「RX……余は怪魔界の支配者にして、クライシス帝国の皇帝である。余を追い詰めたその執念、見事だと褒めてとらそう。うぬの五体、バラバラに引き裂いてくれよう!」
概要
千年前、桃源郷と呼ばれ平和だった怪魔界に突如として現れ、クライシス帝国を築き上げた怪魔界の支配者にして帝国の皇帝。圧政を敷いて横暴な政策を推し進めた結果、科学力は地球以上に発達し、文明は発展したもののその反動で大気汚染や砂漠化などの深刻な環境破壊が進んだ結果、怪魔界そのものが滅亡の危機に陥ってしまった。
そのため、地球の全人類を抹殺して臣民50億人を移住させようと目論み、ジャーク将軍を筆頭とした地球攻撃兵団を地球へ派遣していた。
怪魔界にはそんな彼のやり方に不満や反感を持つ人々も少なからず存在し、帝国に対抗すべくレジスタンスを組織したり、ワールド博士のように南光太郎 / BLACK RXに協力する者もいたが、そんな彼らを反乱分子として制裁を加え、場合によっては処刑する典型的な独裁者であり、そんな彼を国民は全能の神として恐れ崇めている。
今だかつてその姿を見た者は誰一人としていなかったが、終盤で遂にその姿が判明する。その姿は額に3つの顔が生え、無数の棘を生やした生首(の下に足がある)だけの岩石生命体という、彼の細胞から生み出されたガロニア姫とは似ても似つかぬ醜悪なものであった。
主な攻撃方法は身体中に生えた棘の間から伸びる触手、額の3つの顔や目から放つ強力な破壊光線、そしてマリバロンを葬った口から放たれる円錐状の光弾である。
最終回でマリバロンを除く幹部達や怪魔戦士がRXの前にことごとく敗れ、手駒が尽きるとRXを自身の勢力に加えるべく交渉を持ち掛けるなど、優れた統率者としての手腕を見せる。一方で反感を持つ部下の意見を聞かずに推し進めるなど、一大帝国の最高権力者である皇帝という立場の割には横暴さ、器の小ささが目立つ。
劇中での活躍
ジャーク将軍たちによる地球侵略が遅々として進まず、痺れを切らした時は現場に任せられないと判断。自らの分身体であるダスマダー大佐(ダスマダー個人としての自我意識あり)を査察官として派遣するが、その高圧的な態度故に督戦を促すどころか幹部達の間の溝を深める結果になってしまった。
ジャーク将軍達に連絡を取る際は一部の位の高い純粋なクライシス人にのみにしか伝わらない通信でのみ連絡を行っていたようだが、第42話「四隊長は全員追放」の終盤で(自身の失態を棚上げして)ゲドリアンの命がけの忠誠心に感銘し、初めてその声が明らかになる。
第44話「戦え! 全ライダー」では自身の姿を模した神像が登場し、ご神体を通して直接会話をするようになる。
最終回にて光太郎と会談の場を設け、配下に加わるよう交渉。その際、光太郎をクライシスに引き入れるのに異を唱え、光太郎に襲い掛かったマリバロンを処刑している。交渉が決裂するや否やダスマダーやチャップらに光太郎を襲わせる。そこに光太郎を助けに来た10人ライダーが加わったため大乱戦となる。
会談場所を爆破し、光太郎や10人ライダーを倒したと思い込んだダスマダーは意気揚々とクライス要塞で怪魔界へ帰還しようとしていたが、要塞に乗り込んできたRXと遭遇。RXとの一騎打ちの末ダスマダーが敗れたため、クライシス皇帝としての正体を現し最後の戦いに挑む。
その際に何の脈絡もなく「怪魔界とは地球の影というべき双子の惑星であり、地球人の環境汚染によって衰亡させられた」という過去に善良なクライシス人達が話していた「怪魔界が衰えたのは、クライシス皇帝の横暴な政策のためだ」という事実を完全に無視した衝撃的な怪魔界の真実を語ってRXを精神的に動揺させ、触手で絡め取って動きを封じたり、破壊光線や光弾で攻撃。
しかし最後はボルティックシューターとRXキックを受け怯んだところをリボルケインで貫かれ、大爆発の末に打ち倒された。
死の間際に「RX……余に勝ったと思うな! 人間どもが地球を汚せば、新たな怪魔界が生まれ、地球を襲うであろう……全ては、お前たち人間どもの罪だぁ……!!」と自らが行ってきた横暴な政策で怪魔界を滅亡の淵に追いやった罪を棚に上げた非常に身勝手な捨て台詞を吐いた挙句、怪魔界と50億のクライシス国民を道連れに大爆発し消滅するという、前代未聞の衝撃的かつ見苦しい最期を迎えた。
