おのれクライシス!
概要
異次元世界である怪魔界に存在する帝国。
秘密結社が主な相手であった仮面ライダーシリーズでは、初めての敵「国家」であり(過去にもアマゾンのガランダー帝国だのスーパー1のドグマ王国だのZXのバダン帝国だのが存在したが、どいつもこいつも規模的に国とは言いにくい)敵組織の規模としては、シリーズの中では大ショッカーなどの同盟系を除けば最大と思われる(最も、惑星そのものが敵ってのは後に出て来るが)。
怪魔界は元々は花や緑あふれる美しい桃源郷のごとき楽園であったが2000年前にクライシス帝国が建国してからと言うものの超科学文明の発展とともに汚染や砂漠化といった環境破壊が進んだため、地球の全人類を抹殺した上で臣民50億人を移住させようと目論み、その戦略基地を確保するため日本を狙う。本格的に侵攻を開始したのはゴルゴム消滅から半年後だが、少なくとも10年以上前から計画を進行していた。どうやら日本だけではなく世界各地も狙われていたらしく、10人の先輩ライダー達が密かにクライシス帝国の魔の手と戦っていた事が後に明らかになる。
侵攻は小さいものでは自転車泥棒から、大きいものでは瀬戸大橋を破壊し四国の空母化を狙うまでに至り、最終的には本格的に戦闘員を送り込み人間狩りを行うなどかなりスケールの幅が広い。しかも国家らしく日本政府とも結果決裂したが会談した事もある。この事もあり、少なくとも物語中盤以降は一般市民にさえもその存在が知られている。
当初はBLACKすら自身の戦力に収めたかったらしく、徹底的に調べ上げ光太郎がそれを拒否すると変身機能を破壊して宇宙空間に放ってしまった。
それがまさかの自分達の最大の強敵となるRXへのパワーアップのきっかけとは幹部の誰一人として思わなかったのである。
実際、マリバロンはその事実に頭が追い付かず、ジャーク将軍もすぐに討伐命令を下していた。
これこそクライシス帝国の地球侵攻作戦の最初にして最大の滅亡に直結した大誤算だったのである。
そもそも光太郎=BLACKは神にも等しい創世王の後継者候補だった為、触らぬ神に祟りなし…ではなく神(候補)をフルボッコにしたらとんでもない祟りの倍返しになったと言うべきか。
さらにはもう一人のキングストーンを持つ者がクライシス帝国側に現れて付いたにも関わらず、捨て駒扱いした事で逆に彼から見限られるという失態までやらかしている。
クライシス皇帝をトップとし、最高司令官のジャーク将軍とその補佐を担当する官房長ロボットチャックラム、そしてその下の海兵隊長ボスガン・諜報参謀マリバロン・機甲隊長ガテゾーン・牙隊長ゲドリアンの四大隊長(後にダスマダー大佐も加わる)、一般怪人ポジションの怪魔戦士で地球攻撃兵団が構成されている。
それぞれ違う種族で構成されており各隊長の軍閥の能力を活かして、地球侵略・避難民受入工事・RX抹殺に邁進する。大隊長ら上級幹部や怪魔戦士には、地球の環境に適応する強化細胞を移植されており、これがないと怪魔界の住人は地球に生存することができない(汚れた空気と曇天に満ちた怪魔界の住人にとって、地球の空気と太陽光は死をもたらす猛毒なのである)。
また怪魔界でクライシス帝国の支配や悪政に反発する人民も存在し、地球に逃れていたりRXを手助けした者も存在した。と言うのも国内では厳しい身分制度が敷かれており、純粋なクライシス人は身分が高く、そうでないものは身分が低く、かなり低い身分の民は奴隷として働かされており、例えクライシス人であろうが逆らえば即刻奴隷に格下げされる。
だが、統率がとれているかといえばあまりそうではなく、各隊長同士で手柄の取り合いで足を引っ張り合いをしており(これはゲドリアンが顕著)、ジャーク将軍でさえも悩みの種になっていた。さらに査察官であるダスマダーでさえ、せっかくのRX抹殺のチャンスに余計な介入をして逃す失態を演じる始末。
こんなクライシスであるが、やはり脅威である事には変わりなく10人ライダーでさえもクライシスとの本格的な闘いに向けて特訓を繰り広げる程であった。
ただし、地球攻撃兵団の面々の中で少なくともボスガンはRX以外の仮面ライダーの存在を全く知らなかった模様。1号ライダーの言によれば戦っていた相手はクライシスの「スパイ」だったということだから、本格的な攻勢ではなく、もっぱら暗闘だったのかもしれない。
所属怪人
基本的に劇中登場する怪人の大部分はいずれかの四大隊長の指揮系統下に所属し、
ボスガン率いる「怪魔獣人」
マリバロン率いる「怪魔妖族」
