概要
サザンオールスターズの54作目のシングル。2013年8月7日発売。キャッチコピーは「サザンオールスターズ、始まる - 2013年・夏、熱い胸騒ぎ。」。
作詞・作曲:桑田佳祐
編曲:サザンオールスターズ
2008年の無期限活動休止から5年を経て活動を再開したサザンオールスターズの第1弾シングル。東アジアを始めとした国際情勢の緊張関係をベースに平和への願いを綴った楽曲。
2013年8月19日付のオリコン週間ランキングで初週20.7万枚を売り上げて1位を獲得。本作のオリコン1位獲得で、1980年代 - 2010年代の4年代でオリコン1位を獲得し、グループとしては初の快挙となり、総合でも中島みゆきの1970年代 - 2000年代と並ぶ10年7か月ぶり史上2組目の記録となった。更にデビューから35年2か月での首位獲得は、前作で自身が記録した男女グループ最長キャリア記録である30年2か月を自ら更新した。
タイトルに使われている「ピース」と「ハイライト」は日本たばこ産業から発売されているたばこの銘柄から拝借されている。「ピース」には「平和」、「ハイライト」には「もっと日の当たる場所」という意味が込められており、寺山修司作品のDVDを見てふと思いついたという。「ピース」は満州からの引き揚げ者だった桑田の父親が、「ハイライト」は桑田自身がかつて吸っていた銘柄でもある。仮タイトルは後述のタイアップの影響で「ワーゲン」だった。
桑田はこの曲を作った意図として、夏をイメージした楽曲もその気になれば制作できたことを述べたうえで、新たなファンを呼び込むために刺激のあるプランとして自分たちと現実社会の距離を測った曲で新たなスタートを切りたかったと述べている。
この曲は歌詞やライブでの演出や発売を告知した広告も相まってさまざまな政治的な解釈がなされたが、桑田本人は「それこそが都合のいい解釈です」とその全てを一蹴し、「私は日本を愛する者ですし、平和を願う者として、“希望の苗を植えていこうよ、地上に愛を植えていこうよ”というメッセージをお伝えしたい」と語っている。
音楽評論家の渋谷陽一はこの曲に対して「歌にした動機はひとつ、『歌いたいから』だったと思う」「何かの意図があったら人の心を打たないし、チャートで一位にもならない」と述べており、桑田もこの主張に賛同している。
サザンが準レギュラーとして出演していたお笑い番組『いい加減にします!』(1984年10月6日から1985年3月30日まで日本テレビで放送)や桑田が監督を務めた映画『稲村ジェーン』などで共演した伊東四朗はこの曲を気に入り『伊東四朗 吉田照美 親父・熱愛』(文化放送)内の企画「第13回!輝く!伊東四朗大賞」に選出、受賞に至っている。
メディアでの使用
関連動画
ミュージック・ビデオ
随所でメンバー全員が架空の戦隊ヒーロー「スターズレンジャー」に変身したり、本作発売当時の各国首脳(安倍晋三、朴槿恵、バラク・オバマ、習近平)のお面を被ったエキストラと手島優が出演したり、浮世絵が施された和風のセットやリハーサルスタジオを模したセットでの歌唱シーン、ジョン・レノンとオノ・ヨーコによる「平和活動パフォーマンス」である「ベッド・イン」、鯉が泳ぐアニメーションが登場するなどの趣向を凝らした演出が特徴。
ライブ映像
2013年のスタジアムツアーではバックモニターに当時の各国首脳の顔写真が登場し、仲良く肩を組んでいたりダンスを踊ったり楽器を弾いたりするアニメーションや、日章旗(日の丸)をはじめとする世界各国の国旗がツムツムのような球体になって転がり、中央にピースマークが登場し世界平和を訴える映像が流れた。1番のAメロでは現実を憂う意図から当時世界で起こっていたデモのニュース映像をスマートフォンを模した形式で映した。後年にはその一部が切り取られネット上では「サザンが日章旗に罰マークを付けた」「サザンが『魚釣島は中国領』と主張している」「サザンは特定の思想へ肩入れし反日的な主張をするバンド」といったこの曲の意図や実際の桑田(ミュージシャンとして及び逸話の項を参照)及びサザンのメンバーの思想と正反対な解釈をした者も一部でいる。
ちなみにこのスタジアムツアーではこの曲の発売を告知した広告に寄稿した有田芳生、有田と対立している橋下徹や百田尚樹が観客としてこのライブを訪れており、神戸公演の打ち上げでは3代目桂春蝶が招かれ落語を披露した。桑田は彼らをはじめファンに対してイデオロギーを問わず別け隔てなく接していた。