ガロニア姫
演:井村翔子(幼年期) / 丸山真穂(成人期)
クライシス皇帝の後継者として皇帝の細胞から生み出された皇女。
ムーロン博士によって成長促進光線を照射されて三ヶ月ほどで6歳相当に急成長するが、チャップが装置を故障させるミスをやらかしたために消滅してしまう。
これに慌てたマリバロンによって同じ日に生まれ、うなじに黒子のある佐原ひとみを替え玉に立てるべく、マリバロンは体調の優れない老婆に化けて同情を誘って誘拐。それでも替え玉とするにはあまりにも力不足であったため、ムーロン博士に奇跡の谷へ行くよう言われる。侍女にするべく攫われた6人の少女と共に聖なる滝の力で成人化しただけでなく、ひとみの方には不老不死と超能力までもが与えられ、記憶を失ってしまった。
しかし、ひとみとしての記憶を完全には失っていなかったようで光太郎達の殺害を渋ってしまい、茂の呼びかけで記憶を完全に取り戻す。何を血迷ったかマリバロンはひとみを殺害しようとするが失敗。
こうして7人の少女は聖なる泉の水を飲んで元の姿に戻れた。その後の幹部の処分に対しては後述。
この奇跡の谷はミンバを村長とするクルミン族が住んでいた地域であり、1000年前にクライシス皇帝によって死の谷に追いやられたという。おそらくその神秘の力をクライシス皇帝は独占したかったのであろう。
第15話ではマリバロンが作ったひとみの偽物がRXを始末するための囮として使われたが、これがロボライダーの誕生を促してしまっただけでなく、16話では霞のジョーの仲間入り、17話ではバイオライダーの覚醒とRX陣営の強化祭りとなっており、チャップのたった1回のミスがクライシス帝国の寿命を大きく縮めてしまったことになる。一瞬の出番であったが、間違いなくRXの物語を大きく動かした人物と言っても過言ではないだろう。
歴代の皇女が存在するようだが、既にこの世にはいない模様。ムーロン博士曰く、姫君には継承者の証としてうなじに黒子があるのだという。
余談
先述するガロニア姫がチャップのミスによって死亡した一件に関しては、ジャーク将軍が「RXに殺害された」と虚偽報告したことで地球攻撃兵団が咎を受けることはなかったが、実は真相を見抜いていた皇帝が地球侵略に当たってのデメリットを考慮し、あえてジャークからの報告を信じる体で黙認していた可能性も考えられる。
声が長年ライダーシリーズの首領を務めてきた納谷氏であった為、彼もショッカー首領と同一人物かと思われがちだが経歴からして異なる点が多い為、全く別の存在であると思われる。
しかし、地球とは双子のような関係の怪魔界を支配したあたりに仮面ライダーのような異能の正義の戦士が存在しない世界は容易く手中に納める力があったのは間違いない。ショッカー首領でも成し遂げられなかったことを既に行っていた事は特筆に価する。
なお、実は最終決戦でリボルクラッシュを決められるまで(いつもの採石場に切り替わるまで)、思いっきり中の人の足が見えてしまっていることにツッコんではいけない。
死に際の某火薬戦隊を彷彿とさせる大爆発は現在でも語り草になっており、RXの中の人である岡元次郎氏が(リボルクラッシュの決めポーズで爆発の中立っていたが)「死ぬかと思った」と語った、といわれている(ただし、真偽は不明)。
派生作品
原作再現がなされず地球侵略作戦を放棄したため、怪魔界の滅亡は免れた。
ライダールートのラスボスとして登場し、ショッカー首領の真の姿として登場(中の人繋がり)。当然、ムチャクチャ強い。キカイダールートやゴレンジャールートでは、傀儡怪人として登場。
RXの世界では直接登場することはなかったが、設定上存在する事が言及されている。
クライシス帝国のボスとして登場。しかし、意思はリジェスに既に侵食されているらしく、クライシス幹部が軒並み敗れるとヒーローを倒すために直々に出現…するが、ぶっちゃけるとそこまで強くはない。倒されると皇帝らしくない負け惜しみを吐いて死ぬ。この作品では怪魔界はハザード・キューブと融合しているが、死んでもキューブは消し飛ばない(なにせ彼は中ボスでしかない為である)。
ちなみに肖像権の関係でか、分身であるダスマダーは登場しない。