞も自前で出しているが、夕刊紙となるとここだけである。
ただし、1970年から1987年までは、どちらも子会社(サンケイスポーツ新聞社、フジ新聞社)を設立した上でそこから出していた。
なお、北海道新聞の関連会社の「株式会社道新スポーツ」が編集・発行を行っている道新スポーツは、事実上サンケイスポーツの北海道版である。
論調
かつては朝日新聞・毎日新聞はもとより読売新聞も含めてどちらかといえば左寄りで共産主義に寛容な論調の新聞ばかりであったため、反共産主義を旗印とする新聞として財界の肝入りで創刊された。
1968年に鹿内信隆が社長に就任し、1969年4月1日に社説を「主張」に改題。7月には鹿内が「新聞が本当に不偏不党の立場でまかり通るような安泰なものに。今、日本の国内情勢が成っているでしょうか」「毅然と守ろう『自由』、警戒せよ、左翼的商業主義!」と広告主向け説明会で演説し、「正論」路線を打ち出した。その通り「不偏不党」という建前から中立を装っている他の新聞と違い、自民党・アメリカ共和党・米軍・財界寄りの姿勢をはっきり打ち出しているのが特徴。1990年代には内海賢二が「新聞はみな同じではありません。モノを言う新聞です。産経新聞」とキャッチフレーズを読み上げる、プロレスラーの蝶野正洋が「群れない、逃げない。産経新聞」とキャッチフレーズを読み上げるCMが流れた。2001年のえひめ丸事故に関して、アメリカ政府擁護の立場を全面的に打ち出し、「どこの国の新聞か」という抗議が殺到した。
「東大、軍事研究を解禁」「人体の不思議展インタビュー捏造」「熊本地震被災地でテレビ局がやらせ」「日本人救った米兵 沖縄2紙は黙殺」など誤報・捏造・デマの流布をやらかすことが非常に多い新聞なのだが、他のメディアには基本的に相手にされておらず、近年までほとんど無視されていると言って良かった。
しかし、近年はネット上のマスゴミ批判を鵜呑みにして他のメディアを誹謗するような記事が目立つようになり、他の報道機関から問題視されることが増えている。
地元右翼の流したデマを真に受けた「日本人救った米兵」の記事は沖縄地元紙(沖縄タイムスと琉球新報)の反撃を受け記事を取り消し謝罪する羽目となり、毎日新聞、東京新聞などでも大きく取り上げられた。
また上記の「テレビ局によるやらせ疑惑」の記事は、ネット上での噂を情報源に取材を行わずに記事にしたもので、「産経は新聞ではなくまとめブログ」と揶揄されるきっかけとなった。
インターネットでは記事をネット上に無料公開しているほか、Yahooニュースなどへの記事提供も積極的に行っており、内容も自民党の擁護、民進党などの野党批判に終始するため、良くも悪くも話題になりやすい。
前述のように信憑性の低い記事などはネット上では「また産経か」といった叩きがよく見かけられる。
保守を自認する社風らしく中国・北朝鮮軍の動向や自衛隊・米軍を積極的に取り上げるが、それにもかかわらず「戦車にウインカーが付いているのは平和ボケの日本を象徴(注・戦車にウインカーが付いているのは他国でも普通)」と主張するなど素頓狂な記事も目立つ。
科学方面の知識もかなり弱い傾向にあり、親学や反進化論など疑似科学を無批判に取り上げる記事も多い(日本の右派には科学的世界観を認めない宗教の影響が強く、彼らが自分の考えを主張するのにしばしばニセ科学を利用するのも一因ではある)。
連載作品
少年ケニヤ(まだ「産業経済新聞」表記だった1951年より連載された絵物語)
鉄腕アトム(単行本化の際「アトム今昔物語」と改名)
新竹取物語 1000年女王(本来はこの新聞で連載された漫画だが、山口県以西では西日本スポーツにて掲載)