ガテゾーン率いる「怪魔ロボット」
ゲドリアン率いる「怪魔異生獣」
の四種に分類される。
どこの所属の戦士も「怪魔〇〇最強の戦士!」と登場時に紹介される「自称最強怪人」が大勢いる。確かにゲドルリドルやヘルガデム等、相当に強力な怪人も居たが、大抵は名前負けしている。
肩書きその物が最強怪人で、実際に最強と言ってもいいのはグランザイラスとジャークミドラぐらいである。
怪魔獣人
クライシス人の中で特に優れた者を、異次元の改造を加え強化したサイボーグ戦士。
動物の特性を有する者が多く、武器や徒手による格闘戦を得意としている。
共通点として名前の最初に「ガイナ」が付く。
これまでの仮面ライダー作品に登場する改造人間(怪人)に近いフォルム(より厳密には仮面ライダーアマゾンの獣人やゴルゴム怪人であろうか)をしているのが特徴。
怪魔妖族
戦闘訓練を受けてより強力な妖能力を身に着けたクライシス人の戦士、もしくは魔物。
真正面から直接的に敵と戦闘するより、裏で暗躍したり、念動力や呪術で相手をジワジワと追い詰めていく戦法を得意としている。
共通点として名前に最低一文字の漢字が必ず入る。
全般的に妖怪的な風貌が特徴。
怪魔ロボット
クライシスの科学力で作り出された戦闘ロボット。仮面ライダーシリーズでは純粋に怪人(改造人間)ではない珍しい部類。
人間に負けないほどの知能だけでなく並外れた火力とパワーを有するものも多く、RXがパワーアップを重ねた後も苦戦させることが多かった。
他の大隊の怪魔戦士とは異なり名称に統一されたパターンはないが、各々が持ち合わせる特性と外見に由来したネーミングが多く、第16話登場のネックスティッカーを除いたすべてに濁音か半濁音が入る。
怪魔異生獣
怪魔界に住む生物をクライシスの異次元の科学力でパワーアップさせた戦士。
変身・憑依・毒・物質操作などの多彩な特殊能力に長けている。
「ドグマログマ」「アントロント」など、韻を踏んだネーミングがされている(第6話登場のキュルキュルテンのみ例外)。
前作のゴルゴム怪人をより怪物然とさせた外見をしているのが特徴。
怪魔界の真実、そして末路
以下ネタバレ注意
最終決戦においてダスマダーが「怪魔界とは地球の影というべき双子の惑星であり、地球人の環境汚染によって衰亡させられた」とRXに告げたが、第3話におけるワールド博士の「クライシス皇帝の横暴な開発政策で怪魔界の危機が訪れた」という証言もあり衰亡理由の真意は不明。
そして最終回においてクライシス皇帝はRXに倒されるが、皇帝が怪魔界と一体化していた為か、皇帝とともに50億人の臣民を巻き添えにして怪魔界が消滅してしまった。
無論そんなことは光太郎は知っておらず、仕方ないと言えば仕方ないのだが、初代ウルトラマンのバルタン星人20億人虐殺をも超える50億人虐殺という特撮史上最大の虐殺を行ったという濡れ衣(ネタ的な意味で)を被せられてしまう結果となった。
余談
実際のところクライシス帝国も負けておらずRXの能力の弱点、性能を分析し対策、そして強力性能の怪人でRXを苦戦させている(ただし、詰めが甘い所が散見してRXの反撃を許してしまったが)。また帝国の規模を考えると全面戦争になれば戦力規模も考えるとRXがいくら強くても、また10人ライダーの助力があったとしても対処するのは困難だったと予想される(しかし、クライシス人にも穏健派や反帝国派がいるので、一応静観しているものの下手な大規模攻勢は彼等を刺激してどう動かれるか、と言う問題もある)。
またストーリーが進むにつれて怪魔界から地球の移住のタイムリミットがギリギリに迫っているかなり不安定な状態であり、万全あるいは余裕があればRX自体も危なかったと思われる。
もとより異次元にある怪魔界から大兵力を地球に送り込むことは(怪魔界人の地球環境への適応力と耐性のせいもあり)容易ではなかった。地球攻撃兵団の第一の使命はそのための拠点を地球に築くことであって、これを目的にした作戦を次々に展開していた。結果、その全てをRXらに邪魔され、本来かけるべき惑星統一国家規模の大攻勢を未然に防がれてしまったのが彼らの敗因の本質であったといえよう。
地球攻撃兵団が壊滅した後も、RXを倒すか味方につければまだ地球侵略は可能だとダスマダーが考えていたところにもこの事情が窺える。
関連タグ
仮面ライダー 仮面ライダーBLACKRX ロボライダー バイオライダー
ギギ…自分達の異世界が住めなくなったので地球を侵略しようとする敵繋がり